GUNDAM EXSEED_EB_2

Last-modified: 2016-01-12 (火) 20:04:57

「さて、どうしようね」
(すぐに帰るのがベストだと思いますが、エネルギーの問題が)
だよねぇとリヒトは思うと、シートに身体を預け、アテネに聞いてみる。
「自然回復で、特殊武装関係のエネルギー回復はどれくらいかかる?」
(最低でも一週間はかかります。その間、特殊武装を何一つ使わないという前提に立っての予測ですが)
面倒だなぁとリヒトは思ったが、まぁこういう機会にお土産でも買えばいいかと思い、日本へと、機体を飛行させ、進ませるのだった。
その間、リヒトは機体の操縦をAIであるアテネに任せ、コックピットの後部シートでノンビリ過ごしていた。ジェネシスガンダムのコックピットは極めて広く、特に後部座席は居住性も高かった。
シートはフカフカでリクライニング付、それに加湿と乾燥を適度に行い、温度調整も完璧であるため、寝るのにも遊ぶのにも困らなかった。リヒトは後部座席にテーブルを出すとそのテーブルの上でプラモデルを作りながら、アテネに尋ねる。
「今期のアニメの録画してる?」
(問題ありません。私の方でリヒトの興味のなさそうなものは切っておきました。ネット上で話題になりそうなものも全て網羅しデータ化しています。また、リヒトが以前から欲しいと言っていたフィギュアの予約が開始されていたので、予約しておきました)
「ゲームは?」
(ダウンロード版とパッケージ版に関しては限定生産分と通常版の二つを予約済みです)
まぁまぁ優秀だけど、本当に分かっているかと思い、リヒトはアテネに更に質問する。
「配送関係は?」
(フィギュアに関しては日本にある、組織のセーフハウスに配送されるようにしました。ゲーム類に関してはリアルタイムでの購入感が好きだと言っていたので、店頭で引き取りが出来るようにしています)
「グッド!」
素晴らしいね。僕の相棒は。と思いながら、リヒトは日本への到着までの間、プラモデルを作ったり、アニメを鑑賞するなどして過ごした。
そうしてリヒトの乗るジェネシスガンダムは、日本へよると友人が欲しがりそうな物を買い、同時に機体の特殊武装エネルギーが溜まったのでワープドライブを敢行するのだった。
「しかし、頼りまくりだけど、よくよく考えたら怖いよね。原理分からないんでしょ、これ」
そんなことを言っている内にジェネシスガンダムは、コロニーエリュシオンへと到着した。世界地図にも乗っていない、リヒトの所属する組織の基地であるエリュシオンにジェネシスガンダムは何の、パスも必要なく入港し、リヒトはコックピットから降りる。
一緒にいる時間が長かったせいか、アテネも今回は文句を言ってこなかった。しかし、なるべく早く戻らないと、機嫌が悪くなることもリヒトは知っていた。
「ただいまー」
リヒトは荷物の袋を手に提げたまま、無重力空間のMSハンガーへと降りる。
「おかえり」
と返してくれたのは、四十歳手前くらいの車椅子に座る女性だった。女性は整備士の格好をしていた。
リヒトはその姿を見つけ、レビーおばさん、今日はいるのか、じゃあ困ったなと。レビーの近くに立ち、リヒトを睨みつける痩せた男性がいた。マクバレルのおじさんもお元気そうで困っちゃうなぁと、リヒトは笑みを浮かべながら、とりあえず東京土産を二人に渡した。
あとの土産は、師匠にでも渡せばいいかと思った。ぶっちゃけ、エリュシオンの人間のだいたいとは、それほど仲が良くないのだ。理由は分からないが。
「んじゃ、アテネ。僕は部屋にもどっから、整備してもらってね」
(了解です。リヒト)
ちなみにアテネの声はリヒトにしか聞こえない。なので、リヒトはかなり独り言が多いように見られており、リヒト自身も変な人間だと思われているんだろうなぁとは日頃から考えていた。
そうやって、日頃の自分を考えながら、エリュシオンの通路を歩いていると、リヒトは良いところ良いタイミングで会いたいに人物に会えた。
「ただいま」
「おっす」
ちょっと雑な返しをしてきたのは、キーア・シカード。MSハンガーで会った。レビーとマクバレルの娘だった。
どちらに似ているという訳でもないが、赤毛にショートカットの活発そうな少女で、リヒトは自分と同じ年齢だったよなと思いだす。
そして、もう一つ思い出したのが、キーアへの土産に買ってきた漫画だ。宇宙住みだと、どうしても最新刊が読めなくなるので、リヒトはとりあえずキーアが読んでいた漫画の続きを全部買ってきていた。

 
 

それなりに出費あったが、収入が多すぎるので全く問題はない。基本的に組織の仕事をした給料に加えて、父さんとオジサンが小遣いとして馬鹿みたいな額を口座に振り込んでくれるため、リヒトはお金に困ったことなど、生まれて一度もなかった。
父さん曰く「お金はあって困る物じゃないんだから沢山もっていなさい」ちなみにオジサンも同じことを言って、二人の振込額を合わせると、二ヵ月貯めれば最高モデルのスポーツカーが買える額を振り込んでくれている。
「おーサンキュー、リヒト!」
キーアは想像以上に喜んでくれたようで、何となく良かったリヒトは思うのだった。そしてキーアに漫画を渡すと、リヒトは自室へ向かう。
「アテネ開けてくれ。開け方忘れた」
ドアの前に立つと、リヒトがそう言う。するとドアは自動で空いた。
「ありがとう」
お礼を言うのは大切だよなと、思いながらリヒトは取り敢えず、クローゼットを開け上着をハンガーにかけるとエプロンを取り出し身に着ける。
首を左右に揺らし、肩を回すと、取り敢えず作業机の前に座り、前回のミッションで使った武器を全て並べる。
リヒトは最初に拳銃に手を伸ばすと、工具を片手に瞬く間に解体し、全てのパーツを徹底的に磨き上げながら、同時にパーツに歪みがないかも確認していた。
モノが古すぎるため、骨董品に分類されるようなシロモノだが、リヒトは今まで使ってきて一度もトラブルにあったことはない。この銃自体オジサンから貰った物だが、それも丁寧なメンテナンスがしてあり、今はリヒトがそれを受け継いでいた。
丁寧に汚れや古くなった油をふき取り、薄く油を塗布し錆防止のスプレーを吹きかけ、油膜を定着させる。そして、パーツを全て組み合わせて、全体のバランスにおかしなところがないかを確認する。
この作業をもう一丁分するのだが、リヒトはこの徹底して何かを磨き上げて完璧な状態にしていく工程が嫌いではなかった。
そうして二挺目も終わらせると、リヒトは最後にマガジンの具合も見る。マガジンも既に生産されていない物なので、リヒトの手元にある六つのマガジンが全てである。
それらの調子を見るが、問題はなさそうだったので磨いて、拳銃と一緒にリヒトの部屋にある銃器ロッカーに収納する。その際もなるべく銃自体に傷がつかないように慎重にであった。
あとは楽な順で言えばリストブレードか、そう思いリヒトはアームガードを手に取る。アームガードは前腕をガードする部分は金属で覆われていたが、内手首つまりは手のひら側の手首には飛び出し式の鋭いブレードとリヒトが自作した殺傷用ガスガンが内蔵されていた。
元はオジサンが適当な古物商から買ったものらしいが、リヒトに譲られるに際して、ブレード部分を最新技術で再設計し、アームガード自体も特殊合金に変えられていた。
リヒトは決まった手順でブレードを取り外し、ブレードについた血汚れを落とす。間違った手順を踏むとブレードを弄った人間に怪我を負わせる仕組みだった。
リヒトは血汚れを落とし、ブレードの刃を丁寧に見ると、正しい手順でブレードを元に戻す。研ぐ必要は無さそうに見えたため、これ以上の手入れは必要ないとリヒトは思ったのだった。
既存の鋼などを使った刀剣ならば、手入れは必要だが、このブレードに使われている金属の場合、ヘタに研ぐと切れ味を損なう恐れがあるため、なるべく研ぎの回数は少なくしたかった。
それよりも問題は――リヒトはアームガードを装着し、適当に構えてみる。その瞬間、キーアが部屋に入って来た。
「うわっ!なんだよ。怖いな」
コイツは失礼とリヒトは腕を下げる。キーアは何をしに来たのかと思うと、漫画を大量に抱えており、この部屋で読むつもりかなぁと、リヒトはボンヤリと思うのだった。
「なにやってたの」
キーアはリヒトのベッドに寄りかかりながら、漫画を読みながら質問する。なにってなぁ、とリヒトは絶妙に答えにくい質問だなぁと思いながらキーアの服装が変わっていることに気づいた。白いタンクトップにホットパンツで健康的な色気を振りまいている。
それにシャワーを浴びてきたなと、リヒトは僅かにキーアの髪の匂いから察した。

 
 

「とりあえず、武器の改造?現状のガス圧と蓄積量だと二発が限界だから、三発に増やしたいけど、そうすると構造的に無理が出て使いにくいなって感じのこと」
キーアはあまり興味がないのか、ふーんと言うだけだった。まぁ自分も手詰まりだし、そこまで困っていないのだから休憩をするかと、リヒトはキーアが寄りかかるベッドに寝転んだ。
「不真面目系?」
「キミに対しては真面目系」
そう言って、リヒトはキーアのタンクトップの首筋から指を這わせるように、胸に手を伸ばす。
「漫画読んでる最中」
そう言ってキーアは破廉恥なリヒトの手をはたいた。極めて軽い手の痛みに対して、リヒトはキーアの顔が何かを期待するようなものになっていることを見逃さなかった。やっぱり、女の子はいいなぁ、リヒトはつくづくそう思うのだった。
キーアは漫画の続きを読み始めたが、チラチラとリヒトの方を伺っているのは、リヒトには簡単に分かった。視線を動かす時、頭も動くのは素人にありがちだ。リヒトは驚かせようと思い、キーアの背中に急に覆いかぶさるが、キーアは何の反応も示さなかった。
あれまと思い、リヒトはキーアの首筋についばむように唇を当てる。
「……その、キスマークはだめだから……」
キーアが小声で言ったがリヒトはそんなこと承知の上だ。女の子の事情も考えなきゃ楽しいことをホントに楽しむことはできない。
後ろからキーアに抱き付くリヒトの手が、キーアの胸に伸びようとした時だった。
「だぁぁぁぁぁ!」
キーアは、叫びながら、抱き付くリヒトを振りほどき、漫画を置くと、寝転がるリヒトの真上に馬乗りとなった。実戦でリヒトはこんな無様な状況にならない、こういう状況になったのは、女の子のやりたいことをやらせているからであった。
馬乗りになったキーアはタンクトップを脱ぎ捨てる。すると胸に極めてなだらかな二つの丘がありその頂上には桜色の小さなつぼみがあった。
体型にコンプレックスがあるキーアは毎回、こうやって裸を見せるのに覚悟がいるのだったが、リヒトからすれば女性の身体は全て美しいものであり、何も気にならす、リヒトの手が、キーアの胸元の小さな丘に伸びる。
この上なく優しくキーアの丘を撫でるリヒト、その手と指使いにキーアの肩が軽く震える。
「男は大きい方が好きだって聞いたけど」
「さぁ、良く分かんないなぁ、キーアのはさらさらすべすべしてて触り心地が良いし、それに――」
リヒトの親指が極めて優しく、小さな桜のつぼみを弾いた。
「んっ」
キーアは声を漏らさないように耐えたのが明らかであり、その口を自身の手で塞いでいた。
「敏感なところも結構好き」
「馬鹿っ」
そう言って、リヒトとキーアは唇を重ねる。
最初はリヒトがついばむように、しかしそれを追うようにキーアが唇を突き出すと、リヒトの唇がキーアの唇をむさぼり、リヒトの舌は、そのままキーアの口の中を侵略し、キーアの下をからめとりながら、リヒトの舌がキーアの口中を侵略しつくす。
そして、唇を離したとき、キーアの顔は上気し、とろけきっていた。
いいね、そういう顔って、すっごく好きと思いながら、リヒトは力が入らなくなっているキーアを真下にして、自分が上に座る。あまり顔見られたくないタイプだからと思い、リヒトはうつぶせのキーアの尻の上にまたがっていた。
リヒトは丁寧にキーアの首筋を舐めつつ、ついばむようにキスをしていた。
「……キスマーク」
大丈夫しないよ、と思いながら、リヒトはキーアの身体を何気なくマッサージしていた。性感的にも、疲労回復的にもいろいろ効くんだよなと思いながら、リヒトはキーアの身体に舌を這わせたりしながらも全身を丁寧にもみほぐしていた。
「ん、あ……ん」
甘い声とそうでないものが混ざり合い、キーア自身も混乱している様子だった。
「腕の筋肉ついたね。お母さんみたいに整備士になりたいの?」
リヒトは腕を揉みながら聞くが、無言だった。まぁ答えはどうでも良いと思い、リヒトは、その舌を、キーアの耳の中に入れる。
その瞬間、キーアの身体がびくりと震えるが、こうじゃないんだよなぁとリヒトはつまらなく思いながら、マッサージは最後の下半身へと移っていった。
「脱がせるよー」
キーアからは何も返事がない、枕に顔をうずめ徹底的に反応を見せないようにしているせいだが、リヒトは構わずホットパンツと下着を一緒に下ろして、キーアの尻を見た。
「綺麗なお尻だなぁ」
など言いながら、リヒトが尻をマッサージの延長で触れると、キーアは明らかに全身を震わせた。

 
 

まぁ、そんな感じだよねと思いながらリヒトは一際丁寧に、尻の筋肉をほぐした。そしてリヒトのマッサージは続き、キーアの太ももを揉み始めると、不意にキーアが声を発した。
「……いいよ」
キーアは枕から僅かに顔をずらしリヒトに言うと、すぐに枕に顔をうずめた
ここで何がと問うのは野暮だし、ここで何をすべきか分からなければ、男失格である。リヒトは躊躇いなく、ズボンとパンツを下ろした。
――以下18禁――

 

ベッドで一息つくリヒトに対し、キーアは息も絶え絶えと言った様子であった。リヒトはベッドから出ると適当にシャワーを浴びながらキーアに尋ねる。
「シャワーは?」
「腰がガクガクで無理」
と返答が返って来た、リヒトは一応伝えておく。
「ちょっと用事あるから出るけど、部屋はオートロックだから適当でいいよ」
ベッドのキーアがようやくといった感じに手をあげるのを見て、ハルドは自室から出るのだった。
リヒトは一応オジサンの所に行かなければいけないが、別に急ぎではない。それよりも、もっと楽しいことをしておきたいと思い、ジェネシスガンダムの格納されているのとは別のMSハンガーに出向いた。
するとフロレンスがちょうど訓練を終えて、MSから降りてきたところだったので、リヒトは躊躇いもなく、MSハンガーに入りフロレンス嬢に近づく。金髪をうなじの辺りで一本にまとめている美女だ。
「どうしたんだ、リヒト。私の操縦に問題でも?」
主観的視点で言えば、フロレンスに問題はない、客観的に言えば、フロレンスも含めエリュシオン警備のMSはクソだらけで話にもならないが。
「真面目だし、色々気にするから、個人レッスンをしようと思って」
「個人の技量が上がっても組織的な能力は……」
そう言った瞬間、リヒトはフロレンスの唇を塞ぎ、適当なMSのコックピットに彼女と一緒に入り、コックピットのハッチを閉める。
「したいなら、先に言ってくれれば」
何をしてくれたんだろうとリヒトは思う。シャワーは当然アロマにネグリジェかな、だがそれよりもパイロットスーツは良いものだよ、リヒトは言いたかった。
そしてゆっくりと、丁寧にリヒトの唇がフロレンスの口中を攻め、フロレンスの正常な感覚を奪う。
フロレンスの身体がガクガクとなるのを確認しながら、リヒトはフロレンスをコックピットのシートに押し付け、その胸を弄る。キーアよりは明らかに大きいが、服の素材のせいで面白くないと思ったリヒトは、ゆっくりとフロレンスのスーツの股間部に手を伸ばす。
特殊な形状のファスナーをずらすと、明らかに人の肌の感触がリヒトの指を襲い、すぐに粘膜の間隔がリヒトの指に訪れた。
「ああっ!ん、あん」
フロレンスも喜んでいるようなのでやることはやっておこうと、リヒトは、ズボンのファスナーを下ろしたのだった。
――以下18禁――

 

「いやー、楽しいねぇ」
リヒトはご機嫌でエリュシオン内を歩いていた。やっぱり女の子は素晴らしい。つくづく、そう思いながら歩いていた。
すると、リヒトは通りすがりの人物と肩がぶつかったが、気分が良いので許してやることにした。しかし相手の方はそうする気はなかった。
「おい!」
後ろで男が怒鳴るがリヒトは無視することにした。すると、男たちがリヒトを囲むように立ちはだかる。
「ぶつかったんだから、謝れよ。七光り野郎」
リヒトは、あれま、エリュシオン警備部隊ではないですかと、ノンビリとした調子だった。
「ごめんね」
じゃ、そういうことでと言った感じにリヒトが去ろうとすると、男たちはリヒトの行く手を遮る。
「七光りだからって調子乗ってんのか!」
まぁ、そんな感じ?と、リヒトは思ったが、相手にするのも面倒だなぁと思いつつ、一瞬で全員を殴り倒した。
「弱いね」
「この野郎、調子乗りやがって七光りのくせに」
さっきから、そればっかりだなぁコイツら。良い機会だから、色々と世の中について教えておくとしようとリヒトは思った。
「あのね、別に僕は七光りを恥とも思っていないから、言われても全然くやしくねぇの。だって、それって親が立派な証拠じゃん?キミらの親と僕の親を比べた際にどっちの親が立派かは自明の理じゃん」
僕の父さんは凄くて、オジサンも凄い人だが、コイツらの両親は何だ?道端のイヌと同じくらいの価値しかないじゃん。リヒトはそう思いながら続ける。

 
 

「あとさぁ、僕のこと、親の七光りって分かってんなら、喧嘩売んなよ。僕に怪我でもさせたら、父さんとオジサンが、お前らのこと徹底的に拷問して殺すよ。つーか今あったことを話しただけでも、父さんとオジサンはお前ら殺すぜ」
二人とも過保護なところあるし、まぁ死ぬのは免れられないだろうなぁとリヒトは思うのだった。
リヒトがそうやって一通り話し終えると、男たちは明らかに怯えていた。
「とりあえず、土下座でもしといて。やめる時は、キミらの判断に任せるからそれまで土下座で」
リヒトはそう言うと、男たちが土下座をするところを見ることもなく、さっさと歩き去って行った。
別に男が嫌いというわけではないが、ああいう態度の人間が多いと嫌になるよなぁと思いながら、リヒトはとりあえず会っておかないといけない人間がいるので、その人の所へ向かうことにした。
リヒトが訪れたのはエリュシオンの最奥であり、無駄に大きな扉の前だった。リヒトはノックがいらないので、大きな扉を押して中に入る。
すると、無駄に広く、無駄に薄暗い部屋、そして、部屋の奥に無駄に大きい机と無駄に豪華な椅子に座っている男に、身長180cm以上はありそうな、黒髪を腰まで伸ばした、全身黒づくめのパンツスーツの美女がいた。
「ただいまー」
リヒトが軽いノリで挨拶すると、男はニッコリ笑い、女の方はリヒトの方を向き微笑みながら軽く手を振る。
「おかえりリヒト君」
ニッコリと笑う男は痩せた体型に白髪交じりの髪をオールバックにし、仕立ての良いスーツを着ていた。
男の名前はロウマ・アンドー。世間的にはマズい名前だが、本名であり本人である。なにがマズいかと言うと、教科書に載るレベルの犯罪者で、世間的には死んだことになっているが、その実、今なお健在であった。
リヒトにとっては赤ん坊の頃から面倒を見てくれた、アンドーのオジサンである。
「おひさー」
そんな挨拶をした女の方はイーシャという名前であり、リヒトと同業者。そして“蛇の娘”と言われ、ロウマ・アンドーから、あらゆる技術や知識を学んだ。極めて危険な存在である。ちなみにイーシャもリヒトと同じようにリストブレードを扱う。
世間的には極めて危険だが、リヒトにとっては小さいころからの知り合いであり、リヒトはイーシャのことは姐さんと呼んでいた。
「タイミング悪い感じ?」
リヒトはロウマとイーシャが何か話し合いをしているのだと思ったが、ロウマはすぐに首を横に振る。
「家族のことより大事なことはないから、大丈夫だよー。それより椅子があった方がいいね、疲れてるかもしれないし」
そう言うと、ロウマは椅子から立ち上がり、適当な椅子を探してリヒトに座らせた。
「ありがとう。オジサン」
「気にしなくていいよ。っていうか、イーシャちゃんさぁ、こういう場合はリヒト君に椅子持って来いよ。上司の俺が、椅子探しに行ってんのにキミはボンヤリかよ」
「別にいいじゃないですか。リヒトのためにいろいろやっているのが幸せって言ってたじゃないですか先生」
「ああ言えばこう言う弟子だな。殺すか?」
ロウマの手にはいつの間にか軍刀が抜き身で握られていた。相変わらず、凄い抜刀術だなとリヒトは思う。単純に抜くだけの動作ならば、師匠も見えないって言ってたし、自分も練習しなきゃなぁとロウマが思うと。
「無理でしょ。歳考えてくださいよ、先生」
対する、イーシャはリストブレードを伸ばしていた、内手首つまりは手のひら側の手首から飛び出し式に伸びるブレードの長さは30cm以上あり、自分の物とは完全に違う改造が施してあるのが分かった。
そして、さらに靴を見ると、つま先からナイフが飛び出ている。イーシャは基本的に暗殺よりの仕事をすることが多いため、そのような暗器も常に準備していた。
まぁ結局は適当なところで二人とも収まりをつけるので心配はいらないが、リヒトは取り敢えず言った。

 
 

「一応、任務の報告したいんだけど。オジサン」
そう言われると二人の動きがピタリと止まり、武器を収める。
「偉いなぁリヒト君は直接、報告に来て。世の中には報告書だけ送ってロクに顔も出さないクソ弟子がいるのになぁ」
ロウマはリヒトの頭を撫でると、最初に座っていた椅子に戻る。イーシャは、しれっとした表情で蛇のように長い舌を出して、反抗心を露わにしていた。
「報告だけど。今回も空振り。とりあえず低能力のEXSEEDの子どもを保護しただけ」
リヒトはため息をついて肩を落とすと、イーシャの方も同様の報告をする。
「こっちは、ターゲットは始末したけど、空振り。なかなか上手くいかないものね」
イーシャの方もウンザリといった様子だった。
「まぁねぇ、あるのは確実だけど世界は広いしなぁ。探し物が見つからないのは仕方ない」
ロウマも正直ウンザリといった感じではあったが、一応組織の目的とやるべきことなので仕方ないと思い。二人に次の指令を出す。
「リヒト君は、アフリカの研究所でそれっぽいものを見つけたから言って頂戴。カス弟子は東欧だ。情報はやるから適当に探してこい」
扱いが違うのは、イーシャは別に構わないと思ったが、とりあえず、このクソ師匠をどうやって殺してやろうか考えていた。
「はーい」
リヒトは元気に返事をして、席を立つが、するとロウマは少し寂しそうな表情を浮かべる。
「少しゆっくりしてもいいんじゃないか?」
「でも、さっさと行って、片づけたいし。じゃあね、オジサン」
そう言ってリヒトが部屋から去ると、イーシャもその後に続いて部屋を出る。だが、ロウマは気に入らなかった。リヒトは家族なので、別に入室退室の挨拶はしなくてもいいが、クソ弟子、てめぇはしろよと。今にも剣を抜いて斬り捨てたくなるのだった。

 

エリュシオンでは、最奥から一般区画に戻るためにはエレベーターを使うほかなかった。エレベーターではリヒトとイーシャが二人きりであった。
「相変わらず良い匂いだね」
イーシャはリヒトに顔を近づけ、リヒトの体臭を嗅ぎ、そして、いきなりリヒトの唇を奪う。モテる男は辛いね。と思いながら、口の中に入るイーシャの下に自分の舌も絡めるリヒト。
その時、不意にエレベーターのドアが開くが、濃密なキスをしている二人を見て、エリュシオンで働く、一般女性職員は固まってしまった。イーシャはドアを閉めるボタンを押し、それと同時にリヒトの唇から自分の唇を離す。
「さっきの娘、いい感じだったわね」
イーシャはレズビアンであるが、リヒトとは寝る。リヒトは綺麗だから良いという話しだがリヒトには良く分からない感覚である。
それよりも、この蛇姐さんに狙われたということは、あの女性職員も美味しくいただかれてしまうのだろうなぁと、女性職員を少し哀れに思うのだった。
この蛇姐さんは女性に関しては、ホントに見境なしだからなぁとリヒトは、その性欲の強さに若干ひいていた。その点自分はピンポイントで狙った女の子しかものにしないので常識的だとリヒトは思うのだった。
そんなこと思っていると、リヒトはイーシャの部屋へと力づくで連れ込まれた。部屋に入るなり、イーシャはリヒトの上半身を裸に剥く。リヒトはされるがままだった。積極的な女性も良いよねというのが、リヒトの考え方なのでイーシャの好きさせていた。
「ホント綺麗な身体」
イーシャはそう言うと、リヒトの胸から首筋まで、長い舌を這わせるのだった。
イーシャの言う通り、リヒトの身体はまるで彫刻のように整った美しいラインの肉体だった。しかし、美しさの中に野獣のような生命力。そして色白の肌は神秘性も放っており、その身体は単純には表現できない肉体美の極致だった。
イーシャはリヒトの肌の味を堪能すると、自らも服を脱ぎ捨てる。服の上からはすらりとして見えた肉体は裸になると、細身ではあるが筋肉質であり、豊かなバストとヒップが露わになった。

 
 

「あ、新作の下着だ」
リヒトはイーシャの胸と尻を覆う黒のシースルーの下着を見て、そちらに興味がいった。女性に下着をプレゼントすることも多いから、下着に関してリヒトはチェックを怠っておらず、最新の流行も把握していた。
「詳しいねぇ」
イーシャはクスリと笑う。リヒトに関しては女性に対してマメなのかだらしないのか分からないところがあるとイーシャは常々思っていた。一度寝た女性とは絶対に縁を切らないし、連絡もそれなりにとって、会いに行く。その癖、手当たり次第に手を出す。
自分は一度か二度、寝ると、その女性に興味がなくなるタイプなので真逆といえば真逆かもしれない。そもそも女性の好みも良く分からない。自分は美人なら何でもいいが、リヒトはそうではない。
EXSEED的な勘で光るものがある女性が好きだという。イーシャからすれば、少し首を傾げるような、顔とスタイルの女性とも結構平気で楽しく寝ているらしい。まったく、良く分からないとイーシャは思うのだった。
まぁ、色々考えるのは、終わりだ、とりあえず服を脱いだのだから、前戯をしなければと思い、イーシャは上半身裸のリヒトを軽く押して、ベッドに座らせる。
そして、リヒトがベッドに座るのを見届けると同時に、リヒトの顔面に右の掌底を真っ直ぐ打ち込む。
やっぱり、これなんだよなぁと思い、リヒトは掌底を手の甲で弾いてガードする。腕で受け止めるのは絶対に駄目だと経験上知っていた。腕で防御したら腕が痺れるのが、イーシャの掌底だ。
直後に左の貫手が首を狙って襲ってくる。これもあんまり受けたくないんだよなぁと思い、リヒトは身体を傾けて回避する。
どうする?立つか、とリヒトは考えるが、それは悪手だと瞬時に判断した。立った瞬間に、イーシャはいくつもの攻撃手段でリヒトを倒すだろう。多分、座っていた方が安全だと考えた瞬間にイーシャの足刀がリヒトの顔面を襲う。
危ない、リヒトは反射的に後ろに倒れ、足刀の一撃を躱した。だが、それと同時にイーシャがリヒトに飛びかかり、ベッドに横になった、その身体の上に乗る。
キーアともこんな感じだったけど、アクティブさが違うなぁ、そんなことを思いながらリヒトはこの体勢から、逃れようとした。しかし、その瞬間にイーシャの尻がリヒトの顔面に乗る。
これは参った。色んな意味でとリヒトは思うのだった。
「さて、この状況からどうする?」
そこは男のテクニックの見せ所ということで、と思いながらリヒトは舌を伸ばし舐め上げるのだった。
――以下18禁――

 

「いやーやった、やった、すっごいスッキリ♪」
「最後はスポーツの試合みたいでしたけどね」
お互い裸でベッドに横になりながらイーシャのスッキリした表情に対して、リヒトは若干げっそりしたような様子であったが、満足感はあったと分かる顔であった。
「とりあえず、帰りますよ」
リヒトはそう言うと、ベッドから出て、服を着はじめる。
「もう少しいたらいいじゃない」
イーシャがそう言うが、イーシャの部屋にいると何回戦やることになるか分からないのだ。流石にもう充分堪能した。これでしばらくは我慢できるから良いとリヒトは部屋に帰って、少し寝たいと思っていた。
「師匠の所へは?」
イーシャが尋ねるとハルドは難しい表情になる。
「行っても良いんですけど、今行くと女臭いって言われるんで、パスかなぁと」
そう言うと、イーシャは、あー、と言いながら納得したように頷いた。別にリヒトが女性と何をしようが怒りはしないが、少し小言が多くなるので、面倒だった。
「じゃ、姐さん、そういうことで」
「うん、じゃ、バイバイ」
リヒトは軽く挨拶をしてイーシャの部屋を出るのだった。

 

その後はリヒトは自室に戻って、キーアが帰った後のベッドで一人眠り、起きて、それなりに銃の整備をすると、任務に必要な物をバッグに詰め込んで、MSハンガーへと向かう。
ハンガーにはジェネシスガンダムが新品同様に磨かれ、置かれていた。

 
 

「元気?」
(元気です)
アテネの答えにリヒトは、そりゃ良かったと思い、バッグをコックピットの奥に積む。
「機体に問題なし。行けるわよ」
キーアがそう言って笑顔でピースサインをする。その瞬間、同じMSハンガーにいたキーアの父のマクバレルの表情が厳しくなったが、リヒトは無視して、ピースサインを返し、コックピットハッチを閉める。
「じゃ、行こうか、アテネ」
(…………)
無視かよ。困ったな。キーアと仲良くピースサインをしたからすねちゃったよ。AIとはいえ女の子だからなぁ、難しいぜ。リヒトは多感なAIの嫉妬を和らげるために言うのだった。
「僕の一番のパートナーはアテネなんだから。ほら、行くぜ」
(……わかりました、全システム起動。ジェネシスガンダム、発進します)
「よろしく、最高のパートナー」
地味に大変だなぁ、とリヒトは思い、ジェネシスガンダムをエリュシオンから発進させるのだった。

 

C.E.2XX――しかし、改めて見ると女たらしだったな奴は。とエルヴィオ・マルキーニはリヒトの女性関係を思い出す。それは、もう凄かったとしかいいようがない。
何が凄かったかといえば、リヒトが別の女性と付き合っていても、それを気にしない相手としか付き合わなかったことだ。長い付き合いだが、あの男が、女性関係で揉めた所をエルヴィオは見たことがなかった。
そして、結局のところ、妻は公式では何人だったか、確か十六人だったかとエルヴィオは思い出す。自分から妻の座を降りた人も含めれば、二十人は超えるだろう。まぁ妻の座をいらないと言ってもリヒトは公式の愛人ということで迎えていたことも思い出した。
まぁ、それが原因で女の敵などフェミニストの団体からは攻撃されていたが。そんな風に過去を思い出していると、ドアのベルが鳴り、エルヴィオは急いで玄関まで向かい、扉を開けると、またかと思い、ドアの外にいた少年を見てため息をついた。
ドアにいた少年はルビーのような輝きの髪を持つ美しい少年であったが、エルヴィオからすれば、なぜ、この一族は面倒が起きた時に自分の家に来るのかと不思議で仕方なかった。
「おっす、エルヴィオ爺ちゃん!とりあえず、泊めて」
元気に挨拶をする少年は、先ほど書いた文章に出てきた、リヒトとキーアの孫のチャールズ・グレンである。
エルヴィオは仕方なく家に上げつつ、おそらく家出だろうと思い、チャールズに尋ねる。
「家出の理由は?」
「母さんがうるさいんだよ。うちは代々MS整備士なんだから、その道に進めって、俺は自動車作りたいのにさぁ」
将来の問題か。勘弁してくれとエルヴィオは思うのだった。なぜかは知らんがグレン家の人間は将来に行き詰ると、自分の家に家出しに来る。
「とにかく、リビングで大人しくしてなさい。コーヒーでも飲んで冷静になりなさい」
「コーヒーは二杯で」
急に別の声がして、エルヴィオはリビングに急いだ。すると、長身で黒ずくめの少年が、ソファーに横になりながら、本を読んでいた。
「ルーオ兄ちゃん!」
チャールズが喜んで駆け寄る。エルヴィオはいつの間にと思ったが、この一族相手にいろいろ考えてもしかたないと思った。
ルーオ・グレン。リヒトとイーシャの孫である。二人に似ていて厄介、そう言うしかなかった。
「ルーオも将来か」
エルヴィオはだいたい想像がついて尋ねると当然のように答えが返って来た。
「殺し屋になりたいって言ったら、駄目だっていわれたから家出してきた」
本当にこの一族は……。エルヴィオは、何度目かは分からないがため息をついて、二人にコーヒーを出す。
「儂はやることがあるから、二人とも大人しくしとるんだぞ」
二人は適当に返事をしたが、まぁよっぽどなことはしないだろうと、エルヴィオは再び、リヒトについての文章を書く作業を始めるのだった。

 
 

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