第8話『オーブ沖海戦』
ミネルバは左を突破するらしい。
「シン! 左側に敵を追い込んで!」
「了解!」
あたしたちが突っ込むと敵MSは鳥が逃げるように散開する!
一機、二機! シンが射撃で落とす!
「逝けーーー!」
左に回りこみドラウプニル4連装ビームガンを両手から連射する!
シンに追われて逃げた敵に面白いように当たる! 撃たれて動きが鈍った敵をスレイヤーウィップで止めを刺していく!
ミネルバに被弾!?
「く、こんなことで……やられてたまるもんですかーッ!」
敵の密集した所へ所へと突っ込み、後ろを見せる敵をスレイヤーウィップでなぎ倒す!
確かに半端じゃない数だけど! それだけ逃げる場所がないって事よ!
敵に密着すれば、他の敵はあたしを撃てない! そう割り切って突っ込み、ドラウプニルを叩き込む!
左前方から何かが発進し、近づいてくる! あれは!大型のMA! あんなのがミネルバに取り付いたら終わりだ!
迎撃に向かおうとすると通信が入った。
『タンホイザーで敵大型MAと共に左前方の艦隊を薙ぎ払います! 気をつけて!』
あわてて射線から離れる!
敵大型MAは、前傾姿勢を取ると何か力場を発生した!?
タンホイザーの光が射線上の物体を包んで行く!
閃光が晴れた時――
「あぁ……! タンホイザーを、そんな……跳ね返した?」
若干沈んだ艦はあったものの、敵大型MAから後ろの艦隊はまったく無傷だった。
「シン! あいつをやらないと!」
「わかってる!」
「一部分でいい! 敵MAの対空防御に穴を開けて!そこから突っ込む!」
「了解!」
シンが突っ込む!敵MAの主砲らしきものと赤熱したクローがシンの方を向き、前傾して力場を張りながら攻撃する!
チャーンス! シールドを構え、テンペストを抜きながら上空から高速で降下し、敵MAの懐に入る!
テンペストは敵MAの分厚い装甲を容易く切り裂いていく!
――敵大型MAは落ちて行き海上で爆散した!
「シン! 次は艦隊をやるわ! 援護して!」
「了解!」
敵の艦に次々に取り付くと、あたしはブリッジを、砲塔を潰して行く!
「空母が沈めば!」
あたしは空母に取り付いた!ブリッジを切り裂くと、甲板にテンペストを突き刺し、切り裂く!
もう一隻! 次の空母に取り付き、切り裂く! 空母はグズグズと沈んで行く!
……そして、気がつくと敵全軍は撤退して行った!
……もう、これ以上の追撃はないかな?
あたしたちは帰艦した。
「ルナー!」
コクピットで休んでいると、ヴィーノが声をかけて来た。降りよっか。
「ん? あらら」
床に降りると私はへたりこんでしまった。
「あはは、よくやったな、ルナ!」
「お疲れさん」
「すげーな、おい」
「聞いたぜーこのー。すっげー活躍だったんだって?」
「いやーほんとよくやってくれたー」
「へへ、ありがと」
「さあ! ほらもうお前ら! いい加減仕事に戻れ。カーペンタリアまではまだあるんだぞ。パイロットも休ませてやらなきゃ」
エイブズさんが言うと、メカニックの人たちは散って行った。
「ほんと、今日はよくやったよ。スーパーエース級じゃないか」
「ありがと、ショーン。自分でも、ここまでやれるとは思わなかったわ。まぁシンが援護してくれてたから落ち着いて攻撃もできたし」
「なんにせよお前が艦を守った。生きているということはそれだけで価値がある。明日があるということだからだ」
「……ん。ふふ。ありがと、レイ」
「さあ、休憩しようぜ。じゃないといざって時動けないからな!」