Lnamaria-IF_赤き月の鷹_第19話

Last-modified: 2020-01-29 (水) 08:42:04

新しい力

ベルリンでの支援に一区切り付いたところで、ミネルバは再び来た道を戻り、リヨン湾から地中海へ出てジブラルタルへ向かった。

『これより本艦はジブラルタルへの入港シークエンスを開始します。各艦員は所定の部署に就いてください。繰り返します……』

「ジブラルタル入って次はどうすんのかな?俺達」
「さあな。だが先日の議長の言葉に沿った形での作戦が展開されることは確かだ」
「んー」
「ロゴスを討つなんて。議長御自身だって難しいって仰ってたのにね。とうとうやるのね!」
「ああ、どうしてもやらねばと思われたのだろう。あの悲惨な状況を見られて」
「うん」
「シンは気が乗らないの? 対ロゴスは」
「いや、そんなこと……議長の言葉聞いて俺凄く感動したよ。難しいって言ってたのに、議長やるんだ。諦めないんだって。それが本当に戦争を終わらせる唯一の方法だから」
「そう、よかった!」
「だったら俺だってどんな敵とでも戦ってやるさ!」
「その意気よ!」
「でも、少し力を抜いた方がいいぞ」

あたしとレイはシンの肩をぽんと叩いた。

「あ、ほら、エスコート艦よ! ジブラルタルにこんなに戦力が集まってる。頼もしいね」
「ああ、そうだな」

『入港完了。保安要員及び整備班、船務A班は直ちに所定の作業を開始せよ』

入港してすぐに、ミネルバからアスランとあたしに基地指令から出頭命令が出た。
なんだろう?


「失礼します! ルナマリア・ホーク、アスラン・ザラを連れて参りました」
「うん」
「お久しぶりです議長」
「先日のメッセージ、感動しました! ディオキアを思い出しました」
「いやありがとう。私も君達の活躍を聞いているよ。いろいろあったが、よく頑張ってくれた」
「ありがとうございます」
「アスラーン!」
「ぁ…」

あ、ラクス・クラインの替え玉がアスランに抱きつく! こんな時にまで! 空気読め!

「お元気でした?」
「ぁぁ…」
「会いたかったですわ」
「ぅぅ…お久しぶりですラクス」

「さて、もう知っていることと思うが、事態を見かねて遂に私はとんでもないことを始めてしまってね」
「いえ!とんでもないなんてそんな……」
「また話したいこともいろいろあるが、まずは見てくれたまえ。もう先ほどから目もそちらにばかり行ってしまっているだろう?」
「あ!」

格納庫に光が灯される! これは、モビルスーツ!

「ぁぁ……」
「ZGMF-X42S、デスティニー。ZGMF-X666S、レジェンド。どちらも従来のものを遙かに上回る性能を持った最新鋭の機体だ。詳細は後ほど見てもらうが、おそらくはこれがこれからの戦いの主役になるだろう」
「ああ……」
「君達の新しい機体だよ」
「ええ!? 私達の新しい!?」
「うん」
「ぁぁ……」

「デスティニーは火力、防御力、機動力、信頼性、その全ての点においてグフを凌ぐ最強の接近戦用のモビルスーツだ」
「ぁぁ……」
「レジェンドは量子インターフェイスの改良により、誰でも操作出来るようになった新世代のドラグーンシステムを搭載する実に野心的な機体でね。どちらも工廠が不休で作り上げた自信作だよ。どうかな?気に入ったかね?」
「はい!凄いです!」
「早く詳細が知りたいものですね」
「デスティニーには特にルナマリア君を想定した調整を加えてある」
「え?私をですか?」
「最新のグフの戦闘データを参考にしてね」
「はぁ」
「君の操作の癖、特にスピードはどうやら通常を遙かに越えて来始めているようだね」
「えぇ……」
「いや凄いものだな君の力は。このところますます」
「いえ、そんな」
「グフでは機体の限界にイラつくことも多かったと思うが、これならそんなことはない。私が保証するよ」
「はい!ありがとうございます!」
「君の機体はこのレジェンドということになるが、どうかなアスラン。ドラグーンシステムは」
「え……」
「私は君なら十分に使いこなせると思うな」
「ジャスティスのファトゥムのような物でしょうか。面白そうですね」

あたしたちは新しい機体を与えられて勇躍した。早く試してみたい!


デスティニーの武装は
両腕にスレイヤーウィップ
掌にパルマフィオキーナ掌部ビーム砲
肩部にビームサーベルを兼ねたフラッシュエッジ2ビームブーメラン
側頭部に近接戦闘用の機関砲
威力と速射性を高めた高エネルギービームライフル
背中の右ウェポンラックにレアメタルを使って作られた、ビームコーティングされ巨大な実体刀剣を兼ねたビームソード「アロンダイト」
左のウィポンラックには高エネルギービーム速射砲
と言った所だ。

防御の方も
両手の甲にソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置――ベルリンで遭遇した巨大モビルアーマーのビーム砲も防ぐらしい!
左腕に対ビームシールド
全身がVPS装甲で、あたしのカラーに赤く発色!

そして背部の翼型スラスターユニットはなんと惑星間推進システムであるヴォワチュール・リュミエールの近縁種であり、在来機を遥かに凌駕する大推力を効率的にもたらすと言う! 空中戦でカオスの加速についていけなかったあたしにとってはなによりありがたい!

慣熟訓練は良好だった。この天使から後押しされてるような加速性能! これなら、カオスにもセイバーにもインパルスにも負けない!

他にもミネルバにはガイア、アビスが降ろされてカオスが搬入された。こちらはレイにとのご指名だ。

モビルスーツをやりくりして、搭乗割りはとりあえず次のようになった。

デスティニー…ルナマリア
レジェンド……アスラン
インパルス……シン
セイバー………ハイネ
カオス…………レイ
グフ……………ゲイル
グフ……………ショーン

色は、レジェンドは赤紫、セイバーはオレンジ、カオスは白基調に調整され、グフは一般的な青に塗りなおされた。

ジブラルタルには、なんと議長の宣言に賛同した東アジア共和国など、連合からの軍も集結してきた。

今までだったら信じられない光景!

そしてミネルバが出航の時が来た。目指すはブルーコスモス盟主ロード・ジブリール以下ロゴスの幹部と地球連合軍のロゴス派の部隊が集結し篭城している、アイスランド島にある地球連合軍の最高司令部――ヘブンズベース!

ヘブンスベースには以下のような通告がなされた。

『我等ザフト及び地球連合軍はヘブンズベースに対し以下を要求する。一、先に公表したロゴス構成メンバーの即時引き渡し。二、全軍の武装解除、基地施設の放棄』

これをどうか飲んでほしい。 話し合えれば、それに越したことはないのだから。

――! 敵基地からミサイルが! 射撃が開始された。そしてあれは!
ベルリンに出現した巨大モビルアーマー――デストロイが5機も!
巨大モビルアーマーのビーム砲でこちらの艦艇が次々にやれられていく!

『コンディションレッド発令! 総対戦用意!』

あたしたちはモビルスーツに乗り込む!

「いよいよね」
「ああ、終わらせよう、ここで!」

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