Lnamaria-IF_赤髪のディアナ_第21話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:04:42

アラスカ

「知らない天井だ……」
「お姉ちゃん!気が付いたのね!」
「あ、メイリン……あたし、どうしたの?」

気が付いたら、病室だった。
あちこちに包帯が巻かれている。痛み止めでも打たれているのか、感覚が鈍い。

「お姉ちゃん、イージスの自爆に巻き込まれたのよ」
「ぁ……ごめん、思い出せない……他の人は、無事だったの?」
「アスカさんや乗組員に何人かが軽傷負ったけど、大丈夫よ」
「そう……よかった」
「もう、アラスカの防空圏に入ったし、安心してのんびりしてね」
「安心なのね……ありがとう」

あたしはまた眠りに付いた。

次に目を覚ました時、そばにはフラガさんがいた。

「ぁ……」
「よう、お穣ちゃん」
「あれから、何か変わったことは?」
「うん、無事にアラスカのドッグに入ったよ」
「レッドフレームは、どうなったんですか?」
「……自爆の衝撃浴びて、PS装甲でもなかったからね。またオーブに行かなきゃ直らんらしい」
「……連れて行って」
「え?」
「格納庫に、連れて行って」

フラガさんの肩を借り格納庫に着くと、見慣れない整備員たちがいた。アラスカ基地の人たちだそうだ。
彼らは、ストライクと、捕獲されたと言うバスターに取り付いていた。

レッドフレームは、格納庫の片隅に置かれていた。
ぼろぼろになった装甲が痛ましい。

「ありがとう……あたしを守ってくれて」

◇◇◇

「大丈夫か?ルナ?もうちょっと寝ててもいいんじゃないか?」
「大丈夫よトール。もう起きられるようになったし。そうしたら寝ているとね、却って治りが遅くなるんだって」
「それでも最初だからな、入り口まで持って行ってやるよ」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えて」
「今度の捕虜、イージスのパイロット?」
「いや、奴は島の奥にうまく逃げ込まれちまった。のんびりしてる捜索してる時間もなかったしそれっきりさ。捕虜はルナが倒したバスターのパイロットでディアッカ・エルスマンと言うそうだ」

ふーん。最初は最悪だったけど、あたしのプラントに持っていた印象を変えてくれたミゲル。ナチュラル、コーディネイターに関り無く優しかったニコル。そう言えばアラスカで補給された雑誌に、ニコルがオーブでコンサートを開いた事がちょっとした好意的な記事になっていた。元気でやってるようで嬉しい。今度の捕虜はどんな人だろう。

「食事です」
「あぁ、ひょっとしてルナマリア様でありますか!わざわざありがとうございます!」
「え?」
「手ずから運んでくださるなど、このディアッカ、恐縮の極み!」

なんなの?この変な人?

訳は帰り道にトールが教えてくれた。
キラがディアッカに、ミゲルにあたしがした事を詳しく教えたんだそうだ。

「じゃあ、あれ、怯えてた訳?失礼ね!もうしませんよ!」
「あはは」
「うふふ」

◇◇◇

あたしが起きれるようになるのを待っていたかの様に、いや、待っていたんだろう。アスカさん、キラにあたしはアラスカの訓練教官や技術士官に呼び出された。

「やあ諸君、掛け給え」
「は!」
「我々は、民間人であった君たちがここまで戦い抜いた事に深い関心を寄せている。教えてくれ給え。どうやって戦い抜いたのかを」
「では、レディーファーストでルナマリア君から」
「は、はい。最初のヘリオポリスの戦いの時は、無我夢中で。護身術習ってたからアーマーシュナイダーで目潰しかけて、投げ落としたら、相手は気絶してました。それからしばらくは、ビームライフルはバッテリー切れが怖いのでジンの突撃銃を使って牽制しながら逃げ回ってました。ビームサーベルもバッテリーの消費が大きいのと、刀を使った経験がなかったのでめったに使いませんでした。相手を倒す時は基本的に何機かで弾幕張って倒して……」

あたしたちが解放されたのは数時間後だった。
でも、皆真剣にあたしたちの話を聞いてくれた。話し甲斐があった!

アークエンジェルに戻ると、色付き眼鏡をかけた黒人青年がみんなとなごやかに話していた。

「あ、みんな。シャムス・コーザ少尉よ。アークエンジェルに配属されてきたの。ルナと同い年だって!シャムスさん、うちのMSパイロットたちです」

ミリィが紹介してくれた。あたしたちは自己紹介をした。

「俺は新しく配属されたバスターダガーのパイロットのシャムス・コーザだ。よろしく」

……急に態度がそっけない。顔も険しい。なんだろう?

「……気にしないでくれ。これまでコーディネイター憎しで育ってきたもんでね。あんたたちが空の化け物どもと違うって事は教えられてるし、頭じゃ理解してる。……だが、時間がかかる」

そう言うと、彼は向こうへ行ってしまった。
そうだよねぇ。そういう人もいるんだよね。

「やだ、ルナ、泣かないでよ」

いつの間にか涙が出ていた。

「あ……ちょっと、アークエンジェルに慣れすぎたみたい。……でも、シャムスさん、時間はかかるけどって、言ってくれたんだよね?」
「うん、そうだよ!ルナ!時間をかければって言ってくれたんだよ」

いつか、シャムスさんとも笑顔で話せる。そんな日が来ることをあたしは信じる。

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