Lnamaria-IF_LED GODDES_18

Last-modified: 2009-09-22 (火) 18:28:31

「では……私達ユーラシアの部隊は……リニアガンタンクとリニア自走榴弾砲主体ですが……海沿いの道をシナイ半島に向けて進軍すると言う事で」
地図を見ながらコンドラチェンコ中将は言った。
「ええ、それで結構です。オーブも海から支援をしやすいですし。……最近のスエズ基地はどんな具合です?」
ユウナが尋ねる。
「相変わらずザウートが主の様ですが、彼らは我らリニアガンタンク部隊に敗れる所でしたのでね、最低限のバクゥを置いてはいるようです。他に大型陸上戦艦レセップス級1隻、中型陸上戦艦ピートリー級2隻確認」
「援軍の可能性は?」
「リビアのバヤディーヤに、バルトフェルド隊がおります。大型陸上戦艦レセップス級1隻、中型陸上戦艦ピートリー級2隻。こちらはバクゥを主体とした部隊です」
「了解しました」
ユウナは言った。
「で、どんな戦い方を?」
「リニア自走榴弾砲による面制圧です」
「ふむ」
「単体を狙う兵器ではないからニュートロンジャマーによるレーダー攪乱もあまり関係ありませんし、モビルスーツ本体はともかくセンサー類や携行火器は脆いでしょう」
「いいじゃないですか」
「ただ、懸念もあるのです。バクゥのような機動力のあるモビルスーツに一気に懐に入られると、弱い。先の戦ではそれにやられた」
「判りました。我が軍のモビルフォースが、それを防ぎましょう」
「失礼ですが、勝てるのですか? バクゥに」
ユウナはにやりと笑った。
「ご期待ください」

 
 

「ふーん、これが、ブリッツか」
私は黒い色のモビルスーツを見上げた。
「簡易だけどね」
ラミアス少佐が答える。
「簡易とは?」
「PS装甲とミラージュコロイド両立できないからね。今度の作戦は隠密性が優先されるから、どうせならって、PS装甲無しにしたの。その方が建造時間も短いし、バッテリーの持ちも長くなるし」
「そうですか」
「それにミラージュコロイドを使ったグライダーも建造中よ。それらで一気にマスドライバーを制圧するのよ」
「ラミアス少佐-! 時間でーす!」
向こうから声がかかった。
「ああ、もう! なんで私が特殊部隊の指揮を取らなきゃ行けないのかしら!? じゃあ、またねルナマリアさん」
「はい」
自分の対人戦闘の能力を自覚していないラミアス少佐はぼやきながら走っていった。
頑張ってるなぁ。私も頑張らないと!

 
 

「教授-、できましたー」
疲れ切った様子でキラが部屋から出てきた。
「おお、さすがに早いねぇ!」
「なんなんです? これ?」
「ん-? 実際にやってみるかね? 筐体はもう用意してあるんだ!」

 

スタートスイッチを押すと、それははじまった。
「戦場の誓い?」
『――人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周囲の巨大な人工都市は人類の第2の故郷となり、 人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった……。宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイト3はヅオソ皇国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた この1ヶ月あまりの戦いで、ヅオソ皇国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた 人々は、自らの行為に恐怖した……』
「なんですか、これ! ゲームじゃないですか!」
「ただのゲームじゃないよ。まずパイロットカードを作る。こいつに戦績なんかが記録されるんだ。内部はドーム型。モビルスーツのコクピットそっくりだ。モビルスーツの動きを出来る限りシミュレートしている。8人まで同時に作戦参加可能で、作戦中は音声チャットも可能。連携も学べる」
「はぁ」
「はぁ、じゃないよ。これを地球連合の各国のゲームセンターに配布するんだ」
「ゲームセンター?」
「うん、成績のいい奴は引き抜く」
「やるのは子供なんじゃ?」
「大学にも配る。ROTC(予備役将校訓練課程)にこいつを入れるんだ。授業に取り入れて大学の単位にだってしてやるさ」
カトーはにやりと笑った。

 

「へー、面白そうじゃん」
「トール!」
「やらせてもらっていいですか?」
「ああ、じゃあ相手も一機にしておこう。じゃあ、カズィ、相手してやれ」
「うっす!」
「いっくぜぇ!」

 
 

「町は……普通だな」
ディアッカが言った。
海鮮ジョンゴル鍋をたらふく食べた皆は、町をぶらついていた。
「ええ、でも、この普通さこそ守らなきゃならないんじゃないでしょうか」
ニコルが言った。
「言うね」
ディアッカがニコルの頭をくしゃっとする。
「ああ、そうだ。まだ時間あるし、ミツオ達の墓参りにいかねぇか?」
「いいですね!」
「ミツオ……」
アスランは少し嫌そうな顔をした。キラの事を思い出したのだ。アスランはミツオのせいでキラが死んだと思ったままだった。

 

「……ミツオ。それにフクダ、モロサワ、タケダ。安らかに眠れ」
アスラン達はそれぞれの墓の前に花束を置いていった。
「不思議だな。あまり悲しくないんだ。涙も出ない」
アスランが言った。
「俺もだ」
「俺も俺も」
「……実は僕もです」
「……人情が無いのかな、俺は」
アスランは悲しそうに言った。
「そうじゃないだろう。慣れちまったって事だ」
ミゲルが答えた。
「それは……悲しい事ですね」
「慣れなきゃ、戦場で死ぬ。隣が死んだからっていちいち涙を流していたら自分も死ぬだけさ」
ミゲルは先輩らしく諭すように言った。
「……さぁ、帰るか」
イザークが言った。
アスラン達は墓地公園を後にした。

 
 

「さぁて、トダカ。準備はいいかな」
巨大潜水空母『イー2000』に帰ったユウナはトダカ二佐に確認する。
「はっ」
トダカは答えた。
「ゲルグはいつでも発艦できます。ザイック、アッカム、ジドムはLCAC(ホバークラフト型上陸用舟艇)に積み込んであります」
「うん、武装は」
「ザイック、アッカムには背部ターレットオプションとして450mm2連装大型レールガン、400mm13連装大型ミサイルポッド増設。アッカムは超硬金属牙で噛み付き攻撃も可能。アッカムよりも装甲を厚くしたザイックは超硬角で突き刺し攻撃が可能です」
「うん、いいね」
今更な会話であるが、こうして抜けが無いか確認しているのだ。
「ジドムは?」
「ジドムはザイックよりも更に装甲が厚くしてあります。肩部に360mmキャノン砲搭載、頭部は超硬金属牙と超硬角搭載。両腕はマニュピレーターになっており、76mm重突撃銃を持たせる予定です」
「うん、ゲルグは?」
「ゲルグは上空からの援護を行います。対モビルスーツ用に76mm重突撃銃を持たせる物と、陸上戦艦攻撃用に特殊爆弾を持たせる物を考えております」
「よぉーし、勝てるかな、我が軍は」
「勝てましょう!」
「ははは。よし、勝とうじゃないか!」

 
 

「ああ、もう! いくら人手と金があっても足りやしない!」
アズラエルはデスクで書類の山と格闘していた。
なにしろ電気を必要とするところは山ほどある。採算が取れずに放置されていた油田、炭鉱を再開させるにしても、それなりの時間を必要とするのだ。
その間にも人が死んでゆく。
「ふ……む」
一つの書類が目に留まった。
「ほう、オーブ製のOSを使ってモビルスーツが使い物になりましたか……試作は良好と」
ウズミからザフト攻撃を催促されたアズラエルだが、彼とてザフトに対して思わぬ所があるどころではないのだ。
宇宙――世界樹、そしてプラントへの投資を無にされた恨みは大きい。
「いいでしょう。量産にGO! です!」
アズラエルはその書類にサインをした。
「ただし……」
アズラエルは書類に手を加えた。
「とりあえずの簡易量産型のストライクダガーはいいとしましょう。G兵器ですが……イージス、いりませんね。複雑すぎます。金も掛かる。整備製も悪い。指揮用装備なら他の物に付け加えるだけで充分です。いっそ新型の飛行型モビルスーツの開発を進めましょう。ブリッツは……コストも掛かるし複雑ですが偵察か、特殊作戦に使えそうですね、小数生産しましょう。デュエルは……基本骨格に採用されたX100系フレームは、後発機であるX105ストライクに比べ外装、内装機材との相性があまり練り込まれておらず、想定していた性能を十全に引き出しているとは言い難い、か。まぁいいでしょう。フレームを改良させて採用としましょう。バスターか。ザフトのパイロットの問題でしょうが……やられすぎなのは前に出すぎですね。まぁ念のために脛にビームサーベル装備させておきましょうか。最後にストライクか。これも、エールストライカー装備でないとビームサーベル使えないのはまずいんじゃないでしょうか? 脛は……アーマーシュナイダーがあるのか。じゃ、二の腕なんかにハードポイント設けてそこにビームサーベルを……」

 
 

「あー、きったねぇの!」
トールが悔しそうにポッドから出て来た。
「遠くから狙撃してばっかりじゃんか」
体力ゲージの差で、戦いはカズイの勝ちであった。
「それが俺の戦い方だよ」
ふと気づくと、カズイの一人称の呼び方が『僕』から『俺』に変っていた。
「そうやって生き残ってきたんだ!」
「ふふ。さすがに初めて操縦した者に勝たれては、今まで戦ってきた者が泣くという物ですよ」
カトーがぽんとトールの肩に手を置く。
「でも、君も素質がありそうだ。乗ってみますか? 幸いアストレイは組み立てればもう一機あります」
「乗ります! 乗らせてください!」
「トールったら!」
ミリアリアが心配そうに言う。
「だって、カズイだって戦ってるんだぜ? なんか悔しいじゃん」
「もう!」

 
 

「俺らがシグーに乗るなんてねぇ」
ディアッカはつぶやいた。もっとも彼に与えられた機体はシグーディープアームズ。地球連合軍より奪取したGAT-Xシリーズから入手した小型ビーム兵器の技術検証のため、試作型熱エネルギー兵器を搭載した実験機だ。
彼の他にニコルがシグーディープアームズを支給されている。
「ふん。俺達の腕を考えれば当たり前だ!」
そう言うイザークも顔がにやついている。シグーと言えば指揮官機だ。先にそれに乗ったアスランに追いつけた事が嬉しいのだろう。
「まぁ、俺はジンでよかったんだけどな」
そう言うミゲルもにやけている。
「でも、全部シグーで構成されている部隊って贅沢ですよね」
ニコルが言う。
それは、彼らの親の働きかけが原因の一つではある。彼らの親はミゲルを除いて皆、ザフトのお偉いさんであるのだった。
「でも……任務はまた護衛かよ。それも物資輸送隊の」
ディアッカがつまらなそうに言う。彼としては手柄を立てて上にのし上がりたいのだ。
「まぁまぁ。護衛だって大切な任務ですよ? ちょっと聞いたんですけどね?」
ラスティが言う
「ん? なんだ?」
「もうすぐ、大作戦が計画されてるんですって!」

 
 
 

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