R-18_Abe-SeedDestiny-X_安部高和_06

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:39:48

プラント、ザフト軍基地。
「とんだ失態だよイザーク・・・」
そこではイザークが、クルーゼ元隊長からお叱りを受けていた。
とんだ失態とは言うまでもなく、前回のお話において母艦ヴェサリウスを奪われた件だ。
スパイの類に気付かず母艦を無傷で奪われるなど、もはや前代未聞の大失態だった。
「ホント、とんだ失態だよね」
「とんだ失態ですね」
「とんだ失態じゃないの」
隊員からも責められるイザーク。
「う、うるさい!大体なんで貴様もここにいるんだ!?」
イザークの言う貴様とはもちろん、ツナギを着た良い男。
「なんとなく」
阿部はなんとなくこの場にいた。
「貴様にも責任はあるんだぞ!?そもそも貴様さえ戦場を荒らさなければヴェサリウスを奪われる事は
なかったはずだ!!」
確かに阿部がイザーク以下ザフト兵を戦闘不能にしなければシャギアの裏切りにもすぐに対応出来たと思われるのだが、
「イザーク、過ぎた事を言っていても始まらんぞ。今重要なのは、ヴェサリウスを奪われたという事実のみだ」
「そ、それは!・・・・・・そうですが」
過去に何があろうとも、ヴェサリウスを奪われたという事実は変わらない。例えどのような要因があろうとも、
母艦を奪われた責任はそれを指揮する隊長に責任があるのだ。
「たられば話なんかしたって得るものは何もないぜ?」
――ギロリ!
「おお恐・・・・・・」
「しかしいかんな、これは。これでは降格もやむなし、という意見も出ているのだがねイザーク?」
「――!?」
降格という単語を聞いて、イザークの顔色が変わった。
「そ、それだけは!!元ザフトレッドが降格などしたら末代までの恥です!もし降格の憂き目になどあっては、
自分は素顔のままでは表を歩けません!!もはや覆面を被って生活するしかありません!!」
「非グレイトォ・・・・・・」
ガングロ緑が悲しそうな顔をした。
「しかし、だ。今回の件はシャギア・フロストの裏工作を見抜けなかった軍の上層部にも責任がある」
偽りのアカデミー卒業証書をまんまと信じてシャギアをジュール隊に送ったのは軍の上層部だ。
確かにシャギアの裏切りを見抜けなかったイザークに責任はあるが、それならば配属の時点で見抜けなかった上層部にも
責任があるという事になる。
「そこで我々議会は緊急会議を開き、キミの処遇について話し合った」
「そんな事もわざわざ議会でやるんですか・・・・・・」
二コルの呟きはもっともだが、普段は『コナン=新一』とかそんな感じの議題ばかりなので、今回の件は最高評議会の
議題の中でも屈指のまともなものだった。

「そこで出た結論だが、ヴェサリウスを奪還及び破壊すればこの件は不問にしようではないか」
「――!?ほ、本当ですか!?」
「私はジョークは言うが嘘は言わんよイザーク。任務を果たせば今回の失態は無かった事にしようではないか」
「あ、ありがとうございます!!精一杯やらせていただきます!!」
「良い返事だ。事態が事態故あまり人は回せんが、構わないかね?」
「はっ!チャンスをいただけただけで充分です!」
「そうか。それでは頑張ってくれたまえ。以上、解散」
「了解!!」
クルーゼの背中を、イザークは敬礼で見送った。

メンバーは以下の通り。
イザーク、ディアッカ、二コル、阿部さん。
――「俺も行っていい?」
――「いいだろう」
クルーゼの神速インパルスで承諾を得た阿部さんは、他の三人と一緒に戦艦ドックへ向かっていた。
何をするにもまず母艦、それを受領するためにドックへと赴いたのだが・・・・・・
「「「・・・・・・」」」
「・・・・・・?」
それを見て口を開けて唖然とする三人と、何故かジッパーを下ろし始める阿部。
このドックに鎮座しておられた戦艦は、目を疑うようなものだった。
ガモフ。前々大戦において主戦力となった戦艦であり、そしてこの時代においては・・・・・・型遅れな戦艦だった。
「な、なんだこれは!?」
「傷だらけだな。中古艦ってやつか?」
「あ、あそこ穴開いてますよ?」
「や ら な い か」
口々に洩らす三人と、メカニックを誘う阿部。
「あ、もしかしてジュール隊の方々ですか?」
と、そこに責任者と思しき男が、慇懃な笑みを浮かべながら近付いてきた。
「そうだが・・・貴様は?」
「私はここを仕切っております、ベンティアーノと申します。以後お見知りおきを」
今回以後出てこないので別にお見知りおく必要はありません。
「コレを運用されるという事でお話は聞いております。それでは早速ご説明を――」
「それよりもなんだこれは!?」
「はい?ガモフですが?」
「そうではない!何故よりによってこれなんだと訊いている!!」
「は。いや、なにぶん艦の数が足りないもので。ほら、戦争が始まるって言うでしょう?ですから一線級の戦艦は
皆出払っているのですよ」
「くっ・・・・・・」
事情は分かる。戦争が始まるとなれば戦艦は一隻でも多い方がいい。ヴェサリウスの奪還は戦局を左右するような
ものではないので、これでも大盤振る舞いな方だ。
しかしそれでも、このガモフの体たらくは許容出来るものではなかった。

「しかし!あそこを見ろ!穴が開いているではないか!!」
「ああ、あそこですか。ではあのブロックは閉鎖してお使いください。いや修理したいのもやまやまなのですが、
いかんせん戦争が始まるでしょう?このガモフの修理に回せる人員がいないのですよ実際」
「くっ・・・・・・だったらあの砲門はなんだ!!曲がっているではないか!!」
「ああ、あれは危険ですので使用しないでください。いや修理したいのもやまやまなのですが、何しろ
人員が不足していましてねぇ・・・」
「なんだと・・・・・・!」
「いやいや、気を悪くしないでください。人員が倍に増えればこの艦の修理に人も回せるのですがねぇ。ほら、
もうじき戦争が――」
と、そこでイザークの肩に手が置かれた。
「あ、阿部――」
イザークが言い終える前に、阿部はベンティアーノのアナルに暴君を突き立てていた。
「貴様はそれでもメカニックか!!」
「ア ッ ー!!」
阿部の怒れるペニスがベンティアーノのアナルを穿つ。
「未修理の戦艦を出すなど言語道断!メカニック魂を忘れたか!!」
「ア ッ ー!!」
阿部は元自動車修理工である。故に阿部は、彼のいい加減な態度が許せなかった。
「・・・・・・っふぅ」
何度目かの射精の後、阿部は彼の身を体から離した。ベンティアーノは恍惚の笑みを浮かべながら失神していた。
「とは言ったものの・・・・・・」
ドック内には、せわしなく動き回るメカニックの姿。
「実際忙しそうだな」
態度はアレだったが、ベンティアーノの言っていた事は真実だった。戦争が始まるという事で、皆忙しそうに
走り回っていた。とても余分な戦艦にまで手は回らない。
「仕方ないな」
すると阿部はツナギを着なおし、足元に落ちていたスパナを手に取った。
「阿部さんが修理してやろう」
そう言ってくるくるとスパナを回す阿部。
「お、おまえが!?」
「おいおい、マジかよ・・・・・・」
「一人でなんて無茶ですよ。戦争終わっちゃいますよ?」
そんな三人に、阿部はとても頼りになりそうな顔で言った。
「なぁに、一晩もあれば終わるさ」

プラント最高評議会。
照明の落とされた議会場。その闇の中、円卓を囲む人間の姿があった。
「な、なんですって!?」
卓をばしっと叩いてそう怒鳴ったのはラクス・クライン。とっても怒っていらっしゃった。
「テロリストの引渡しですよ。アルザッヘルを攻撃されたんだ、当然の言い分でしょう?」
そう言ったのは地球連合の高官の一人。彼の物言いに、周りの連合高官はうんうんと追従した。
ちなみに彼らの姿は実態ではなく立体映像である。ゼーレみたいな感じです。
「それはこちらのセリフです!彼はあなた方が差し向けたのでしょう!?」
「何を言うか!何故我々がそんな事をせねばならん!?」
「それはこちらにも言えることですわ!何故わたくし達がアルザッヘルを攻撃しなければならないのですか!?」
「ふん!大方ついカっとなってやったのだろう?今では反省しているかね?」
「お話になりませんわ!そんなバカげた理由で戦争を起こす者がどこにいるというのです!?」
つい世界を恨んで戦争を起こしちゃう者はおりますが。
「そこ!そこにたくさんいそうではないか!」
そう言って高官が指したのは、ここにいるプラント最高評議会の議員達。
「な――!?ぶ、侮辱にも程がありますわ!!」
「侮辱だと?そもそも彼奴らがここにいる事自体が侮辱なのだ!!」
「そ、そんな事――」
そう言ってラクスは議員に目を向けたのだが、
「おいおいモラシム、そこでマスターボールを使うのかい?」
「ばっはっは!メノクラゲゲットだな!な!」
「12時までに1000行ったらおっぱいうp、と」
「ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk・・・・・・」
「バルドフェルトさん、モラシムさん、エザリアさん、タッドさん!!真面目にやってください!!」
ラクス以外の議員は携帯機で遊んでいた。
「とにかく我々連合はテロリストの引渡しを要求する。要求が飲まれない場合には相応の態度で臨ませてもらう」
そして連合の高官達は、次々と姿を消していった。
残ったのは、肩を震わせるラクスと携帯機で遊ぶ議員達。
「相応の態度、ですって・・・!?」
相応の態度、とは言うまでもない。暗にプラントを攻撃すると言っているのだ、彼らは。
「いない者を引き渡せるわけありませんわ・・・・・・」
戦争の予兆が、ラクスの肩に重く圧し掛かった。

明朝。
「出来たよ」
明言した通り、阿部は一晩でボロガモフを修理、改修した。
「ほ、本当に一晩でやったのか・・・!?」
「ヒュ~♪グゥレイト!」
「相変わらず無茶苦茶ですね・・・・・・」
「良い男にはこれくらい朝飯前なんだぜ?」
「すごいじゃないか阿部!!まるで新鋭戦艦みたいじゃないか!!」
「嬉しい事言ってくれるじゃないの。エレクチオンペニス号も喜んでいるぞ」
「エレ・・・・・・なんだと?」
「見た目はガモフ、中身はヴェサリウス。その名も、エレクチオンペニス号!!」
「バ、バカモノ!俺達の母艦に変な名前を付けるな!!」
「おや?お気に召さないか?ならばシャイニングスペルマ号というのはどうだ?」
「そういう発想から離れろ!!」
「ちぇっ、分かったよ。じゃあアンニュイエンジェル号でいいよな?」
「それもダメだ!!」
「ワガママだなイザーク。掘るぞ?」
「ふん、上等じゃないか!おかっぱデストロイヤーの異名が伊達ではない事を証明してやる!!」
「だせぇwwww」
「阿部貴様!!徹夜で考えた異名がダサいとはどういう事だ!!」
「・・・・・・普通異名ってのは敵から付けられるものだよな?」
「仕方ありませんよ。実際あんまり活躍していませんからね」
阿部とイザークの諍いはさておき。
こうしてジュール隊と阿部さんは、ヴェサリウス追撃の任に就いた。
あ、艦の名前は結局ガモフのままになりました。

機動戦士阿部さんSEED DESTINY X
第六話~どうして俺のゴーストはなんでゲンガーに進化しないんだぜ?~