SCA-Seed傭兵 ◆WV8ZgR8.FM 氏_「略奪」Ⅱ

Last-modified: 2009-03-19 (木) 20:10:00

女性、否ロミナ・アマルフィにとっつかまり連行されようとする我らがシン・アスカ。
ロミナが表に停められた黒塗りの乗用車の扉に手を掛けた瞬間、
“それ”は舞い降りた。 轟音と共に。

 

『ちょっと待ちなよオバサン! 私の相棒を何処に連れて行くつもり!?』

 

エールストライカーを装着した赤いスローターダガー。
赤いウィンダムの相棒として、一部で有名な傭兵だった。

 

「ちっ……思ったよりも早いわね……」
「コ、コニールゥッ!? なんでお前まで!」
ロミナの顔が焦燥に、シンの顔が驚愕に歪められた。

 

『早くて悪いかっ! シン、ほらこっちに!』
スローターダガーがライフルを持っていない左腕を伸ばす。
それを見て、反射的に身を乗り出そうとするシン。だが――

 

「そう簡単に持っていかせるものですか! 子供は家に帰ってアニメでも見ていなさい!」
シンの左腕をがっしりと掴み、離そうとしないロミナ。
豊満な胸が腕全体に押し付けられ、シンの顔が真紅に染まった。

 

『このッ! 色仕掛けなんか卑怯だ!』
パイロットの叫びと共にスローターダガーの指先が、シンの右半身を万力のごとく掴み、引っ張る。
身を引き千切られかねない激痛に、シンの顔が蒼白になった。

 

「離しなさい小娘! 私の旦那様を殺すつもり!?」
『それはこっちの台詞だ年増! シンを離せ!』

 

双方全く退かず、シンの身体が真っ二つになるか否か――。

 

そんなタイミングで、その機体は現れた。

 
 

『三次元の存在が何をやってるんですか。シンは私のものでしょう?』

 
 

真紅の翼を広げ、双眼をぎらつかせる漆黒のデスティニー。

 

その内部に搭載された人工知能が、言った。