ラクス 「虎の叔父様。あの、またあのお方のお話をしていただけないでしょうか?」
虎 「あの方? ああ……うちのご先祖のデュランダルさんの話かい?
お嬢ちゃんも好きだねえ。まあいいけど……こほん。
ギルバート・デュランダルとはざっと300年前のご先祖で、優れた遺伝子科学者であり」
ラクス 「すごーい」
虎 「プラント最高議会の議長を務めた人でもある」
ラクス 「さっすがあ!」
虎 「でも彼は歴史においては戦争犯罪人として悪人扱いされているんだ」
ラクス 「な、なんでですの!」
虎 「彼の思想、政治が当時の人々には理解されなかったのだろう。
彼の著書なども軒並み焼き捨てられ……今じゃあ何も残っていないんだ」
ラクス 「そ、そんなあ……天才はいつの世も理解されない、という事なんでしょうか……?」
虎 「まあ実を言うと、何も残っていないってことは無いんだ。
この間田舎に帰ったときダコスタに手伝わせてね、物置から出てきたモノがある。
せっかくだから記念に貰ってきておいたのだが……ん、これだ」
ラクス 「ノート1冊とメガネ……? お、叔父様これは一体?!」
虎 「デュランダルさんが生前、その政治思想と研究のすべてを書き記したノート!
名付けて『ギルデュラ大百科』だッ!」
ラクス 「へ、へえ~!そんな凄いご先祖様の遺産があったなんて……どれどれ?(ぱらぱら)……
あら?……あらあら? なんですのこれ! このノート、なーんにも書いてありませんわ!?」
虎 「ははっ、多分ノートだけ作って、中身を書くのを忘れたんじゃないかな?」
ラクス 「『神通鏡』なんていって、普通のメガネと変わりませんわ。はあ、がっかり……」
~その夜~
ラクス 「いつの世も天才は理解されず、ですか…………
決めましたわ!こうなったら私がご先祖様の意思を継ぎます!
これから私に思いつく限りの政策や研究で、このノートを埋め尽くし……あら?」
神通鏡を掛けてノートを見たラクス。その目にはノートにびっしりと書き込まれた文字に図面が……
ラクス 「……だ、大発見!
デュランダルは、いえデュランダル様はこのメガネでしか見るこのの出来ない、
特殊なインクを発明されていたのですわ!
すごい……とても昔の人が書いたとは思えない、斬新なアイデアでいっぱいですわ!
……あら?これは……『デスティニープラン』に『スーパーコーディネイターの製造法』?
ふんふん……」
~そして翌朝~
ラクス 「『まずは丸きものをもって頭部と成す』……そうですねえ……このゴムマリで代用しましょうか。
あと胴体は……んー、洗面器でよろしいかしら?」
虎 「ん? あのお嬢ちゃん、急にどうしたってんだ?」
ダコスタ「さあ?」
ラクス 「……出来た!わたくしとしては、初めての成功ですわ……で、ではスイッチを……」
キラ 『そんな事しなくても動けるナリ♪』
ラクス 「きゃ! う、動いた……喋ったあ! すごいですわ!」
キラ 『これで後MSがあれば、ラクス様のために敵をかたっぱしから片付けてみせるナリ』
ラクス 「ふ、ふふふふ……これでまずは野望の手駒が一つできましたわ!
この調子でご先祖様の理想を実現させてみせます! ご先祖様ー! 見ていてくださいねーー!」
こうして! ギルデュラ大百科を手に入れた野望少女ラクスは世界制覇への道へと驀進しはじめた!
果たしてラクスは、デュランダルの理想を、野望をを実現できるのだろうか?……
次週へつづく!
ミゲル 「さて……では鈴木さん、逃げるとしましょうか」
鈴木 「に……逃げるって先生、ここは南極のど真ン中ですよ? まさか……」
ミゲル 「あの人達にはその『まさか』があるんですよ。
世界中の何処に逃げても彼女達は必ず追いかけてきます。早く行きましょう!」
鈴木 「は、はあ」
その1時間後。
さっきまでミゲルが原稿を書いていたかまくらの周辺で、どこぞの軍隊による凄まじい爆撃が敢行されたという。
頑張れ愛間ミゲル! 君に安住の地はないかもしれないが、全国の読者の為に漫画を描き続けてくれ!
しん 「あ~、今回もおもしろかったゾ。来週が楽しみ♪」
シン 「人気の秘密はやっぱアレかな?
漫画から伝わってくる、ミゲルさんの鬼気迫る気迫が読者を魅了するんだろうか」