ネネちゃんの超リアルおままごとシリーズ・ネオとマリューの場合《接触編》
………夢を見る。
見る夢はいつも決まっている……泣いてる女の夢だ。
なぜ泣く……? お前は誰なんだ? 女の顔はいつも見れない。
だが……泣きじゃくってる女の姿を見ていると霧消に胸が締め付けられる気分になる。
なぜ? どうして…俺は……?
《帰って……帰ってくるって……言ったのに……》
俺は約束をしたのか?この泣いてる女と……
だが俺にはそんな記憶はない。いや昔のことを思い出そうとすると俺は…・・・俺は…
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「大佐……大佐ってば。起きてくださいよー」
「ん……?」
俺は肩をゆすられて目を覚ました。周りを見るとクルーが忙しく働いてる姿が……どうやら俺はブリッジで居眠りしちまったようだ。
「もうすぐ目標を補足できるらしいです。そろそろ戦闘準備しておいた方がいいんじゃないですか?」
「お?おお、もうそんな時間か……」
いま俺を起したこいつは俺の副官、トオル・カザーマ。
やたらと口うるさいがズボラな俺をしっかりとサポートしてくれる有能な男だ。
「それにしても友軍を支援してアークエンジェルを討てとは……司令部もなに考えてるですかねえ? 僕達ファントムペインはミネルバ討伐という最重要任務があるというのに」
「しゃーないっしょ。こちとら以前友軍からウィンダム数十機を強引に借り受けた挙句に全滅させられ、さらに建設中の基地もザフトに破壊されるつー大失態やらかしちまったわけだし。借り……というか弱み握られちゃあ、ね」
「僕達のスポンサーをもってしても断れなかったんですか?」
「一度だけ協力するっていう条件でしぶしぶ承諾したんだとさ。あーあ早めにミネルバ落としていればこんな事にはならなかったんだがなー」
「しょうがないですよ。大佐が無能なのがそもそもの原因なわけですし」
「……君も言いにくい事をズバズバいうねえ」
ビー!ビー!
P・J・ジョーンズのブリッジに警報が鳴り響く。どうやら目標の子猫ちゃん達を補足したようだ。
「旗艦ウラーワから出撃命令が来ました! エクステンデットを出撃させますか?」
「………いや。あいつらはこの前アウルを失ったばかりで調整がまだ済んでいない。ここは手持ちのウィンダム隊と……俺が出る」
「大佐が!? い、いやそれは」
「んじゃ艦の留守はよろしくなカザーマ副長♪」
「ちょ、ちょっとお~~!」
俺はノーマルスーツを着て格納庫にやってきた。
格納庫には紫に塗られた俺専用のウィンダムが。しっかし指揮官が量産機に乗るってのも少々味気ないもんだねえ。
「よっ!大将出撃~?」
「ん?・・・・・・まあな」
こいつは整備主任のシンノスケ・ノハラ。やけにはっちゃけた坊主ではあるが整備の腕前はこれで中々のもんだ。
「ちょうどよかったゾ。この前送られてきた試作ジェットストライカーが出来上がったんで。これ付けて出てくんない~?」
「試作の……?ふーんあれか。だがなんかやけにデカくないか?」
「なんでもえーと、スラスターを大型化したことによってじゅ、じゅ……」
シンノスケが仕様書読みながら俺に説明するが……あいからわず漢字が読めない奴だな。
「従来」
「おーそうそう、そうとも言うゾ。えーと従来のジェットストライカーを大幅に上回る機動性を実現した……とのことだゾ」
「……本当かよ」
「だからそれを確かめてきてほしいってんだってさ~」
「うーん………どうせまたジブリールの考えだろうなこりゃ。わかった。じゃあとりあえず俺のウィンダムに装備しといてくれ」
「おっけ~♪」
※ ※ ※
「ネオ・ロアノーク、ウィンダム出るぞ!」
バカでかい試作型ジェットストライカーを背に俺は出撃した。
うお! なんてバランスが悪い奴なんだこいつは!
スラスターの調整で少しでも気を抜くとたちまち後ろにひっくり返りそうになりやがる。
うーむ……こんなん背負ってまともに戦えるのかおい?
ま、そんなこんなでなんとか俺が発進するとブリッジのカザーマから通信が入ってきた。
『大佐。3時の方向でアークエンジェルと友軍との戦闘が開始されました……が……』
「旗色が悪い、か?」
『……はい。フリーダムのデタラメな戦闘力の前に友軍機は次々と撃墜されています。艦隊の損傷率はすでに14%強に……』
「さすがというかバケモノもいい加減に汁というか……しょうがねえ。こうなったら手はひとつしかない、か」
『どうする気です?』
「フリーダムは無視して一気に母艦を叩く。これしかねえだろ」
『そんな……無茶ですよう!』
「忘れたのか?俺は不可能を可能にする……ぐっ!」
『大佐?』
「い、いやなんでもねえ……ち、ちょいと頭痛がな。以上通信終わり!」
『あ!ちょ』
くそ……なんか知らねえが昔のことを思い出そうとすると決まって凄え頭痛がしやがる。
前々から不思議に思ってはいたがなんなんだこりゃあ………いや、今は作戦に集中しないとな。
データを見る限りフリーダム相手に撃ち合いは無謀もいいとこだ。ここはイチかバチか、最大加速で奴を振り切るしかねえ。
俺はブリッジから送られてきたデータでアークエンジェルの現在位置を確認すると、スラスター最大パワーで戦場に突貫した!
「ぐ、ぐわわッ!な、な、なんだこりゃああああああ!?」
スラスターを吹かした瞬間。俺のウィンダムはものすごいスピードで飛びだした。
あまりの勢いとGに体がシートにめ、めり込む……!こりゃあもしかしなくても背中の試作型のジェットストライカーが犯人か?
シ、シンノスケめえ~!な、なんてもん俺のウィンダムに付けやがったんだ!
あまりの超スピードに空中分解や地面に激突しないように機体の姿勢を維持するだけでやっとだ。
だがこの速さならばもしかして……フリーダムの攻撃をかいくぐれるかもしれねえな!
「……見えた!」
白い大天使と、同じく白いMSが連合軍のMSをかたっぱしから撃墜していやがる。
ちッ! さっそく俺もフリーダムにロックされたか・・・・・・・・・ここが正念場だ!
フリーダムからフルバーストの閃光が放たれた瞬間、俺はわずかに機体をずらした。
このスピードで急激な運動やらせるとバランス崩して墜落するからな。これで……!
バシュゥゥンッ!
……やった!
わずかに足をかすめただけで攻撃をかわすことに成功!
フリーダムが驚いてビームサーベルを抜こうとした時はすでに遅し。
俺のウィンダムはフリーダムの頭上をすり抜けアークエンジェルの真ん前に辿り着いた!
チャンスは一度だ……!しくじったら二度とはここまで接近できないだろう。
俺は慎重に、だが迅速に正確にビームライフルの狙いをアークエンジェルの艦橋につけて引き金を……
『やらせるかあああ!』
「なにッ!?」
ガシィィンッ
「ぐわッ!?」
今まさにライフルを撃とうとした俺のウィンダムに、ピンクのMSが体当たりしてきた。
こ、こいつは確か……ストライクルージュか? オーブの代表ともあろう人間が大胆な真似を……!
『アークエンジェルは討たせはしない!』
「ぐッ!ま、まずい墜落する……!」
そして。懸命に機体の姿勢を立て直そうとする俺の決死の努力も空しく、ウィンダムとルージュは揉みくちゃになりながら墜落したのだった………
※ ※ ※
「………なにも艦長みずから捜索にいかな事もないんじゃないかい?」
「そうもいかないでしょう?カガリさんは私達にとって大切な人ですしね。じゃ留守はよろしくお願いしますバルドフェルド副長」
「ああ連合軍は徹退したがまだこの辺りは危険だ。気をつけてな」
こうして私、マリュー・ラミアスは敵MSとともに墜落したカガリさんの捜索チームの指揮をとることとなりました。
ルージュから救難信号が出ているのでカガリさんは無事生存していることと、そのおおよその位置は判明しているのですが……
墜落した地点のまわりが森で、上空からでは位置の特定が困難であるため急遽クルーによる捜索チームが組まれたというわけです。
「マリューさん。僕も行きましょうか?」
「いえ。キラ君はフリーダムで周囲の警戒をお願いするわ。いつまた敵が襲ってくるかわからないでしょう?」
「……そうですね。僕はフリーダムで待機しますのでカガリの捜索をお願いします」
「ええまかせてちょうだい」
捜索はいくつかのチームに分かれて行なわれました。
私は拳銃を手にクルーと少し離れた所を捜索していたのですが……
「あら?これは……」
それはルージュとともに墜落したと思われる紫にカラーリングされた連合軍のMS。
おそらく先ほどアークエンジェルに接近した機体だと思う。酷く破損している所を見るにパイロットは恐らく………
ガタッ
「ッ!」
「動くな! 少しでも動くと俺のマグナムが火を噴くぜえ……」
機体の陰から人影が現われた。どうやら手に拳銃をもってるみたい……これはちょっとまずいわね
※ ※ ※
ちッなんとか大破したウィンダムのコクピットから這い出てこれたってのに、すかさず敵がやってくるとはなあ……
ここは拳銃ちらつかせて敵を牽制しつつなんとか脱出を計るしかねえな。
「あなた……そのMSのパイロットですか?」
「その声…女か。そうだと言ったらどうする・・・・・・?」
「私達はあなたと共に墜落した仲間を捜索に来ただけです。ここであなたと争う……気は……あ……あ、ああ……!」
なんだ……?敵の女が俺の顔見て驚いてやがる。
あ、そういやさっき墜落したときにぶつけて壊した仮面を捨てたんだっけな?じゃあいま俺は素顔を晒しているわけか。
だがそれくらいで……
「……ム……ウ……?」
「ムウ……? 誰を勘違いしてるのかしらんが俺の名はネオだ。地球連合軍ファントムペイン所属ネオ・ロアノーク大佐」
「うそ……! その顔、その声……あなたは間違いなくムウ……」
「動くな! 動けば撃つぞ!」
「ム、ムウ……?」
俺は右手の銃で女を牽制する。女も両手で構えた拳銃をかまえてはいるが……なんだ? おもいッきり手が震えてやがる。
新兵じゃあるまいし何を動揺してやがるんだ・・・・・・でも。
このいまにも泣きそうな女を見ていると何かを思い出しそうな気がする。
たしかあれは……ぐうッ!
「ま、またいつもの頭痛かよ……ぐうう~」
「ムウ!?」
「う、動くな!……女。名前は?」
「わ、私……? 私はマリュー、マリューラミアスよ。アークエンジェルの……艦長をしているわ」
「あんたがあの艦の……? まあいい。俺はいくぜ……あんたと居ると頭がおかしくなりそうなんでな」
「あ、あの……あなたは一体……」
俺は答えずに拳銃で牽制しながら後ろに下がり。充分な距離をとってから女……いやマリューに言った。
「マリュー・ラミアス。あんた軍を抜けろ」
「え?」
「……あんたとは二度と戦場で出会いたくない。次に会ったとき俺はあんたを殺すかもしれないし、な」
「ムウ!」
俺は身を翻してその場を走って去った……というより逃げるように去った、といった方が正解かもしれんな。
で、この出来事が俺とマリュー・ラミアスとの出会いであり。同時に苦悩のの日々の始まりでもあるわけだが……
ふう、さーてどうしたもんか。
ネネ 「は~いカーット! これにて接触編はひとまず終了よ!」
ムウ 「やれやれ。墜落したり頭が痛くなったりひどく疲れるままごとだなおい」
マリュー「いいじゃない。これくらいまだまださわりの部分なんだしぃ♪」
風間君 「……マリューさん嬉しそうですね」
しん 「初めての主役扱いですからなあ」
ネネ 「じゃあ休憩挟んですぐに次いくわよ~♪」
風間君 「そんなわけで次回、風雲竜虎立志編に続きますんでよろしくお願いします」
しん 「いつ次ができるかはまったくの未定だけどね~……じゃ!」