どこをどう乗り間違えたのか、完全に秋田とは正反対の方向に突き進んだエクステンデット3人組は、現在長崎駅のホームで途方に暮れていた……
スティング「あ~~もう……どうすんだよこれから?」
アウル 「しゃーねえからこのまま沖縄までいって泳いでいこうぜ!」
スティング「バァカ!もうそんな金ねえよ! ここから春日部帰れるかどうかも危ないのに……」
アウル 「え~~~。あーちきしょ、今頃シンたちは楽しくやってンだろーなー」
ステラ 「ただいまー。2人ともアイス買ってきたよー」
スティング「お、ご苦労ステラ。じゃあ遠慮なく」
アウル 「ひ~さすが南国、あちーのなんの………おいステラ。なんだこりゃ」
ステラ 「カステラアイス。なんか珍しかったから思わず買ってきちゃった」
アウル 「は……ぎゃはははは!バカで~! いくらカステラが長崎名物だからってこりゃねーだろこりゃーよ!
薄切りしたカステラにアイス挟んでカステラのアイス~だなんてアホすぎらあwバッカじゃねえのこれ♪」
スティング「……お前、あとで長崎県民に刺されるぞ。ん……? いや……こりゃ………美味いな?」
ステラ 「あ、ほんと」
アウル 「なぬ?」
スティング「冷たく、さっぱりしたアイスがしつこい甘さのカステラの味を抑えて、カステラはしっとり柔らかくて……」
アウル 「んなアホな! こんな色物が?………………(夢中で食べてる)」
ステラ 「ああ美味しかった♪……う~もうひとつ食べたいな。買ってこようかな?」
アウル 「ち、ちょっとまてステラ!いくなら俺の分も………あ」
スティング「笑わねーよ。冷たくて美味いもんなこれ」
アウル 「うぐ………」
ステラ 「すいません。さっきのアイスをもう3つ……」
??? 「ん?悪いが、私がいま買ってしまったのでカステラアイスはもう売り切れ………
なんだ、ステラ君ではないか」
ステラ 「え………だれ?」
アウル 「おーいどうしたステ……ぶフゥ――――!?」
スティング「ど、どうしたアウル!?」
アウル 「あ、あれ、あれ………」
アウルが指差した先には……全身これでもかというくらい日焼けしたガン黒肌で、何故かアロハシャツに短パン、サンダル。
そして金髪に目立つ仮面をつけた……妙に陽気な男がいた……
??? 「やっほー♪」
スティング「………あの。まさかとは思うけど……その、もしかしてあんた………クルーゼさん、ですか?」
クルーゼ 「やあ久しぶりだな3人とも♪ はっはっはっ♪」
南国の陽気のせいなのか、それとも日射病にでもかかったのか、普段のクルーゼとはあまりにも違いすぎる彼のハイテンションぶりに唖然とするスティングとアウルであった……
アウル (おいおい、なんかえらく性格変わってねーか? あれ本当にラウ・ル・クルーゼなのかよ!?)
スティング(でもなーあんな仮面を日常で普通に被ってるアホなんか他にいないんじゃないか?
コミケ会場ならどうかしらんが……)
ステラ 「なんか楽しそうだね」
クルーゼ 「セカンドライフを思う存分満喫してるからねえ~♪ で、なんで長崎に君達が? 観光かね?」
ステラ 「秋田いこうとして春日部出たんだけどね、何故か気がついたらここに来ちゃったの」
クルーゼ 「秋田?」
アウル 「シンの実家があるんだよ。連中、いまはそこに里帰りしてやがるンだ」
クルーゼ 「……ははあ、なんとなく事情はわかった。で、これからどうする気かね?」
スティング「どうするもなにも……もう金もなくなってきちまったからなあ……帰ることもできねえんだ」
クルーゼ 「ムウに連絡は?」
アウル 「そんなことしたら帰ってから大目玉喰らっちまうよ! それだけはできねえって!」
ステラ 「ステラ、シンに会いたい……お家にも帰りたい……」
クルーゼ 「んーま、いいだろう。ここで会ったのもなにかの縁だ。私のプロヴィデンスで秋田まで送ってやろう!」
アウル 「え、本当かよ!?」
クルーゼ 「その代わりMSに4人はちとキツいから、その辺は我慢してもらわなければならんが?」
スティング「いい! 全然かまわねえよ! 頼むよクルーゼさん!」
クルーゼ 「よーし、んじゃお前等いっちょ俺に付いて来いッ!」
3人 「「「お~~~!」」」
※ ※ ※
シン 「………で?」
アウル 「と、まあこういうわけで、ついに秋田県はおめーの家まで辿り着いたってわけさ!」
ステラ 「大冒険だったんだよ~」
しん 「ほうほう。そりゃほんとにごくろーさまだゾ」
カガリ 「大変だったんだなー。あ、もろこし食べるか?」
スティング「ああ、こりゃどうも。いただきます」
マユ 「わーほんと冷たくて、柔らかくて美味しいねこのカステラアイス~♪」
ルナ 「埼玉の住人の私たちが長崎土産を秋田で食べるってのも、なんか変な話だけどねえ」
アスラン 「それでクルーゼ隊長は? いないみたいだが」
スティング「なんかしらんが、なんとか仮面とロボから緊急連絡が入ったとかでさ。
俺たちを置いてどっか飛んでいっちまったよ」
アスラン 「はあ……なにをしてるんだあの人は……?」
アウル 「ま、そんなわけでしばらくお前ん家に泊めてもらうからよろしくな♪」
シン 「勝手に決めんなよ! そんな……」
アスカ母 「あら~去年みたいに賑やかになっていいじゃない。うちは大歓迎よ♪」
スティング「お世話んなります」
ステラ 「わーい♪ シン達といっしょ~♪」
シン 「あ……う……お、俺の意志はガン無視かよ!ちきしょうめ……!
こいアウル! ただじゃ居候させない! これから畑いくぞ!」
アウル 「畑? なにするんだ!?」
シン 「スイカとってくるんだよ! それもどっさり何十キロもなあ!
腰抜かしてブッ倒れるまでコキ使ってやるぜ!」
アウル 「スイカ? 割るのか棒で! 負けねえぞッ!」
シン 「売り物なんだから割らねえよ! てか割ったら殺す!」
ステラ 「あーステラもいく~。ステラも手伝うよ~♪」
ルナ 「……なによ、なんだかんだ言いながらシンの奴、ステラ達が来てくれて嬉しいんじゃない」
しん 「ま、難しいお年頃ってやつですかなあ~」
マユ 「みんな楽しそうでいいねー♪」
まーなんだかんだいってもいつも賑やかで、それでいて迷惑そうにしながらもどこか楽しそうな、シンとその愉快な仲間達であった……