SEED-クレしん_16-072

Last-modified: 2009-04-15 (水) 20:45:50
 

マユ 「お兄ちゃ~ん!もうそろそろ時間だよ! 支度できてる~~?」

 

シン 「なんだよ家の外からうるさいなあ……とっくに出来てるに決まってるだろ。後は出かけるだけさ」
みさえ「ほらマユちゃん。お弁当たーくさん作っておいたわよー♪」
マユ 「わーい♪」
ひろし「場所はいつもの所だろ? もうみんな来てるかねえ」
しん 「オラ楽しみだゾ♪」
ひま 「たーい♪」

 

 今日は毎年恒例、クレしん&種キャラ全員参加の大お花見大会です。
 とりわけ今回は新顔であるダブルオーの連中との親睦を深める意味もあるのですが……

 

フレイ「で? 今年の場所とりはちゃんとやってるんでしょうね?」
ルナ 「今年の場所取り当番はシンだったから……たぶんデスティニーでも座らせてあるんでしょ?」
シン 「いや。今年はMSなんか持ち出してないぞ?」
マユ 「えー!じゃあどうやってお花見のスペース確保してるの!?
    行ったら座る場所なくてお花見大会中止だなんて、マユ嫌だよ~」
しん 「まあまあ。それはそれ」
シン 「現場に到着してからのお楽しみって奴さ♪」
フレイ「……?」

 

 で、お花見大会の現場へ到着。
 マユの心配をよそに……確かに広大なスペースが確保されてはいた。

 

みさえ 「……けど、なんか妙な感じよねえ?
     周りはこれだけ大勢の花見客がいるのに、ここだけぽっかり空いてるだなんて」
ひろし 「うん……? よく見ると、ここらへん地面が所々えぐれてないか? なんだこりゃ?」
シン  「はい双眼鏡。これで向こうを覗いてみてください」
ひろし 「向こう?どれどれ……うぉっ!?
     なんか緑色のでかいロボットが、長い銃構えてこっちに狙いをつけてるんだが」
しん  「デュナメスに乗ったロックオン兄ちゃんに見張りを頼んでおきました~~♪」
シン  「近づく者がいれば威嚇射撃で狙い撃ってくれってね」
ルナ  「あ、あんた達なんて事を……」

 

シン  「さて、手旗信号で合図を送るか。
     うっかりテリトリーに入り込むと、俺達まで撃たれちまうからな……」
しん  「えーと、『チチキトク、スグカエレ』……と」
シン  「ちがうー!」

 

ニール 「『サクセンシュウリョウ』か……やれやれ、これでようやくお役御免か。
     さて、デュナメス隠して俺も花見会場に行きますかねっと……」

 

   ※   ※   ※

 

ギル  「え~~ではみんな揃ったようなので、ここは私が代表して挨拶と乾杯の音頭を……」
タリア 「ギルバート。音頭もなにも、もうみんなとっくに始めてるわよ?」
ギル  「……なんと」

 
 

マリュー「ささ、ロックオン君飲んで飲んで~~♪」
ニール 「あ、こりゃどうも……すいません」
マリュー「いや~若い飲み友達ができて嬉しい限りだわ♪
     ほら、うちの若い子はみんな未成年でしょ? お酒の相手させられないのよねー」
むさえ 「そうそう。だからって中年のオジンと飲んでもつまんないしね~」
ムウ  「だ、誰がオジンだ!」
ナタル 「三十路は黙ってて下さい」
ムウ  「みそ……! く、くそ~……こうなったらひろしさんと飲み明かしてやるううううう!」
ひろし 「いらっしゃ~い……」

 
 

紅龍  「みなさん、私が煎れた紅茶をどうぞ。
     他にジュース等もありますのでなんなりとお申し付けください」
よしなが「ホンロンさん、何もこんなときにまで給仕なんかしなくても……」
まつざが「そうよ。あんたも飲み食いしながら桜見ればいいのに」
紅龍  「いえ、これが私の仕事ですのでどうぞお気遣いなく。
     では、あちらの御用聞きに参りますので失礼します」
園長先生「……なんか今までにないキャラですねえ」
よしなが「強いていえば黒磯さんに似ているかしら? ほら愛ちゃんのSPの」
まつざが「プロフェッショナルなとこを感じるあたりは確かにね」

 
 

ラクス 「まあ。リューミンさんはその若さで王家のご当主でいらっしゃいますの?」
留美  「そういうラクスさんはプラントの指導者の娘さんで……大きな人脈と資金力がおありだとか」
フレイ 「貴方達に比べたら、私なんてたかが大西洋連邦の事務次官の娘よ? 全然たいしたことないわ」

 

「「「ほほほほほほ……」」」 ←目が笑ってない

 

風間君 「み、見なよ。セレブたちが笑顔で火花散らしてる……」
マサオ君「うわ~なんか壮絶だね~」
ネネ  「ふん、なによ! おカネなんてね春日部じゃ通用しないんだから!
     ねえちょっと聞いてるの? こらマサオ!」
マサオ君「うえ~ん! なんで僕に八つ当たりするのさあ~~」

 
 

ステラ 「うぇーい」
アニュー「う……うぇーい?」
ステラ 「ステラ、わかる……あなた、好きになった人を撃った」
アニュー「……え」
ステラ 「でも、敵になってもその人が大好きで、また会いたいと思ってる」
アニュー「ニ、ニールに聞いたの? 私のこと……」
ステラ 「ちがう。ただ、そう感じただけ。なんていうか、ステラも同じような感じだったから」
アニュー「あなたも……?」
ステラ 「言葉じゃなくて……心で。分かり合えたでしょ?」
アニュー「あ……!」
ステラ 「応援する。きっといつか会えるよ、その人に」
アニュー「あ、ありがとう……あなた、名前は?」
ステラ 「ステラ。ステラ・ルーシェ」
アニュー「私はアニュー・リターナーよ。友達になってくれるかな……ステラ」
ステラ 「うん」

 
 

ヨシりん「ミッチー! 君の料理はなんて美味しいんだ!」
ミッチー「ヨシりんの為に愛情込めて作ったんですもの!」
ヨシりん「ミッチー!」
ミッチー「ヨシりん!」
リヒティ「………ね、ねえクリス? なんていうかその、いつか僕達もああいう熱々のカップルに……」
クリス 「ごめんねリヒティ。私……あんな愉快な生物になるのだけはちょっと……」
リヒティ「すいません。正直言うと俺もあんなの無理っす」

 

キラ  (いやー、この人も僕やマサオ君と同じ道を歩みそうだなあ……そう、彼女の尻に敷かれる道を)

 

   ※   ※   ※

 

シン  「みんな楽しんでるみたいだなあ。それぞれ仲良くしてるみたいだし」
しん  「それに桜、綺麗だしね~」
シン  「ん? 桜の木の下で……ロックオンさんか?なにしてるんだろ」

 

 見ると……ロックオンはいくつかの杯に酒を注いでいた。
 そしてすべての杯に注ぎ終わると咲き乱れる桜を見上げる。

 

ニール 「……俺達だけこんなに楽しんですまんな。
     刹那、ライル、ティエリア、アレルヤ、スメラギさんにフェルトにラッセ……ソレスタルビーイングのみんな。
     みんなもジャパニーズ・ハナミというのは初めてかもしれんが、
     せめて今だけは世界や戦いを忘れて一緒に飲もうぜ……」

 

しん  「ロックオンの兄ちゃ……」
シン  「そっとしておいてやろうぜしんちゃん。今……あの人は仲間たちと水入らずで飲んでいるのさ」

 

ニール 「来年……俺はここでみんなと一緒に桜が見れることを願う。だからさ、みんなはやく仕事を終わらせてこっちに来いよ?」

 
 

 桜が風に散る。見事なまでに美しい桜を見ながら来年もこの場所に集まりたいと願う。
 それは今までシンたちが毎年してきた。だがこれからはロックオン達がまだ見ぬ仲間たちの為に願うのだろう。
 来年は必ず………旧友たちとの再会と新たな仲間との出会いをを願って。

 

   ※   ※   ※

 

 ―――ちょうどその頃。春日部から遠く離れたある街では。

 

「え……?うわッ!?」

 

ヨハン 「一番手の私が相手を転ばしッ」
ミハエル「二番手の俺がサイフからカネを盗んでッ」
ネーナ 「三番手の私が助け起こして、場合によッては傷薬を塗ってやって……走り去る!」

 

「「「このコンビネーションにかかるその所要時間、実に一秒弱!」」」

 

ヨハン 「うむ。これで食料が買えるな」
ミハエル「でもよースったって毎回毎回盗むのはたかが千円だぜ?
     あのトロそうなおっさん、万札を何枚ももってやがったのに」
ヨハン 「不必要な窃盗はいかん。必要最低限の金額さえあればいい」
ネーナ 「でも千円でどうするっていうの?」
ヨハン 「よしスーパーで特売の缶詰めを買ってこようか。それで3人充分食える」
ミハエル「また兄貴お得意の缶詰めかよ……飽きたぜもう!たまには肉食いてェ~~~!」
ネーナ 「私もスイ―ツ食べたーい!」

 
 

 トリニティ3兄妹が各地でカマイタチ伝説(立派な犯罪です)を残しつつ、急速に春日部に向かって南下しつつあった……

 
 

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