SEED-クレしん_16-235_05

Last-modified: 2009-05-06 (水) 14:23:18
 

 しんのすけ達がイノベイターと会っていた頃。
 シンとマユ、それと紅龍は、土産物屋を出て旅館への帰り道だった。

 

シン 「紅龍さんすんません。こいつの買い物に付き合ってもらっちゃって……」
マユ 「むー、こいつって何よ~~!」
紅龍 「いえ。お嬢様が買い込んだ土産を宅配で送る手続きのついででしたので、別にかまいませんよ」

 

シン 「結局しんちゃん達とは途中から別行動になっちまったか……
    それにしてもマユ、お前、携帯ストラップばかりよくこんなに買い込んだな?」
マユ 「だって、連休明けにクラスの友達や先生に渡すだけのお土産を買わなきゃいけないもの」
シン 「携帯のストラップごときにあんな真剣に時間かけて、選別しつつ買う奴は初めて見たぞ俺」
マユ 「マユはお兄ちゃんのように、お土産をみんなまとめて箱のお菓子で済まそうっていう
    いい加減な子じゃないのだ♪」
シン 「にゃにおう!」
マユ 「ふーんだ!」

 

紅龍 「ぷ、くくく……」
マユ 「あー紅龍さん笑ってる! もう!お兄ちゃんが幼稚な口喧嘩しようとするから!」
シン 「俺のせいかよ!?」
紅龍 「い、いや失敬……お2人を見ていてつい、兄妹仲がよくて微笑ましい光景だと思いまして」
シン 「え~~~? 俺とマユが仲がいい……ですかあ?」
マユ 「なに? その果てしなく嫌そうな顔」
シン 「別にそういうわけじゃあないけど……あ、そういえば紅龍さんにも留美さんという妹がいるんでしょ。
    そっちはどうなんです? 兄妹仲よさげですけど」

 

紅龍 「私とお嬢様ですか? 私は……私は留美の兄失格ですから」
マユ 「え……失格って?」
紅龍 「不甲斐ない私のせいで、あれには長年苦労をかけてしまいました。
    ですから、私は留美に兄としては接してやれません」
シン 「どうして? 留美さんはそんな事にもうこだわっていないと思いますけど」
紅龍 「留美はそうかもしれませんが、私自身が己の行いを許せないのです。
    自分の中で妹に対する贖罪が終わったと確信するまで……
    私は兄と妹という血縁関係を捨て、彼女のを守る執事であり続けようと思っています」

 

シン 「妹に対する贖罪、か……あ!」
マユ 「ど、どうしたの?」

 

シン (忘れてた……俺も昔マユを守ってやれなかったんだ。バカだな、俺……
    う~ん、紅龍さんと俺は少し……似ているかも)

 

マユ 「な、なによう。マユの顔をじ~っと見て……」
シン 「……マユ、荷物重いだろ? もってやるぞ」
マユ 「ふえ?」
シン 「腹減ってないか? アイス食べたいとかジュース飲みたいとかあったら遠慮なくお兄ちゃんに言えよ」
マユ 「ど、どうしたの? なんか妙に親切すぎて気持ち悪いよ?」

 

シン 「えッ! い、いやその……
    き、今日は子供の日だからいいんだよ! たまにはマユの我侭を聞いてやるっての!」
マユ 「そのわりにはいきなり態度豹変しすぎだと思うんだけど……なーんか釈然としないなあ」
紅龍 「ふふ。本当に兄妹仲がよくて羨ましい」

 
 

 兄妹愛の形というのも、またそれぞれいろいろな形があるようで。

 

   ※   ※   ※

 

風間君 「アスランさーん。お風呂いきませ……ううっ? なにこの臭い! シンナー!?」
アスラン「ん~~? ああ風間君か。
     もうすぐイノベグリーンフィギュアの塗装が終わるから待っていてくれないか~」
風間君 「り、旅行にきてまで最低なことしてないでくださいよ! ほらさっさとお風呂入ってきてください!」
アスラン「わ、分かったよ。ふう、今いい所だったのに……」
風間君 「なんか最近、輪をかけてアスランさんが駄目になってきているような気が……
     身なりも薄汚れているし……」

 

 しかし、入浴後……

 

アスラン「ふう。さっぱりした」

 

 そこには清潔この上ない、見た目も爽やかな昔ながらのアスランの姿があった。

 

風間君 「うわッ昔のようなきれいなジャイ○ンもといアスランさんがッ!?」
アスラン「やはり温泉はいいね。身も心もきれいに洗い流してくれる」
風間君 「あ、ああ……これでようやくアスランさんが最低じゃなくなるんだ……!」

 

??? 「ねえ、ちょっとそこの風呂上りのあ・な・た♪ マッサージしていかな~い?」
アスラン「いいですね。是非お願い……ぶッ!」

 

 ……そこには元YUZAMEの幹部、殺人マッサージ師のキラーフィンガー・ジョーが、準備万端スタンバってアスランを手招きしていた。

 

ジョー 「さあいらっしゃ~いン。私のマッサージで天国にいかせてあ・げ・るゥ♪」
アスラン「う、うああ……い、いやその」
ジョー 「てりゃ♪」
アスラン「うあッ!?」
ジョー 「結講こってるわねえ。じゃあ念入りにスペシャルコースでいくわよォ~~~そーれ!」
アスラン「や、やめ……うひゃははは! うひゃほへほ―――――!」
風間君 「う、うわ……壮絶……」

 

 この日、アスランは大量の抜け毛を撒き散らしながら必死にジョーのマッサージに耐えた。
 マッサージが終わった後のアスランは、まっ白な抜け殻と化していたという……
(ちなみに温泉から帰って3日でアスランは元のオタに戻った)

 
 

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