SEED-クレしん_16-302_01

Last-modified: 2009-05-23 (土) 11:26:20
 

「ねえ……私たち、分かり合えてたよね?」
「……」
「ライル……?」
「すまん、アニュー……俺はお前がわからない」
「ど、どうして?」
「だってお前のその格好……」
「え?」

 

 アニューが自分の姿を見ると。何故かピンクの服とピンクの仮面が……

 

「なッ……! なによこれェ!」
「アニューにそんな趣味があっただなんてな……悪いがお前との仲もいま少し考えさせてくれ……」
「え?ち、ちょ……いかないでライル! 今わの際でなんでこんな……い、いやあああああ!」

 

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 

「あああああ…………はっ!」

 

 全身汗だくでベッドから飛び起きるアニュー。
 窓の外は気持ちのいい朝……どうやら今のは夢だったようだ。

 

「な、なんて夢なのよ!もう……最悪だわ………」

 

   *   *   *

 

ニ―ル  「ご利用ありがとうございます。お会計は……えーと……」
???  『カットのみで4千円だ』
ニ―ル  「え?あ、ああ……それになります」
みさえ  「じゃあ5千円札でお願いね」
ニール  「あ、はい。それじゃお釣りは千円と……どうもありがとうございました」
リヒティ 「ありがとございましたー!」
ニ―ル  「……? 今の声ティエリアだよな? どこから聞こえて……」
ティエリア『ここだここ。よいしょっと』
ニ―ル  「うわッレ、レジの画面から出てくるなって!」

 

クリス  「でもティエリアのおかげでずいぶん店の経営が助かるわ。
      お金の管理がしっかりしていて、安心して任せられるし」
ティエリア「当たり前だ。勘定奉行などこの店には不要、僕ひとりいれば会計の仕事は完璧だ」
リヒティ 「頼もしいっスねえ~」
アニュー 「……あの。今日は私もう上がってもいいですか」
ニ―ル  「ん? ああ別にいいけど……て大丈夫かお前。顔色悪いぞ……?」
アニュー 「だ、大丈夫です。ほんと……大丈夫ですから。それではお先に……」

 

クリス  「全然大丈夫なように見えないんだけど…・・」
ティエリア「おいロックオン。君はアニューになにかしたのか? 今日の彼女は確実に君を避けていたぞ?」
ニール  「俺に聞かれたってなあ。知らないぞアニューが元気ない理由なんて」
リヒティ 「明日には元気になってくれればいいんですけどねえ……」

 

   *   *   *

 

アニュー 「………もう~~! なんで私が朝からこんなにブルーにならなきゃいけないのよ!
      ようし、こうなったら……」

 

 と、そう意気込んでアニューが来たのはイノベイジャーの事務所であった。

 

アニュー 「ごめんください! 誰かいますか!」
リヴァイヴ「アニュー!? よく来てくれた!」
アニュー 「あのですね! この間のことで、あなた達に言いたい事があってきたんですけど!」
ヒリング 「見てよこのファンレターの山! イノベイオー登場で私たちの人気はうなぎ昇りなの!」
アニュー 「あの時は仕方なくなんたらピンクなんてやってしまったけど」
ブリング 「それでだな。ファンの子供たちにもイノベピンク出演を望む声が多くて」
アニュー 「もうあんな事は金輪際!」
デヴァイン「で、だ。ここはもう正式にアニューもイノベイジャーになってほしいと」
アニュー 「やりませんからそのつもりで」
リジェネ 「まあ僕はどうでもいいんだけど……いいんじゃない? 本人がやりたいというのなら……」

 

アニュー 「ひ、ひ、ひ………人の話を聞けえ――――ッ!」
5人   「え?」
アニュー 「私は! もう二度とピンクなんてやりませんッ!」
5人   「えええええぇっ!」

 

ヒリング 「で、でも! しんのすけ君や風間君からも
      『ピンク登場を心待ちにしている』ってファンレターがきているのよ? ほら……」
アニュー 「うっ……で、でもそれは…」
デヴァイン「それにイノベイオーも6人揃ってこそ真価が発輝できるしな」
アニュー 「わ、私ひとりいなくても何とかなるんじゃなかったんですか?」
ブリング 「6人揃わないと必殺技のイノベイ剣が使えないんだよ。だからどうしても決め技が地味でな……」
アニュー 「……」
リジェネ 「このままだと、そろそろ子供たちも飽きてくるかもしれない」
ヒリング 「そうなったら正義はどうなるの? 春日部の未来は!」
アニュー 「あ、ううう~~」

 

デヴァイン「どうだろう? 1回、1回だけでいいから、次のショーに出てくれないか?
      最初で最後のゲスト出演という扱いならば」
アニュー 「で、でも……」
ヒリング 「お願いアニュー! 地球の未来のためにもッ」
アニュー 「ち、地球……子供たちの期待……平和……う、うううう~~~~ん………」
リヴァイヴ「頼むよアニュー!」

 

アニュー 「…………じ、じゃあ……あと1回……だけ」
5人   「やッたあ!」

 
 

 イノベイジャーと完全に決別するつもりで事務所にきたはずなのに、いつの間にか丸め込まれてヒーローショーの出演が決まってしまったアニュー。
 次回、ミネルバの屋上にかつてない戦いの嵐が吹き荒れる?
 スーパーミネルバで僕と握手!

 

   *   *   *

 

~一方、その頃~

 

「……で、どうするの?イノベイジャーの力は日々強大になっていくわよ」
「このままでは俺達に勝ち目はない」
「安心しろ女帝、それに男爵……御大将から『アレ』の使用許可がとれた」
「ではついに?」
「これでイノベイオーと互角、いやそれ以上に戦える!なぜなら……奴には弱点があるからな。ふふふ……」
「そして例の秘策。二段構えの作戦で今度こそイノベイジャーを!」
「楽しみねえ……今度の舞台こそが奴等の墓場よ!」
「ふふふふふ……あ~ははははははッ!」

 

「あのお客様。コーヒーのおかわりはいかがですか?」
「あ、お願いします」

 

 ……とまあ、近所のファミレスで顔つき合わせて悪の作戦会議をしていたシンにレイにルナマリアであった。
 それにしてもお変わり自由のコーヒーだけで二時間も粘るなんてなんとセコい……

 

シン 「し、仕方ないだろ! 俺らの安い給料じゃお小遣いもそんなに貰えないんだよ!」
レイ 「それにショーとはいえ、いつもいつもやられ役ばかりでは俺達もつまらないのでな」
ルナ 「作戦立ててそれなりに本気でいかせてもらうと、そういうことよ」
竜子 「それはいいんだけどさ、怪しげな悪役のコスプレでうちに入店すんなよな。
    思わず通報しそうになったぜ……ほいコーヒー」
シン 「どうもすんません師匠。いただきます」
竜子 「あ、あの坊主みたいに師匠とか言うな!
    俺は埼玉紅さそり隊のリーダーで今はバイトのウェイトレスだッ」

 
 

 意外に本気で勝ちにいくつもりのザフトレッドであった。
 果たしてイノベイジャーは勝てるのか?
 この負けず嫌いの三人がショーの段取りをきちんと守ってくれると思ったら大間違いだぞ!

 
 

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