SEED-クレしん_17-494

Last-modified: 2010-03-24 (水) 00:08:12
 

 アスランが痛いホワイトデーを過ごしたなか、キラはどうしていたか?
 彼は珍しくクッキーづくりに精を出していた。

 

キラ 「形はどうあれ、ラクスからチョコを貰ったんだ。機嫌をとる意味でもまともに送っておこう。
    そうだ、他の娘にもらった分もついでに……」(いそいそ)

 

 台所で本を見ながら作るキラ。
 スーパーコーディネイターの才能ゆえかはたまた薬の調合もしてるからなのか、意外にも「割といい」クッキーが出来上がった。
 そして……

 

キラ 「よし、渡そう」
ラクス「キラ!」(ガタッ)
キラ 「ラクス、これ……!」
ラクス「キラ?」
キラ 「あの、その……一応チョコもくれたようなものだし(身体中に)、
    ラクスにも悪いことをしたと思うから……クッキーを作ってみたんだけど……」

 

ラクス「……! キラ……そのクッキー、まだ預かっていてくださいな」
キラ 「預かる?」
ラクス「ここにホワイトデー用の台本があります。その時にでも……」
キラ 「(確かに、渡すなら渡すでラクスの機嫌を取る形であった方がいいかも……)うん、わかったよ……」

 

 * * *

 

「この世でエターナルに語り継がれるホワイトデー」
 (監督・脚本・演出=ラクス・クライン、協力=ミリアリア・ハウ)

 
 

(私ラクス・クラインはエターナル学院に通う学院生です。
 私は一ヶ月前のバレンタインに意中の男性キラ・ヤマトにチョコレートを送りました。
 しかし、水泳部に属していた私はその日から練習に打ち込まなければなくなり、キラ君からの返事はおろか、
思いも伝えられず、今に至りました……)

 

 ~水泳大会当日~

 

ラクス(スク水)「はぁ、ついにこの日が来てしまいましたわ」
ミリィ(スク水)「どうしたの、試合前なのに悲しい顔して?」

 

kuretane17-08.jpg

 

ラクス 「ええ、少し緊張がほぐれないようで……」
ミリィ 「そう、じゃあその緊張をほぐす方法があるんだけどな」
ラクス 「え?」
ミリィ 「あなたに会いたいって人がいるんだけど」
ラクス 「私に……」

 

 ミリアリアが紹介されるとに一人の青年が

 

ラクス 「キラ君……」
ミリィ 「口止めされていたんだけど、彼はいつもあなたの練習見ていたのよ。
     まぁ、大体すぐに追い出されて、帰るのがオチだったんだけどね」
キラ  「う、うん。その……チョコのお礼を言おうとして、来たんだけど。
     ラクスさんはいつも練習に出てて、あまり会う機会もなかったしさ」
ラクス 「そうだったんですか……」
キラ  「でも練習に打ち込んでる姿はいつも熱心で、どこか健気だったよ」
ラクス 「キラ君……」

 

ミリィ 「あの。そろそろ始まるから、戻ってくれるかな?」
キラ  「ああ、うん」
ラクス 「……」
キラ  「それじゃあ、試合がんばってきてね」

 

ミリィ 「ほら、何も不安になることはないでしょ?」
ラクス 「はい。彼と会ってなんだかすっきりしました」
ミリィ 「熱いわねぇ……。水の中に入ったら気をつけるのよ?」

 
 

 ~大会終了後~

 

キラ  「ラクスさん」
ラクス 「キラ君、待っててくれたんですか」
キラ  「うん、泳ぎすごかったよ。なんだか華麗でさ、ラクスさんらしいって思って見てた」
ラクス 「華麗ですか……」
キラ  「ああ、チョコだって美味しかったし。ラクスさんは結構万能なんだなって思うよ」
ラクス 「そんな、私は……。ところでキラ君、その手に持ってる包みは」
キラ  「うん、ほら今日はホワイトデーだから。その、これを……」
ラクス 「クッキーですか……」
キラ  「うん、ラクスさんはきっと買ったクッキーじゃ、あんまり満足できないと思ってさ……。
     だから、思い切って自分で作ってみたんだ」
ラクス 「私のためにですか……?」
キラ  「ああ、手作りには手作りが一番だし。それにラクスさんのこと、僕も……」
ラクス 「キラ君。私は……キラ君のお陰でここまで頑張れて来れたのかも知れません。
     水泳も、それに今日もキラ君が来てくれてから心に迷いがなくなったんです。
     お願いです、これからも私とつ…………付き合ってください」
キラ  「……わかった」

 

 ガシッ(手を握る)

 

 * * *

 

キラ  (ラクスが言ってたいいこととはこのことだったんだ。
     しかもスク水ミリアリアまでもが僕の心をつかむ! 当然マイクロカメラでストライク!
     今年のホワイトデーはストライクフリーダムだ!)
ラクス 「このクッキー、結構美味しいですね。帰って一緒に食べましょう。
     渡しそびれたチョコもお付けしますわ」
    (これでバレンタインもムダにならずにすみますわね)

 

ミリィ 「相変わらず何やってるかわからないわね、あの2人は……。
     けど礼金も貰っちゃったし、義理チョコのお返しでクッキーも貰えたから良しとしておこうかな」
    (……クッキーね。全く……炒飯ばかり作ってる馬鹿も、これ位してくれればいいんだけど)

 

ネーナ 「ねぇ、あれって何なの? いつもからは考えられないくらいベッタリしてて」
シン  「し、知らない……」
しん  「見たことあるようなないような……」

 
 

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