SEED-IF_94 ◆4x1/ER9Heo氏_第03話

Last-modified: 2008-01-22 (火) 14:04:34

GUNDAM SEED -褐色の破壊者- 第3話 -それぞれのできること-

 

自分に宛がわれた部屋の窓から外を見る。
漆黒の中に浮かぶ無数の星。
そして、少しずつ小さくなるヘリオポリスの残骸。

 

そう残骸だ。
どう言い繕おうと、自分が原因の一端を握ってしまっている事実。

 

あれから、見たこともない戦艦(あまりカッコいいとは言い切れないフォルムだったが)
に収容された俺とキラ。
キラの機体に乗り込んでた女性はマリューさんといって実際に連合の兵士だったらしい。
この戦艦…アークエンジェルというらしいが…に搭載されるはずだった新兵器。
その情報がザフトに漏れて、結果奇襲を受けて3体が奪取されてしまい、戦艦の乗組員も
多数が死傷したという。

 

で、俺とキラだ。

 

成り行きとはいえ、軍の超機密事項に触れた上に、二人して機体のOSを弄ってしまったモンで、
俺とキラ以外には使えなくなってしまったらしい。
二人の間でなら、何とかなる……というか、あの後二人で二つの機体のOSを同じにしたんだけどな。

 

ちなみに、あの時主兵装が使えなかったのは単にロックがかかってただけだったらしい。

 

あの後、ザフトの襲来がもう一度あった。
その時にはもうこの艦に収容されて多少説明を受けたとはいえ、いざ戦場に放り出されると
やっぱり自分でも驚くぐらい冷静に、そして冷徹に、戦うことが出来た。
そう、正規の兵士でも何でもない俺がだ。

 
 

コーディネーター。
実際、一口にコーディネーターといっても様々なヤツがいる。
正確には様々な分野に特化したヤツがいるって言った方がいいか。
実は俺自身は、今までどんな分野に適性があるのかとかは考えた事もなかったんだが。
もしかしたら……俺はこういう戦いの……

 

唐突に部屋のブザーが鳴った。
といっても非常召集とか物騒なものじゃない。ただ単に来客が来たというだけだ。
泳ぐようにして、ドアまで行き、ロックをあける。
ドアを開けると目の前にミリアリアの顔があった。
「ちょっと、何で逆さまなの?」
いやに顔が近いと思ったが、通路に正立したミリアリアと天井から倒立した俺とじゃ確かに顔は近いわけだ。
「いや……まぁ……色々と考え事をな……」
歯切れの悪い返事をしながら、改めてミリアリアの様子を見る。
違和感を感じる。そしてすぐに思い当たった。
「それ、軍服だよな?」
「そう。っていうか、何でアンタは着てないのよ」
「俺は……だって正規の兵士じゃ…」
「あー……また考え込んでたんだ」
大げさに肩をすくめて、ため息までつかれた。
「そんな…お前に心配されるような事じゃねーだろよ」

 

「あのね。誰も表立って言ってないけど、アンタやキラには感謝してるんだよ。
 まぁ、結果的にヘリオポリスはああなっちゃったけど、
 それでも私とか含めて沢山の人が助けて貰ったのは事実だもん。
 これから、この戦艦に乗ってる間、また戦うことになるかもしれない。
 それでも……私に、私たちが出来る事をしたいから。
 二人だけに背負わせたりしない。私達友達でしょ」
そこまで一気に捲し立てたあとで、大きく息を付いたミリアリア。

 
 

私たちが出来る事……か。

 

自分ができること。
今時分に出来る事は、あのバスターに乗る事。
そしてこの艦とこの艦に乗ってるコイツ等を守る事。
今までの悩みがアホみたいにすっきりした。なんだ、とても単純な事じゃねぇか。
俺には戦争なんて大層なことは出来ねぇ。ただ、目の前の、自分に出来る事小さな事をしていけばいい。

 

「ああ。そうだった。なんか色々忘れてた。アリガトな。ミリアリア」
そのとたん、急に不機嫌そうな顔になるミリアリア。
「ミリィ。またそんな他人行儀な呼び方して」
「あ、ゴメンな。ミリィ」
「よろしい。じゃ、また後でね」
そう言ってミリィはドアを閉めていってしまった。

 

俺の、キラの、ミリィの、そして仲間たちの……出来る事。
ゆっくりとベッドの上まで移動すると、まだビニールに包まれていた制服の封を破った。

 
 

前へ 戻る 次へ

 

 

今回から、ちょっとずつ原作のエピソードを省いたり
オリジナルな展開がはさまっていったりするかも。
原作と大幅に立場の違う人が出て来るかもしれません。

 

ディアッカが戦闘時の極限状況ですごかったのはきっと、
コーディネーター+主人公補正です(笑)

 

あと、キラの活躍はディアッカから見た補正でちょっと誇張されてしまってます。

 

それから、今後もディアミリ成分は随時足して行きます!(笑)