SRW-SEED_660氏_ディバインSEED DESTINY_第13話

Last-modified: 2009-07-19 (日) 14:41:50
 

ディバインSEED DESTINY
第13話 超機人伝奇異聞録

 
 

 無事謎の軍勢との戦いを終えたクライ・ウルブズの面々は、一機の欠落も負傷者もなくオノゴロ島へと帰還した。盾としての役回りを果たしたジガンスクードに、若干の被弾が見られたが、Eフィールドと重装甲の甲斐あってダメージは軽微なものだ。
 管制からの指示に従い、地下ドックへの入口が開き、各機が危なげない挙動で次々とその奥へと消えて行く。彼らと反対に交戦地域に散逸している敵機動兵器の残骸を回収する為の部隊が、オノゴロ島を出航している。
 メンテナンスベットに収まったインパルスから降りたシン・アスカは、フォーミュラシルエットについてメカニックチーフと、問答を重ねていた。
 敵機のモニターに対し残像を残し攪乱させる分身機能こそ使用しなかったが、可変速ビームライフル“ヴェスバー”やビームシールドはまず上々の性能を発揮し、特にビームシールドはこれからのDCの機体に標準装備として採用する価値がある。

 

「ところで飛鳥シルエットの方はどうですか?」
「やっぱりあっちに愛着があるか。お前さんにはやっとうが無ければ心許ないだろうからな。新しい液体金属の補充も終わったし獅子王斬艦刀を回しとくよ。UCシリーズのシルエットがいくつか出来るから、それもお前さんに試してもらう事になるがね」
「他にインパルスを造らないんですか? パーツの余剰があるはずですよね」
「流石にプラズマリアクターを搭載した奴は無理だが、プラズマジェネレーターに換えた廉価版とかは前から案は出とるよ。まあ各シルエットのデータ取りと合体機構の有用性とかの実証が取れてからの話だな。
 機体を三分割するのはダメコンには有用だが、扱う専用の設備を備えた艦艇の導入も行わにゃならん。ザフトさんはそれ用の艦艇、あのミネルバっちゅうのを建造したようだが、うちはどうだかな。
 スペースノア級だから簡易的な設備でなんとかなったが、宇宙軍で使っているペレグリンとかアルバトロスで本格的に運用するなら大幅に改修を施さんとなあ。ライノサラスやストーク、キラーホエールだとさらにむつかしい」

 

 こればっかりは予算が最大の敵だよ、とメカニックチーフは顎の無精ひげを撫でる。

 

「でもペレグリン級ってブロック構造だから割と改修も簡単なんじゃないですか」
「まあな。大気圏内での仕様に耐えうるよういろいろ手を加えなきゃならんだろうが、まあ宇宙空間での運用のみと割り切れば悪くない話だ。おれよりは総帥に意見しな。お前さんよっぽど親しいらしいじゃねえの」
「はは、まあ今度会った時にでも話をしてみますよ」
「とりあえずは空間高機動戦闘用のフルバーニアンシルエット、Eフィールドジェネレーターと追加テスラ・ドライヴに有線制御式兵装ポッド“リフレクターインコム”を搭載したEX-sシルエット。
 それに特殊な推進装置を搭載したV2シルエット、ミラージュコロイド以上のステルス性を持ったアクティブクロークという可動装甲を搭載したデスサイズシルエットってのができているから、スペックを頭に叩き込んでおけ」
「全部おれの担当ですか?」
「まあ、実際に全部の性能を確かめる余裕はねえだろうな。それに総帥が進めとったちゅう極秘の決戦兵器の開発計画もあるって話だ。それほどの機体を任されるのは、やっぱりお前さんだろ?
 前の大戦の時もグルンガストはお前さんが任されているし、総帥が目を掛けているだけの実力があるってのは、お前さんの実績を知っているなら誰だって分かるからな。なんにしろアメノミハシラの総帥と連絡がつかにゃ進まない話も多くってなあ」
「それは……そうですね」

 

 元から技術大国として名高かったオーブに相応しく、DCに所属している技術陣の能力は総じて高い。それ相応に保有する機動兵器の技術水準もやはり高い。その成果もあって同数の部隊での戦闘で、操縦技術が互角となればまず負けはない。
 ナチュラルとコーディネイターを問わず有用な人物を積極的に採用している(選ぶ余裕が無いとも言える)事もあるが、総帥たるビアン・ゾルダークがひとえに頭抜けた天才であるという事も大きい。
 ビアンがその頭脳と乗機であったヴァルシオンと共にもたらした技術が驚くべき速さで旧オーブに浸透し、強力な兵器の数々の誕生につながったのは言うまでもない。
 異世界の死人達の、専門的知識が無ければ解析し応用する事が出来なかった技術を他の陣営に比して圧倒的な早さで実用してきたのも、総帥に戴くビアンの頭脳あればこそだ。
 しかし、そのビアンが不在となると、彼が関わっていた計画の大多数に遅滞が生じてしまう弊害があった。メカニックチーフが口にしたのは、まさしくその弊害のことである。
 顔色を曇らせたシンに気づいて、慌ててメカニックチーフが手を振りながら言った。

 

「まあ、お前さんやおれが気にしてもしゃあない。ミナ副総帥の一括でいろんな部署が動いているからな。お前さんは総帥が戻ってくるまでここを守る事に腐心しときな」
「……はい、そうします。それじゃあインパルスの事、よろしくお願いします」
「おう!」

 

   *   *   *

 

 オーブ諸島のとある島の地下軍事施設最下層フロアの格納庫前。踝まで届く丈の長いコート状のDC軍服を着こんだ三人の少年と、中世貴族風の黒マント姿の麗人の姿があった。
 見つめる者の心を負の魅力引きつける病的な白い肌に、感情と言うものがほとんど見えず、職人の精巧な技で彫琢された仮面の様な美貌を全く変わらず備えた少年たちはソキウス。
 黒マント姿は言うまでもなくDC副総帥ロンド・ミナ・サハク女史その人である。常は艶然とした笑みの似合う女帝の如き美貌が、心なしか不愉快そうな色を浮かべている。
 美男美女の多いコーディネイターの標準を大きく上回るその美貌の、刃のように鋭い稜線を描く鼻梁の頂に位置する眉間に、かすかに皺が刻まれている。そう感情を表に出す事が無いこの女傑には珍しい事である。
 三人組のソキウスの先頭に居たテン・ソキウスが確認するように背後のミナを振り返り、ミナが鷹揚に頷く。通常の格納庫よりも厳重に閉ざされた扉の傍らに設けられたキースリットにカードキーを通す。
 ピッという音と共に厚さ一メートルの扉が重々しい音を立てながら左右に開いてゆく。どれだけの事態を想定していたのか三重にも封印が成されていた。並みの出力のビームライフルでは、十発撃ち込んでも突破できそうにない。
 ウズミ・ナラ・アスハ政権の時に秘匿されていた開発途中のアカツキを発見した場所である。アカツキの発見以来放置されていた場所であったが、そこに巧妙に隠された資材の搬入記録などが確認され、直々にミナが出向いたのである。
 本来副総帥の地位にあり、ましてやかような異常事態に見舞われた状況で、軽々しく動ける筈が無いから、よほどのモノがここにあるのだろう。しかし、それがミナの不機嫌につながるとは、これは如何に。
 扉が完全に開くのに合わせて、内部の照明が暗闇を払拭してその中に隠されていた代物を露わにする。それはずらりと並び威容を誇る機動兵器群であった。DC内部においてもこれだけの事を副総帥に知られずに行えるものはごく少数。
 政治の重鎮ウナト・エマ・セイランやホムラ、あるいはミナとギナの義父コトー・サハク当たりか。ユウナではまだそこまで大胆な事は出来ないだろう。
 軍事部門はミナとギナが掌握しているが、ギナはアメノミハシラやアルテミスを中心に活動しているから、わざわざ手の届きにくい地上で開発を行うとも思えない。マイヤー宇宙軍総司令も同様だろう。
 あるいはそう思わせておいて、とも考えられるが今回ばかりは黒幕の目星から外して構わない。なぜなら

 

「ビアンめ。国の予算に手を出さなかった事はともかく、このようなモノを作る暇があったとはな」

 

 常と変わらぬ口調の中に混じる不穏な響きに、三人のソキウス達がかすかに体を緊張で強張らせた。ミナが静かな心と顔容の奥に煮えくり返るほどの怒りを覚える時の前兆だ。自軍の総帥がこっそりと行っていた所業が腹に据えかねているのだろう。
 この時、次元断層に隔絶され遠く離れたアメノミハシラで、ビアンは背筋に悪寒を覚えたという。

 

「ミナ様、これらの処分はいかがいたしますか?」
「解体してパーツを……いや、使い所が難しいかもしれんが一応使えるように整備だけはしておくよう手配せよ」

 

 地下奥深くに隠されていた機動兵器群。それは果たして如何なるものであったのか。特別なコーディネイトを施され、コーディネイターとしては最上級に分類される能力を持つミナの頭脳をもってしても、運用方法に悩むものであるらしいが?

 

   *   *   *

 

 太陽も星も消え、昼は大いなる光源が失われた事で晴れ空になっても曇天の如く世界は暗く、夜は月と星の光が消えて真正の闇の帳が下りて人間の闇を恐れる原始の本能を呼び覚ます。
 作物の育成不良によって起きるであろう食糧危機や、太陽光発電に委ねていたエネルギー危機など民衆の生活に影響を及ぼす重大な問題が日夜論議され、明確な解決案や対策が公表されず、危機感や不安は募り暴動がいつ起きても不思議ではない。
 地球規模で起きた異常事態に際し各国で対処が急がれる中、東アジア共和国の旧中華人民共和国領土で行われる発掘作業の現場に舞台は移る。
 対DC戦を想定し経済特区・日本の伊豆基地に戦力を集中させる中、バッテリー駆動の旧式MSまで動員し、警備にはダガーL、105ダガー、バスターダガーをはじめとしたダガーシリーズの姿まである。最新型であるウィンダムも片手の指ほどだが姿があった。
 一個中隊規模の戦力が警護に割り当てられているからには、よほど重要性の高いなにかが、この地に眠るらしい。作業に従事している者達も、軍上層部から極秘に通達された今回の任務の詳細を知る者が少なく、極めて秘匿性の高い任務であった。
 天に向けて地面に突き立てられた刃の様な鋭い稜線の山々が連なり、今にも圧し掛かってくる圧倒的な質量を備えた岸壁には、薄靄がかかりこの地を人跡未踏の霊地の様に飾り立てている。
 岸壁や山の中腹などを注意深く見れば、人一人がようやく歩ける程度の細い道がある。獣さえ歩くことを拒絶するだろう。一歩踏み外せば数十メートル、数百メートルをたちまちの内にはるか下方の地上へと落下して赤い染みに変わってしまう。
 巨大な岩の影やわずかに茂った灌木の中、分厚い岩壁に穿たれた無数の洞窟、その中に時折蠢く影や不気味に明滅する光を目撃する作業員たちが後を絶たず、生ぬるい手で常に背筋を摩られているような感覚に襲われ体調を崩す者も少なくない。
 巨人が適当に放り投げた無数の岩でできた様な大地の隙間を縫うように設営された作業員用の宿泊施設では、時間感覚の麻痺してしまいそうな場所で、日々作業に従事する作業員たちが短い休憩を取っていた。
 MAミストラルやキメラをはじめ、プチモビと言われる三メートルほどの小型作業用MSも、かなりの数があちらこちらに見られる。
 いくつかあるテントの一つで、ランチのパックを受け取ったMSパイロットらしい青年と看護兵の女性が並んでベンチに腰かけていた。
 短く刈り上げた金髪に、意志の強い瞳と清涼とした雰囲気のいかにも好青年といった感じだ。隣の女性は優しげで柔らかな目元や、豊な体のラインから強い母性のイメージを見る者に与えるだろう。
 切り揃えた青い髪と同色の瞳。青く飾られた顔立ちは十分に美貌と呼べる代物だ。パイロットの金髪の青年がブルックリン・ラックフィールド、看護兵の女性がクスハ・ミズハ。
 地球連合軍所属のうら若い兵士の二人だ。今回の発掘作業に従事して以来の付き合いだが、ここに来てからも一か月近い時間がたち、今では食事を共にするくらいの仲にはなっている。
 クスハとブルックリンに、近づくが二つある。女性と見間違いそうな優しさと押しの弱さが見て取れる少年に、反対に気の強さやまっすぐな性格が顔にあらわれている女性の二人組だ。
 整備兵らしい少年がリョウト・ヒカワ。凛とした印象の女性がリオ・メイロン。彼らも今回の発掘作業で知り合った二人で、クスハらとは年が同じ事などから行動を共にする事が多い。
 特に話の話題となるのは、今回何を発掘しているか、という事だ。噂では古代には開発された機動兵器が眠っているだの、謎のエネルギーを発生させる超物質が埋蔵されているだの、所謂オーパーツと言われる超技術の産物が眠っているだの。
 どれもこれも眉つばものの話ばかりで、大規模の人員や兵器、予算を費やす価値があるとは到底思えない、というのが作業に従事している者達の共通の認識だ。

 

「作業の方はどう、ブリット君? なにか見つかりそう?」
「それが全然さ。掘っても掘っても岩ばかり。むかしここに住んでいたっていう一族の人達でもいれば手掛かりはあったろうけど、いまじゃ世界中に散って行方が知れないって言うし」

 

 ブルックリンを愛称で呼び、クスハが終わりの目処が立ったが尋ねるが、ブリットの返事は芳しくない。作業に使っているMSの整備を担当しているリョウトも、パーツの劣化や、予備の部品が心許なくなってきた状況に眉をひそめている。

 

「目的が分からない状況だし、みんなの疲労も溜まっているよ。士気も低くなっているしね。それにここもなんだか不思議な場所で、不気味がっている人も多いよ」
「それは私も思うわ。なんだか誰かに呼ばれているような気がするのよね。ここに来てからずっと、クスハやブリットも聞こえているのよね?」
「ええ。ずっと、耳の奥、ううん。直接頭の中に聞こえてくるの。小さな声だけど、すごく何かを訴えかけているような」
「でも、なにか私達に悪意がある様には聞こえないのよね。他の人達にも聞いてみたけど、そんな声が聞こえているのは私達四人だけ、これってどういう事なのかしら?」

 

 首を捻るリオだが、他の三人も心境は似たようなものだ。何者かの“声”は、地球が宇宙に隔絶されてから日を追うごとに強まり、特に眠りに陥ってからはなにかおぼろげなビジョンと共に四人の脳裏に呼びかけてくるまでになっている。
 精神的な障害か何かかと軍医に相談してみても、四人共に健康に問題はなく結局声の正体は不明のまま今日に至っている。
 彼らの精神へのストレスもそうだが、作業員全員が先の見えぬ状況に疲れているのは明白で、作業効率も日に日に落ちている。
 混迷と言えばこれ以上ないほど混迷した事態となっている世界情勢の中では、それは果てしない暗雲となって全員の心を見えない鎖で雁字搦めにしていた。ストレス、不安、疲労、それらが積み重なり取り返しのつかない事故が起きるのも直だろう。
 ランチの時間の終わりと告げるサイレンがなり、四人がそれぞれの現場に戻ろうと立ち上がった時、それぞれの脳裏に錐を差し込まれるような痛みが走る。それは明確な悪意に放射によるものだ。
揃って四人が空を――暗く翳った冷たい空を見上げる。この悪意の源たる何者かが。

 

「クスハ、リョウト、急いで避難しろ! リオ、迎撃するぞ」
「分かっているわ。リョウト君、クスハ、私達が何とかするから、それまでは下手に外に出ちゃダメよ」

 

 乗機であるウィンダムを置いてある場所まで急いで走りだそうとしたリオとブリットの上空を、飛来したビームの矢が緑色に照らしながら通過していった。その先にあった作業用のMAへと直撃し、直後発生した爆発が四人の体を煽る。

 

「MS!? どこの所属だっ」

 

 空を仰いだブリットの目が愕然と開かれる。空に姿を露わにしたウィンダムだ。地球連合参加国に共通する最新鋭の量産型MSではないか。

 

「友軍機? 鹵獲機の部隊なの!? でもまだ配備中のウィンダムまで、どうして」

 

 彼らの戸惑いなど斟酌する筈もなく、襲いかかってきたウィンダム部隊は容赦なくビームの雨を降らし、ジェットストライカーに装備されているMk315スティレットの火を噴かせて、爆炎と悲鳴を次々と巻き起こして行く。
 ようやく迎撃に動きだす機体もあるが、突然の友軍機からの奇襲と言う事態に動きは鈍く、その隙は見逃されず、敵は蚩尤塚と呼ばれるこのあたり一帯の空を埋め尽くし、死を撒き散らす禍者の軍勢の如く君臨している。
 数を増す奇襲部隊の数は三十を越している。その部隊の中心に位置するウィンダムのコクピットで、今回の奇襲作戦を立案・指揮する男が爬虫類めいた笑みで眼下の一方的な虐殺の光景を見つめている。
 おそらくはアクセサリーとしての機能しかないであろう小さな丸眼鏡を長めの鼻に掛けた、三十代半ばほどと見える黒緑色の髪の男である。穏やかな笑みでも浮かべていれば知的な風貌と移るが、歪んだ笑みを浮かべていると酷薄極まりない顔立ちに変わる。
 かつてラクス・クラインに協力する者として近づき、裏切りの果てに前大戦の舞台から身を引いていたアーチボルド・グリムズ本人だ。
 地球連合の何処の勢力に身を置いているのかは分からぬが、それなりの地位についているのは確かだろう。彼が率いている部隊はおいそれと動かせるほど小さな規模ではない。
 アーチボルドは自分に預けられた部隊を率い、半ば独断に近い形で蚩尤塚の発掘部隊を襲撃している。死してこちらの世界に来る前も、同じように襲撃したこの発掘現場に眠るモノを求めるが故の凶行だ。
 アーチボルドの生家グリムズ家没落の原因となった、古代の人々が百邪と呼ばれる悪魔や破壊神と対抗する為に作り上げた、超機人と呼ばれる巨大な機動兵器達が、ここにはあるはずなのだ。
 その力が戦局を左右するほど強大なものである事は、アーチボルド自身が生前実体験している。もし、あの通りの力を持った超機人が実在しているならば、MS百機と引き換えにしても惜しくはない強大な力となる。

 

「戦闘員も非戦闘員も区別せずすべて吹き飛ばしてしまいなさい。アレはこの程度の爆撃で壊れてしまうほどやわではありませんからね。くふふ、さあ、逃げ惑う連中も隠れている連中も鏖です!! 楽しませて下さいよぅ!!」

 

 あひゃひゃひゃと下劣な品性を露わにしながら、アーチボルドが下す命令に従いグリムズ配下の部隊は止む事無くトリガーを引いて、蜘蛛の子の様に散る作業員たちを焼き払い、吹き飛ばし、焼ける人肉や蒸発してゆく血、焦げた骨の匂いが立ちこみ始める。
 吸い込んだ空気に混じる悪臭に、クスハは喉の奥から込み上げてくる物を必死に堪えた。流れ弾が近くで爆発し、とっさに駆け戻ってきたブリットに庇われているようだ。
 地面に伏せた姿勢のまま顔を巡らせて、リョウトやリオも同じように地面に伏せているのを見つけた。クスハの背中に覆いかぶさる形のブリットが、小さくうめき声を上げた。
 クスハは体を起こし、ブリットの体に怪我をないか確かめるが、大きな怪我をしている様子は見られない。安堵の息が知らず唇を割っていた。

 

「ブリット君、大丈夫? どこか痛む所は?」
「痛ッ、うう。だ、大丈夫だ。それよりもクスハは」
「私は大丈夫。ブリット君が守ってくれたから」
「あ、いや当たり前のことをしただけだよ。そうだ、リョウト、リオ、そっちは大丈夫か?」
「あつつ、う、うん。ぼくもリオも怪我はしていないよ」

 

 クスハ達から五メートルほど離れた場所で膝をついて立ち上がるリオ達の姿が、ブリットの目に移る。ツナギやパイロットスーツに汚れは目立つが、血の滲む個所はないようだ。
 四方で轟く爆音や悲鳴は、いっかな止む事はなく激しさを増すばかりだ。迎撃に動き始めたランチャーダガーLが、上空から射掛けられた無数のビームによって蜂の巣になって爆発する。
 赤外線誘導ミサイル搭載車両やリニアガン・タンクの砲火が地から天へと尾を引いて走るが、M2M5トーデスシュレッケン12.5ミリ自動近接防御火器などで容易く撃ち落として行く。
 ただの発掘作業現場にしては(そもそも軍が発掘作業を行う事自体が珍しいが)過剰に戦力が配されていたが、相手がウィンダムで揃えた最新技術で整えられたMS部隊とあっては、劣勢に立たされるばかりだ。
 バッテリー駆動機と核動力機とでは覆し難い戦闘能力の差が大きく溝を上げているのだ。無数の爆発によって聳え立つ山や岩壁が崩れ、クスハ達の位置からでは乗機まで辿り着くのは困難というよりも不可能な事に、ブリットとリオが気付いて眉を顰める。

 

「一体どうして、こんな……!?」
「クスハ、どうした!? 大丈夫か……何だ」
「クスハ、ブリット! これは、声? 声がする!?」
「リョウト君、この声は」
「間違いないよ、ぼく達に語りかけて来たあの声だ」

 

 アーチボルド率いる部隊の奇襲によって、次々と作業部隊が血祭りにあげられる中、クスハ達の脳裏へと語りかけてくる謎の声は、これまでよりずっと強く明瞭と聞こえてくる。図らずもアーチボルドの悪意に呼応するかのようだ。

 

「誰がおれ達を呼んでいるんだ?」
「分からないけど、敵じゃないと思う。この声、優しいもの」

 

 戸惑いこそ拭えぬが、クスハはある程度この声の主に信を置いたようだ。非科学的なオカルトちっくな現象に、ブリットらは戸惑いを隠せないが自分達を呼ぶ声には切実とした響きめいたものが混じり始めている。

 

「とにかく、ここから移動しましょう。どんどん攻撃が激しくなっているわ。近くに友軍が運よくいるにしても、ここに駆けつけてくれるまでどれだけかかるか分からないもの」
「リオの言う通りだね。この声のする方に行ってみよう。確証はないけど、たぶんそうした方がいい」
「というよりも回りが崩れた崖や岩で塞がっているからな。そっちしか行ける所が無い」

 

 ブリットが現実を見てリョウトの意見を支持した。警備の部隊はかろうじて持ち直して反撃のビームやバズーカを見舞ってはいるが、敵は腕もそれなりの連中を揃えて来たようで、味方が文字通り全滅するのにもそう時間はかからないように見える。
 一通り作業員たちが寝泊まりしているテントやMSが寝かされている簡易格納庫を焼き払い、時折物陰から飛び出す人間達にはトーデスシュレッケンの弾雨を浴びせかけてミンチに変えている。
 アーチボルド配下の部隊を構成しているのは、彼と似た様な性癖を持った鼻摘み者が多い。命令を無視して過剰な虐殺行為を行い、捕虜を私怨ではなく楽しみの為に虐待し、開放した村や町の人々にも同様の行為を行って、軍法会議に掛けられた問題児ばかりだ。
 銃殺刑や監獄行きになる所をアーチボルドが拾い上げ、独自に行動できる部隊を作り上げたのだ。性質としてはファントムペインによく似ている。
 動く者がほとんどいなくなってから、アーチボルドは満足げな笑みを浮かべる。後は持ち込んだ爆弾で超機人を埋めている地層を吹き飛ばせばいい。東アジア共和国のうすのろ連中が気付くまでまだ時間はあるだろう。
 手配した輸送機が到着するまでにさっさと用を済ませようと爆装したウィンダムを呼び寄せようとしたアーチボルドに、敵機の接近を告げる部下の通信が入った。ジェットストライカー装備のウィンダムをわずかに下回る程度の速度だ。

 

「識別は東アジアですか。しかし、何処の部隊が?」

 

 訝しげに三白眼見たいな眼を更に細めて見つめるアーチボルドの視線の先で、一機のウィンダムが彼方から飛来したビームにコクピットを貫かれて爆散する。
 オレンジ色のビームの源をたどれば、ブロックを集めてかろうじて人型にしたような武骨な造りのMSが五機、こちらに急速で接近してくる。東アジア共和国最新鋭MSティエレン。
 しかも両肩に増設されたバインダーや機体各所のスラスター、追加された頭部のモノアイレールからして、東アジア共和国の特殊部隊に配備されたタオツーと呼ばれる特殊な機体に違いない。
 四機のティエレンタオツーを率いているのは、腰裏に大型の高機動パックを装備したティエレン高機動型だろう。アーチボルドの脳内の記憶が確かなら、ロシアの荒熊の異名を持つセルゲイ・スミルノフが隊長を務める特殊部隊“頂武”。
 超兵と呼ばれる特殊な兵士以外にも腕利きパイロットが多く所属している筈だが、今回は超兵とセルゲイのみのようだ。タオツーの試験運用でもしていた所に、蚩尤塚の戦闘を察知したのか。

 

「東アジア共和国の切り札の実力を確かめるのも悪くはありませんか。全機、新たな敵も殲滅しなさい」

 

 赤色のタオツーに搭乗したマリー・パーファシーが、発掘作業の現場と連絡が取れない事を隊長であるセルゲイに伝える。銀色に輝く美しい髪を持った少女だ。到底軍人とは思えぬ華奢な体躯と温和そうな顔立ちをしている。

 

「中佐、発掘部隊との連絡はとれません。指揮系統も既に寸断され警備部隊もほとんど機能していないようです」
「ユーラシアか大西洋か、いずれにせよ見過ごすわけにゆかん。各機散開、生存者を救出すると同時にアンノウンを迎撃する」

 

 セルゲイの命令を合図に、オレンジの機体カラーに右肩を金色に塗装したタオツーが突出する。立座式コクピットに座る長身の影はハレルヤ・ハプティズム。長い前髪に左目は隠れ、露出した右目は自機の右肩と同じ金色に輝いている。
 獣めいた笑みを浮かべ、ハレルヤは高笑いと共にこちらを待ち構えるウィンダムの群れへと挑みかかる。

 

「ハレルヤ、前に出過ぎだ!」

 

 ハレルヤを諌めつつ、彼のタオツーと同じよう機体色に、左肩をダークグレーに近い銀色に塗装したタオツーが続く。ハレルヤとまったく同じ容姿を持った青年アレルヤ・ハプティズムだ。
 ハレルヤと対照的に前髪で右目が隠れ、左目が露わになっている。人の持つ獣性を剥き出しにしたようなハレルヤとは逆に、長い歴史を掛けて人類が培った理性や倫理観を宿した瞳を持っている。アレルヤがハレルヤの手綱を握っているのだろうか。
 思った通りのハレルヤの動きに、セルゲイはやや後方についてフォローに回って、マリーとソーマも二機でペアを組んで動きだした。
 ピンク色のタオツーを自分の体の延長線上の様に自在に操るソーマ・ピーリスは、アレルヤとハレルヤが鏡合わせの容姿を持つ様に、マリーと等しい顔容を持ち反対の気性を持っている。
 二組の双子達が東アジア共和国の作り出した人的切り札“超兵”そのものなのだ。四人共が二十歳に届くかどうかと言った若年者だが単純な技量は、地球圏の全勢力を見渡しても確実に最上級にランク付けされる。

 

「マリー、ハレルヤの馬鹿をサポートする。中佐、失礼します」
「貴女まで前に出過ぎたらハレルヤと一緒よ、ソーマ」

 

 律儀にセルゲイに断ってからソーマのピンクタオツーも、ハレルヤに続いて間接各所のスラスターを噴射して、前進し撃ち掛けて来たウィンダムのビームを軽やかに回避して見せる。
 割合ソーマの根の方の性格はハレルヤに近いものがあるのかもしれない。本人は全力で否定する事だろう。マリーもアレルヤ同様に色々と苦労していそうだ。

 

「はっはあ、動きが遅ええ!!」

 

 四機、五機と次々と集中する火線はすべてビームであるにもかかわらず、ハレルヤにはその全てが泥沼の中を泳ぐ魚の様にのろのろと映って見える。
 ウィンダムの指が引き金を引くよりも早く、正確にコクピットをポイントしたハレルヤタオツーのビームライフルが、五回きっかり光の矢を放った。五つの爆発は全く同時に起きた。
 驚くべき神技――あるいは魔性の業とでも言うべきハレルヤの連続早撃ちだ。磨き抜いた操縦技術の持ち主といえどもハレルヤと同じレベルの事が出来る者が、現在の地球圏に果たしてどれだけいる事か。
 数珠繋がりで灰色の空を五つの爆炎が飾り、その輝きにハレルヤは暗い喜びを覚えて口元を歪める。他者の死をもって自らの生を実感する極めて危険な嗜虐的な性向をこの青年は心の根深い所に抱えている。
 ハレルヤタオツーの傍らをソーマタオツーが追い越し、腰裏にマウントしてあるカーボンブレイドの一閃で、ウィンダムの胴を容易く横薙ぎにする。
 両断されたウィンダムの上半身と下半身が爆発するよりも早く、周囲から群がるスティレットの弾幕に気づき、ソーマは回避運動に入りくるくると独楽の様にソーマタオツーを回転させ、全面モニターに映る前後左右のウィンダムを視界にとらえる。
 脳量子波という特殊な脳波を応用して超人の反射神経や反応速度を得た超兵たるソーマには、ベテランとはいえただの人間である敵の動きはあまりにも緩やかだ。
 ソーマタオツーの左手からカーボンブレイドが真正面のウィンダムへと投じられ、風を切って飛んだカーボンの刃がウィンダムの胸部から頭部に掛けて貫いた。その背後から新たなウィンダムの編隊が姿を見せる。
 左右に別れたウィンダムからの同時射撃を、各所のスラスターの噴射による細かい挙動でやすやすとかわし、数射の反撃でソーマから見て右側に展開していたウィンダムが次々と爆発してゆく。
 反対の左側に位置するウィンダムは、ソーマのフォローに回ったマリーとアレルヤの援護射撃がすべて撃墜している。
 戦闘開始からわずかな時間で、三分の二近くにウィンダムの数が減っていた。超兵用に開発されたタオツーと超兵たる彼らの恐るべき戦闘能力の賜物だ。

 

「援護感謝する。マリー、アレルヤ」
「気にしないで」
「ハレルヤの真似はしないでほしいな」
「分かっている!」

 

 語気を荒げ、ソーマは新たに迫りくるウィンダムへと視界を映した。接近し過ぎての同士討ちを嫌って、敵は距離を置いて戦うつもりのようだ。自身が超兵であるという自負とタオツーへの信頼で満ちるソーマは恐れる事無く数で勝る敵へと挑む。
 アレハレ・ソーマリーカルテットが十分に敵機と戦えている状況を確認し、セルゲイはティエレン高機動型で地上すれすれをホバー走行しながら、オープンチャンネルや外部スピーカーで呼びかけて回っていた。
 頂武の本隊もそう時間をかけずに到着するだろうが、助けるべき生存者がいなくては意味が無い。友軍機を使うアンノウンも、戦闘不能になって地上に落着した機体は一機残らず自爆し、身元や所属を明らかにする証拠を抹消している。

 

「パイロットを捕らえるには自爆装置の故障を願うしかないか」

 

 嘆息に近いものを口から零しつつ、セルゲイはあきらめず生存者がいないか呼びかけ続ける。その上空で、ウィンダムの数は半数にまで減っていた。
 アーチボルドはかつて自分を殺したブランシュタイン兄弟に匹敵するのではないかとさえ思えるタオツーのパイロット達の技量に、内心驚きを禁じ得なかった。エースばかりが揃ったヒリュウ・ハガネ隊の隊員としても十分にエース級として通用する。
 冗談の様な勢いで見る見るうちに減ってゆく部下達のだらしなさに舌打ちをし、今回も超機人の奪取は諦めなければならなそうだと、臍を噛む思いであった。
 知的な表向きの風貌を押しのけて、アーチボルドの本性とでも言うべき冷酷非情な色がじくじくと浮かびあがる。とはいえこれ以上自分が自由にできる手駒を失うのを見ているわけにも行かない。
 仕方なく撤退の合図を告げ、各機がスモークディスチャージャーやチャフグレネードを辺り一帯にばらまき攪乱を図りはじめる。それらを一切無視して自身の直感に頼って煙幕の中に突っ込み、ハレルヤが立て続けにビームを撃った。
 濃い白煙に遮られた視界の中で命の灯を見たのか、それとも命の鼓動を聞いたのか、命を刈る魔物の様な正確さで、背を見せていたウィンダムが二機コクピットを貫かれて、パイロット達が一瞬で蒸発する。

 

「逃げるんじゃねえよ、てめえらが売ってきた殺し合いだろうがっ!!」
「ヒリュウ・ハガネ隊よりもよほど気が合いそうな声ですねえ。ですが命あっての物種という言葉を知っている人間なのですよ、私は」

 

 ジェットストライカーの推進力を全開にし、アーチボルドは逃げる事を恥と感じてはいない様子で戦域からあっという間に離れて行く。後を追おうとハレルヤは動くが、ハレルヤタオツー左肩にアレルヤタオツーが手を置いて止めた。

 

「止めるな、アレルヤッ。今ならまだ追いついてあいつらぶち殺せるぜぇ?」
「そうは行かないよ。敵の増援がいないとも限らないし、救出作業も行わないといけないんだから」
「んなこたあ、てめえらで勝手にやりやがれ。おれは怪我したまぬけを助ける為にこいつに乗っているんじゃねえんだよ」
「だめよ、ハレルヤ。アレルヤの言う事を聞いて。ね? 貴方に何かあったら私もソーマも悲しいわ」
「私はそうでもないがな」
「もう、ソーマ!」
「ふん」
「け、どっちらけちまったぜ」

 

 吐き捨てる様にして呟いて、ハレルヤはようやくまき散らしていた怒気を納める。ハレルヤが自分達の意見を聞き入れた事に安堵し、マリー、ソーマ、アレルヤそれぞれが肩から力を抜いた。

 

「それじゃあ、急いで生存者を捜しましょう。ひどくやられてしまっているけれど、まだ生きのある人がいるかもしれないわ」
「……どうやらそうもいかないみたいだぜぇ。見ろよ、どこのどなた様か知らねえが、錆くせえ虫どもが来やがったぜ」
「なに、またアンノウンか」
「中佐、気を付けてください。所属不明の敵機です!!」

 

 ハレルヤが感知し、ソーマが警告を告げて来た相手を、セルゲイのティエレン高機動型も確認する。ウィンダムらが撤退したのとは別の方向からまっ白い甲殻に身を包んだ虫の様な機体がこちらへと接近してくる。

 

「こちらの呼び掛けには一切応答なしか」

 

 あらゆる周波で呼びかけたセルゲイに、虫達からの返信はなかった。先ほどのウィンダムなどはまだ地球圏の勢力の手によるものとはっきり分かるが、まったく開発経緯が推測できない外見の機体だ。
 四足のカブト虫と言った所だが、76mm口径の銃弾を弾く装甲や口元からリング状のレーザーを吐く虫はまずいまい。
 虫達――セルゲイらは知らぬが、メギロードと呼ばれる機体は、何ら事前通告もなくリングレーザーを滞空していた四機のタオツーへと雨の様に浴びせかけてくる。
 ハレルヤは楽しげに、アレルヤは苛立たしげに、ソーマは凛然と、マリーは静やかにメギロードたちをモニター正面に映して、呟いた。

 

「いいねえ、こうでなくっちゃつまらねえ」
「く、一体どこの誰がこれだけの戦力を」
「超兵がこの程度どうにかできるなどと思っているようだな」
「皆、怪我をしないようにね」

 

   *   *   *

 

 メギロードと頂武の精鋭達との間で砲火が交わり始めた時、その眼下では脳裏に届く声の導きのままに進んでいたリョウト達が付近に落下したウィンダムの爆発の影響で崩落した足場に巻き込まれ、空洞状になっていた地下へと落ちていた。
 咄嗟にリオを抱きしめて庇った姿勢で落下したリョウトは、落ちてきた岩か地面に頭を打ったらしくひどい鈍痛を感じながら、意識を闇と覚醒の堺でまどろわせていた。
 明瞭としない意識の中、リョウトは一度落ちてしまえば二度と戻っては来られない深い穴の縁に立っている。左右も後ろも上も四方八方が闇の中であった。手を伸ばしたらその指先が見えなくなってしまいそうなほどに濃い闇である。
 その闇の只中にあってもなお、目の前に広がる深淵は深く暗く、他の闇が明るいものとさえ見えるほど。その深淵の中へと一歩を踏み出そうとしたリョウトを背後に突如出現した巨大な気配が引き留めた。
 人間などちっぽけな存在にしか感じられないほどに巨大で圧倒的な存在が、自分の後ろにいる。だが、リョウトの心には不思議と恐怖はなかった。
 単なる気まぐれで人間など千も万も虐殺出来るほどの力を持ちながら、その存在には暖かなものを感じる事が出来たからだ。この存在が自分達を呼んだ声の主だと、リョウトは直感的に悟った。
 声は言う。厳かに、猛々しく、穏やかに、試す様に、

 

【汝、人界の救済を望むや】

 

 その声は合唱の如く重なるようにして四つあった。

 
 

――つづく。