天国へのメール
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父さん、母さん、マユ元気してる?オレは元気だよ
今は野原さんっていう家族のところでお世話になってるんだ(´w`)
家の人はみんな元気で特にそこの子どものしんのすけ君とひまわりちゃん
って二人がいつもはちゃめちゃやってたりするけど、
それがここの家族のいいところなのかな?
オレはここの家族と元気やってるからみんなも心配し
シン 「オレ、何書いてんだろ…」
シンは先程までしきりに動かしていた指を携帯の文字盤から離し、自分で打った文章を悲しそうに眺めた…目には涙が溜まり、潤んでいた。
しんのすけ(以降しん)「シン兄ちゃん、何してるの?」
シン 「!? し、しんちゃん、何?」
シンは自分の後ろから聞こえたしんのすけの声に気づくと、涙を悟られまいと服の袖で目を急いで拭いた。
しん 「シン兄ちゃん、もしかして泣いてたの?」
シン 「な、泣いてなんかいないよ…ただちょっとメール書いてただけ…」
しん 「メール?」
シン 「そう…けどこのメール…届かないんだけどね…」
シンはそう言うと携帯を持ってる手を力無くだらんと下げた。
しん 「シン兄ちゃん、オラにちょっと貸して!!」
シン 「えっ、ちょ、しんちゃん!?」
しん 「いいから、いいから、ね~送るボタンはどこ?」
しんのすけは小さい体をジャンプさせてシンの手から携帯を取ると、シンにメールの送信方法を尋ねた。
シン 「ひ、左端の上のボタンを押せば…送れるけど…」
しん 「なるほど~え~っとここか…送信っと…ほら、シン兄ちゃん送れたぞ~!」
シン 「うん…」
しんのすけはメールの画面に出てきた飛行機が飛び立つ映像を見終わると、満面の笑みでシンにその携帯を返した。
しん 「シン兄ちゃん、手紙だって、メールだって送れない物なんてないゾ!
ちゃんと届くんだから、伝えたいことを伝えないでいるのはよくないゾ!!」
シン 「しんちゃん…」
みさえ「シンく~ん、しんのすけ~ご飯よ~」
しん 「ほ~い、今いくぞ~」
二人が話していた時、隣の部屋からみさえの声が聞こえ、しんのすけはすぐさまそちらの方に走っていった。
シン 「しんちゃん…ありがと…」
シンはうつむいたながら小さく呟くと、顔から水滴を落としていることに気づき、また袖で二、三回ほど
目の辺りを擦ると、再び【同じメール】返ってくる前に携帯の電源をそっと切り、自分のポケットにしまった。
シン 「みんな…オレは元気だから…」
窓から見える夜空の遠くを見据えてシンは言うと自分もしんのすけのあとをおった。
センターが混雑していたせいか、すぐ返ってくるはずの【メール】は電源を切るまでに、多少時間があったのに返送されることはなかった…
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