「ライトニング……飛び降りました!いったい何をする気なの?」
モニターを見て通信士のルキノ・リリエはシンの取った行動に驚く。
ほとんど自殺行為だ。
そのシン達の行動はフェイトにも見えた。
「シン!?」
フェイトはシンのほうへ向かおうとするが……
「フェイトちゃん待って!!」
それをなのはにとめられる。
「シン達だって何も考えないであんな自殺するようなことしないよ。何か考えでもあるんだよ」
そういってなのははシンたちがいるほうを見る。
シンは飛行しガジェットから十分な距離をとる。
「これでいいのか?」
シンの言葉にキャロは頷く。
そういって集中するキャロ。
ただ、シンに抱えられているので少しかっこ悪いかもしれない。
『ドライブ・イグニッション』
不意に、キャロの周りに光が発する。
それでつい手を離してしまうシンだが、どうやらキャロは浮いているらしく、ほっとする。
「フリード、今まで不自由は思いをさせててごめん。
私、ちゃんと制御するから」
そういって前を向くキャロ。
シンとエリオは孫キャロをただ見るだけだった。
「いくよ、竜魂召還!」
キャロは唱えると、光はさらに激しさを増す。
「蒼穹を奔る白き閃光。わが翼となり、天を駆けよ」
呪文と同時に、光の中にある魔法陣から翼が出現する。
「いでよ!我が最強の竜、フリードリヒ!!」
光はさらに強くなり……
「竜魂召還!!」
キャロの左傾とともに、翼が実体化していき、その全貌を現す。
それは、赤い目をした白く大きな竜。
「あれって、フリードなのか?」
シンは目前にいる竜を見て思う。
あれがあのフリードリヒ。
以前の子供形態とは違う完全体のフリードリヒ。
シンとエリオはフリードをまじまじと見つける。
「あっちは問題なさそうですね。私達はレリックを回収しましょう」
リィンの言葉に了解、というか3人はフリードを見つめる。
「かっこいい……」
「……」
スバルは素直に感想を言って、レイも心の中では驚いている。
「くっ」
その中、ティアナは、力強くクロスミラージュを握るのであった。
フェイトはキャロを見てほっとする。
なのははそんなフェイトを見て笑いながら言う。
「フェイトちゃん。少しはあの子達も信じてあげようね。なんでもフェイトちゃんがなんとかしようと思うと、あの子達も成長しないよ」
なのはに自身の過保護なところを言われ、フェイトは少し頬を染めながらそっぽを向くのだった。
「シンさん。エリオ君をこっちへ」
エリオを背負ったままではシンも戦えないだろうと思ったキャロは、エリオをフリードに載せるように提案する。
ああ、とシンは指示通りエリオをフリードに乗せる。
何だろう。いきなりキャロが何かかっこよくなってる気がする。
「いくよ、フリード」
キャロはフリードに問いかけ、フリードはガジェットの横へ回り込む。
障害物がないと確認すると……
「フリード、滅びのブラストレェェーイ!!」
フリードは強烈は炎を船の船体をなるべく傷つけないよう定めて放射する。
だが、多少は聞いているようだが、AMFのせいでたいしたダメージは与えられない。
「やっぱり硬い……」
少しだけ、今までの前振りは何だよ……と言う感じはするが、それは誰にも気にならなかった。
「やっぱりあれは砲撃じゃ抜きづらいよ、アスカさん!」
ああ、とエリオの言葉に返事をするシン。
やはり近距離で叩くしかない。
そう思いストラーダを構えるエリオ。
「エリオ君、いくよ。スラッシュ&ストライク」
キャロはエリオに補助魔法をかける。
ストラーガに強力な魔力刃が出現し、エリオは飛翔する。
ストラーダを構え…
「輝け、僕のストラーダ!サンライトスラッシャーーー!!」
と叫び突撃し、ガジェットを貫く。
続いてシンも攻撃する。
カートリッジをロードし、エクスカリバー全体を魔力で包み相手を切るソードシルエットの必殺技……
「エクスカリバー、超重斬!!」
シンは敵を盾に切る。
エリオとシンの同時攻撃で爆発する。
「やった!」
それを見たキャロはすべてが終ったと思って喜ぶ。
レリックも既にスバルたちが確保しているので、これでミッション終了。
一向は、ストームレイダーに乗り、自分達の部隊の所へと向かっていった。
「……」
そのなか、ティアナは下を向き拳を静かに握り締め、それに気付いているのはレイだけだった……
『ガジェットは壊滅。レリックは管理局に回収されました』
ここはある人物の研究室。
そこにある男がいる。
男はさっきの戦いを見ていた。
『追撃の部隊を送りましょうか?』
どこからか聞こえてくる声に、男は笑いながらいう。
「もうやめです。こっちの任務は終りましたし。今回はそれで十分じゃないですか」
そういって男は手にあるものを見る。
それはレリックだった。
「それにしても、ここで思わぬ拾い物をするとはね」
そういってアズラエルはモニターを動かす。
そして現れたもは、フェイト、そしてその横に移っていたのは彼女を創った、プレシア・テスタロッサだった。
「あのイカれた女が作ったクローン。こんなところで見つけることは出来るとは……」
そして、さらに映し出されるモニター。
そこにあるのは、機動六課部隊長八神はやてを守護するヴォルケンリッターだった。
「今は亡き闇の書の守護騎士とその元マスター。面白いことになりそうです……」
そういう意味では、この機動六課、当面はかなりの強敵になるだろうとアズラエルは思った。
「ですが、勝つのは私達ですよ」
そういって、アズラエルは高らかに笑うのであった。
それにしても……
(さっきのくしゃみ、なんだったんでしょうねえ…誰かが自分の噂でもしているのでしょうか……)
ま、どうでもいいことですけどね、と仕事に戻るアズラエルであった。
「皆、お帰り。作戦は大成功やね」
はやては戻ってきた退院たちを出迎える。
ちょっと危ないところもあったが、おおむねは大成功といってもいい。
回収したレリックのほうは本局のほうに輸送した。
これでおおむね大丈夫だろう。
作戦の成功に喜ぶ新人達。
そういえば、とはやてはなのはにあることを告げる。
「シャマルから連絡があったんやけど、ユーノ君が目を覚ましたらしいよ」
その言葉を聞いて、ホント?となのはがきいてくる。
ユーノは盟主王アズライガー…もとい、ムルタ・アズラエルと名乗る人物にどてっぱらに風穴を開けられ、ずっと意識不明だった。
ユーノが目を覚ましたことに喜ぶなのは達だが、新人達はどうして喜ぶのだろうと思った。
まあうれしいことではあるけど……
「なのはさん、スクライアし司書長とかお知り合いなのですか?」
レイが聞いて、そうだよ、笑いながらなのはがいう。
「ユーノ君は、私にとって家族のような人で、私の魔法の師匠でもあるんだよ。レイジングハートも、ユーノ君からもらったものだし」
その師匠と言う言葉に、新人達は戦慄する。
(なのはさんの師匠って、ドンだけすごいの!?)
(なのはさんでSプラスだから……SSSとか?)
(……下手したら、惑星すらも破壊できそうだな)
(けど、そんな風には見えなかったけどなあ……まだ横にいた女のほうが強そうと思うけど……)
(じゃあシン。聞くが高町教官やハラオウン執務官。八神部隊長を見た目だけでSランクオーバーの魔術師に見えるか?)
(………)
(だろ、人を見た目で判断しないことだ)
念話で会話しているが、どのようなことを話しているか顔を見てわかったので訂正するなのは。
「師匠って言っても、基本的なことしか教わってないからね。ユーノくん自体もサポートがメインだったし」
それを聞いて、そうですか、とどこかほっとする新人達。
それで、これからのことを話すなのは。
「昼から訓練をしようと思ったけど、いきなりの実戦って言う形になったからなあ……」
そういってなのはは少し考えて。
「私が思ったより良くできてたから、今日の訓練はもう無し。初めての実戦で緊張してただろうから、よく休めておいてね。体も心もね」
なのははそういって隊員達に微笑みかける。
解散されたあと宿舎に戻る隊員たち。
初めての緊張と言う緊張で、隊員に疲れが見えている。
「けど、うまくいってよかったねえ」
と、スバルは初めての実践のことを話す。
それで、エリオはシンにあのことを話す。
「アスカさん。あの必殺技、どうやって覚えたんですか?」
エリオはあのガジェットを倒すときにシンが使った技の事を聞く。
「覚えたって…RPGのゲームじゃねえんだから……まあ、昔見ていたアニメを参考にしたってところかな」
なんとなく昔見てたアニメとかに出てくる武器にエクスカリバーが似てたから、それを参考にしたと言うわけだ。
「必殺技かあ……私も何か考えようかな……」
そういって何か考えるスバル。
「あんた、ディバインバスターがあるでしょ?」
ティアナはBランク試験のときに見せたディバインバスターを思い出す。
「そうなんだけど、私の場合砲撃魔法の割には射程短いし時間がかかるから、もうちょっと使い勝手がいいものを考えないとなあって……」
だから、接近用の必殺技が必要となってくる。
そういってスバルはなにかないかと考える。
すると……
「その考え方は感心せんな」
急に後ろから声が聞こえてきて、誰だろうと振り向くと。
「シグナム副隊長」
ライトニング隊の副隊長、シグナムがいた。
シグナムはスバルを見て言う。
「自分の技を信じられないものは強くはなれない」
それに、とシグナムはいう。
「そんな考えでは本来その技を持っている高町隊長にも失礼だと思うしな……」
シグナムにいわれてはっとする。
スバルのディバインバスターはなのはにあこがれて使っているもの。
何か、隊長にひどいことをしたと思い落ち込むスバル。
それを見てシグナムは少し笑いながら言う。
「だから、新しい技を探すのではなく、今ある技をより高めた方がいい。より強くなろうと思う気持ちは大切だからな。これからも訓練に勤しむことだ。」
そういってシグナムはシン達と別れる。
ふと、シンは気付く。
「あいつって訓練に参加するのか?」
確か、今度はフェイトとヴィータは訓練に参加するといったが、彼女はどうなのだろうとシンは思った。
レイにはまり興味はないらしく、さあなとしか返さない。
新人達は、明日から厳しくなるであろう訓練に備え、体を休めるのだった。
「あ、なのは」
本局の病室で、なのははユーノの見舞いにやってきた。
目覚めたばかりでまだ調子も悪そうだった。
「ユーノ君、大丈夫?」
なのははユーノを心配するが、ユーのは苦笑しながら言う。
「正直に言うと……大丈夫じゃないかな。シャマルさんにも…数日は動くなって…言われたから」
ユーノの言葉も途中で切れ、話すのも苦しそうだ。
「無理しなくていいから」
なのははそういってユーノを休ませる。
だが、まだ大切な話があるらしい。
「シャマルさんから聞いたよ…僕が気を失ってる間に…機動六課が設立されたことを…おめでとうってはやてにいっておいて」
そういってユーノは本題に入ろうとする。
自分をこうまで傷つけたムルタ・アズラエルのことだ。
「なのは、僕を襲ったアズラエルって言う人、気をつけたほうがいいよ。シャマルさんにもはやてやフェイトにアズラエルのことを伝えておいてもらったから」
そういって、ユーノは一息ついてベッドにもぐる。
どうやらかなり体力を使ったらしい。
なのははユーノにお大事に、といってその場を後にした。
次回予告
な「新しい訓練も順調に進み、少しずつだけど、確かに力強くなっていく新人達」
は「その中で、機動六課にあたらしい任務が入る。それはオークションの警備」
シ「そこに現れる複数の招かれざる客」
レ「そして、あせっている少女の結末は……」
ティ「次回「カニ」って…なんなのよこの題名!!?」
な「だめだよティアナ。この予告編は一発本番だから、失敗してもそのまま表記されちゃうんだよ」
ティ「え、本当なんですか!?」
な「うん。実際、この会話の表記されてるんだよ」
ティ「そんな……OTL」
シ「カニっていうと……あいつか」
レ「ああ、間違いないな」
フェ「何で二人は知ってるの?」
レ「予告編だけの私達しか知りませんので気にしないでください」
フェ「わ、わかった……」
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