「時間をかけるわけにもいきませんので、返してもらいましょうか」
そういって、アズラエルは指を鳴らす。
「お待ちかねだ、アウル」
仮面の男、ネオの言葉を聞いて、アウルは喜んで突っ込んでいく。
「待ってました!お任せってねぇ!」
アウルはユーノに向かって、デバイスを向ける。
『ランスフォーム』
彼のアームドデバイス、アビスはランス状の武器に変わり、ユーノに迫る。
「くっ」
ユーノはそれをシールドを出して防ぐが……
(やっぱり……ちょっとは運動しとくべきだったかな?)
ここ数年、仕事の激務もあり身体を動かしていない。
心なしか、魔力の出力が落ちているような気がして仕方が無い。
「そーーら!」
アウルはさらに力を入れてシールドを破ろうとする。
「ステラ、お願いがあるけどいいか?」
ネオに呼ばれて、ん?とネオの方を向くステラ。
「お願いって、何?」
ネオはステラの頭をなでながら言う。
「アウルがあの本の奪取に失敗したら、スティングにあの本をとってきてもらうんだ」
それを聞いて残念そうにため息するステラ。
どうやらそれは自分がしたかったらしい。
「けどね、それにはあの犬の耳はやした奴が邪魔なんだ。だから、ステラにはあの犬と遊んでもらおうと思ってるんだ。犬は好きだろ?」
ステラはそれを聞いて喜ぶ。
「うん……犬、好き……けど、ネオの邪魔するなら………」
ステラは、いままで無邪気だった顔が一変して、表情がなくなったような顔つきになる。
アルフは、さっきの会話も聞いており、アルフは実質ステラを相手にしつつ、そのスティングという少年も相手にしなければいけない。
金髪二人組も目を離せなかった。
(ちょっと難しいけど、やるしかないか)
そう考え、アルフは指をポキポキと鳴らす。
「ネオを困らせる奴は…倒す!」
「この感覚は……」
レイは図書館に向かっている最中に、妙な感覚に襲われる。
それはレイ自身どのようなものか知っていて、あまりいいものではない。
(フラガ……あいつが今回の事件に?)
いや、まだわからない。
とりあえず図書館に急行するレイ。
そのとき、図書館で小さな魔力のぶつかり合いが確認される。
「くそ、遅かったか」
『早く行きましょう、マスター』
ファントムの言葉に、レイは頷き急いで場に急行する。
その時、自分とは向こう側にも、誰かがきていることがわかる。
ちょうどレイのその人の間に図書館がある感じだ。
だが、今はかまっていられない。今は急ぐだけだ。
「く、こいつ!」
アルフはいらだちながらステラを見る。
さっきからちょこまかとちょこまかとこっちの攻撃をよけている。
アルフは同時に他のメンバーの動きを入れなければいけないので、結構大変だ。
ユーノもユーノでさっきからアウルとか言う少年の相手で手一杯だ。
しかも片手にはロストロギアを持っているし、しばらく運動していないという悪条件で(最後は微妙)苦戦している。
正直やばい状況である。
(それにしてもコイツ……)
アルフはステラを見る。
本当にこいつは人間なのだろうか。
ちょこまかとこっちの攻撃をよけてくるのだが、そのよけ方が普通ではない。
魔力反応が攻撃のときにしか感じられないのだ。
「この!」
アルフを放つ回し蹴りを、ステラは後ろへ飛んでかわす。
そして壁にはりついて、そこからさらに飛んで攻撃してくる。
これで魔力を使っていない。人間なのか、自分のような使い魔なのかわからない。
だが、少なくとも使い魔がデバイスを作るというのは見たことがあるが、使うなどあまり聞かない。
『グリフォン2』
ステラのデバイス、ガイアの二つの刃から魔力刃が出現し、そのままアルフに切りかかる。
さっきまで仮面の男のそばにいたときと違い、まあよくもここまで冷徹な顔になれるものだ。
「ようし、上出来だステラ」
不意に、仮面男の声が聞こえてはっとした。
気付けばユーノからかなり離されていた。
どうやら誘導されたらしい。
その隙にも緑色の男がユーノに迫っていた。
「ちっ!」
たとえこの少女をかわしたとしても間に合わない。
ユーノも敵の存在に気付いてはいるだろうが、ユーノはアウルでていっぱいみたいだ。
万事休す。
そう思ったとき、スティングの目の前に何かが飛来し、地面に激突し、粉塵が吹き荒れた。
『シュランゲフォルム』
粉塵から、何かが飛んできたのを察知したスティングはすぐに下がる。
だが……
「甘い」
よけたと思ったら、すぐさま別の方向から何かが襲ってくる。
「なんなんだ、こいつ?」
よけきれない、そう思ったスティングはすぐさまシールドを貼って防ぐ。
「ほう、いい動きをするな」
煙の中から出てきたのは、女だった。
彼女は自分のデバイス、レヴァンテインを持ち、今度はアウルに襲い掛かる。
「紫電……一閃!!」
女性が放った一撃はアウルに直撃する。
「何!?」
アウルはそのまま吹き飛ばさる。
「大丈夫かスクライア?」
女はゆっくりとユーノに近づく。
「シグナム……」
ユーノは頼もしい援軍にほっとする。
スティングは舌打ちしながら二人を攻撃する。
「このお!」
『ファイアーフライ』
いくつもの魔力が二人を襲う。
そこへ……
『ファイアビー』
突如空中からも魔力弾が出現し、スティングのファイアーフライを次々と落としていく。
今度はだれだ?とおもって上を向く。
「司書長、無事ですか?」
そこには、さっきまで自分を護衛してたレイ・ザ・バレルがいた。
「レイ君。助かったよ」
ユーノはレイに向かって言う。
どうやら間に合ったらしい。
それと、自分よりも先にユーのところに来ていた人物も味方で助かった、とレイは思う。
「おやおや、これは予想外ですね」
アズラエルはため息を吐きながら答える。
ええ、全くです。とネオも同意権である。
ここまで予定が狂うのは予想外だった。
「時空管理局のシグナムだ。貴様達の目的は何だ?」
シグナムはレヴァンテインをアズラエルに向け、睨みつける。
「おお怖い。そんな顔しないでください。綺麗な顔が台無しですよ?」
大してアズラエルはそれに動じることなく、逆にシグナムを挑発するような口ぶりで言う。
シグナムも全然動じない。
ふと、アズラエルは時計を見る。
「やれやれ、もうこんな時間ですか」
そうこうしているうちにも時間が過ぎる。
「彼らの時間も限られてますし、強硬手段と行きますか」
そういってアズラエルはポケットから手を出し、球体のようなものを手に取る。
「久しぶりですよ、このデバイスを使うのは」
アズラエルがそういい、シグナムは構える。
この二人も魔術師なのか?そう思ったときだった。
『発動、承認!!』
彼のデバイスから、熱い漢の声が聞こえる。
「それではいきますよ、ファイナル…フュージョン!!」
アズラエルが叫んだとき、周りは光り輝く渦に包まれた。
それ以前に、何故にファイナル?
そう思ったとき、アズラエルは機械のようなバリアジャケット……甲冑に包まれている。
「アズ…ライ…ガー!!」
『ついに、われわれの待ち望んだ盟主が現れた。その名は、盟主王、アズライガー』
ユーノたち、それとアズラエルのことをあまり知らないスティングたちは呆然とする。
ネオだけが普通でいられた。
なんだろう、いろいろ突っ込むところが満載である。
とりあえずわかることは、彼のデバイスは融合型デバイスだということだけ。
そして何よりも。
「さあ、倒されたい奴からかかってきてください!」
アズラエル自身の性格が激変していた。
口調はあまり変わっていないが、なんか熱くなってるのだ。
「ちょっとまてよ!!いろいろと危ないだろ!いろいろと!!」
代表してユーノが言うが……
「あなたは全くわかってませんねえ、まだSEEDやDESTINY内から登場人物がたくさんでてくるんですよ。その中には勿論MSに乗らない人たちも出てくる。私のようにね。そのたびにいちいち技名考えるのも作者はしんどいんですよ!」
だから何の話!とユーノは絶叫する。
「それ以前に、この作品は、D´sよりもパロディーが2倍、いや、3倍増し(作者比)だあぁぁーーー!!」
どうやら彼はいろいろと心が読めるらしい。厄介な能力だ(作者的に)
そういってアズラエルはユーノに突っ込んでくる。
「さっさとその本、返してもらいますよ!!」
『ドリルニー!承認!!』
アズラエルの膝にあるドリルがユーノを襲う。
それを防御するのだが、かなりの衝撃で吹き飛ばされそうになる。
「こ、このパワーは……」
だんだんとユーノのバリアにヒビが入る。
「私の力、見せてあげますよ!」
アズラエルはいっそう力をいれ、ユーノのバリアを破る。
シグナムとアルフはスティングたち3人、レイはネオに邪魔されて助けに行けない。
そのままドリルニーはユーノの腹部に直撃する。
「が!……」
壁に激突し、意識が朦朧とするユーノ。
バリアジャケットも着用しておらず、ダメージを受けた腹部からは多量の血が流れている。
「スクライア!」
シグナムは助けに行こうとするが、
「おっと!さっきの礼がまだだったな!」
『カリデュス』
アウルはシグナムに向かって砲撃魔術を放つ。
この3人の連携はなかなかのもので、アルフとシグナムは苦戦している。
「さてと、破壊の書、返してもらいますよ」
ゆっくりとアズラエルはユーノに近づき、ユーノからロストロギア、破壊の所を奪い取る。
「さてと、このままとどめを刺してもいいのですけど、時間が多少おしているので、そろそろ退散させていただきましょうか」
そういってアズラエルは転移魔法で消えていった。
「なんなんだ君は?」
ネオはレイという少年を見て不可思議なものを感じた。
なにか以前にもこんな感覚があるような気がした。
(俺の気のせいか?)
どうやっても思い出せない。そんなに昔のことではなさそうなのだが……
その感覚はレイも感じていた。
(この感覚……)
ありえる可能性は低いが、もしかしたら、彼はあいつの子供かもしれない。
忌まわしきフラガの一族の一人。
「俺は時空管理局のレイ・ザ・バレルだ。お前の名前は?」
レイはファントムをブレイスウィザードで構え、ネオに向ける。
「俺か?言うと思う?白い坊主君」
ネオは笑いながら言う。
レイは黙ったままファントムを持ち
『ファイアビー』
無数の魔力弾は、ネオを襲う。
「ふうん、やっぱそうくる?」
ネオはデバイスを起動させ、迎撃体制をとろうとするが
『CIWS』
空中から無数の魔力弾が襲う。
威力は正直言って低いが、足止めには十分だった。
「ちぃ!」
ネオはシールドを貼ってファイヤビーを防ぐ。
『ヴァジュラ』
「はあぁぁーーーー!」
後ろから、高速で誰かが襲い掛かる。
「シン!」
そこには、アズラエルのデバイス起動時の渦に気付いて駆けつけたシンがいた。
『ファルクス』
シンに続いてレイもファントムをスラッシュウィザードに変え、突撃する。
その時、何か激しい音が聞こえた。
「あいつ!」
シンは壁に激突したユーノを見て叫ぶ。
ちなみに、シンは戦闘時とかは上官でも「あんた」とか「あいつ」呼ばわりし、訓練時代に教官によく絞られたが未だに直っていない。
ネオはその隙に二人から間を空ける。
「さあて、俺たちもここらで撤退するぞ!」
ネオを声を聞いて、スティング達も戦いをやめて後退する。
「今度会うときは、サシでしようぜ」
アウルが笑いながらそういって、4人は転移していった。
「ユーノ、大丈夫かい?」
アルフは治療魔法を施しながらユーノに問いかける。
正直ひどい出血だ。
一番近い表現は「どてっぱらに風穴を空ける」という言葉だろう。
「まあ、生きてる分は大丈夫かな?正直やばいけど」
あはは、とか細い声で言うユーノ。
穴が開いていないとはいえ、ドリルで腹をえぐられている。
大丈夫なはずが無い。
「シャマルも時期に来るし救護班も呼んであるから問題はないはずだスクライア」
ふと、そこで立ちすくんでいる二人をシグナムを見る。
「お前達には、先に戻って報告を済ませて欲しい。頼めるか?」
シグナムの問に二人は了解し、本局へ戻っていった。
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