Seed-NANOHA_まじかるしん_第8話b

Last-modified: 2007-12-24 (月) 00:33:06

「やっぱりここもあんまり変わってないなあ」

「そうだね……あ、あの店。皆でよく行ってたよね」

なのは達は町並みを歩きながら学校へ通っていたときの道を歩きながら思う。

3人はは久しぶりに地球に帰ってきたのだ。

「そうやなあ……って、なんかうちらおばちゃんみたいやな」

はやてのさりげない一言に苦笑する3人。

シグナムたちとは後で合流することになっている。

その後ろで、エリオとキャロは周りをウロキョロと見渡す。

二人は初めて訪れる地球。

「二人は魔法が使われていない世界に来るのって始めてなんやね?」

はやての言葉に二人は頷く。

その時、キャロの持っているかばんが、なにやらごそごそとうごめいている。

「あ、フリード、おとなしくしてなきゃ」

キャロがそういうが、この世界へ着てからずっと動かずじっとしているのだ。

「ごめんねフリード。この世界に竜なんていないから、こうするしかないの」

なのはがフリードに謝る。

この世界に竜なんて創作物でしか存在しない。

その中でフリードが飛び回っていると、大ニュースになりかねない。

だから、フリードは連れて来ないつもりだったが、それだったらフリードとキャロがかわいそうなので、今回のような策をとった。

「けど、なのはの家に着いたら出られると思うから」

歩いていると、海鳴市の駅前に着く。

「こんなところになのはさんの家があるんですか?」

エリオは疑問に思った。

周りにあるのは喫茶店やショップなどで、誰かの家みたいなものは見当たらなかった。

「あ、そういえば言うの忘れてたね」

え?キャロがなのはを見る。

「なのはの両親は喫茶店を経営してるんだよ」

フェイトの言葉にエリオは納得する。

まだ仕事をしているから今はその喫茶店にいっているのだろう。

そしてなのはは駅前にある喫茶店、翠屋の前に行く。

見るとレジの前に父である士郎がいる。

「ただいまあ」

なのはたちが店に入ると、正樹に気づいたのはやはり士郎だった。

士郎は驚いた顔でなのはを見る。

「なのは?」

士郎はいきなりやってきたなのはに驚く。

彼女は今ミッドチルダとかいう所にいたはずだ。

少しして、士郎の異変にやってきた桃子と恭也、美由希もやってきた。

皆は今でも翠屋を手伝っている。

兄である恭也は、翠屋の次期店長としてがんばっている。

「なのはじゃない。いつ帰ってきたの?」

驚いている桃子に、なのはは説明する。

「実は、今日からしばらく休みで、たまにはお父さん達を驚かそうかなと思って連絡を取らないで来たの」

どうやらそこ作戦は成功で、驚いている家族を見てなのはは笑う



「あの、お邪魔してます」

そこに、はやてたちもいることに気付いた。

なのはのいきなり帰ってきたことで見えていなかった。

「あ、フェイトちゃんもはやてちゃんもいらっしゃい……あら?」

桃子は、フェイトの周りにいる二人の子供に気付く。

ああ、とそのことに気付いたなのはは説明する。

「ほら、前に話してたでしょ?フェイトちゃんが二人の子供を保護してるって」

なのはが以前いていたことを思い出す高町家

「エリオ・モンディアルです」

「キャロ・ル・ルシエです」

二人は丁寧に挨拶をする。

「やっぱりこの時間は急がしそうだね」

なのはは辺りを見回すと、時間帯的にも学校帰り時なのか、学生の客が大勢いた。

まあ、それはいつものことなのだが……

「お店、手伝おうか?」

なのははそれを見て自分も手伝おうかという。

だが、なのはも久しぶりの休みだと士郎も知っている。

管理局の仕事は忙しく、おそらく今回も久しぶりの長期休暇だろう。

それなのに店を手伝ってもらうのはなにか悪い気がする士郎達。

その時、キャロの持っているかばんがごそごそと動く。

さらに……

「キュー」

あまりの窮屈さにフリードが鳴いてしまった。

あ、となのは達も焦る。

この場所でフリードを出すわけにいかない……

そんななのは達を不思議そうに見る。

「なのは、さっきの泣き声は?動物みたいだけど」

えっと……と恭也の言葉に言葉につまるなのは。

そのときだった。

「あ、なのはねえちゃん!」

キッチンのほうから、二人の子供がなのはに向ってきた。

「雫ちゃんに恭二くん」

向かってくる子供、雫と恭二は士郎とその妻、月村忍の間に生まれた子供である。

ちなみに、雫が姉で恭二が弟となっている。

まっさきにやんちゃな恭二がなのはに飛びつく。

それはいつものことで、いつもはそれくらいどうってことないのだが……

「う……」

なのはは、飛びつかれたと同時にその場にうずくまる……

あ、とフェイトとはやては今までのなのはの表情からすっかり忘れていた。



「なのは姉ちゃん、どうしたの?」

恭二はすこしびっくりしながらなのはを心配する。

いつものようにとびついただけなのに、と思っていたのだ。

「ああ、恭二君。気にせんでええよ。べつに恭二君がわるいわけやないから」

え?と皆ははやてたちを見る。

「実はなのはは今、仕事で怪我をしてて、その怪我をした場所に恭二君が飛びついて……なのは、大丈夫?」

フェイトはなのはを見る。

どうやらクリーンヒットしたようだ。

「大丈夫、ちょっと痛かっただけだから」

はぁ、とため息を付くフェイト。

「いつもいじっぱりのなのはが、これだけうずくまってちょっとはなずないでしょ?」

ほら、と肩を貸すフェイト。

ずいぶん見ないうちに子供達も大きくなっている。

特に恭二はだんだん力もついてきて、いつものように全力で抱きしめたからこうなったのだろう。

これ以降、恭二がいきなりなのはに抱きつくことはなくなったという。

やれやれ、と桃子はなのはを見る。

そんな体でよくお店を手伝う、なんていいだしたものだ。

「今はちょっとお客さんが多いから、しばらく家でゆっくりしてなさい」

そういって、なのはたちはなのはの家に向かう。

幸か不幸か、この事件のおかげで士郎達はフリードのことを完全に忘れてくれた。

なのはのほうもなんとか痛みもひいてきてきたみたいだった。

「とりあえず、なのはの家に着いたら、フリードも出してあげないとね。

フェイトの言葉にはい、と返事をするキャロ。

「フリード、もうちょっとだから、辛抱してね」

キャロの言葉に少し元気がないようにキュー、と返事をするフリード。

そのときだった。

「あ、なのはちゃんだ」

「ほんとだ、あんたたちいつの間にかえってきたの?」

振り返ると、そこには小学校1年からの付き合いをしている親友だった。

「すずかちゃんにアリサちゃん。久しぶりだねえ」



「ええ!鮫島さん、執事辞めちゃったの!?」

なのはの叫びに、うんと頷くアリサ。

ちなみに、鮫島とは、アリサの執事のことである。

「流石に鮫島も年で……その代わり、新しい執事をちゃんと用意してあるけどね」

まあ、確かに鮫島も年で、そろそろやめなければと本人も思っていたらしい。

「それで、新しい執事ってどんな人?」

フェイトの質問に、んー…考えるアリサ。

「えっと……年は17歳で…時速120キロで爆走する車を自転車で追い抜いて、生身でその車に轢かれても生きているって感じ?」

それ人間?とつい突っ込んでしまうなのは。

「まあ、執事としてちゃんとした能力持ってるからいいのよ。かなり役立ってるし」

そういって笑いあう皆。

その時、表情に微妙は変化があったが、あえて言わないことにした。



「けど、こうやって揃って話をするのも久しぶりだね」

すずかの言葉にそうだね、となのはがいう。

ふと、アリサがエリオたちを見る。

「もしかして、フェイトが保護してるって子はこの子達?エリオ君とキャロちゃんだったっけ?」

うんと、答えるフェイト。

以前フェイトから送られてきた手紙とその写真を思い出す二人。

ふたりはどうも、言い返す。

ふと、フェイトは思い出す。

「キャロ。そろそろ出してあげたら?アリサたちなら問題ないから」

あ、そうですね。とキャロはあのかばんを取り出す。

なに?とおもってアリサたちが見ていると、そのかばんから現れたのは……

「フリード、大丈夫だった?ごめんね」

「キュー!」

出てきたのは……なんていえばいいのだろう、と迷うすずか……

「えっと……それってなに?」

そんなアリサに答えるはやて。

「これはドラゴンの子供や」

いやいやいや、と首を横に振るアリサ。

そういう意味じゃない。確かに見た目は竜だ。竜なのだが……

「あんたたちがいる世界って、ほんとに不思議ね。魔法やら竜やら……どこのファンタジー物?」

アリサの言葉に3人は苦笑するしかない。

「そういえば、なのはちゃんはいつでもここにいるの?」

すずかの言葉になのはは考える。

一応休日はずっとここにいるつもりだ。

「私は五日ぐらいだと思うよ」

だが、

その言葉に、じゃあさ、とすずかはある提案をする。

「実は、明後日に大学のメンバーで海に行くことをずっと前から決めてたんだけど……」

それがどうしたの?となのははきいて、変わりにアリサが答える。

「それが、ほとんどのメンバーがこれないのよ。ほとんどって言っても私達二人だけなんだけど」

じゃあ全員じゃない……となのはは突っ込む。

「だから、久しぶりに私達で海に行かない?そこの子達も一緒に」

アリサがエリオたちを指差して言う。

アリサの子供場になのは歯考える。

「うれしいけど、ちょっといろいろ無理な所が……」

なのはのことばにえ?と疑問を浮かべるアリサ。

「この竜の子供をどうするか……」

ああ、とアリサは頷く。

こんな竜をつれてきたら大問題になる。

「けど、その子なら士郎さんが見ててくれるんじゃない?桃子さんとかだったらかわいいとかいって抱きつくかもよ」

ありえる、となのはは以前ユーノをかわいがっている桃子を思い出す。

「けど、フリードはキャロと一緒にいたいんだよね?」

フェイトの言葉にキュー、と返事をするフリード。



さて、どうしたものか。

なのは達としては、久しぶりにアリサたちと遊びたい。

「あの、僕達のことは気にしないで、フェイトさん達で楽しんでいってください。

エリオはそういうが、そういうわけにもいかない。

そこで、はやてがある提案をする。

「あ、そや。せやったら、アリサちゃんたちをミッドチルダへ招いて、そこの海に行くんってどう?それやったらフリードも安心やし、もしかしたら他の機動六課のメンバーも呼べるかもしれんよ」

なるほど、となのはもフェイトも頷く。

この二人だったら問題なさそうだし、何より……

「それいいじゃない。私達も一度、その世界っていうのによってみたかったのよ。ねえすずか」

「うん」

何よりも本人達が行きたがっているのだ。

こうして簡単な日程を決めて、最後に

「じゃあ、他のメンバーは全部私の対のメンバーだから、私からメール入れておくね」といって、携帯通信機でスバル、ティアナ、レイ、シンにメールをいれる。

この通信端末、もともとこの端末に登録しておいた所持者の魔力をミッドチルダにある集中センターから探知し、相手に送信するため、電等がいらない分役に立ち。現在の局員のほとんどが持っている。

つまり、相手の魔力が存在する限りどこでも使える携帯電話と考えればいい。

連絡してすぐに、シンから通信がかかってきた。

なのはは少し席をはずして、シンと話をする。

『あの、隊長?』

やはりシンはいきなりのことで戸惑っていた。

「あ、シン。メールみた?」

『何する気ですか?訓練でもする気ですか?』

そういえば、一番大事なことを書いてなかった、と思っていたなのは。

「えっと……時間が空いてたらでいいんだけど、六課のフォワード陣と私の友達で海に行こうと思ってるんだけど、時間は大丈夫?」

そのあと、シンは奇妙な叫びをだしたが、OKを出した。

こうして大体の日にちを決め、次の日は買い物ということになり、アリサとすずかは自分の家へ帰っていったのだった。



「いやあ、かわいいーーー!!」

桃子はフリードを見つめながら言う。

このあと、はやてとフェイトは一旦向こうへ帰ってから食事にしようと思ったのだが、せっかくだからと皆で食事をとることにした。

桃子の反応を見て、やっぱりとなのはは笑う。

恭也がフリードを見て思う。

「それにしても竜か……空想上の生き物かと思ったら……実在してたんだな……」

まあ、それを言えば魔法もそうなのだが……

「あの、すみません。ご馳走になって」

そういうエリオに、いいのよ、と桃子は言う。



「せっかく皆がそろってるんだから。食事は大勢で食べたほうがおいしいでしょ?」

桃子の言葉に、はい、とエリオは言う。

こうやって一つのテーブルに大勢で囲んで食べるというのはあまりしたことがないので、とても新鮮に思えてくるのだ。

「そうそう、母さんの料理はとってもおいしいから、たくさん食べるといいよ」

そういう士郎にもう、あなたったらという桃子。

それを見て、これは全然変わってないなあとなのはは思う。

両親はもう年齢は40を過ぎているのに、気持ちは新婚のようである。

兄のほうを見ると、兄と、その妻である月村忍は笑う。

どうやらいつもそうしているようだ。

「それよりも、なのはの怪我だが、大丈夫なのか?」

士郎はなのはの傷を心配するが、なのはは大丈夫だよ、という。

親が心配するのもわかる。

「あのときの事もあるしな……」

「そうよ……」

家族は8年前のことを思い出す。

8年前になのはは大怪我をしているのだ。

だが、それは既にだいぶ前の話で、あの怪我は治っているし、今回の怪我も別に命に別状はない。

「だから大丈夫だって。それに、私はお父さんの子だよ。体の丈夫さは折り紙つきでしょ?」

そういうなのはに、はやてがいやらしく突っ込む。

「なのはちゃん、それは死亡フラグや。まあ、なのはちゃんやったらフラグぐらいへし折りそうやけどな。なあ、フェイトちゃん」

「そうだね」

はやての言葉に、フェイトは苦笑する。

そんな二人に、へ?となのはは疑問に思う。

そんななのはを皆は笑う。

夕食も終わり、話し合った結果、フェイト達もなのはの家に泊まることになった。

その際、エリオとキャロはそれぞれ雫と恭二と一緒に寝ることになった。

二人はすぐにエリオたちと打ち解け、エリオとキャロもこの世界で初めてできた友達に一夜を楽しんだ。

なのはも久しぶりに家族と話し合い、楽しい一夜を過ごしたのであった。