Seed-NANOHA_神隠しStriker'S_第23話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 14:46:55

舞台裏
「酷いです…シンさん」
シャマルが泣いていた。
「同意だ、出番をとられた…。」
ザフィーラがボソリとシンに向かって呟く。
「うっ、仕方ないだろ!そういう流れになったんだから!!」
腕を組んでそっぽを向くシン。
「そうだよねぇ~、シンもティアもずるいよねギン姉ぇと戦ってる私は全然描写ないんだよ?
きっと、なのはさんたち助けに行くときに
『スバル、無事?』
『うん、私は大丈夫、ギン姉ぇも…、今は眠ってるだけだから』
ってなるに決まってる!!」
スバルが涙を流しながら言う。
「僕たちも描写なしですよぉ~。」
「私たちもがんばってるのにね、エリオ君、フリード」
キャロとエリオもぼやく。
「そんな皆さんに朗報です、ちゃんと活躍するシーンは用意されてるらしいですよ?」
とシャマル。
「無論、我等も活躍だ。」
ザフィーラが人型になり、シャマルとハイタッチすると、直ぐに犬形態にもどるザフィーラ。
シャマル「それでは、第23話 Stars Strikeです!」
ザフィーラ「テオアッー!!!!」

ゆりかご内部通路。
なのはは進路を塞ぐガジェットを次々と破壊しながら進む。
『玉座の間までもうすぐです。』
レイジングハートが知らせた。頷き、なのははスピードをあげる。

一方、なのはが玉座の間に来るであろうことをあらかじめ予想していたナンバーズは予定通り、ディエチがなのはを迎え撃つ。
特殊な法陣を展開し、ヘビーバレンを構え、なのはが射程に入るのを待ち構えていた。
「5…4…3…2…1…0」
カウントダウンが終わると同時に
「エクセリオン・バスター!!」
オレンジ色の砲撃と、桜色の砲撃が同時に放たれる。
通路一杯を突き進むニ本の膨大な奔流が衝突。
力と力の押し合いが続く。
負けじと歯を悔い縛り、耐えるなのはとディエチ。
「ブラスターシステム…リミット1…リリース!!」
そのなのはの一言で、撃ち合いの勝負は着いた。
レイジングハートの先端の魔力が二倍に膨れあがり、圧倒的なパワーの差で押し戻す。
成す術なくして桜色の光に包まれるディエチ。
「ジッとしてなさい。」
なのははディエチにバインドをかけた。
「突入隊があなたを確保して安全な場所まで護送してくれる。」
それから、ヘビーバレンに封印も施すと、飛びさっていった。
「…本当に……人間か?」
ディエチはそれを呟くと、観念したのか、目を閉じた。
玉座の間へと向かうなのは。
左手を伝う血、なのは痛みに顔を歪めた。
『マスター』
レイジングハートがそんな主を気遣うが
「平気、ブラスター1はこのまま維持、急ぐよ!レイジングハート。」
スピードを更にあげ、手から何かを桜色の何かをばらまいた。

玉座の間に響くクアットロの笑い声。
「なぁ~んだぁ、ブラスターシステム…なんて大袈裟な名前がついてるからどんなハイテクかと思ったら…。
ばっからしぃ…。」
それからヴィヴィオへと体ごと視線を向け、
「ねぇ、陛下ぁ~、あなたのママは相当お馬鹿さんですよぉ~?」
そのときだった。
玉座の間の扉を桜色の閃光が破壊し、なのはが入ってきたのは。
「いらっしゃ~い!お待ちしてましたぁ~。」
クアットロ不適にも笑いながらなのはを歓迎する素振りを見せた。
「こんなところまで無駄足ご苦労さまぁ…。さって、各地であなたのお仲間はたぁ~いへんなことになっていますよ?」
空間に広がるモニターに写されたのは交戦する六課メンバーの姿だった。

「国家争乱罪の罪であなたを逮捕します!」
一応、モニターに目をやったものの、なのははあくまで平常心。
レイジングハートの先端をクアットロに向け構え、続ける。
「すぐに争乱の中止と武装の解除を…。」
「仲間の危機と…自分の子供のピンチにも、表情ひとつ変えずにお仕事ですか?
いいですねぇ、その悪魔じみた正義感…。」
クアットロがヴィヴィオの頬に指を這わすと、閃光。
なのはが放ったものだ。
しかし、クアットロに直撃はしたものの、クアットロの姿が消えてしまう。
代わりにモニターに映るクアットロ。
『でぇ~もぉ~、これでもまだ平静でいられますぅ?』
その言葉と同時にヴィヴィオが酷く苦しみ始めた。
痛々しい悲鳴に我慢できなくなったなのはが駆け寄ろうとするが、溢れ出す魔力がそうさせない。
「うぅ…ぁぅ…、ママァー!!やだ、ママァー、ママァー!!」
「ヴィヴィオ!!」
不快に輝く虹色の輝き、悲鳴と共に爆光に包まれ、ヴィヴィオの体が宙に浮いた。
『さぁ陛下、いつまでも泣いてないで、陛下のママをさらったこわ~い悪魔がそこにいますよ?
がんばってそいつをやっつけて、本当のママを取り返しましょう。
陛下の体には、その為の力があるんですよ?
心のままに…思いのままにその力を解放して…。』
悲鳴とともに骨格が変化していくヴィヴィオ。体をナンバーズが纏っているのと同形のスーツが覆っていく。ただ少しだけ装飾が異なる。
そして、光が晴れたそこには、幾年か成長したヴィヴィオの姿が現れる。
「あなたは…ヴィヴィオのママを…どこかに拐った、」
覚えがないなのはは否定し、ヴィヴィオに正気を取り戻させようと必死の思いで叫ぶ
「ヴィヴィオ!私だよ、なのはママだよ!!!」
しかし、
「違う、嘘つき…あなたなんか…ママじゃない!!」
思いは届かない。
展開される純白の魔法陣。
「ヴィヴィオのママを…返して!!!!」
ヴィヴィオが叫ぶのと同時、感情に呼応して荒れ狂う魔力の波がなのはを飲み込んだ。
『んふ♪その子をとめることが出来たら、このゆりかごも止まるかもしれませんねぇ。』
クアットロを冷笑しながら平然と言う。
「レイジングハート!」
『W・A・S フルドライビング』
なのはも魔法陣を展開。
『さぁ…、仲良く、親子で殺しあいを…。』
愉快そうにクアットロがあざ笑う。
「ママを…返せ!!」
ヴィヴィオが叫ぶ。
「ブラスター、リミット2!」
ヴィヴィオ、なのは、二人の魔力が玉座の間に溢れかえった。

(結界が晴れれば戦い安いと思ってたけど…、中々外に出にくいものね。)
ティアナは各フロアにもうけられた階段の影に隠れ、自分が産み出した幻術を慎重に操る。
まだ幻術すら見付かるのはまずい。
切札、収束クロスファイア。
シュートバレットよりも発射に時間がかかるこれを確実に当てるためには幻術を巧く操作し、ウェンディにエリアルキャノンを撃ってもらわなければならない。
幻術とのタイミングがずれたらティアナはまた逃げ回らなければならない。
「さぁ…行くわよ!」
『了解!』
呼吸を整え、幻術を操作。
階下の幻術を不自然にならないよう慎重に操る。
「見つけたッス!」
ウェンディがくいついた。ティアナと同じ階、つまり上から幻術を狙い撃とうとするウェンディ。
「クロスミラージュ!」
ティアナが呼びかけると同時、ざっと二十はあるであろう魔力弾が十ずつ、左右の銃口に集中する。
ウェンディが撃った。
幻術が消える。
むろん、こちらに気付いた。
なのはが自分に向け放った技。正直、しゃくに触るが、今は感謝している。
そしてキラの戦闘から同時に高威力の魔法を放つ、そこからヒントを得た。
「当たれぇぇええ!!!」
左右同時に放つ。反動で跳ね上がる両腕。
弾速、威力、シュートバレット、クロスファイアよりも数段上だ。
誘導性、射程を犠牲にして放ったそれは、もはや射撃ではなく、砲撃。
ウェンディは盾を構え、防御を試みる。
とんでもない負担がかかる。
魔力弾それぞれも回転しているが、片方十の魔力弾が螺旋を描きながら盾に突き刺さり、えぐるように持っていこうとする。
そして、盾は砕け、そのままウェンディの体にめり込み、壁に叩きつけ、意識を刈り取った。
「まずは…ひとり…。」
左腕の筋を痛めたか、動かす度に鋭い痛みが走る。
目の前に現れた敵を前に、疲労しているのにも関わらず、ティアナは笑みを浮かべた。
「あとはあんた一人よ?降参すれば?」
「ふざけんじゃねぇ、よくもウェンディを…ぶっ殺す!!」
ノーヴェが向かってくる。ティアナは左のクロスミラージュをダガーに変え、迎え撃った。

「…許さ…ない。僕は君を!!」
フリーダムを掴み、バリアジャケットを身に纏うキラ。
姿、髪型、肌の色、目付き、全てが同じ、そして異なるのは目の輝き。
「こういうのも変だけど、僕は君のこと嫌いだよ。偽善者ぶって、自分の力を振るう君が…ね?」
もう一人のキラが言った。
「違う!偽善なんかじゃない!!」
『『バラエーナプラズマバスター』』
両者の両肩部から発射され激突する魔力が真っ白な空間を蒼に染めあげる。
「撃ちたくないといいながら撃ち、殺したくないといいながら殺して…、自分の力にものを言わせ戦場を混乱させておきながら何を言うかと思えば!!!」
「ッ!?」
キラのバラエーナが押され、障壁を張る。
立ち上る爆煙から転がる用に出てくるキラ。
「ほら、自分でも矛盾を理解してるでしょ?だから同じ魔法の撃ち合いなのに負けた。
ここは君の中だからね、魔力じゃなくて精神力がそのまま力になる。
さっきのは僕の力が上がったんじゃなくて、君の精神が揺らいで力が弱くなっただけ…わかる?」
立ち上がるキラ。
「……ぐっ……。」
地を蹴り、低空飛行。もう一人のキラへと向かう。だが、向こうも同様にしてきた。
『『サーベルモード』』
魔力刃が銃口から形成され、そしてすれ違い様に振り抜く。
蒼い光が交差し、キラはそのまま前のめりに倒れ、地を滑って行く。
脇腹から溢れ出す血。
もう一人のキラは華麗に着地して見せた。そして振り向き、キラを見下す。
「よく致命傷はかわしたけど…これだけの差があれば、力ずく…なんて出来ないよね?」
バインドでキラを固定するもう一人のキラ。さらにクリスタルケージへと閉じ込める。
「…な…にを…!?」
「何って、君のために特等席を用意してるんだよ?
これから君の、いや、僕の力がどれ程のものか…君に見せてあげる。」
恐らくはモニターではなくキラの視界が捕えているもの。ガジェットの残骸が通りすぎて行く。
そのうち、桜色に発光する球体が見えた。
「探索魔法か…、クアットロは気付いてないみたいだね…。仕方ない…。」
もう一人のキラはそういうと、玉座の間へは向かわず、別の場所へと向かった。

「うぉぉおおお!!」
「ぐぅぅぅぅぅ!!」
シンとアレックス。アロンダイトとジャスティスが全力で反発しあい、魔力が四方八方に飛び散る。
「邪魔だ、どけぇっ!!!」
『『グリフォン』』
膝部魔力刃が激突、さらに激しい魔力が建物を振動させる。
やがて反発が限界にきたのか、両者は弾き飛ばされ床を転がり、受け身をとって再び跳躍。
『シュペールラケルタ・アンビデクストラスフォーム』
『アロンダイト・アンビデクストラスフォーム』
連結させた刃で激突。間合いをとる。
「デスティニー!!/ジャスティス!!」
『High Speed/ファトゥム01』
そしてアレックスの目の色が変わる。
『Type Speed SEED Burst』
緋色と朱色の閃光が、廃棄都市のビルを破壊しながら衝突しあう。
一度の衝突でビルにヒビを入れ二度の衝突で破壊する。
「あんたの言う正義がこれかよ!!」
「ッ!?舌を噛みたくなければ…黙ってろ!!!」
ジャスティスから発生する五本目の魔力刃。しかも大型、それで突きを見舞うアレックス。
シンは慌てて距離をとるとアロンダイトを分割、投剣しようとするが
『グラップルスティンガー』
射出されるロケットアンカーならぬ、ロケットバインドが飛んでくる。
シンは投剣動作を即座に中止、右手のアロンダイトでグラップルスティンガーを絡めとる。
「なに!?」
アレックスがバインドを切り放す前に力ずくでバインドを引っ張り、アロンダイトの峰を使ってアレックスの体を壁に叩き付け、喉元に向かって突きを繰り出す。
だが、紙一重でアレックスはジャスティスからバインドを外し、アロンダイトは派手な音を立て壁に突き刺さる。
「ッ!?」
アレックスはシンの腹部に向かい、蹴りを放った。
「うっ!!!」
姿勢が前のめりになったところへ、シンの視界の隅にアレックスの踵。シンはとっさに障壁をはりガード。
「いい加減に…。」
「あんたこそいい加減にしろ!!アスラン!!デスティニー!!バリアバースト」
『High-enagy Long-range Canon』
障壁を爆発させ、後退しながら構えるアロンダイトの切っ先に集中する魔力。
『Buster Form Saviour Shift アムフォルタス』
アレックスの周囲に二つの大型魔力塊。
同時に放たれる両者の砲撃。一つの廃ビルが魔力の衝突により、倒壊した。

「シン・アスカ!!」
「どこを見ている?」
「ッ!?」
シグナムに出来てしまった一瞬の隙、ゼストは見逃さない。
振り下ろされたゼストの槍。シュヴァイゼンフォルムのレヴァンティンでは受けられない。とっさに鞘で受ける。
砕け散る鞘、叩き落とされるシグナム。
「しまった…。」
受け身をとったシグナムは視線でゼストを追う地上本部へ向かってしまった。
「(シン・アスカ!!無事か?)」
「(な…何とか…、シグナム副隊長は…ゼストを…。アスランは必ず…俺が…。)」
「(私が戻るまで何とか耐えてくれ。)」

瓦礫が崩れ、その中からシンが姿を現す。
所々のバリアジャケットの損傷。額から流れ出る血。乱れている呼吸。
『シュペールラケルタ&ブレフィスラケルタ』
飛び退くシン。先ほどまでシンが居た場所を貫く朱色の閃光。
「ちぃっ!!」
しかも追跡してくる。
カートリッジを消費、デリュージー、ロングレンジキャノンの一斉射で破壊。
それからアレックスを見る。
まがまがしいまでに噴き出し、姿を覆う朱色の魔力光。
「くっ…ミーティア…か。」
「もう一度言う、退け。」
「そういう分けに行くか!」
『収束火線砲』
『ソリドゥス・フルゴール』
腕にかかる飛んでもない負担。展開した特殊シールドが破壊され、閃光がシンを飲み込む。
「う…ぐ…。」
リアクターパージにより何とか助かった。
「デスティニー…エクストリーム…ブラスト…起動」
ミーティアに対抗するためにはこれしかない。相手はスピード、パワー、連射ともに強化されてる。
『使用可能時間、最低12分最大16分です。それでも使用しますか?』
「あぁ、頼む。それから…絶対勝つぞ、デスティニー。」
カートリッジをリロードし、ロード。シンの体を這う緋色の魔力光。大きく深呼吸。
『バリアジャケット・ヴァリアブルフェイズシフト、デバイスフェイズシフト。
All Systems Green』
一刀のアロンダイトの柄を両手で切っ先をアレックスへと向け、翼を展開。
展開される翼から膨大な魔力が噴射される。そしてその噴射炎が形成する翼は巨大な翼。
鮮やかな薄い紫色の噴射炎が蒼天を染めあげる。
『エリケナウス』
アレックスの周囲に現れる無数の魔力弾。シンにむけ、放たんとしたとき、空気が弾ける音がした。
暴風がアレックスの自由を奪う。
「なっ…にぃ?」
突然目の前に現れたシン。先ほどまでシンが居た場所には揺らめき消えていくシンの姿。
「いい加減に!!目を…」
『パルマフィオキーナ』
「醒ませぇぇええ!!」
緋色に輝く右手が、アレックスの顔面を掴んだ。

空を切るノーヴェの足。
右のクロスミラージュでアンカー、左でシュートバレット。
ブレイクライナーで追い掛けてくるノーヴェに向け放つ。
弾幕をかいくぐり、ティアナへと拳を振るう。
ティアナは瞬時にアンカーを解除、落下。
再び右のアンカーを射出し、下の階へと転がり込む。
(まずい…)
同時砲撃のせいで左腕に痛みが走り、力が入らなくなってきた。
ノーヴェによって放たれる黄色い閃光、壁の影へと隠れ、直ぐ様反撃。
もう幻術を使う余力はない。クロスファイヤを一回使ってしまえば限界が来るだろう。
(諦めるにはまだ早い…。考えろ…。)
ドコォッ!!
「ッ!?壁を…。」
ティアナは飛んでくる瓦礫に額をぶつけ、転倒。
ノーヴェは勝ったと言わんばかりに仁王立ちする。
額から血が右目に入る。遠近感が狂った。
(まずい、まずい…。)
その時、目についたのはノーヴェによって砕かれた壁の瓦礫に目がついた。
『シングルモード』
左にのみクロスミラージュを残す。
「チンクねぇとウェンディの仇、これでトドメだ!!!」
垂直に向かって今、放たれん渾身の力の拳。
「今!!!」
ティアナが叫ぶと同時、瓦礫をつかんでノーヴェに投げつける。
デバイス以外の攻撃にとっさに体をそらし、ノーヴェは回避。
「無駄なあがきを!!!ッ!?」
空間に生成された十一のクロスファイアが左のクロスミラージュに収束していく。
ノーヴェが早いか、ティアナが早いか。
銃は接近戦では不利、そんなことは百も承知のティアナ。
クロスファイアの一発がノーヴェの額に直撃。その瞬間に跳ね上がる顎。
集束が完了したクロスファイア。
「いっっっけぇぇ!!!!」
左手に右手を添えて、自分目の前にいる敵に向け、最後の一撃をティアナは放った。
「国家争乱罪の罪であなたたち二人を逮捕します…はぁっ、はぁっ…、って、これじゃあ言っても意味ないわよね。」
肩で息をしつつ、緊張から一気に解き放たれ、脱力するティアナ。
ナンバーズ二人を相手に見事勝利を納めた。

「おぉぉぉ!!!」
ビルの壁にめり込むアレックス。顔面に押し当てたパルマフィキーナが一瞬、膨大な魔力を放ち、アレックスは気を失った。
「はぁっ…はぁっ……やった…勝った。」
アレックスとともに近くのビルの屋上に着地する。
エクストリームブラストを終了させた。

時空管理局地上本部周域。
「ゼスト、地上本部突入!まずいです!!」
「くっ、追い付けなかったか…。」
シグナムはガジェットを撃墜しながら進む。

時空管理局地上本部内部。
「モーリス、お前はもう下がれ。」
レジアスは自分の部下にむけ静かに口を開いた。
「それはあなたもです。あなたにはもう…指揮権限はありません。ここにいる意味はないはずです。」
外から伝わる爆発音。微かに揺れる局内。
「ワシは…ここにおらねばならんのだよ。」
扉が強引にぶちやぶられた。
「手荒い来訪ですまんな…レジアス。」
突然の来訪者は静かにそうい告げた。
「構わんよ…ゼスト…。」
ゼスト・ゾンボルト・グランガイツ。かつてレジアス・ゲイヅとともに、地上の平和を守るため戦っていた男だった。

シグナムは武装の解除もせず、局内を駆け、レジアスのもとへと向かう。
しかし、
「ここから先は…通行止めだ!!旦那は…酷いことなんてしねぇ…、ただ昔の友達と話がしたいだけなんだ!」
アギトがたち塞がり、炎を産み出す。
シグナムは剣を構え、
「旦那には…もう、時間がねぇんだ!
そいつを邪魔するってんなら…」
全ての言葉を言い切る前に、アギトに、いや、正確にはアギトの貼った決壊を切り裂いた。
「こちらはもとより、事情を聞くのが目的だ。事件の根幹に関わることならば、尚更聞かせてもらわねばならん。」
リインとのユニゾンを解除、シグナムはあくまで冷静にそう言った。

「モーリスは…お前の副官か?」
目の前のメガネをかけた女性を一瞥し、ゼスト。
「頭が切れる分、わがままでな…。子供の頃からかわらん。」
そうか、とうなずき、ゼストは胸元から二枚の写真を取り出して、レジアスが着いているデスクへと投げてよこした。
「聞きたいことは一つだけだ。八年前、俺の部下と部下たちを殺させたのはお前の指示で間違いないか?」
沈黙。
「共に語り合った、俺とお前の正義は…今はどうなっている?」
レジアスは沈黙したまま、二枚の写真に視線を落とした。