Seed-NANOHA_140氏_第19話_前編

Last-modified: 2007-12-23 (日) 18:24:59

「はあ!」

ここは高町家の道場。

ここでは一種の交流試合のようなものが行われていた。

今戦っているのは恭也とフェイト。

その中でみんながそれを見ているのだが……

「何でレイたちまで?」

隣を見ると、レイまでもが来ていた。

「艦長が『たまには外に出て空気を吸ってきなさい。ちょうどなのはさんのところで剣術の試合のようなものがあるからみてきなさい。これは命令です』といわれたのだ」

子供に言い聞かせるわけじゃあるまいし……そう思いながらシンはリンディを見る。

ふと、フェイトがレイを一瞬見たがすぐに顔を背ける。

あれを見たアルフはレイを睨む。

だが、レイはそんなことは気にしないといった感じで試合を見る。

今、この道場にはいつもの面子が混ざっていた。

もちろんこいつも……

「何でそんなに嫌そうにこっちをみてるんだ?坊主」

ムゥを見て別に…と答えるシン。

どうもこいつとは気が合わない。

まあ、どの道敵だしいいか、と思い恭也とフェイトの戦いを見ようかと思ったとき…

「コラ、シン。なかようし」

はやてに思いっきり耳をつねられる。

「いてててて、耳をつねるな」

もはや誰が年上なのかわかったものじゃない。

だが、ここがどういう場所なのかわかってはいるのであまり声には出していない。

そのとき、シンの目の前にいきなり木刀が飛んできた。

「おっと」

シンははやてに耳をつねられている上体のままその飛んできた木刀をキャッチし、飛んできた方向を見る。

「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか」

どうやら試合のときに思いっきり木刀を吹き飛ばされたみたいだ。

「ああ、大丈夫だけど」

そういいながらフェイトに木刀を投げる。

「すこし振りが大きすぎるようだけど……」

まるで初心者のような感じがする。

「普段何でたたかってるんだ?」

バルディッシュは鎌とか大剣など、いろんな形態があるが基本は……

「斧です」

そういわれ、まだフェイトが戦っている姿を聞いたことが無いものは、大きな斧を持ち、暴れまわっているフェイトを想像する。

「それはまた……」

絶対なにか勘違いされている。そう感じたフェイトはどうしようかと思ったら。



「だったらみせたらいいんじゃない?」

というリンディの言葉通り、フェイトはバルディッシュを手に取り起動させる。

小さなペンダントのようなものがいきなりフェイトより少し小さいくらいの斧に変化する。

以前なのはの砲撃を見た恭也たちだが、今度は斧か、と思う。だがそれ以前に

(それはすでに魔法じゃないんじゃ……)

だが、なんか言っちゃいけないような気がして、とても口にはいえなかった。

だが、これで納得がいった。

おそらくこういう武器を使ってばかりいるから癖でもついているのだろう。

「こういう武器も練習しておかないと」

フェイトはそういってリンディたちのところに戻る。

……普通はこういう武器を最初に学ぶものだが……

そして次の戦いは、恭也とシグナムである。





「マユに友達が?」

クルーゼは昨日のことをプレシアに話す。

その内容には勿論翠屋のことも含まれていた。

「ええ、まだお年頃の子供。お友達が出来てもおかしくはあるまい」

そんなことを言っているわけじゃない。そんな目でクルーゼを見るプレシア。

そこであのことを教える。

「私とマユはフェイト・テスタロッサに遭遇した」

その言葉にピクっと眉を動かすプレシア

「マユは彼女ともお友達になったようですが」

そしてクルーゼはあることを言う。

「それで、2、3日したら私自らが出撃でもしようかと」

いきなりのクルーゼの言葉に驚くプレシア。

「まだはやいんじゃないの?」

確かに着々と、予想以上の速さで進んでいる計画。

だが、それでも少し早い気がする。

せめてあと1週間は必要である。

「ですが、少しでも彼女に揺さぶりをかけておくことは必要でしょう。いきなり死んだと思っていたあなたが来て「こっちへこい」といっても無理でしょう?」

そういわれて少し悩むプレシア

「なあに、少し傀儡兵を送ってくださればそれでいい。待っているだけでは何も始まらない」

それを聞いて、プレシアはクルーゼに出撃の許可を出した。

クルーゼは笑いながらある部屋に向かう。

部屋というよりはドッグに近いそこに、灰色の巨大なロボット、最後に彼が使った機体、プロヴィデンス……





高町家の道場では、一進一退の攻防が繰り広げられていた。

「はあ!」

シグナムが放つ一撃を恭也が受け止める。

「づああ!」

そのままカウンター攻撃を放つがそれはシグナムに止められる。

いったん二人は距離をとる。

さっきから同じことの繰り返しているだけ。

このままでは埒が明かない。

そう思った二人はこれで決めようとお互いが構える。

そして駆け出す二人。

「おおおお!!」

声とともに同時に剣が振られる。

そして勝利したのが……

「私の勝ちのようだな」

そういってシグナムは恭也が落とした木刀を拾って渡す。

「参ったよ。また戦ってくれるかい?」

恭也の言葉にああ、と簡潔に答え、二人は軽く握手を交わした。

「すげえ………」

シン達は二人の戦いを素直に見入っていた。

「やっぱ強いなシャマルは」

はやては暖かくシグナムを迎える。

「いえ、彼もなかなかのものでした。彼も魔術師だったらよかったのですが」

と恭也のことを絶賛するシグナム。

ふと、何かに気付いたように付け加える。

「勿論、テスタロッサも強いですが」

まあ確かに今回は武器のこともありフェイトが不利だったことには変わりは無かった。

「お兄ちゃん負けちゃったね」

逆になのはは残念そうに恭也を見る。

だが恭也は少し気になった。

「なのは……お前本当にあの人たちと戦ったのか?」

以前聞いた話では、なのははシグナムたちと戦ったと聞いたが。

「うん。シグナムさんと戦ってたのはフェイトちゃんだけど」

今回は魔法がなしで戦ったのだから、魔法を使えばもっと強いことになる。

それをその少女達は互角で戦っているのである。

…一瞬想像してしまう。

以前言ったが、本当にたくましくなったと思う。

「すみません。少しよろしいですか?」

家族と話していると、レイが士郎に話しかける。

「少し道場を使わせて欲しいのですが」

何に使うのかと思ったが、士郎は使わせるのを許可する。

許可をもらったレイは、隣においてあった袋を取って、シンのところに行く。



「シン。たまには一勝負しないか?」

いきなりレイに勝負を申し込まれたシン。

「たまには身体を動かさないとな」

まあ確かに、と思いシンは立ち上がる。

その時、レイはシンにあるものを渡す。

それは………

「な……なんでナイフなのレイ君?」

その内容にはシンと同じだった。

「しくじって道場傷つけたらどうするつもりだ?」

そういう意味で言ってるんじゃないんだけど……となのはは思う。

なのはの変わりに士郎がいう。

「まあ多少道場を傷つけるくらいならいいが、二人が怪我したらどうするんだ?」

本物のナイフなので下手すれば命を落とすかもしれない。

そう言われて、二人は訓練学校を思い出す。

そしていう。

「いまさら切り傷ぐらいじゃな…」

「ああ、なんとも無い」

彼らは軍人と聞いたが、どんな練習内容なのだろう、とその場にいる全員が思った。

「だが、もしものときもある、頼むからやめてくれ」

そういわれて、わかりましたと答え、似ている小太刀で戦うことになった。

勿論木刀で。

二人は場に立って、お互い木刀を構える。

それは恭也たちも見たことが無い構えだった。

先に動き出したのはシンで、レイはそれを迎撃する形となる。

構えと同じで、二人の戦い方は恭也たちの戦い方とは違う。

二人は、ほとんどの攻撃を防御せずに回避している。

その理由は彼らが使っているナイフの刀身が短く、あまり防御にむかない。

だからといって普通はなかなか回避などは出来ないが……

だがこの二人はどうしても回避しきれない攻撃だけを防御し、ほとんど回避を優先している。

「意外とやるもんだな」

シグナムは興味ありありで二人を見る。

以前も少しシンの動きを見たが、軍人とはああいうものなのか?と思った。

その時、ムゥはため息をつけながら言う。

「やっぱすごいな、コーディネーターっていうのは……」

ムゥの言葉にえ?といった感じではやてはムゥを見る。

「コーディネーターって何?」

それを聞いてあれ?とムゥは疑問に思う。

もしかして、俺って地雷踏んだ?それより……

(坊主、話してなかったのか……)

そう思い、話そうかどうか迷う。

ちょうどそのときだった。

シンがレイの喉に木刀を刃の部分を前に出す。



「また俺の負けか……」

レイがそういって、シンは刀を下ろす。

最後に戦ったときもシンはレイに買った。

どうやら接近戦はシンのほうが上手らしい。

二人は元の場所に戻ろうとしたが、何か視線を感じるシン。

よく見ればはやてがシンを少し睨んでいた。

「シン、まだうちらにかくしとることあるやろ?」

は?とはやてを見るシン。

自分のことはすべて話したはず。ほかに何か話してないことって無かったっけ?

「コーディネーターって何?」

それをきいてあっと思い出したような顔をする。

だが、コーディネーターのことなぞ誰から聞いたのか。

自分とレイ以外にコーディネーターのことを知っている人物は一人しかいない……

シンはムゥを睨むとわりぃ、といった感じでシンを見る。

はぁ、とため息をついてもう一度はやてを見ると、はやてはすこし涙ぐんでいた。

だからその涙はやめろって……おいヴィータ!こっちを睨むな!!

数日前とおんなじパターンとなり結果はやはり……

「わかったよ、帰ったら教えてやる」

そういってこの場を逃れようとするが……

「ふーん、はやてさんたちにだけ話して私達に話さないの?」

うしろからリンディが話しかける。

いつもアースラにレイやおっさんがいるんだからそいつに聞いてくれよと思った。

だが、なのは達も聞きたそうにしていて、この場で話そうか迷う。

それ以前にコーディネータ-のことをどう話そうか迷う。あんまり説明するのは得意ではない。

だが、以外にもレイがコーディネーターのことを話し出す。

「コーディネーター。受精卵の遺伝子を改良して、容姿や能力を調整した人間」

レイはコーディネーターのことを簡潔に話すが、あんまりわかってもらえないらしい。

次にムゥが説明する。

「たとえば………そうだな……」

ムゥは少し考えて、士郎と桃子を指差す。

「二人がこの嬢ちゃんを産むとき、どんな子供に育って欲しいとおもった?」

そのあとムゥはなのはを指差す。

桃子はすぐに答える。

「元気に、健やかに育って欲しいとおもいましたけど……」

そういうとムゥはそれじゃあと思ったこともないような言葉を口にする。

「じゃあ髪の色は?目の色は?他の人よりも賢く、強くなって欲しいとおもったことは?」

ちょ、ちょっと待ってくださいと桃子は慌てる。

「い、いきなりなにを言いだすんですか?」

二人はこの人が何を言っているのかわからなかった。

「コーディネーターとはそういうものです」

もういちどレイが言う。

「コーディネーターはさっきコイツが言っていたように、受精卵の遺伝子に手を加えて紙の色や目の色をコーディネートし、頭脳や身体能力も本来の人よりも高い人種」



まるでゲームの解説のようなものでも聞いているかのような気分になる一同。

「俺達の世界ではコーディネーターが住むプラント。そして普通に生まれてきたもの、ナチュラルの地球連合で戦争をしているんです」

レイの言っていることに皆がうつむく。

だがそこでクロノが気付く。

「じゃああなたは地球連合の人間?」

クロノの問におしいとムゥは言う。

「確かに俺は地球連合にいたけどいまはオーブっていうところに入っている。オーブはナチュラルとコーディネーターが一緒にいる国のことな」

オーブ、その言葉に聞き覚えがある。確か……

「アスカはオーブの出身だったな……」

シグナムの言葉でムゥはシンを見る。

シンはふん、とそっぽを向く。

それをみたはやてがあかんよ、と注意をするが、言うことを聞く気も無い。

だがそんなことよりも……

「坊主、なんでオーブ出身のおまえがオーブ軍に入らずにザフトなんかに……」

そんなの個人の勝手でしょう、といった感じでシンはムゥを睨む。

だがムゥは言う。

「軍人なんていつ死ぬかわからない。だから自国のことを思っていなけりゃ軍人になんかなれるはず無いだろ。それをなんで他の国から着たお前が……」

「うるさい!」

ムゥは言葉を続けようとするがシンの怒声によってかき消される。

「そういうあんただって、地球軍を裏切ったじゃないか!!」

もう回りにはやてやなのはたちがいることを忘れている。

今シンの目にはムゥしか映っていない。

シンは今まではやてたちには見せたことないような目でムゥを睨む。

図星を付かれ黙るしか出来ないムゥ。

そんなムゥに腹が立ち、つい口走ってしまう。

「あんな国!守りたいって気も起こりませんよ!!逆に滅んで欲しいくらいです!!」