Seed-NANOHA_140氏_第30話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:27:52

「っく……ううう……」

レイは珍しく昼寝をしていると、奇妙な夢にうなされる。

彼は今どこだかわからない空間にいる。

「ここは?」

ふと前を見るとだれかいた。

『……み……君は……君はレイ・ザ・バレルだね?』

目の前にいるのは自分が見たこともない少年だった。

「誰なんだお前は?……」

レイが問いかけると、彼は話す。

『君の言葉を借りるなら、僕は君でもあり、僕は彼でもある』

最初言っている意味が分からなかったが、その意味はすぐにわかった。

君とは自分のことで、彼はおそらくクルーゼのことだろう。

そのことで言える言葉は一つ。

「ブレア・レヴェリー?」

彼はおそらく3人目の実験体。

レイの言葉にブレアは頷く。

「既にこの世にいない亡霊が何をしに来た?」

レイはブレアを睨む。

それになにも臆さずブレアは言葉を続ける。

『以前、君や彼と同じように自分の生まれを呪った人がいた。名前はカナード・パルス』

ブレアはその人物を懐かしむように、そして寂しそうに語る。

『彼は君も良く知っている人、キラ・ヤマト。その失敗作』

キラ・ヤマトと言う言葉にレイは反応する。

『彼は失敗作という言葉から、彼はキラ・ヤマトさえ殺せば自分が本物になれると思っていた』

それがどうした、と言った顔でレイはブレアを見る。

『けどそれは違う、どう生まれようと、その人はその人自身なんだ。彼もそれに気付いた』

そしてブレアはレイを見る。

『それは君も一緒だよ、レイ。君は君だ』

その言葉にレイは苛立ちを覚える。

(コイツもあいつらといっしょのことを言うのか……)

レイはキラ・ヤマト。そして自分の同じようにクローンとして作られるた人間、フェイト・テスタロッサ。

『勿論、彼女も彼女だよ』

ブレアの言葉に何も言えないレイ。

ふとこう思う。

もしかしたら、自分は心の中で思っているのかもしれない。

自分は自分だ。彼じゃないと言うことに。

けど、どこかそれを認めない自分がいると言うことに。

(いや、そんな事はない……)

そういうが、いつもと違っていつになく弱気になるレイ。

「俺は………」

そう思ったとき、ふと目が覚める。



「夢、か……」

そう思ったときだった。

『レイ・ザ・バレルさん。至急会議室まで来てください。至急、会議室まで来てください』

館内放送で呼ばれて、なんだ?と思いながらもレイは静かに会議室へ行く。

その顔はさっきまでとは違い、いつもの表情だった。



「何ですか?話って?」

シン達はリンディたちに呼ばれて、現在アースラに来ている。

シンが来たときにはレイとムゥが既にいて、はやてたちも学校が終ってるから来ていた。

「今回読んだのは、二つの報告がって来たの」

そういって、リンディは一つの事実を告げる。

「プレシア・テスタロッサのいる場所が見つかったの」

その言葉になのは達は驚く。

それと同時に、フェイトが少しくらい雰囲気になる。

「ってことは、クルーゼもそこにいるのか」

彼もおそらくそこにいるだろう。

そして……

「やっぱり、マユちゃんもあそこにいるのかな?」

眉もあの中にいるのだろうか……となのは達も思う。

それを聞いて、シンはあの時、自分の目の前に立っていた(浮いていた)マユを思い出す。

「それで、もう一つの報告とは?」

レイの言葉に、リンディがそうね、と言って笑いながらシンを見る。

「喜んで。あなた達の世界、コズミック・イラの場所がわかったわ。もう少し詳しいことを調べるから、遅くても数日後にはあなた達は元の世界へ帰れるわ」

リンディの言葉に、シン達は驚く。

なのは達もシンを見る。

「よかったわね」

リンディの言葉に、シンは素直に頷く。

やっと帰れる目処が立ったのだ。

これでやっとわかる。あれから自分たちの世界はどうなったのかを。

その中で、はやてとヴィータは少しくらい顔を見せる。

「はやてちゃん、ヴィータちゃん。どうしたの?」

なのはは二人の様子を見てどうしたのか聞くが、

「な、なんでもないよ」

「うん、なんでもないなんでもない」

勿論、そんな事は嘘であり、何でそうなっているかもなのは、そしてフェイトにはわかった。

「今までずっといたから、分かれるのは寂しいね」

フェイトの言葉に、うんとはやては頷く。

一方シンは、レイとムゥ、3人で何か話をしていた。



「で、お前ら二人はどうするんだ?」

ムゥの言葉に二人は考える。

果たしてこのままもとの世界へ帰っていいのかどうか……

ムゥがそう考える理由はラウ・ル・クルーゼのことだ。

やつがいったい何をするのかわからない。

「俺はこの世界へ残るつもりだ。ラウを何とかしたい。シン、お前はどうする?」

レイにいわれて、シンは考える。

ミネルバ、自分達の世界のことは確かに気になる。

しかし、あいつをほうっておくことは出来ない。それに……

(もう一度、マユに会いたい。何でマユがあいつらなんかと……)

以前の戦いのときに現れ、生きていたマユ。

なんぜプレシアと協力しているかはわからない。

だから、もう一度会って話がしたい。そして連れ戻したい。

シンはそう思っている。

「俺も残る」

こうして3人の意思は決まった。

そのことをムゥがリンディに言う。

「艦長。帰還の件だが、俺達は別に今回の事件が終ってからでもかまわないぜ」

ムゥの言葉に、皆は驚く。

だが、確かに驚くことではない。ムゥとレイはクルーゼという男とかかわりを持つことは既にわかっている。

驚いたのは……

「二人はわかりますけど……シン君はなんで?」

シンまで残ると言い出したことに皆は驚いた。

彼は残る理由がないのだ。

「そりゃあ、向こうのことは気になりますけど…やっぱり、あいつをほうっておくことは出来ません。それに……」

それに?とシンのほうを見るリンディ。

「それに、マユが…妹が生きてて、プレシア・テスタロッサと一緒にいて、どうしてそうなったのか知りたいし、連れ戻したいんです」

シンの言葉に、なのはたちはマユの顔を思い出す。

「やっぱりマユちゃんって、シンの妹やったん?」

はやての言葉にシンは頷く。

なるほど、確かにシンが残る理由もわかる。

そう思って、はやてはほっとする。

「それで、プレシア・テスタロッサの件なんだけど、上層部に問い合わせて、この事件は私達で解決することになって、本局からの武装隊の準備とかいろいろあって、作戦を決行するのは早くてもあと3日あるから、そのうちに心身ともに準備をしてね」

こうして、プレシア・テスタロッサとラウ・ル・クルーゼの身柄を確保するための作戦が始まる。



あの後、時間が時間なので会議の後、皆がそれぞれの家に帰っていった。

「よかったわねシン君。元の世界へ戻れて」

シャマルの言葉に、全くだよとシンは言う。

ようやく帰れるのか。と思えてくる。

(こう言ったらはやてに失礼かな?)

そう思うが、シンは早く帰りたかった。

別に、この世界が嫌と言うわけではない。

あれからプラントはどうなったのか。それが気になっている。

オーブだけじゃない、ミネルバの皆も心配だ。

そしてオーブは……

(くそ!どうだっていいだろ、あんな国!!)

あの国のことは忘れようとして、シンは何か違うことを考える。

そのことは勿論……

(マユ……)

シンは、妹の携帯を見る。

まさか、生きているなんて思っても見なかった……

それに、どうしてクルーゼと一緒にいるのかわからない。

もしかしたらマユはだまされているのだろうか……

(絶対に助けてやるからな、マユ……)

心のなかでシスコンパワーを全開にしていると、ヴィータに服の裾をつままれる。

そのしぐさは勿論……

「おい、ゲームするぞ!」

ヴィータの言葉に思考を切り替え、わかったと、といって席を立つ。

ふと思う。

こうやって、はやてたちと一緒にいられるのはもう少しなんだと。

(ま、こうもいっしょにいると、流石にな……)

シンもはやてと別れるのは寂しい。

だが、かといってここにとどまるわけにもいかない。

シンは既にある程度は割り切っているが、はやてはまだそういうわけにもいかないのだろう。

(異様に大人びてるといっても、まだ小学生だからな……)

おそらくヴィータもそう思っているのだろう。

最近やけにヴィータがシンにかまってくるのだ。

「はやくしろよ!」とヴィータが言ってきて、わかってる、とヴィータの元へ向かう。



「え?シン君の世界の場所がわかったの?」

なのはの家でも、シン達の世界が解り、今回の事件が終ったら元の世界へ帰ることを話した。

シンも妹が生きていて、それが以前会ったマユであることなど。

「似てるとは思ってたけど、まさか本当の妹だったなんて…それも、敵のほうにいるんでしょう?」

桃子はあのことを思い出す。

その中で、美由希はずっと何かを考えていた。



「そろそろね……急がなくちゃ……」

研究室でプレシアはふとしゃべる。

「そろそろとは?彼女の準備は出来たのですか?」

クルーゼはアリシアを見ながらいう。

「それもあるけど、そろそろ管理局の連中がここをかぎつけるでしょうね」

なるほど、とクルーゼはあの魔術師の集団、そしてレイとムゥを思い出す。

「私もやつらとは決着をつけないとな」

自分の目標のためには彼らが邪魔になる。

だから決着をつけなければいけない。

だが、プロヴィデンスはまだ壊れたままだ。

あの自分の知らない奇妙なMSにやられたのだ。

そのMSは自分が倒したのだが。

そこで、クルーゼは考えた。

「プレシア。すこしききたいことがあるのですが……」

何?とプレシアはクルーゼを見る。

「プロヴィデンスを傀儡兵みたいにし、こちらから遠隔操作できるようには出来ないのかね?」