Seed-NANOHA_140氏_第39話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:34:15

そして数日が流れ、ついにマユの裁判の日がやってくる。

今日はアースラスタッフ全員も姿も見える。

裁判も終盤に入っていて、裁判官の質疑にもちゃんと答えているマユ。

そして……

「マユ・アスカ。法廷の結果、君の無罪を認めよう」

裁判長の言葉を聞いたとき、マユの顔が急激に喜ぶ。

勝てる裁判とわかっていても、自分の無罪が証明されたのだ。

こんなにうれしいことはない……(○ム○風)

裁判の様子を見ていたなのはやシンたちも喜ぶ。

その帰り道。

「マユちゃん、よかったね」

マユに裁判が無事に終った事を喜ぶなのはに、マユもうんと頷く。

まあこれで本当の一件落着と言うものだ。

その帰り道、リンディは二人に言う。

「あなたの世界の事なんだけど、二人をコズミック・イラに送るのは明日でもかまわない?」

リンディの言葉に、二人は別にいいですよ、という。

確かに早く帰りたいというもののあるが、まあ皆にもちゃんと挨拶とかしておきたいというものもある。

ただ、ちょっと気になるのはリンディの言い方である。

少し含みのある言い方なのだ。

それを不思議に思いながらも各自の家に戻る。

リビングでくつろいでいると、はやてとヴィータがいないことに気付く(どうやらもうする自分の世界へ帰れる事に気を緩めていたらしい)

「あの二人はどうしたんだ?」

まあ、大体の予想はつくだろうが……

「二人なら翠屋にいますよ」

シャマルの言葉にわかった、とシンは言った。

本当に予想したとおりだったからだ。

するとジリリリリ、と電話が鳴り(いつの時代だ?)シャマルが電話に出る。

ちなみになぜ黒電話っぽい受信音なのかというと、ただ単にはやてが設定しただけだからだ。

「あ、はやてちゃん…うん…はい、わかりました」

どうやら電話の相手ははやてのようで、シャマルは電話の内容を伝える。

「今日は皆で翠屋で晩御飯を食べる事になったらしいですよ」

シャマルの言葉にシグナムはほお、と返事をする。

シンは二人を微妙に見る。

どこか様子がおかしいのだ。

まあ、もう数日しかいっしょにいられないからかな?と思いシンは雑誌を目に通す。

「突然現れた弱冠16歳で孤児の天才ピアニスト、ニコル・アマルフィ」とかかれてあった。



時間の夕食時となり、はやての伝言どおり翠屋へと向かうシン達。

しかし、ついたのはいいのだが……

「どう見てもしまってるよな?」

翠屋を見ると、カーテンは閉まっていて、電気をついてなさそうだった。

けど、はやてが嘘をつく筈がない……

そう思いながら店の玄関を見ると、何か張り紙があった。

「中へ入っていてください、シン君たちへ」

自分を君付けにする事から、書いたのはなのはだろうか……

一同は言われたとおり中へ入る。

その時、不意にシャマルはニコニコしていたのをおかしいと思いながらシンとマユは先に中へ入る。

鍵はかかっていない。

それをも不思議に思いながらも二人は入る。

その時だった。

ぱあん!ぱあん!と景気のいいクラッカーがなり、いきなり電気がつけられる。

そこにはなのはたちをはじめ、シンが知っているいろんな人が来ていた。

ふと天井を見ると「シン・マユ兄弟の送別会」と大きく書かれてある旗のようなものがある。

「「へ?」」

ふたりが揃って唖然としていると、後ろでシャマルとシグナム、ザフィーラが笑う。

「作戦は成功ね」

未だにわけがわからないという顔を見て、はやてが説明する。

裁判が終ったら、二人に送別会をドッキリで行おうという事になり、ずっと準備していたのだという。

なるほど、最近はやての帰りが遅いのはそういうことか。

ヴィータもよく見かけないのはおそらくばらしかねないという理由だろうか。

シンはしばしの間呆然とする。

まあよくこんな事を平然と出来るな、と。

逆にマユのほうはかなりうれしいようだ。

自分のためにここまでしてくれるというのがうれしいのだろう。

「あ、あの、わざわざありがとうございます」

マユはそういって例を言うが、士郎は気にするなという。

こうしてシンとマユの送別会は開始された。

マユはなのは達と、シンは大人組で夕食を食べながら話をしていた。

「もう明日で二人とお別れかあ、長いようで短かったなあ」

士郎の言葉にそうですね、と答えるシン。

確かに、2,3ヶ月の間この世界に滞在した事を思い出す。

かなり長い間世話になったと思うが、思い返してみると確かに短いような気もする。

だが、この数ヶ月間はシンにとってはいろいろな事を学んだような気がする。

「それで、戻ったらどうするんだ?」

士郎に言われて、シンは少し悩んで答える。

「まあ、しばらくはずっと行方不明扱いのままですから、まずは軍に戻って生きているって皆に会いに行くと思います」

皆は元気でしているだろうか。

まあ、レイが大方説明してくれるらしいから戻ってきてもそこまで驚かれる事はないだろう(ちょっとドッキリとして驚かせて見たい気もするが……)

ふと、桃子にマユの事を聞かれる。



「マユちゃんはどうするの?」

「マユは…もとの世界へもどったら多分レイがすむところを見つけてくれていると思いますから……」

多分マユはしばらくは新しい生活に馴染めないかもしれない(自分もそうだった)

けど、そのうち学校にも行って、マユなら友達くらい出来るだろうし、生活はすぐに

だが、シンの問にちがうと桃子は言う。

「しばらくは一人なんだから、やっぱり数日はマユちゃんのところにいるの?」

桃子の問いに、ああそういうことかとシンは頷く。

「そうしてやりたいんですが……多分MIA扱いなんで給料とかは全部消えてると思うんで、稼ぐためにすぐに軍に復帰すると思います。

多分レイが手を回してくれてると思いますし……」

だが、ふと思えばシンには家族が既にいないので、いなくなってからの給料がどうなっているのか少し気になるシンであった。

だが、しばらくはルナやヨウランたちから金を借りなくてはいけないかもしれない。

そう思うといきなり借金まみれかよ、と思うシンであった。

ふとみると、マユがじっとシンのほうを見ていた。

「一緒にいてくれないの?」

どうやら話が聞こえていたらしい。

少し涙ぐんでいるマユを見てシンはあたふたと言葉を捜す。

「ま、マユ。仕方ないんだ。戻っても金がないし、ずっとMIA扱いで軍を休んでる事なってるし、

レイがいきさつをはなしてくれてると思うからすぐに戻らなきゃいけないだろうし……」

等いろいろ言葉を並べるが、それでもマユはまだすねている。

どう言おうかシンは慌てふためいていると……

「嘘だよ」

といってにっこりと笑うマユ。

そしてあわてているシンを見て笑う一同。

「な……」

シンは絶句するしかなかった。

ただ、ちょっと懐かしいなとも思った。

こうやって兄妹とバカをやるのは本当に久しぶりだ。

(また、戻れたらこういう生活が待ってるのか……)

だつら、早く帰って、出来るだけ一緒にいてやらないとな、とシンは思った。

そして、送別会は順調に進み、皆が笑いながら料理に舌鼓をうち、別れを惜しみ、マユはアリサたちとなきあっていた。

流石に次元世界同士での転送は本局じゃないとなかなか出来ない。

だから、今のうちにもっと交流を深めようとマユはしているのだ。

シンはシンで既に数人の人には別れを言っている。

勿論美由紀にもちゃんと言ったが、二人ともどこかぎこちなかった(まあ、あんな事があれば当然ともいえる)

こうして送別会が終わり、シン達も自分の家に戻る。

かえって著釘、はやてはある提案をする。



「せっかくやし、皆で記念に写真でもとらへん?」

はやての言葉に皆が頷き、タイマーセットする。

シャッターを押し終えたはやては急いで皆のところへいく。

「みんな、1+1は?」

「「「「「2!」」」」」

パシャ

など、定番の事をしながら写真をとり終える。

そのあと、皆は思い思いのときをすごい、心はこの家出の最後の就寝を迎える。

(いろいろあったよなあ、ほんとに……)

そう思っていると、はやてが部屋に入ってきた。

「ちょっとええかな?」

はやての言葉に、なんだよ、とシンは尋ねる。

そのあとはやてが意外な事を言い出した。

「シン、今日は一緒にねえへん?」

はやての言葉に吹き出すシン。

いきなり何を言い出すのだろうか。

「はやてが寝るんだたらあたしもー!」

「久しぶりに私ともねようよーー!」

そういってヴィータやマユまでもが来た。

(まだうんって言ってないし、言う気もないのにな……)

そう思いながら3人の迫力に負けたシンは、一つのベットで4人で寝ることになった。

勿論狭く、シンはどのように寝ればいいのかわからなかったが、はやてたちはぐっすりと寝ていた。

その後、はやてが朝一番に目が覚めると、あまりの狭さにシンとヴィータが布団からずり落ちていて、はやてはくすっと微笑んだ。



「それじゃ二人とも、準備はいいわね」

リンディの言葉に、二人は頷き転送の準備を始める。

そんな二人を、皆は悲しそうな目で見つめる。

なんだかんだ皆は二人と仲良くなって、今日別れたら会う機会はなかなかないだろう。

特に一緒にすんでいたはやて達はその悲しみも他のメンバーよりも強い。

「シン、マユちゃん……」

特にはやて、ヴィータは涙を浮かべている。

「はやてちゃん、ヴィータちゃん、みんな……」

マユも、この世界で出来た友人達との別れに涙を流す。

「主、泣いてはアスカ兄妹に失礼だと思います」

さりげなく言うシグナムの言葉に、そうやなといって改めて前を見る。

「はやて、今回が最後ってわけじゃないんだ。生きているうちは、まだ会える事ができる。だろ?」

シンの言葉に、またもやはやての目から涙がこぼれる。

シンはそんなはやてをそっと抱きしめる。

そして、はやてのそばにいるリィンフォースにも挨拶をする。

そしてシンはシグナムたちを見る。

「お前らも元気でな」

シンの言葉に、ヴォルケン代表でああと頷くシグナム。

「なのはたちも」

「うん」

そういってシンは再度転送位置へと戻る。



「あ、ちょっと待って!」

そういってはやてはあるものをシンとマユに渡す。

「やっぱり二人にも持っておいてもらいとおて、速攻で現像してきたんよ」

そういって、昨日とってできたばかりの写真を渡す。

何でも、近所に遅くまでやっている写真屋さんに、

「出来れば明日の正午まで速攻でお願い!」と頼んだところ、実は朝には出来ていて、何とか間に合ったのだ。

「サンキュな」

「ありがとう」

そういって写真を大切にしまう二人。

「じゃあこっちからは……ほら」

そういって、今度はシンのほうから何かを差し出す。

二つとも変わったバッジだった。

「これって?」

はやてが尋ねると、シンは言う。

「ネビュラとフェイス。まあ、俺が軍にいたときにもらった勲章だよ」

シンの言葉にはやては驚く。

とても大切なものではないか。

「まあ、MIAになってるからどうせ没収されるだろうしな。それだったらはやてにあげたほうがいいさ。

聞かれたらデスティニーが壊れたときに一緒になくなりましたって言えばいいし」

最初はもらったときはうれしかったが、今となっては勲章などどうでもよかった。

だったら、はやてにでも渡したほうがいいかと思った。

写真の件も含め、これでおあいこである。

最後に、シンは疾風の髪を優しくなでる。

そして、魔法陣が展開される。

「じゃあな」

「じゃあねーー!」

そういった後、二人は消えていった。

はやては、シンからもらった勲章を見つめていた。