Seed-NANOHA_140氏_第38話

Last-modified: 2007-12-23 (日) 22:33:47

「マユ。起きろ」

まだ朝日が昇り始めていて、ほぼ早朝といってもいい時間帯。

「ん……」

マユは目が覚めうっすらと瞳を明ける。

「あ、おはよう」

そこに移っていたのは兄であるシンであった。

「今日は本局に行って取調べだろ。早く起きないと」

そういってマユがかぶっている布団をのけると……

「……何であいつがここに?」

シンは普段はやてのベットで寝ているヴィータを見る。

一方、ヴィータはすやすやと眠っている。

マユがこの家に住むことになってから数週間、マユとヴィータはすぐに打ち解けていくき、今ではこうして一緒の部屋で寝ている。

ヴィータが同じ布団で寝る人物は何気にはやてに続いて二人目である(例の入れ替わり事件を除く、一応あれもはやてである)

シンははやての手伝いをするために部屋を後にし、シンがいなくなるのを確認すると着替えをさっさと済ませるマユ。

そういえば、とマユは思い出す。

「お兄ちゃんに起こされるのも珍しい気が……」

いつもは一緒ぐらいか、下手をすれば自分が起こしにいくときもあるのに、この2年でなにがあったのだろうとマユは思ったが、よくよく考えれば……

「軍人だったら早起きは必須だよね」

とシンが軍に入っている事を思い出す。

普通軍の人は早起きさせられるのだ。

そういえば、とマユはふと思う。

(軍に入っているという事はあれかな?前に見た映画のようなことでもされたのかな?)

以前家族と見た映画、確か…フル○タ○・ジャ○ットだったか。

お前は○○にも劣る、○○○のような存在だ!みたいな。

まあ、そんなのことはどうでもいいのでまずは……

「ヴィータ、朝ご飯だから起きなよ」

ヴィータをゆすって起こそうするマユ。

こうやって自分が姉になって世話をするもの何か新鮮だ。

マユに揺すられ、ヴィータはん、と言うだけでなかなか起きない。

仕方なくシャマル直伝の秘密兵器を使うマユ

「朝ごはんだよ。早く起きないと、ヴィータの分なくなるよ」

そんな事はまずないのだが、まだ寝ぼけているヴィータにはそれで十分だった。

「それはいやだ!」

そう叫んで飛び起きて急いで下におり、手と顔を洗いに行く。

それを見て、くすりと笑うマユであった。



「「「「「「いただきます」」」」」」

皆は手を合わせながらいって朝食を始める。

いつものメンバーに加え、マユも加わりよりいっそう朝食がにぎやかとなった。

「マユちゃん、今日も本局に?」

シャマルの言葉のはいと頷くマユ。

今日も本局で取調べがある。

取調べといって簡単なもので、向こうの人も彼女は悪くないとわかっているので優しくしてくれる。

さらには「これも規定だから、ごめんね」と逆に謝ってくれるほどだ。

そして、マユの付き添いにはいつもシン、そしてシャマルが同行している。

シンもあまり本局に行った事などないので、シャマルが案内役としてついてきてくれている。

やがてはやても学校へ行き、シンとマユ、そしてシャマルは本局へと向かっていった。



「どお、マユちゃん元気にしてる?」

小学校ではいつものメンバーが集まり話をしている。

最近の話の内容はマユのことだった。

「うん。だいぶこの家にも世界にもなれてきて、特にヴィータと仲良しやな」

はやての言葉に、ああとなのはとフェイトは頷く。

なんとなく分かるような気がするからだ。

「けど、マユもかわいそうよね。マユは悪くないのに、それなのに裁判だ何て……」

アリサやすずかもマユの裁判は勝利が確定されていると聞いているが、どこか納得できない。

「それに、その裁判が終っても、すぐマユはもとの世界へ帰るのよね、シンと一緒に……」

アリサの言葉に暗くなる一同。

その時、すずかが提案する。

「じゃあ、今度マユちゃんの時間があいたら、皆で送別会使用よ。勿論シンも誘って」

その言葉に、全員が頷いた。

実はレイのムゥのときもしようと思ったのだが、別にいいといって、二人は変わりにお土産として翠屋のシュークリームをお土産にもらって帰っていった。

ちなみに、どのように説明するのか疑問に思ったなのはは、もし今度あったときに聞いてみようとも思っている。

まあとりあえず、ムゥたちは拒否をしたがマユとシンなら快くOKしてくれるだろう。

いや……

「どうせやるなら内緒にして、思いっきり盛り上げようじゃない」

アリサの提案にも頷く。

そして、結局会場は翠屋。

次期は裁判が済んだ二日後の翠屋閉店後と言うことに決まった。

勿論リンディや士郎たちも快くOKをもらうことができ、送別会は二人が知らないまま密かに水面下をたどって準備されていくのであった。

「それにしても、死んでいたとおもってた妹と再会したのつかの間、妹は兄の事を忘れた。それで再開のある出来事がきっかけで思い出す」

なんとまあ、漫画とかにありがちな展開だなとアリサは思う。

「けど、ロマンチックだね、感動の再開で」

まあ確かに、となのは達は二人の再会を思い出す。

ありがちなパターンだが、なのはたちも少しうるっと来た

シャマルなんかハンカチまで用意してないていたのだ。

もしかしたら簡単なドラマくらい作れるかもしれないと持った一同であった。



今、シン達は本局へ行きマユが取調べを受けている部屋の近くにある局員の休憩スペースにいる。

基本的に取調べは一人かリンディとともにすることになる。

今日はリンディと一緒に受けている。

「ふう」

シンはコーヒーを、シャマルはお茶を飲んで一服していた。

「すまない、ちょっといいか?」

そこへクロノがやってきたのだ。

何ですか?とシャマルはたずねるが、クロノの視線はシンに向けられていた。

「シン、少し聞きたいことがあるから、僕の部屋まで来てくれ」

何だよ?と思いながらシンはクロノについていく。

そしてつれてこられた本局での彼の資質鐘仕事部屋。

必要最低限のものと書類。そして家族の写真が揃っていてこざっぱりとしている。

「で、こんなところまでつれてきて何の用なんだ?」

シンはクロノにたずねるが、クロノは何故か黙っている。

いや、黙っているというよりどこかよそよそとしている。

シンは、そんなクロノを不思議に思う。

いつもの態度とは違うからだ。

「お前は…マユとは仲がいいのか?」

クロノに尋ねられ、シンは今までの生活を少し思い返す。

「仲は…いいほうだと思うけど」

ちなみに、当時のアスカ家のご近所さんはこう語っていた。

「あの兄妹の仲のよさは周囲じゃ有名」

「自分の子供達にも少し見習わせたい」

と言う人もいれば、

「あれは少し異常」

「兄はシスコンで妹はブラコン。ちょうどいいんじゃない?」

とどこかおかしく言う人もいる。

まあそんな事は置いておいて、クロノは言葉を続ける。

「ちょっと相談なんだが…その……妹とうまく付き合うにはどうしたらいい?」

はたから見ると危ない言い方だが、つまりは妹とどのようにすればうまく交流できるかといったとところだろう。

それを聞いたシンはぷっと吹き出す。

その顔は笑っている。

「わ、笑うな!」

クロノは顔を真っ赤にしてシンに反論する。

だが、シンからしてみてはこの二人は仲がいいほうだと思う。

ただ本人が自覚していないだけで。

まあ、フェイトに聞いたが、いきなり妹が出来てどうしたらいいのか迷っているのかな?とシンは思った。

「空いてる時間にでもフェイトのそばにいてやったらどうだ?お前、空いてる時間でもずっと別の仕事してるだろ?」

シンはアースラにいる間のクロノは仕事をしている姿にしか見たことがない。

あまり翠屋にも足を運ばないし。

シンの言葉にクロノはうっと言葉をつまらせる。

図星のようで、本人も自覚しているらしい。

「もうすぐフェイトたちも帰ってくるし、今日くらい相手してやったらどうだ?」

シンに言われてそうだな、というように考えるクロノ。

「けどその前に、この仕事はおわらさないと……」

それを聞いた一同はガクッと肩を落とす。



だめだコイツは。根っからの仕事馬鹿だ。

まあ、真面目なのはいいけど、とシンはため息を付く。

「すまないな、邪魔して」

クロノの言葉にいや、といってシンは部屋を後にする。

その前に最後にもう一言。

「たまにはかまってやれよ」

そういって部屋を出ていった。

もう一度休憩スペースに戻っていると、まだマユは戻ってなく、シャマルが雑誌を読みふけっていた。

何の雑誌か見ていると、どうやらんミドチルダで放送されているテレビ事情の雑誌で、表紙にはてかてかとミッドチルダの有名人が移っていて。

陣○○則と○原○り○、挙式を独占取材!とか○○に浮気疑惑!?とか様々な注意を引きそうな分などがよく見える。

シンはさっき座っていた席にすわり、残ったコーヒーを飲み干す。

シンが座ったところでやっとシャマルはシンが戻ってきたことに気付く。

シンはコーヒーを飲み干しいつものように…

グシャ。ポイ。こん

と慣れた手つきでゴミ箱へ缶を投げる。

そのグシャ、と言う音にシャマルはシンを見る。

「シン君、あれ、スチール缶よね?」

「ああ」

「普通、スチール缶は素手ではあそこまで握りつぶせないんだけど」

「俺、コーディネーターで軍人ですから」

そう、とシャマルはサイド雑誌を読み始める。

シンはこういうがザフトでも素手でスチール缶をつぶせる人物はそうはいない。

そしてしばらくすると、マユが戻ってきた。

「マユ、どうだったんだ?」

シンがそういって、変わりにリンディが答える。

裁判は来週執り行われるとのこと。

早いんですね、とシンが言ったらリンディは笑いながらいう。

「だって彼女、ただあの人たちといっしょにいただけで、何もしてないでしょ?」

確かに、とシンは笑う。

その時、清掃員のおばちゃんがびっくりする。

「ありゃま、スチール缶が潰れてる。誰かが魔法でつぶしたのかい?」

そういう世相のおばちゃんを見て、不意にシャマルは笑うのだった。

それを魔法を使わず、ただの握力でつぶした人間が目の前にいるのだから。



その帰り道に翠屋によることにする4人。

そこには例によっていつものメンバーが揃っていた。

「あ、マユちゃん」

なのはが先に気付いて、それで皆も気付く。

その後マユはなのは達と話をする。

たあいもない話で、マユの世界はどうだとか聞いていた。

シンがいたときにも聞いたはずだが、とシンは思ったがどうでもいいかと思った。

その帰り道、さりげなくさっさと仕事を済ませたクロノがフェイトを迎えに来て、それを見たシンは一人で笑っていたのだった。



「後、1週間ちょっとだな」

シンはそういうと、マユはうんと言う。

長いようで短かったここでの生活。

けどそれももう終わりで、もうすぐ自分の世界へ戻らなければならない。

マユはまだ知り合ってそこまでの月日はないが、シンにとっての数ヶ月は、正直長く感じる。

「せやなあ、短いようで長かったなあ」

はやても

そんな二人を見てマユが言う。

「けど、また会えるよね?」

マユの言葉に、はやてのはもちろん!と答える。

まあ、シンも分かれてもそのうちまたあえるだろうとシンも思ったのであった。

「ただいまー」

そう思って帰ってくると、いつもどおりシグナムたちが出迎える。

「はやて、お帰り!」

その次にやってくるのはヴィータ、そして最後にザフィーラがやってくる。

そしてにぎやかな晩御飯。

今日あった事を話す一同。

今日ははやてと、シャマルの料理が並ぶ。

今日は久しぶりにシャマルがやってくれた。

今日シャマルが作ったのはチャーハンで、今日は塩を砂糖とコショウの入れ忘れ、さらには薄口と濃い口を間違えたりと、せいだいにやらかしてくれた。

真っ先に食べたヴィータはむせ返り、台所へ直行して嘔吐する。

その晩、いつもどおりミスをしたシャマルはこの晩はやてとマユ、そして食べなかったザフィーラ以外(つまりヴィータとシグナムとシン)からは口を聞いてもらえなかった。