Starlight_第02話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 18:04:59

アークエンジェルのブリッジにいたクルーはモニターを見て唖然した。
それもそのはず。人(しかも子供)が何も仕掛けもなく空の上に立っていたからである。
「艦長。スカイグラスパーとストライク。発進準備完了しましたが、どうしますか?」
ミリアリアが沈黙を破った。
「艦長。ここは逃げるのが得策かと・・・・」
ナタルは冷静沈着にほかの基地の捜索することを提案した。スカイグラスパーとストライクを戦闘させ、
その間にアークエンジェルが離脱させる作戦。
しかし、マリューはちがった。
「彼らの『言い分』を聞いてみて、考えます。」
「艦長!しかし・・・」
「子供二人が何も支えずに立っている時点でおかしいのに、ここで逃げたら、今度は新手が待ち伏せ
しているかもしれない。」
「・・・」
「でも前に言ったはずだけど、私たちはザフトや時空管理局と名乗る組織に投降するつもりもないし、
何よりもこのアークエンジェルを無事に大西洋連邦本部に届けたいだけです。なにか手かがりがあれば、
それでもいいの。」
ナタルはもう一度モニターを見直しして、
「・・・わかりました。彼らの言い分を聞きましょう」と納得した。
「ありがとう」

待機していたアイバン隊にアークエンジェルに入ることを許可について報告した。
「ただし本艦に立ち入ることが出来るのは、管理局員1名のみとします。」
なのはとフェイト。どちらかが入ることになる。流石にザフト兵が入ったら大惨事になりかねない。
「なのは。私が行くよ」
「フェイトちゃん?」
フェイトは『嘱託』ながらも管理局の「魔道師」。マリューたちに話す権限は多少ながらもある。と判断した。
「行く前に・・・」
とアイバン隊長から
「これをもってこい!艦長からの親書だ!」
とフェイトに白い封筒を渡された。じつはアークエンジェルに向かう前、アイバンがリンディーに親書を書いたほうが
アークエンジェル側にも納得しやすい。と考えのもと、リンディーの直筆で書いたものである。
「管理局員1名をそちらに向かわせる。」
格納庫にいた保安要員を集め、待機していると確認したのち右のカタパルトデッキを開くように指示した。
そして右のカタパルトデッキが開いた後、フェイトはそこに向かった。

フェイトがカタパルトデッキに着いたとき、辺りは誰もいなかった。とりあえず管理局の制服に変身し、
保安要員が待っている格納庫に向かった。管理局人とはいえ、モビルスーツに乗るであろうと思い込んだ保安要員も
「こ・・・子供??」と驚きが隠せなかった。とりあえず、フェイトと保安要員の一人が、艦長室に向かった。
「艦長。時空管理局の局員を連れてまいりました。」
「どうぞ」
フェイトと保安要員は艦長室に入った。
「保安要員は外で待機」とマリューが指示した後、保安要員は外に出た。
「はじめまして。地球連合軍・アークエンジェル艦長。マリュー・ラミアス大尉です」
「同じく副官のナタル・バジルール少尉であります。」
「時空管理局・嘱託魔道師。フェイト・テッサロッサ。時空管理局からの親書を届けてまいりました。」
フェイトがアイバンから渡された親書をマリューに渡し、その場で読んだ。
「・・・なるほどね・・・・つまり私たちは、ほかの『世界』に飛ばされた。ってわけねー」そういいながら、その親書をナタルに渡した。
「はい・・・そのー・・・えーと・・・」
「別に、緊張しなくてもいいよ。飲み物、なんか飲む?」
「べ・・・別にいいです。」
「別に遠慮なくても・・・ね。」そういいながらマリューは電話を取り、オレンジジュースを頼んだ。
数分後、ミリィーがオレンジジュースを差し出し、フェイトはそれを口にした。
それをわが子のように見つめた艦長はフェイトに質問した。
「フェイトちゃんは、この「仕事」して何年になるの?」
「もうすぐ、1年です。」
「そっか。やっぱり楽しい?いまの仕事は」
「はい。確かに事件があったら大変だけど、いろんな人と話せて楽しいです。」
「艦長・・・」ナタルは、ギロッとした目でマリューに話しかけた。
「私話は謹んで下さい」
流石に軍人一家の娘。相手がたとえ子供でも容赦はしない。マリューはやれやれとした顔でわかりました。と対応した。
「それに、艦長にお話が・・・」ナタルは続けた。
「わかったわ。ごめんねフェイトちゃん。別の部屋で待っててくれる?」
「あ・・・はい・・・わかりました。」

またも保管要員が向かいに来てフェイトは別の部屋へ向かった。すれ違ったようにムゥーは艦長室に入った。
「例の、管理局の子か。」
「ええ。フェイトという名前なの」
「へぇーすごいなまえだねー。」
「艦長・・・それにフラガ大尉・・・」
「おっと。これは失礼。」
相変わらずギロッとした目つきのままだ。どれほどスパルタ教育したことでしょう。
「で、お話っていうのは何なの?ナタル」
「はい。じつは・・・・」
それは2人にとって驚く事実だった。ナタルの説明はこうだ。
大気圏突入する際、誰かの声で「ロストロギアヲトリモドスンダ」「セカイガハメツスル」「スターライト」
と意味不明な単語が聞こえたという。突入後、アークエンジェルはかなり損傷していたはずの、
なぜか全システム使用可能だった。しかしログシステムは真っ白の状態で、以前の状況が見当たらなかった。。
また、東アジア連邦や大西洋連邦といった友軍への通信もまったく通らず、
月本部という存在もなかった。無論。プラントも存在しない。
「じゃ、私たちはフェイトちゃんたちがいる時空何とかに行くわけ?」
「本来なら。っと言いたいとこだが、これもザフトの罠かもしれません。」
「でも、ここで引いたら私たち・・・どうするんでしょうね。」
マリューは親書をもう一回読みながら質問した。管理局は強制力がないゆえに自由にこの世界に
回ることができるが、ナタルの言葉が事実だとすればこれは致命傷となる。クルーを死にいたらすことになるからだ。
「もう一度、フェイトちゃんに話しかけます。・・・」
そういって、フェイトがいる部屋に向かった。

そのころフェイトはアイバンやリンディーに報告するため、念話を使って話していた。
(・・・バジルールか・・・結構きつい決断されるでしょうね・・・)
(かなりマリューさんに怒っていましたから。私が悪かったんでしょうか?)
(そんなことはない。軍で育てられた人っていうのはそんな感じだよ)
アイバンはフェイトをフォローしていたとき、
「フェイトちゃん。ちょっといいかな。」マリューはドア越しにしつもんした。
「はい。どうぞ。」とへんとうし、マリューは入った。
「ごめんね一人にしてしまって。寂しくなかった?」
「いえ。そんなことはありません」
「フェイトちゃんに質問したいことがあってここに来たけど、いいかな。」
「はい」
「さっき、ナタルが「ロストロギア」を取り戻すって聞いたらしいけど、何かわかるかな。」
フェイトははっと気づいた。やはりこの人たちも・・・そう確信した。
「はい。話で聞いただけだけど、その事故がきっかけでアイバンさんたちが来ました。」
「今乗っているモビルスーツが?」
「はい。そのときも『ロストロギアを取り戻してくれ、世界が破滅する。』という声が聞こえたらしいです」
もうマリューには、迷う余地はなかった。
「わかったわ。ちょっとついてきてくれる?」
向かったのは、アークエンジェルのブリッジ。アースラとは狭かったが、かなり高性能な機械が並んでいた。
もちろん。ナタルやムゥーもいた。マリューは、みんなの前でこういった。
「これより本艦は、時空管理局に向かいます。」艦長の発言に驚きを隠せないクルーたち
「しかし・・・」とナタルは焦っていた。
「さっき、フェイトちゃんにその声を質問したら、ザフトのモビルスーツ隊もナタルと同じ声が聞いたということ」
「・・・」
「もはや、ザフトとの睨め合う状況ではなさそうだね」
艦長の指示は絶対。ということもあって、ナタルも納得せざる得なかった。

フェイトはなのはにOKだったよと念話で報告した。なのはもエイミィーとの連絡を取り、転送の準備をした。
「で、どこに向かえばいいの?」
「このまま座ってください。管理局の人が転送してくれますので。」
「転送?君の仲間はもしかして、魔法使い?」とムゥーは質問した。
「はい。それと・・・」
「それと??」
「皆さんも魔法使いです。」
「「「えっ」」」
みなもまた仰天した。
(自分が??)
(そんな・・・・)
(うひょー。なんかすごいことになったねー。)
当の本人たちはわからなかったが、フェイトにはかなり聞こえていた。
(フェイトちゃん。転送の準備ができたよ)エイミィーからの念話が来ていた。
「それでは、転送します。」
(なのは)
(わかった)「みんなもいくよ」
なのはの指示で、ジンがアークエンジェルを四角で囲むように移動した。
「準備はいいね??」なのははジン4機のポジションニング確認した後カウントダウンに入った
「3・2・1」
「「「てんーそうー」」」

こうしてアークエンジェルは海鳴市の沖合いに姿を消した。その時間。出現からおよそ2時間後のことだった。