W-Seed_WEED_第03話

Last-modified: 2007-11-11 (日) 12:55:17

この戦い、デュオが終始圧倒していた。
CEとACのMSの差、そして実戦経験の差だった。
2対1ながら問題はまったく無い。
そこに油断があった。
無数の弾丸が、ミサイルが、正確にデスサイズめがけて飛んでくる。

「うわっ!なんだこりゃ!」

そしてデュオは見る、見慣れて機体、かつては味方としてともに闘ったMS。

「ビンゴ!こうやってどっかに所属して暴れていりゃあそのうち会うと思ったぜ!なぁ、トロワよぉ」

「シン、レイ、議長からの指示だ、ここは俺が抑える、お前達は奴等を追え」

トロワはシンとレイにそう告げる。
無論、議長からの指示などではなく彼の判断だ。
だがこの局面なら咎められることは無いだろう。

「トロワか!おまえ、機体間に合ったのか?」

シンが驚きの声を上げる。

「ああ、インパルスやあの3機と同じタイプの新型、ヘビーアームズだ」
「シン、話している暇は無いぞ、トロワ、すまない、ここは任せるぞ」

レイは即座に3機を追う。

「トロワ、無茶するなよ、そいつ手ごわいぞ」

そう言い残し、シンのインパルスもレイを追っていった。

そして間もなく、目の前のデスサイズから通信がきた。

「よう、トロワ、そのうち会えると思ってたぜ」
「やはりデュオか、無茶をするな」
「お前だって似たような考えがあったからザフトにいるんだろ?」

適度に闘いながらも通信を続ける。
デュランダル以外のこの世界の住人には気付かれない程度に。

「デュオ、まず聞きたい、カトルやヒイロ達には会ったか?」
「全然、この世界にきて一月以上立つけど誰ともあわねぇ
ここにきたのは俺だけかと思ったぜ」

ホーミングミサイルを避けつつ答える。

「そういう質問が来るって事はお前も会ってないんだな?」
「ああ、その前に一月以上前に来たといったな、それは確かか?」

ビームサイズをすんでのところでかわし、問う。

「ん、そうだけど、もしかしてお前は違うのか?」
「ああ、俺がここにきたのは三ヶ月ほど前だ、デュオもう一つ質問だ、お前が最後にACからここに来たのはいつだ?俺がここに来たのは地球に落ちようとするリーブラを破壊してる最中だ」
「リーブラが落ちようと?そんな馬鹿な!俺がここに来たのは向こうでの戦後だぜ!お前も確かにいたはずだ」v 「そうか・・・・・・推論はいくつか立てられるが今はそれを考えるのはよそう
デュオ、俺はヒイロやカトルには会っていないが俺たちの世界の人間の一人とすでに会っている」
「なんだって、五飛か?」
「いや、違う」
「まさかゼクスか!」
「それも違う、奴はすでにザフトでもかなり高い地位についている、議長であるデュランダルの側近という立場にな、そして俺達のよく知る人物だ」
「おいおい、まさか・・・・・・」

「やはり本気で戦いはしないか、そうでなくては困るとはいえ少々味気ないな」

モニターを見ながら男は言う。

「しかし、たいしたものだな君の世界のMSは、インパルスはあれでもザフトの最新機種なのだが・・・・・・なぁ」

「「トレーズ・クシュリナーダ」」

「彼らが特別なのだよ、議長」
「ガンダムだけが強いのではない、戦い、闘い続け、敗北さえも糧として、負け続けながらも闘い続けたからこそ、彼らは強く、そして尊いのだ」

トレーズの台詞を聞き、そしてデュランダルはモニターを見つめる。
そこに映るのはカオス、アビス、ガイアを追う2機のMSの姿だった。

「私は彼らもそうなってくれるのを期待しているのかもしれないな」

デュランダルの独白に、トレーズは答える。

「彼等の敵は運命そのものだ、シン・アスカもレイ・ザ・バレルもその身に重い運命を背負っている、とくにレイ・ザ・バレルはそうだろう・・・・・・
だが、私は信じたい、だからこそ彼等がその運命に勝ちうるのだと」
「運命・・・運命か・・・・・・」

そんな、わけの分からない事を呟きつづける二人を、ブリッジの面々はただ遠巻きに見守る事しか出来なかった。