「どうやら君の言う通り現れたようだね、ガンダム02、デスサイズか」
ミネルバのブリッジでデュランダルはそう、傍らに立つ男に語りかける。
男は答える。
「彼を出した方がいいだろう、シン・アスカも頑張ってはいるが、彼とレイ・ザ・バレルだけでは荷が勝ち過ぎる」
デュランダルは頷きミネルバ艦長であるタリアに言う。
「もう一人赤がいるだろ、彼を出してくれ」
「ですが、余っている機体がもう・・・・・・」
「彼の機体なら先ほど搬入した、問題は無い」
v あっさりとデュランダルがそう言う、確かに先ほどMSを二機、このミネルバに搬入したが、しかしそれはインパルス以上の機密ではなかったか。
それをこんなところであっさりと。
そんなタリアの心境を見透かしたのか、デュランダルの傍らに立つ男が言う。
「ここであの3機を逃すよりはいいだろう、手遅れになる前に動いた方がいい」v v ここ数ヶ月で議長に取り立てられた男、襟元にはFAITHの勲章がある。v デュランダルもその言葉に頷く。
「分かりました、彼に伝えて!」
タリアは通信士のメイリンに告げた。
「さーてと、スティング!アウル!ステラ!今のうちにとっとと合流しちまいな、ここは俺が抑える!」
「デュオか!援軍ってお前だったのか、けど、そいつは・・・・・・」
その少年はこの作戦の数週間前、ネオが突然連れてきた。
彼らのようにブーステッドでも、コーディネーターでもないが歳が近かったせいかすぐに打ち解けた。
確かに、シミュレーションでの腕も対した物だったがあんな機体を持っているとは思わなかった。
「話は後だ!とっとと引き上げないと厳しくなるぞ」
「分かった、デュオ!後は頼むぞ、アウル!ステラ!今のうちだ!」
「ハイハイ、チェ、デュオにいいところ取られちまったか、お前もすぐ来いよ、バス送れちまうぜ」
「久しぶりに骨がありそうな相手だぜ、行くぞ相棒!」
言うが早いがデュオはデスサイズをインパルスに突っ込ませる。
「なんなんだよ!こいつは!」
シンもビームサーベルを抜き応対するがデスサイズは想像を越えるほど速い。
慌てて飛びのくが足がやられる。
「メイリン!レッグフライヤーを頼む!」
『了解、レッグフライヤーをカタパルトにセットします』
『レッグフライヤー射出、どうぞ』
「空中で換装?やらせるかよ」
デスサイズがさらにインパルスに迫る。
「させはしない」
ブレイズザクファントムがビームアックスをデスサイズに振り下ろす。
デスサイズがそれを受け止め弾き返す間に、シンの換装が完了する。
しかし、戦況は変わらない。
デスサイズの武装に多彩性は無い、しかし基本性能の違いが次第にシンやレイを追い詰めていく。
「おらおら、どうした!それでもガンダムか!」
そして実戦での経験値の差が二人とデュオの間にありすぎた。
フォースインパルスのビームライフルはあっさりとアクティブクロークに弾かれ。
接近戦を挑んでもあの鎌が厄介だった。
ソードシルエットに換装したかったがレイが援護してくれているにもかかわらずもはやその隙さえ与えてくれない。v
この世界のMSはACのMSに比べるとずいぶんと劣る。
それがデュオの感想だった。
目の前のガンダムタイプはそこそこやるが、それでも、このデスサイズには及ばないだろう。
だからこそ、ザフトに彼が知る人物のうち一人でもいるなら出てくる可能性が高い。
ミネルバのMSデッキで赤服を纏った少年は乗りなれた愛機に向かう。
あの男はここで、彼以外の4人のうち誰かが現れるといったが、確かにその通りになった。
ならばまだ、しばらくはこの赤を着ている意味があるだろう。v
コックピットに入る。
計器をチェックし、MSの発進準備を整える。
とりあえずはここで信用される程度にデュオと闘いつつ情報を交換する。
それを考えると今の状況は好都合だった。
MSの発進準備が整う。
シンとレイは頑張っている、ルナマリアは落とされたようだ。
現状ではデスサイズに対抗できるのは自分だけだろう。
だからこそ1対1という状態を作りやすい。
(あの男はここまで読んでいたのだろうな)
彼と同じ世界からきた、現在ではこの世界の最高権力者の一人の腹心である男を思い出す。
敵に回せば危険な相手だがこの世界でそれは無いだろう。
『進路クリアー、ヘビーアームズ発進、どうぞ』
「トロワ・バートン、ヘビーアームズ、出るぞ」