grow&glow_KIKI◆8OwaNc1pCE氏_第21話

Last-modified: 2013-02-02 (土) 23:12:33

 あたし達は、ずっと一緒にやってきた。
 辛いときも、苦しいときも、楽しいときも。
 支え合って、助け合って一緒に戦ってきた。
 大好きな友達って言うと怒るけど、あたしにとっては、夢への道を一緒に進む大切なパートナー。
 失敗も/つまずきも/後悔も一緒に背負う。
 だから、一緒に立ち上がろう? 
 それはきっとあたしだけの想いじゃない。
 ティアナを一人にしないみんながいるから、きっとできる。

 
 

grow&glow PHASE 21 「願い 二人と(前編)」始まります

 
 

 戦闘が終結して半刻ほど。
 ティアナはなのはと共にホテル・アグスタから少し離れた場所/林道の中にいた。
 二人は歩く/人気から離れるように林道を。
 先に進むなのはと後に続くティアナ。
 ドレスから制服姿に戻り、反省会を行った後になのはが設けた二人の時間。
 付いてきながらも、一度も顔を上げることのないティアナに振り返りながら、なのはは言った。
「失敗しちゃったみたいだね」
「すみません。一発逸れちゃって」
 返ってくるのは、消えそうな言葉――表情が見えなくとも伝わる反省に、「あたしは現場に居なかったし、ヴィータ副隊長に叱られて、もうちゃんと反省してると思うから、改めて叱ったりはしないけど……」諫める選択を辞めて、1つのことを指摘する。
「ティアナは時々、少し……一所懸命過ぎるんだよね」
 今日の結果/誤射だけではなく、日々の訓練姿勢をも合わせた問題点。
 その時々を/そうなる理由を思い出すうちに視線が上がり――故に、ティアナの視線がさらに下がった事を見逃した。
「……それでちょっと、やんちゃしちゃうんだ」なのはは、気遣うように優しく肩に手を置いて。
 無言。ティアナは、己の無茶――その理由を察してもらえなかったもどかしさに俯いて。 

 

 気づけなかった/伝えなかった。
 故にすれ違う。

 

「でもね。ティアナは一人で戦っているわけじゃあないんだよ――」
 なのはは指摘する。仲間の存在を。ティアナがどう戦うべきだったのかを。
 ティアナの今日の“やんちゃ”理由が、実戦の緊張から初めてのポジション/己の役割を怠ってしまったからだと考え、批評する。
「――ちゃんと考えて、同じミスを二度と繰り返さないって約束できる?」
「はい」故に、ティアナは肯定する。センターガードとしての己の不甲斐なさ理解できているからこそ。ポジション上、スバルと突出すべきではなかったと理解できるからこそ。
 なのはの言葉を否定しない。

 

 それでも、己の力を場違いだと考え――先日のエリオやキャロのように、力の証明を果たせなかったティアナには、すんなりと受け入れられるものではない。
 証明できなかった以上、仲間と共に立つべき存在にはなれないとティアナは結論づける。
 現状――仲間の中で、ただ一人足を引っ張る存在だと。
 右も左も仲間がいる。けれど、その仲間のなかで、唯一己が劣るのだと。
 そんな己が仲間に指示をして……たとえ、命令を聞いてくれても、ティアナ自身がソレを望まない。耐えられない。

 

 ティアナは戻る。なのはと共に、アグスタへ。
 行きと同じく、従順になのはの後ろをついて行く。
 終始無言だった為か、俯いたままだった為か。
 心配そうな視線を時折感じながら、ティアナは黙って歩き続けたのだった。
 やがて、その先。
 なのはと別れたティアナを待ち受ける2人の仲間。
「ティア!」一人は息を切らせて駆け寄ってくる古くからの相棒。
 自分が誤射されて――それでも、何時もと変わらず息を切らせ、心配してくれるスバルに嬉しくて/余計に申し訳なくて、
「いろいろ、ごめん」自然と謝罪の言葉が漏れ出した。
「ぜーんぜん」笑顔で受け止め/気遣うように問いかける「……なのはさんに怒られた?」
「少しね」
「そう……」
 自分のことのように落ち込む姿を見せられ、思わずティアナは苦笑する。
 それだけでも、どこか心が軽くなってしまうかのような気持ちになるのだった。
「あんたが落ち込むこと無いでしょ。一緒に無茶したといっても、あんたを撃っちゃったあたしだけが怒られるのは当然よ」
「ほう……ちゃんとわかってるじゃないか」そして、もう一人。「ようやく戻ったか」イザークはいつもと変わらず、ゆっくりと歩み寄る。
「悪かったわね。あんたにも迷惑かけて」
「殊勝な心がけだな。それより、早く手伝え」
 バインダー/書類の数々をティアナの両手の上に落とすと背を向ける。
「けど、ティアは休んでたほうが……検証の手伝いはあたしが頑張るから」スバルの批難。
 一瞥。「それでウジウジされるとこっちがかなわん」イザークは鼻で笑う。
「わかっているわよ。凡ミスしておいて、サボりまでしたくないしね」
 今は身体を動かすことが賢明だとイザークに告げられ、ティアナは頷いた。
 身体を休めたところで、頭は休まらない。
 一人で休んだところで、やってしまうことは決まっている――自己嫌悪。
 だから今は、グルグルと考える時間をティアナは自分に与えない。
「やると決まったら、さっさと終わらせるわよ」
「うん」
 突き動かされるように、ティアナは検証に打ち込むのだった。

 
 

 ホテル・アグスタからの帰還。そして解散から数時間後。

 

 夕暮れから宵闇に沈んだ隊舎側の木々の中で、一人自主訓練に励む者がいた。
 愛機のクロスミラージュを両手に携え、ティアナは周囲に展開したスフィアが光る瞬間に銃口を向けながら、何度も何度も繰り返す。
 360度。全方位に浮かぶスフィアに意識を傾けて。
 大きな動きは無くとも、瞬間毎に全力で身体を動かして。
 蓄積する肉体と精神の疲労――息が上がってきているのを感じながら――それでもティアナは繰り返す。

 

 少しでも力を付けるために。
 少しでも仲間に追いつくために。

 

 額に滲む汗を拭いながら、ふらつきだした足に力を込める/握力の落ちた両手に力を込める。
 明らかなオーバーワークに身体中から悲鳴が上がろうが気にしない。
 ただひたすら繰り返す。
 一人で黙々と繰り返す。
 踏み込みの足音と荒い息づかいだけが木霊する中、ふいに誰かの拍手が紛れ込んでいた。
「もう4時間も続けてるぜ。いい加減倒れるぞ」
「ヴァイス陸曹。見ていたんですか」
 昔なじみの来訪者。
 ティアナは訓練を中断し――膝に手を置きそうになるのを堪え、姿勢を正す。
「ヘリの整備中にチラチラとな」苦笑。
 階級を気にした応対で返され、そんなティアナの変わらぬ真面目さが、かつての戦友に重なった。
「ほれ」
「ありがとうございます」
 差し出したドリンクを口にし/喉の渇きか、一息に飲もうとして咽せるティアナを眺めながら、
「ミスショットが悔しいのはわかるけどよぉ、精密射撃なんかそうホイホイ上手くなるもんじゃねえし。無理な詰め込みで変な癖つけでもしたらよくねぇぞ――という、陸曹如きとはいっても、元はスナイパーだった先輩からの経験談だ」ヴァイスは己の経験と教えられた知識を告げていた。
 だが、ティアナは首を横に振る。
「詰め込んで練習しないと上手くならないんです。凡人なもので」
 優等生のままの訓練を続けたところで誰にも追いつけない。
 皆と同じように訓練に励むだけでは誰にも追いつけない。
 故に、一日の時間を誰よりも長く訓練に割り当てる。

 

 スフィアを展開。一息をつくことができたおかげか、足に身体を支える余裕が戻っていた。

 

「ま、邪魔する気はねえけどよ。お前等は体が資本なんだ。体調には気をつかえよ?」
 ヴァイスは“凡人”という言葉を否定しない。ティアナの周囲に存在する魔導師/知り合い達の実力を知っているからこそ、ティアナの自己評価が“凡人”になることは、仕方がないと理解はできている。
 己もオーバーSランクの人間と身近な存在になっていたからわかること――異常なまでに能力の高い/素養の高い仲間達に囲まれるが故の劣等感。
 ヴァイスは大人だ。自制/割り切ることも簡単にできる。
 だが、ティアナは子どもだ。それも負けん気の強い子どもであったことは、昔から知っている。
 そんな彼女が、今何を思って訓練に望んでいるのか、わからないはずも無い。
「ありがとうございます。だいじょうぶですから」
 予想していたティアナの解答にヴァイスは苦笑する――努力の否定はしたくもないが、無茶を見過ごして倒れさせる訳にもいかないとも思ってしまう自分に向けて。
「時間も時間だ。日付が変わるまで……は長いな。後、30分くらいにしとけよ」
 無言。
「わかったな」
「……はい」
 おざなりなティアナの返答/同意。
 言質を取った以上、ヴァイスのこれから行うことは決まっていた。

 

 隊舎――スバルとティアナの自室。

 

 一人で自主練に向かい、夕飯の席にも現れなかったティアナを心配し、スバルはため息を吐き出していた。
 きっと無茶をしている。そうわかっていながらも、スバルにティアナは止められない。

 

 昔、聞かされたティアナの夢。執務官を志望する理由。
 全てを聞かされていた。
 一人でティアナを育ててくれたお兄さんのこと。
 ティアナが10歳の時に任務中に亡くなった後、上司から最後の仕事が無意味で役に立たなかったと言われて、すごく傷ついて悲しんだこと。
 お兄さんが教えてくれた魔法は役立たずじゃないことを証明するために、どんな場所でもどんな任務でもこなせる魔導師になってみせるということ。

 

 お兄さんが叶えられなかった執務官になる夢を叶えるために一生懸命に必死に訓練に望むティアナを/訓練校時代から一度も変わらない、強くなりたいというティアナの気持ちを、スバルは止められない。

 

 日付が変わるまで――1時間以上。
 まだまだティアナが帰ってこないであろうと予想できて――しかし、小さいながらも彼女の声が耳に届く。
 次第に大きくなりながら。
 それが、文句であり罵倒であるとわかった時には目の前の扉が開かれる。
「って、ヴァイス陸曹! どうしたんですか」
 視線の先――挨拶代わりに片手を挙げるヴァイス+その肩に担がれ、暴れるティアナ。
「無理にでも連れてかないと終わりそうも無かったからな。見逃して体調崩されたらなのはさんにどやされる」
 今はしがないヘリパイをしていようが元は陸士。
 頬に肘がめり込もうが。
 頭を強く押されようが。
 少女が暴れたところで動じない。
「ティア。肘、肘」
「気にするな。ティアナはお兄ちゃん子だったからな。“愛しのおにい”以外が担ぐとこうなるのは知ってるさ」
「何言ってるんですか! ヴァイス陸曹」
「大人しくしねえと、ティアナが“愛しのおにい”の職場に来たときの可愛い話をスバルに喋るぞ」
 真っ赤に染まっていっそう暴れ出したティアナを黙らせ大人しくさせると、ヴァイスは無造作にベッドの上へと放り捨てる。
 鈍い音。
 くぐもった悲鳴。
 共に無視しながら、感慨深げに口に出す。
「流石に鍛えた筋肉も付いてる分、重くはなるな」
 飛来してきた枕を受け止めながら、ヴァイスは笑う。
「まだ2度目の実戦だ。何を考えるかは自由だが、今日はしっかり休めよ」
「ヴァイス陸曹にそこまで言われる筋合いはありません」
「ちゃんと約束はしただろ、後30分って。ティーダは約束を守る男だったんだけどなあ……」
 右手で頭を押さえ、盛大に肩を落としてみせる。そんなわざとらしいヴァイスの行動だが、余計な一言がティアナの口を封じさせていた。
「わかりました。今日はもうしません。早く寝ることにします」
 ティアナは選択する。ヴァイスをここから追い出すことを。
 これ以上留まらせれば、その軽い口からどれだけのスバルに聞かせたくない歴史を語られる。
 故に、しおらしく頭を下げて目で訴える――早くどっか行け。
 そんな応対にヴァイスは愉快そうに笑みを浮かべると、踵を返してもう一言。
「そういえば、明日は5時にならないと玄関は開かないらしいぜ」
 目覚まし時計に伸びていたティアナの手が止まる。
「どういうことなんですか?」ティアナ――年上に向けるべきではない不機嫌そうな表情で。
「俺に言われてもな。アスランが言うには、隊舎の防犯システムを弄るかなにかで……詳しくはわかんねえけど、部隊長さんがオーケー出してるんだから、ちゃんとした理由はあるだろうさ」ヴァイス――小さく肩をすくめてドアの先へ。
 数秒後にはティアナが詰め寄ってくることを予想できたのか、廊下を出ると同時にヴァイスは走り出していた。

 

 一拍。

 

「ティア……もう、寝る?」
「寝るわよ! ちゃんと」
 訓練着を脱ぎ捨てると、ティアナはベッドの上に飛び込んでいた。

 
 

 普段の耳障りな音とは僅かに異なる電子音が頭の中を木霊する。
 重い身体に辟易しながらも左腕を伸ばす。
 叩く。叩く。叩く。
 停止。
 首をひねって確認した時刻は午前5時の少し前。
 ある程度の睡眠をとれたおかげか、一度目が覚めれば眠気も皆無。
 身体が重いことは重々承知。痛みがないだけマシだ思いながら、少しでも早く自主訓練を開始しようと身体を起こそうとして――ティアナは気付く。
 視線の先――いつもより盛り上がる布団。全身ではなく、一部の身体のみが重かった。
 予想は一つ。嫌な答え。
 それでも、このままにしておくこともできず、布団をどける――ティアナの胸に顔を埋めるスバルがそこに居た。
 一拍。
 2つの柔らかい膨らみを堪能するかのようにモゾモゾと動かしていた顔がティアナに向けられる。
「あ、おはようティア」幸せ100%の笑顔。
 瞬間、ティアナの両手はスバルの頬に伸びていた。
「なーにが、『あ、おはようティア』よ。いったいどういうつもり? あんたのベッドは上でしょ」
 全力で右手は右に/左手は左に。
 スバルの頬を引き伸ばしながらティアナは問うていた。
「ひゃ、ひゃべれない」
「念話があるでしょ」
「ひぢょい」
「で?」
 ガンを飛ばされ+痛みに観念したのかスバルは答えを返す。
(「いつも寝るときってベッドがあるから別々だし、ティアは一緒に寝るのは嫌がるし……だから昨日はチャンスかなーって……ごめん」)
 殊勝に瞳を伏せられ、ティアナは嘆息する。
 スバルが甘えん坊なことは訓練校時代から知っている。
 片親がいない影響か。姉にべったりだった影響か。
 聞いたことは無くとも理由は察せられる。
 それに、本気で怒っていたというわけでもない。
「まったく……しょうがないわね」
 ティアナは両手を離すとスバルの頬を解放してあげる。
 朝の目覚めから、すでに余計な時間が過ぎている。これ以上はもったいない。
 ティアナは身体を起こし――もう一度スバルに問いかけた。
「で、アンタは何してるわけ?」
 見下ろした先――スバルが胸に顔を埋めていた。
 それも、落ちないようにティアナの背中にがっしりと両腕を回しながら。

 

 視線がぶつかる。
「だって、『しょうがないわね』ってことは……いいんじゃないの?」スバル――しおらしく小首を傾げてみせながら。
 瞬間。ティアナの両手はがっしりとスバルの頭を捕まえていた。
「へえ……アンタがそこまでお馬鹿なんて知らなかったわ。ほんと、しょうがないわね」
 満面の笑顔で語りかけながら。瞳は告げる――わかっているわよね、と。
「ごめんティア。冗談だからその手は――」
 朝の小鳥の鳴き声に混じって、一人の少女の絶叫が宿舎に木霊した。

 

「なるほどねえ。だからスバルの頬がそこまで赤いのか」
「ひどいんだよ、ティア。ギューって千切れるくらいに引っ張るから」
「やれやれ。胸の中に顔を埋めるくらいで文句言うなんて、心が狭いぜ」
「そうだよね」
「うっさい、変態」
「俺だって女の子の胸に顔を埋めて眠りたいってのによぉ」
「八神はやてが部隊長とあっては、そうそう隊の女に手も出せんか」
「そうなんだよな。ほんとに警戒が堅くて」
「そろそろ話してもいい?」
 食堂――朝食にはままだ早く人気の少ないその場所で、4人の訓練生達が額を寄せ合っていた。

 

 起床時間と起きてからのやり取りのおかげで自主練を行う時間は残されておらず、できることと言えばミーティング。ティアナは朝食の時間も使って自主練の内容をスバルに伝えようと食堂に来たところ、どういうわけかそこにいたイザークとディアッカが合流した結果。
「けど……」
 ティアナは一同を見回しながらも遠慮がちに告げる。
「スバルもそうだけど、別に付き合わなくていいのよ」
「一人より二人」スバル――両手で作った拳を胸の前で掲げ。
「二人より三人」イザーク――口角を僅かに持ち上げて、
「増える分、練習のバリエーションも増えるよな」ディアッカ――自信を持って胸を張る。
「あたしに付き合っていたらまともに休めないわよ」
 即答。「知ってるでしょ。あたしは日常行動だけなら4、5日寝なくてもへいきだって」
 追随。「俺もスバルとはいかんが多少の無茶はできる」
 追従。「ま、俺は端から手伝える時しか参加しないつもりだし」
「日常生活じゃないのよ。スバル……アンタの訓練は特にきついんだから、ちゃんと寝なさいよ。イザークも前衛だし」
 否定。「やーだよ。あたしはティアと一緒のコンビなんだから」
 同調。「俺も貴様と同じストライカーズの一員だからな」
 だから一緒に頑張るのだとティアナは二人に告げられる。
「あ……」
 自然と頬に熱を感じ/自分の表情が予想できてしまい「勝手にすれば」視線を落とす/俯いた。
「おいおい、横向いたら離しできないじゃねーか」
「うっさい。ちゃんと話すわよ」断言。
 それでも十数秒。
 ティアナが面を上げるのを待っていたスバルが問いかける。
「で、ティアの考えてることって?」
「とりあえず、短期間で現状戦力をアップさせる方法。うまくいけば、アンタとのコンビネーションの幅もグッと広がるし、イザークとの連携強化とかエリオやキャロのフォローももっとできる」
「うん。それは、わくわくだね」
「たしかにレベル0上げる方が楽だよな。すぐに上がるし、トータルで考えたらそっちの方が早い」
 イザークも無言でうなずき、三人の同意を得たティアナはこれから行うことを具体的に話し出す。
 現状、ガジェットの能力向上及び新型機が出てくることは予見できるもの。
 そのために戦力を向上させることへの文句を言う者など、一人も居なかった。
 いつ、いかなる時に強敵ができるともわからない。そのためにも強くなるに越したことは無い。

 

 朝食の時間が終わるギリギリまで、4人の話し合いは続くのだった。