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エバポ

Last-modified: 2018-10-27 (土) 21:02:06

突沸注意

水をエバポにかけたい Edit

水は潜熱・比熱がともに大きいだけでも厄介なのに、表面張力が大きく薄膜になりにくい。

  • 量が多い場合
    まず超音波で脱気する。
    次に氷水などで、少なくとも室温以下に液体を冷やしておく。
    エバポに装着したら、バスに漬けずに回転してからおもむろに減圧し、気液平衡が成立して減圧度が安定するまで待つ。
    それから後にようやくバスに漬けて、フラスコ表面を加温する。
  • 少量の場合
    エタノールを入れて濃縮するという手もある。ただし、エタノールは高価である。
    • 「俺はイソプロだよ」という声あり。
  • 飛ばし終わったら・・・
    エバポ内が水で濡れたまま減圧解除すると水蒸気が逆流して、ひどい場合には水滴がつく。
    使い終わったらアセトンでエバポ内をしっかりと洗浄し、乾燥させる。

減圧したら泡がブクブク・・・ Edit

  • (当たり前だが)ホコリやガラスの破片が入ってないか、容器の壁面にキズがついていないか確認する。
  • メタノールを少量加えると劇的に改善するかもしれない。

スリが外れなくなったら Edit

・力を入れるコツがあって慣れた人は簡単に外せるが、力任せにやると危険。木槌を用意しておいて、軽く叩けば取れる。
・スリの部分を自重で外れる方向に向けてジクロロメタンやアセトンに浸してソニケータ-にかければ外れることも。

湯浴の水はきれいにしておく Edit

  • できれば毎日交換する。もし、手軽に手に入るならイオン交換水推奨。
    万一フラスコがバスに落下した場合でもリカバリーが効く。だいたいにおいて、エバポで濃縮したフラスコは次にポンプで引いて重さを量ることが多いのだ。フラスコの内面には溶媒を完全に除去しようとして気を使うくせに、外面はドロ水を拭きとるだけというのはおかしな話だ。
    水道水中の石灰分がこびりついていたり、藻が発生して臭くなっているようなバスは論外。研究室によっては10円玉を沈めておくと銅イオンのせいで水が腐りにくいという風習があったりするが、ほとんど効果なし。
    スケールの除去には、塩酸(またはサンポール液=トイレの洗剤)で溶かすのが効果的。希釈した酸をいっぱいに満たしラップで密閉し、ドラフト内で50度くらいに加温する。1~2時間放置すると目が覚めるほど綺麗になる。
    • クエン酸のほうがいい。マイルドだし。

エバポで頻繁に突沸しちゃう助けて Edit

まずは原理の簡単なおさらい
エバポは回転させて出来た薄膜によって表面積を増して効率よく溶媒留去している。
液体が気体になって蒸発すると気化熱として熱が奪われるので、バルクは高温にならない。
バスに接している面は温かいままなのでそこで気液平衡が成立していればどんどん溶媒は飛んでいく。
つまり、温度が高いほうがいいと思って、バスにしばらく浸けたままにしてから減圧したりノロノロと回転させてバルクの温度が高くなると突沸しやすくなる。
減圧してから回転そしてバスに浸ける。ナスの落下をふせぐためにもこうしておくのがいい。
別の原因として、傷だらけのナスを使ってるとか、気泡の核になりそうな粒子が混ざってないかとか注意する。
大きめのナスを使うと、多少の泡が出ても大丈夫。

  • ナスには溶液を入れ過ぎないこと
    とくにカラム後のフラクション濃縮でだが、
    溶媒が飛んでからリークしてナスに溶液を足してからまた減圧して...を繰り返すのが面倒に感じて
    「まだイケるはず。ちょっと多いけど入れちゃえ」とナスの7分目とかに入れてしまうことは多いかもしれない。
    しかし、多めに入れて突沸にビクビクしながらエバポするよりも余裕をもって抑え気味に入れて普段通りのエバポをしたほうが突沸する危険性も少なくなる。また、溶媒の飛ぶ速さも大きいので結果的に早くエバポを終わらせることができる。
  • 上にある「減圧してから回転そしてバスに浸ける。」は小スケールでは良いが、
    大きいフラスコ(概ね1L以上)では危険。
    フラスコと内容物の重みで、トラップやフラスコのスリが割れることがある。
    その場合、加熱していないバスに浸けてから、減圧し回転。そうしてから加熱を始める。

エバポで除去しにくい高沸点溶媒はどうやって除去するの?*1 Edit

  1. 水との親和性が高いものは分液する。
  2. 目的物と極性が違う場合はカラムで分ける。テーリングに注意。
  3. 加熱と減圧を併用する。目的物が分解したり蒸発しないか確認しておく。
  4. 再沈澱or再結晶でどうにかする。
  5. 非プロトン性極性溶媒
    基本的に分液して落とす。
    有機層にエーテル使うのが便利。ハロゲン系溶媒は何故か全然ダメ。
  6. 低極性高沸点溶媒
    太くて短いカラムを何度か通して抜くしかない。
    含水メタノールとヘキサンで分液振れ。
    なお、むやみに熱をかけなければいかないような分子内DA反応は、反応設計が間違っている場合がほとんど。
    取り除くことを考えるより、使わないことを考えた方がいい
  7. DMF
    真空ポンプを繋げて濃縮すれば結構いける。
    希塩酸で洗うとサクッとなくなる
  8. DMSO
    水入れて凍結乾燥する。NMRの測定溶媒はこの方法が便利。
  9. DMSO, DMF
    ヘキサン-酢酸エチル=4:1で分液。2,3回抽出の後、水で2回ほど洗浄するとなくなる。
    • なおクロロホルムで抽出すると水相にはほとんど行かずに、これらの溶媒は有機層にくる。これを利用してカルボン酸などの場合は目的物をアルカリ水相に回収して、酸性にしてから酢酸エチルで抽出するというテクニカルな方法もある。
  10. 1-ブタノール
    水と共沸するので、ブタノール溶液に水を加えて濃縮する。濃縮速度が落ちたら、その都度適当量の水を足す。最後に残った水をトルエンで共沸して終わり。
  11. ある程度、量を減らしたらゲルろ過で精製する。極性が高いもの、カルボン酸などはこうやって除去するしかない。

吸い上げエバポ、ちゅうちゅうエバポ Edit

参考:夜ゼミレジュメ - 東大福山研

溶液の濃度や溶質にもよるが、ナスフラスコ容量の5倍から10倍程度の溶液を濃縮できる。
大量合成で分液を振った後の有機層や天然物の粗抽出物の濃縮に便利だ。
特に前者ではチューブ端に綿栓を装着することで、硫酸ナトリウムぐらいだったら濾過も一緒にすることができる。

まず、エバポの減圧開放キャピラリーコックを廃溶媒を使って超音波洗浄する。必ず内部に汚れたグリースを吸っているので、それだけはきれいにしておく。もちろん最後はきれいな溶媒でリンス。コックのスリには少量のグリースを塗っておく(なおグリースの使用をどうしても避けたい場合はグリセリンで濡らす~分液振ると水相におちる~、か、テフロンシールテープを穴を避けて巻いて押し込んで使う)。
次に減圧開放口に4 mmΦ程度のテフロンチューブ(なければ、ポリエチチューブ)を装着し、濃縮したい大量の溶液が入っているフラスコなどの底に届くような長さに切っておく。先端に少量の綿を乗せ、先を切ったピペッターのイエローチップをかぶせて、簡単な濾過ができるようにしておくと便利(イメージしにくい悪文ですまん・濾過を伴わない時でもやっておいて損なし)。これを溶液のフラスコにつけておく。
回転容器には大型のナスフラスコを装着し(もちろんトラップなし)、減圧と回転をはじめる。コックを開けると減圧になったフラスコに溶液が吸い込まれてくるので、適当にたまった所でコックを閉じて通常と同じように濃縮を開始する。
あとは濃縮されたらコックを開けて溶液を導入するのと、廃溶媒を捨てることを繰り返すのみである。

  • なお、頻繁にこの大量濃縮をする場合は減圧開放コックをテフロンで特注するとよい。フラスコに外気(溶液)を導入する管の代わりに、市販のテフロンチューブを装着できるようにしておけば洗浄も簡単。

減圧調整器の手入れ Edit

長期休暇の前後には減圧調整器の手入れをしよう。
内部を開けて、配管をチェックしてみよ。配管が溶媒で劣化してガチガチになってリークしていたり、あるいは膨潤していることがある。特に後者の場合、減圧するとチューブが潰れる。減圧が悪い時の原因の多くはこれだ。チューブを耐溶媒性のあるもの(シリコーンゴム製など)に交換しましょう。
また、コネクターのパッキンもチェックしよう。溶媒で劣化していることも多い。パッキンの交換にはもちろん新品を購入してもいいが、肉厚のシリコーンチューブを2ミリ厚に切って代用できる。雄ねじにはテフロンのシールテープを巻いておき、コネクターを締め込んでおくとよい。
電磁弁の内部をきれいな溶媒で洗浄し、ウルフ瓶を洗い、パッキンを交換すると、びっくりするくらい減圧到達速度が早くなる。

  • 最近の減圧調節器は、改良が進んでこういう劣化による減圧不良はほとんどない。ただ、長期休暇の前に手入れするのは推奨。





*1 他に何かありますか?