紙
文献PDFが欲しかったら
図書館に行ったり大学のデータベースを使う前に、まず論文の題目をいきなりGoogle検索せよ。
何らかの理由で公開されている論文そのものがヒットする可能性はかなり高い。
Sci Huβって・・・?
知らんわ!
SciFinderの使い方
SciFinderは網羅的検索をするために使うものだ、ということをまず覚えておけ。SciFinderをいくら引いても、その結果の中ではどれが大事でどれが標準的な方法かは絶対にわからない。検索結果の中から、適当な方法を選んだとすれば後々「どうしてその方法や文献を選んだのか」の説明に四苦八苦することになる。
わからないことがあれば、まず教科書や参考書を見よ。あなたの代わりにどこかの大先生が既にどれが大事でどれが標準的だか、判断してくれた形跡がそこには書かれている。それ以外の方法がないか、自分の例に当てはまる最適な方法はどれか、例外的な反応性があるのかないのか、それはSciFinderが教えてくれるだろう。
GoogleScholarを活用しよう
GoogleScholarはライセンス不要で、ユーザー制限もない。網羅性には疑問があるし重複した検索結果が表示されるが、「あいまい語検索」に対応しているのが最大のメリット。また日本語での検索にも対応している。
とりあえず文献のあたりをつけたい場合に、使って損なし。大学や企業からアクセスしていて、ライセンスがある場合にはオンライン文献に直接アクセスできるのも便利。
論文の探し方と管理
合成した化合物が新規なものか確認したい
- SciFinder で構造式一致検索をかけて出てこないか
- 適当に構造式を簡略化し、部分構造検索せよ。どの部分がどう新規なのか、検索のセンスが試される。
「この部分がなければ既知」(あるいは「これがあれば既知」)というのが確認されるまで、やるべし。
そして検索結果だけで判断しないで、その論文を必ず読むこと。よくよく読むと、置換基のバリエーションとして自分の化合物が含まれている可能性がある。
- 適当に構造式を簡略化し、部分構造検索せよ。どの部分がどう新規なのか、検索のセンスが試される。
以下の方法は網羅性に疑問があると判断する。
- Chemical Abstracts に載ってないか
- IUPAC 命名して ChemFinder で検索して出てこないか
- Google 先生に尋ねる
論文の管理
重要なものだけファイルに閉じたりノートをとるのもいいが、文献管理用のソフトウェアもある。無料でもかなりの機能を持つものもある。
著者やジャンルごとにソートや抽出したりコメントをつけたり色をつけられるので大量の文献も簡単に管理できる。
アナログ、デジタル各種長所短所があるので使い分けるなどしてみるといい。
- Evernote 無料 http://evernote.com/intl/jp/
文献管理に特化してるわけではないが、ウェブ上などのあらゆる情報を収集できる。アドオンやスマートフォンへの拡張性も高い。
- Mendeley 無料 http://www.mendeley.com/
ダウンロードしたPDFから自動的にメタデータを抽出してくれる。コメントの挿入などが可能。
- ReadCube 無料 http://www.readcube.com/
- EndNote 有料 http://endnote.com/
その他の文献の検索
- ACS Mobile 無料
ACSが出しているアプリ。Android用とiOS用がある。
ACSの出版しているジャーナルの中で興味のあるジャーナルにチェックをつけるだけでそれらのジャーナルの論文の一覧をTOC付きで見ることができる。
暇な時にざっと見て面白いものを見つけたらMy ASAPsとしてお気に入りに入れることやC&ENもチェック可能。
購読している回線から接続しているなら論文の中身も見ることができる。
アプリ画面の例
- RSC Mobile 無料
RSC publishingが出しているアプリ。iOS向けのみが利用可能。
概要はACS Mobileと同じ。
- Twitter
Twitterの公式アカウントから発信しているものもある。以下に一覧とそのリンク。- Angewandte Chemie @angew_chem
- Asian Journal of Organic Chemistry @AsianJOrgChem
- Chemical Communications @ChemCommun
- Chemistry – An Asian Journal @ChemAsianJ
- Journal of the American Chemical Society @J_A_C_S
- その他のACSのジャーナルのTwitterアカウント一覧はこちら
RSSで新着記事を一括表示してくれるサイト
(chorome を使って、翻訳ボタンを押すと、日本語でjacs angew chem commun, chemical science , eur. j を一括チェックできる)
書誌事項(雑誌名・巻号・ページなど)が間違ってるらしく、SciFinderで検索できないどうしよう
手持ちの情報、例えば論文題目や著者名あるいは化合物名などなんでもいいから、googleで検索してみよ。
その研究室のウエブサイトや独自のインデックスを作っている大学図書館のデータベース、参考文献・特許など、何かしらが必ず引っかかってくる。それらをよく読めば元文献に到達することはそんなに難しくない。
また大学図書館だったら、カウンターの司書さんに相談してみるとよい。喜んで調べてくれる*1。
化学英語・論文の読み方
効率的な論文の読み方
効果的な論文の読み方教えてください。
見出しで興味もった論文を見る?それとも全部?中身もしっかり読む?雑誌は何?
実験に集中してると読む時間無いけど何時読んでる?家持って帰ってるの?
毎日論文読む人は生活リズムの中に論文読むための時間が組み込まれているんでしょうか。
人によって好き嫌いはあれど例として・・・
- 目次で面白そうな論文を空き時間に適当に保存する。
適当量、プリントアウトして家で暇つぶしに読む。
学生時代はカラム中に読んでた。
これはいい!と思ったものはファイルし、読むだけでいいやと思ったら捨てる。
自分でテーマを決めて集めてみるのもいいかもしれない。 - 情報過多な時代なので、まともに読んでたら実験するヒマがなくなる。
Graphic Abstractを見て、冊子体1冊について論文を1本セレクトする。その論文については、プリントアウトしノート取って真剣に読む。
それ以外はwebで眺めてりゃ十分よ。
論文英語がよくわかんない!
意味のわからない略語があった
略語なんてわからないものはGoogle検索で十分だし、無定義の略語を多用する論文はクソ論文だと思っていい。
下記の略語表に載ってない略語を知らないことは恥ではない。
論文に出てくるラテン語がわからない
以下のサイトにまとめがあります
気ままに有機化学: 有機化学論文のラテン語
- この「気ままに有機化学」は内容が不正確だ。非推奨。
*ちなみにphenylはラテン語由来で、benzeneはゲルマン語由来。数接頭語のbi-はラテン語、di-はゲルマン語だ。biphenylが慣用語になっているのはこの名残り。
語句 意味 備考 ab initio 非経験的な 普通は分子軌道法にのみ使う ad hoc 暫定の、臨時の 「特定の目的のための」という意味があり、理論系ではしばしばイヤミとして用いられる!(例:あんなad hocな理論、他じゃ使えねーよ) a priori 先見的な、経験的な ca. 約、~辺りに (circa の略)、「ca. 20-30 Hz」であれば「約20-30 Hz」となる。 CV 履歴書、研究業績書 (curriculum vitae の略) de facto 事実上の e.g. 例えば (exempli gratia の略) et al. ~他(ほか)、~ら (et alii の略)、et は and の意味で、略ではないからピリオドはつけない。なお、英語ではand othersという意味なので3人以上の著者の2名以上を略す場合にのみ使う。著者が2名の場合には使用禁止。(文献を引用するときには、なるべく全著者名を引用するように) etc. その他 (et cetera の略) ibid. 同書に (ibidem の略)、参照文献5)に ibid と書かれていたら一つ前の4)と同じ文献(雑誌)という意味。 i.e. すなわち (id est の略) in silico コンピュータを用いて silico はシリコンチップ上という意味をラテン語風にした造語。 in situ その場で 「そのフラスコ内で」という意味で、ワンポット反応によく用いられる。 in vivo 生体内で in vitro 生体外で、試験管内で vitroはガラス細工のビードロと同じ語源で、「ガラスの中で」という意味。 in vacuo 真空内で vide infra 下記参照せよ vide supra 上記参照せよ gem- 同一原子に結合した〜 geminal 双子座のGeminiと同じ語源 vic- 隣り合った原子に結合した〜 ラテン語のvicinusが語源だが、英語化されたvicinalで読むことが多い ipso (芳香環の置換位で)その場所自身 例えばSNArで直接置換が起こるときなどに、ipso位という言い方をする No. ナンバー これがラテン語由来であることを知らない人は多い。oはラテン語のnumeroからきている。使われすぎてイタリックにはしないが idem 同著者 一つ前の項目と同じ著者という意味。ラテン語から来ているが英語としても普通に使う単語なので、イタリックにしない。ピリオド付けない。
実験操作を示す英単語がよく理解できない。辞書にも載ってない(泣)
○○% (based on ××% conversion) ってどういう意味?
原料が××%消費されて、そのうちの○○%が目的物になったということ。
To A was added B の意味は
AにBを加える。B was added to A と同じ。
(これは倒置法で、論文独特の気取った表現)
obtainとかaffordとかpossessとか
obtain=get
afford=give
possess=have
論文独特の表現法。早く慣れましょう。
Backextractって
逆抽出
水層を再び有機溶媒で抽出すること
論文通りにやったけどうまくいかない
- ロシア、韓国、中国、インド、よく知らない国のところの論文
- 湿度
- 試薬メー
- 捏z
- org synでできないなら腕が悪い
- 温度。room temperatureなんかは国や季節によって異なる。
- 撹拌(特に不均一系)。チップのサイズや撹拌速度で再現がとれなくなる事もある。
- 試薬の添加速度
- 微量不純物
指導者によく相談する。この時の対応によって、あなたの指導者の力量というものがよくわかるチャンスだ。
論文の実験項には現れにくいちょっとしたコツを指摘してくれて、そのとおりであったとすればその指導者は信頼していい。
またどうしてもうまく行かないとき、あなたのせいにしないで回避ルートや対策を考えてくれるのも優れた指導者だ。
- 後処理
- 精製で回収が悪い
- モノが不安定で分解した
実験項では後処理・精製は記述が不十分であることも多いし、研究室独自のやり方が詳しく述べられていなかったりする。
ジオールのように水溶性の物質を効率よく回収する工夫・溶解性の悪い目的物の精製や副生物の除去のテクニックなどは、省略されていたり故意に記述を省いたりすることもある。そういうのは他の項目と比較するとだいたい違和感があるので、慣れれば見ぬくことができる。
- NHKカップリングはCrCl2のロットによって反応が進行しないことがあることで、NiCl2が必要であることがわかった。だから再現性がないことでも、意外な発見につながることもある。