再結晶

Last-modified: 2019-01-29 (火) 00:51:55

なんでもクロマトで精製すればいいってもんじゃないぞ

単結晶(X線結晶解析など)

単結晶をつくろうと思う

非常に多くの人が苦労してるのでノウハウは千差万別だと思う

  • 分子量一万を超える分子の単結晶をよく作成してるうちの研究室の方法
    小さめのサンプル瓶に少量のサンプルを入れ、(1 mgくらい)最小量の溶媒で溶かす
    これをこのサンプル瓶がすっぽり収まる大きめのサンプル瓶にいれ、大きめのサンプル瓶には他に貧溶媒をいれる
    あとは蓋をして放置
     
  • あらかじめサンプル瓶の方に貧溶媒を入れておいて溶液中におけるサンプルの濃度を薄くしてるほうがいいかも。あとそのビンの上にアルミホイルで軽く蓋をすると溶媒の交換が遅くなっていいかも。
     
  • モノの溶解性が非常に悪い場合
    30 mL か 50 mL 程度のナスフラスコに、良溶媒(高沸点だとよい)に溶かしたモノを入れたミクロチューブなりを入れる。ミクロチューブとナスフラスコの間にはモノを溶かしたのと同じ溶媒を入れナスフラスコをオイルバスにつけ加熱する。
    モノの溶けた溶液が飽和溶液になったらオイルバスを止め、そのまま静置する。大きい結晶がとれやすい気がする。
  • 何が何でも結晶が欲しい場合
    そのもので勝負しないでp-Br Bzとかp-NO2 Bzとかの誘導体にしたほうが結晶性は良くなる。
    ジオールなどでは、アセトナイドやカーボネートにすると劇的に結晶性は変化する。

再結晶(精製)

結晶化で精製する前に

簡単でいいから、濾過しておくとよい。綿栓でも構わない。

再結晶をやってみて粉末ができたら純度はあまりよくない?

外見からじゃ純度は分からないが、通常はオイルより純度は良い。
 
純度は、TLC・HPLC・NMR等で判断すべき。
大きな結晶だろうが、粉末だろうが、オイルだろうが、
純度が高い時は高い。低い時は低い。
ちなみに、工場でトン単位の合成をする場合、
撹拌しながら再結晶するのが普通で、必然的に粉末になる。

  • トン単位の話をいきなりされても・・・
    「結晶の方が普通は純度がいいが、純度の検定は結晶になったこと自身では判断できないし定量性もない」と答えるのが良心的。

結晶化で精製したほうがいいですか?

原料段階だったら、結晶化して精製できるんだったら精製しよう。特に光学純度が100%じゃないものをいじってる時は、必ず精製しよう。先端まで行って、量が減ってきたら見て見ぬふり。

結晶化

最近はそこまでして結晶化させるというのは、流行らないが・・・

  • ミクロスパーテルの先に少量のオイルを付け、ヘキサンなどの貧溶媒を入れたサンプル瓶の壁を擦る。これをドライアイス温度から沸点近くまでの、各種温度でやってみる。
  • その状態で、アルミホイルでフタをして一晩放置してみる。翌朝には乾いたオイルから結晶化が始まっているかも。

再結晶テクニック

  • まず何より先に結晶の種を取っておけ。
  • 酢エチなどの良溶媒にドライヤーなどで熱をかけて溶かし、冷めたところでヘキサンなどの貧溶媒を濁る寸前まで加えてから種入れて放置する。溶媒は、メタノール/エーテルの組み合わせもある。これが標準的な作法だが、この方法だけでうまくいくことはめったにない。
    ヘキサンを温めるべきだとか、酢エチだけで結晶が出てきてからヘキサン入れるべきとか、その辺は先輩や先生の指導を適当に聞き流しながら、いろいろやってみるとよい。
  • 「混合溶媒原理主義者」はヘキサンに懸濁して加熱還流しておき、酢エチを溶けるまですこしずつ加えて放置しろ、とかいう人もいるが、ちょっとやってらんない。
  • 結晶化溶媒は必ず記録しておく。融点測定を参照。使った溶媒のおおよその量をノートに書いておくと捗る。