最初に
ページ : 戦略 に倣えば、Tactic ( s ) の訳語
用兵や兵法 ( Art of war ) の延長であり、より軍事の毛色が強い専門的なノウハウの総称
因みに、「 上位の抽象的な観念なので、技術の進歩に沿って個別具体的な対処法の価値が変わっても戦略や作戦術は大きく変わらないが、戦術という単位では戦場の環境が大きく変化し、個別具体的な対処法の価値もコレに沿う 」 … みたいな説明を ときどき見かける
しかし社会通念上、「 変わった 」 「 変わっていない 」 以前に そもそも日本で近所に戦場だの紛争地帯なんて無いワケだから、そんな説明で理解できる特殊な死生観を持った日本人は自衛官ぐらいのもんだろうし、仮にコレが仮想的な文脈で登場するにしても、心中で 「 あ!戦場の環境が変わったぞ! 」 とか思っている人は かなり例外的な人だろう
普通の感覚で言えば、「 抽象的な計画やニーズを扱うときには些事として同一視してしまうレベルの事柄について、軍事では直接に影響を受けるレベルの単位を便宜上、戦術 ( 級、レベル ) と呼ぶ 」 というコトになるだろう
要するに、確かに専門家連中の説明、描写は論理的にストレートではあるのだが、世間一般の通念から観察すると しばしば逆の視点から書き出しているためワケの分からんコトになっている
手元に古今東西の戦史関連情報が偏りなく取り揃えてあって、それらの統計的な傾向や性質が手軽に取り出せる状況で議論できる人を世間一般の人は普通の人とは呼ばねーよ
普段、何の仕事してんだ
CIA?
概要
まず、仮に建前であって掛け値があるにしても、平和裏な経済活動の場面では協力する義務は無いとしても公然と台無しにする権利までは認められない
しかし軍法が適用されるべき環境では些末な情報の管理を過つだけで致命的な失策に繋がるよう、相互に相手の不手際や油断を利用して対象となるシステムを操作し合い、破綻を目指す営みが具体的に想定される
したがって責任を割り当てられる執行官は自分の言動につき、いつ、どこで、誰が、どのように、何を、なぜ、という観点から分類、整理した上で法的に矛盾無く説明できる能力が常に求められる
つまり、
「 ( 当時は )『 ~ 』 という状況にあり、
その状況を 『 ~ 』 と解釈したので、
『 ~ 』 という言動を執行した / しなかった
そして成果はいずれにせよ、手法は標準的 ( = 属人的でない )、判断は客観的、かつ選択は科学的 ( = 再現性がある ) だった 」
というプロセスが求められる
こうした広義のコミュニケーション能力が戦術能力の最小単位であり、戦術を担当する執行官は盤面で敵と擬似 / 間接的な対話を行う中で的確な回答を返す能力が問われる
また これらの問い、命題のレベルに対する回答として部隊単位では伝統的に 5 つの行動が認識されて いる きた
それは包囲 ( envelopment )、迂回 ( turning movement )、浸透 ( infiltration )、突破 ( penetration )、正面攻撃 ( frontal attack ) である
先述のように これらの行動の意図を 宣言的 に整理すると、
典型的には
「 『 相手は正面に戦力を集中させ過ぎており、かつ他の方向に対し充分な注意を払えない公算が大きい 』ため、
包囲を試みる 」
「 『 相手の優位が味方との位置関係に依存的な 』ため、
迂回を試みる 」
「 『 相手は全ての方向に注意を払っているが、
戦力は分散しているので一見すると戦力を密集させた突破の選択肢も有望である
しかし味方が突破した場合に相手は火力を集中させられる公算が大きい 』ため、
浸透を試みる 」
「 『 相手は全ての方向に注意を払っているが戦力は分散しており、かつ火力を集中させられない公算が大きい 』ため、
突破を試みる 」
「 『 現時点では相手に隙が無く、味方との位置関係を変更しても事前に察知、対処される 』ため、
正面攻撃を試みる 」
というように、いずれも相手の不利の助長と有利の抑制や阻塞、味方の不利の抑制や阻塞と有利の助長を目的としている
ちなみに 2021 年 9 月現在、日本語版 Wikipedia の戦術>部隊行動の項においては
攻撃 ( 的 ? ) の配下に
形態によって
戦果拡張 ( Exploitation )・追撃
機動方式によって
迂回・包囲・突破
時間 ( 帯 ? ) によって
昼間攻撃・夜間攻撃・黎明攻撃・薄暮攻撃
準備時間によって
応急攻撃 ( Hasty attack )・周密攻撃
の 11 種類、
防御の配下に
形態によって
陣地防御・機動防御
の 2 種類、
計 13 種類が示されているが、いずれも先述した 5 類型を抽象化させて拡張、派生させた手法とみなすコトができる
すなわち相手は理由あって弱点を露呈するワケだが、その原因は Who・When・Where・What を操作されるために How を制限され、望ましい選択肢を喪失するコトである
例えば
「『 相手は味方が突破した場合に火力を集中させられない公算が大きい 』
なぜなら 『 Who・When・Where・What 』を用いて不利な条件に誘導されるから 」
である
細目
で、まぁ…およそ読者の次なる関心事としては 「 如何にして Who・When・Where・What を操作し得るのか 」 という具体例、具体策だろう
ただ結論から言うと、この点について掘り下げた場合、無限でないにせよ細目を全て洗い出す事は非現実的であり、そのコストに比して効果は見合わない
その理由ついて前項を引用すれば、戦術が " 相手の不手際や油断を利用 " する行為である以上、どれだけ秀逸な戦術を繰り出しても相手がホントに油断したり、その結果として不手際を招くかどうかは相手の個性や能力といった特性に依存し、また、その特性に応じて為すべき具体策は幾らでも発散していくからである
この点については作戦のページにも間接的ながら関連する記述がある
こまごました事情は省くとして、その大意は 「 普通は別のベクトルとして認識する内容を同列に並べて損得勘定を計算し、味方の認識を正し敵の錯覚を誘うべし 」 という事である
そうした事情があるため、加筆 / 修正される方は基本的に実学主義の立場を維持し、抽象化は解釈性とのバランスを重視して行われたい
また極端に限られた環境でのみ効果を生じるような戦術も投稿自体は歓迎している
ただ、そのような戦術については みんなの戦術、基本的に作戦の領分である編成については みんなの軍団編成というページが別に設けられているので、そちらに記載されるよう願いたい
Who
命題 : 「 該当の軍事行動を行うべき最適な実行者が、指定した人物である根拠は何か ? 」
兵法書の古典たる孫子の兵法において戦術~作戦術に影響する範囲で、
指揮官の性格に関する一節としては九變第八 ( 九変第八 ) の第四段落が挙げられる
故將有五危
必死可殺也 必生可虜也 忿速可侮也 廉潔可辱也 愛民可煩也
凡此五者 將之過也 用兵之災也
覆軍殺將 必以五危 不可不察也
つまり孫子によれば、指揮官の責任で戦闘、作戦に齟齬が生じる場合は必ず 5 類型の性格が原因となって災いを招くという
一つ目は必死、無鉄砲のため容易に討たれるという意味である
二つ目は必生、度胸や勇気が足りず捕虜になるという意味である
三つ目は忿速、短慮で怒りや焦りを抑制できず尊敬されないという意味である
四つ目は廉潔、律法に厳格で自尊心が高く、融通が利かず実を失う という意味である
五つ目は愛民、情に流されやすく部下に厳しく当たれない という意味である*1
When
Where
命題 : 「 該当の軍事行動を行うべき最適な地点が、指定した箇所である根拠は何か ? 」
「 孫子の兵法 」 の中で、地形に関する話をしている箇所は主に 3 4 つのパートに分かれている
それは
- 九変篇
- 行軍編
- 地形編
- 九地編
である
各パートとも場所に関係する点では共通するが、主に
- “ 行軍編 ” では、
川や谷といった具体的な地形の持つ性質と、それに対応するための具体的な対処法と注意点 - “ 地形編 ” では、
それら具体的な地形の抽象 / 概念化と整理 - “ 九地編 ” では、
それら抽象化された課題に対する ( 交戦中における ) 具体的な対処法 - “ 九変篇 ” では、
それら対処法に対する哲学的な解説
という形式になっている
行軍編
地形編
九地編
九変篇
凡用兵之法 將受命於君 合軍聚衆
圮地無舍 衢地交合 絶地無留 圍地則謀 死地則戰
What
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