作戦

Last-modified: 2023-08-28 (月) 13:42:26
 
 

概要

戦略>目的 で述べたとおり、
一般的には どうあれ このゲームにおける戦略の意義は ↓ なのだから、

戦略レベルにおける有効な方針
勝利 ( / コントロール ) ポイント投了備考
味方獲得 ( + ) & 維持 ( ± 0 )回避
削減 ( - ) & 抑制 ( ± 0 )誘発

上位たる戦略の目的を達成する上で、故意、作為によらず利敵行為の管理と味方への貢献が作戦レベルの目標になる

「 あれ ? ページ : 戦略には備考欄に違うコト書いてあったような… 」 じゃねーよ。
何もねーよ。見に行こうとすんじゃねーよ。

ただし、目標の体系化が 4 つに分割すると整然たるからといって作戦も同様かというと、間違いではないが恐らく人間が管理するには不都合だろう

なぜなら作戦というレベルとして妥当な文脈(context)とは、
「 味方の領地を増やしつつ守り、敵の妨害工作を未然阻止 / 事後逆用し、かつ投了に至らないよう努め、敵の領地は隙あらば減らし、敵が増やそうとすれば邪魔し、かつ投了に誘導する 」 という付近になる
その辺を管理する際に、上位および下位の相当する区分にとっての利益換算を並行処理する為には要求される知性、賢さが平均を上回るだろうためだ

具体的には例えば、「 敵の領地が増えたコトが味方に投了を動機付ける上で どの程度貢献したか ? 」 というような命題になる
しかも同レベルの話が同時多発的に起きる状況に対し、適切な応答を返せる人との遭遇は良くも悪くも あまり期待できないだろう

 

したがって作戦というレベル / 水準では、大筋として 「 なぜ多くの人は上位、下位の計画である戦略戦術を適切に管理できず齟齬を発生させるのだろうか ? 」 という疑問 / 命題と各々に対する回答と解釈しても良いだろう

特に戦略戦術について、前者では上位の、後者では下位の目的 / 目標や課題が存在しない
したがって少なくとも建前 / 表面上は、いずれの分野 / 領域においても経営学や経営哲学的な視点を向けるべき方向に制約があり、その結果、伝統的には経営的な問題よりも高度な課題や専門的な障害に焦点が当たる事が多かった
しかし作戦レベルでは それらの対象への個別具体的な解決を模索するのではなく、作戦素子の融通をもって対処するための知識、技術、知見やノウハウが焦点となってきた歴史がある

 

目的

 
 

作戦を立てる目的は、基本的に その時点で保有している戦力*1の範囲内での運用

  • 効果

または

  • 効率

の最大化にある
 なお最大化を志向する理由、目的は あって無いようなもんである 

 

前提として、兵卒にせよ将校にせよ彼らは一定の軍事教育 / 訓練を受けている
よって事細かく指示を出さずとも、ある程度の能力は保持しているし有効に発揮するための知見も それなりには持っている
しかし状況が極めて特例的であれば一般的な軍事教練だけでは対応し切れないし、逆に極めて特例的な状況を形成したい場合にも役に立ってはもらえない
そこで、まずは特定の時点で実際に直面することとなる、あるいは これから生み出そうとしている状況の特殊性を伝える必要がある
その後のプロセスやメカニズムは基本的に戦略の項の内容と重複するが、基本的に本項は同項の細目に対応 / 相当する

 

つまり研究以下の全項が目的として選定され得るし、作戦の起点と終点の それも任意となる

 

また作戦時、あるいは作戦というレベルの文脈で抽象的な課題解決に利用される概念には色々ある

  • スケジューリング ( scheduling )
  • レイアウト ( layout、placement、allocation、mapping )

しかし大抵の概念に共通する関心事はタブル / オーバーブッキングに代表される瑕疵、いわゆるバグである
つまり、計画の始点から終点までの間に存在する

  • コスト

  • リスク

  • 全て勘定に入れていない
  • 辛うじて入ってはいるが認識重視していない

あるいは逆に

  • 無視すべき要素を勘定に含めてしまっている
  • いくつかの要素を過剰に重視してしまっている

事が課題の本質であり、勘定に入れさせるべき要素を抽出、選定して認識、重視させたり、軽視、無視させるための個別具体的な方策が作戦計画の趣旨である

 

方法

 
 

前項の通り、運用の

  • 効果

または

  • 効率

の最大化が作戦の存在意義である
しかし、より詳細に注目すると論理的には 「 何に対する効果 / 効率なのか 」 という点によって細分化できる
つまり掛けるコストとリスクによって区別できるという事である

 

したがって、まず基本的にコストと見なし得る要素、作戦素子としては

などが挙げられるだろう
そして 「 リスクを避けつつ、時々の都合に沿った上で これらの要素が相互に交換される様子 のモデリング 」 というのが
「 最も抽象的かつ最も前項に近い方法 / 手段 」 の解釈として適当だろう

環境 ( environment )

 
 

ここで、まず上記の “ これらの要素が ~   ” という概念を環境
“ 「 最も抽象的かつ ~ 」 ” という概念をプラットフォームと それぞれ定義することとする

この文脈においては、全ての課題は環境が自陣の都合に適していない事に起因するものと ( 便宜的に ) 解釈 ( ≒ 仮定 ) するものとし、また自陣の都合に沿って自動的に ( = automatically ) 遷移するよう環境を加工するための基盤を指すこととする

 
  • なお

    余談だが、「 文脈が違う 」 という意味を取り違えたがために自分の所為であっても他人に責任を押し付けるという意味に誤解する人が時々いる
    つまり環境を周囲や他人などと読み替え、自分が責任を持つべき範囲に原因があった場合にも これを放棄するといったストーリーである
    実際に作業レベルでは割り当てられる内容や負担量が変更される事もあるため、そうした誤解を助長するのも無理からぬ事ではあるだろう
    ただ、この文脈に この例を当てはめる場合、( 便宜的に ) “ 環境 ” というラベルを付けた集合に当人を含めるだけの事である*2

    ただ論理的な矛盾が無いとはいえ、筆者としても確かに西洋的で不気味な考え方ではあると思う
    なぜなら単にドライというだけではなく、効率の上で自陣に対し即物的な利益を損なう存在は全て敵なり障害とみなす考え方が生まれた背景を想像するに、恐らくは自分や自分の属するコミュニティにとって環境は都合良くあるべきで、これを妨害する存在は修正されるべきという心理が透けて見えるからである

    無論、味方に対する修正は教育に象徴されるような平和的解決が基軸になる
    しかし実社会では教育という言葉が様々な隠語として用いられる事から逆算すれば、やはり恐らくは建前であって、むしろ正義を明文化せねばならないほどの惨たらしい実態がある裏返しなのではないかと思われるのである

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そして作戦の存在意義が戦力の総量ではなく効率の良悪にあり、同時に(カカ)る戦力が成果を挙げられない根拠だとすると、論理的に その直面している課題とは最適化問題 ( optimization ) や最適制御 ( optimal control ) と言い換えられる

したがって、この前提における作戦指揮の役割は実装 ( Implementation ) や調整 ( Tuning )、制御 ( Control ) に集約される

で、ここまで聞く中で 2 割ぐらいの人が忘れてしまうのが、これがプラットフォームの実装、調整、制御の話という点である
つまり基本的にはコスパの見合わない実装、調整、制御を避けるべし、との意図の伝達が失敗しているわけである
これというのも自陣の都合に適していないという表現が曖昧過ぎるため、優秀だったり才能豊かな人からするとチョロい課題に見えたり、無能な人からしたら もともと簡単な課題なんか見当たらないからである
なお、この文脈で言う自陣の都合は、一般的な言葉に翻訳すれば有機的な対象かどうかに集約される
そもそも自陣の都合に適していない要素は全て環境というラベルを貼って選り分けたはずなので、理論上、プラットフォームの運用を効率良く妨げるものは存在しない
したがってプロトコルに監視 ( Check ) や観察 ( Observation ) は含まれ得るが、基本的に戦略における概念化 ( Conceptualization ) や諜報における決心 ( Decision ) は責任免除される…事がホントは望ましい*3 *4
よって建前、理論上は任務の達成条件を満足させるまで PDCA ( Plan – Do – Check – Adjust ) と呼ばれる短絡的かつ反復的なタスクの実施を粛々と継続すれば良い事になる

そして、作戦は その成否によらず発動してから しばらく経つと、環境を一定の状態に変更、また特に収束 ( convergent ) / 発散 ( divergence ) / ( / ) ( equilibrium ) を生じさせる場合があり、その際の状態を予測するための古典的な学問分野やノウハウとしてゲーム理論 ( game theory ) と総称される概念が知られている

 

ゲーム理論 ( game theory )

 
 

基本的に、ゲーム理論とは複数主体が関わる意思決定の数理モデリングに特化した社会科学の一種であり、行動と状態の遷移を帰納的に推測 したり、できない事を確認  する事が学者たちの主なモチベーション、関心事である

そして

  • 状況に対する妥当な定義、解釈の方法
    や、
  • その結果を踏まえて望ましい選択を導く方法

など、様々な知見が考案されてきた

 

状況に対する妥当な定義、解釈の方法

 
 

本来、貨幣や紙幣は ただの方便であり、紙切れや金片そのものに価値は無い*5*6
それは軍事的活動を含めた森羅万象の社会経済に対し言えることである
そして本来とは違う環境を導けば各々の事物 ( object ) が持つ価値の多寡は変更され得るものと仮定するなら、価値とは種類 ( kind ) と分布 ( distribution ) のみで表現できる存在という事になる
その種類と分布を途中経過も含めて都合良く操作したいのに、少なくとも現状の偏り ( 具合 ) に不満があるので、

  • 均 ( ナラ ) したり崩したりしたい
  • 新たな偏りを生み出したい

わけである*7

しかし、その不満、偏りの多寡を正確に表現できないと、おかれている状況が変化した時に そもそも その変化が自分にとって都合が良いのか悪いのか判断できない
そこでゲーム理論では積極的に確率論の概念、表現、記法が多用されてきた歴史がある
特に観測されやすい分布には名前が定義され、代表的なものには

  • 正規分布 ( = ガウス分布 )
  • ボルツマン分布

といったものがある
これらは定常状態、平衡状態として観測されやすい分布として有名である
そして平衡状態から何らかの偏りある状態へと遷移させたり、元に戻ったりする様子のモデルとしてはマルコフ決定過程という概念が有名である

 

その結果を踏まえて望ましい選択を導く方法

 
 

前項のままだと平衡状態から自然に物事が推移していくのを眺め  たり、暴れたりし  ながら指を咥えているだけになる
それで勝手に物事が自分の都合に合わせて動いてくれるなら放置していて良いのかも知れないが、少なくとも破綻する方向に物事が流れているようであれば仕組みに手を突っ込んでいく必要がある*8

特に、何らかのリスク確率が時間経過と共に上がっていく様子を理解するためには、最低でも一般に 「 ポアソン分布 」 と呼ばれる知識と周辺概念を理解する必要があるだろう*9

  • 一応

    分かりやすい解説動画があったので載せておく

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また自分を含めラウンド参加者が逐次的に目先のメリットを追求するモデルを思考の起点とし、その結果を予測するためには、前項のマルコフ決定過程に加え、一般に 「 ベルマン方程式 」 と呼ばれる知識と周辺概念を理解する必要があるだろう
なお、ベルマン方程式というのは出資、投資、融資、投機、投下…正確な言葉は いずれにしても、概略すれば ↓ のような状況を仮定している

||||||
見込み
利益
=投資額×相場

…と置くとき、

 
Gₙ
┌──────────────────┴──────────────────┐
G₂
┌───────────┴───────────┐
G₁
┌──────┴──────┐
Gₙ ×S₁×S₂××Sₙ
 

つまり投資で得たリターンを再び投資に充てて倍々ゲームを繰り返すモデルを単位に物事を考える訳である
そして、まさにエネルギー安全保障というのは似たような文脈において頻繁に登場する概念と言える

 

関連ページ

戦略
戦術

編成
宣伝戦
@課金の偏見

操作説明

ハブページ

 

外部リンク

Central Army Registry ( CAR )
GlobalSecurity.org
数理解析学特論 A > マルコフ過程と推移行列 ( Markovprocessandtransition matrix )

 

コメント [hatena]


*1 なお、ここでいう戦力とは兵力や軍事力 ( military power ) ではなく影響力 ( clout ) や競争力の事を言っている
計画の素子としてカウントできる存在か否かという点しか論じない

*2 利敵行為
*3 戦略的伍長
*4 余談だが、こういった高次の計画に配置される人間は脳内で こんなに くどくどと冗長な記法で整理してはいない
人類の頂点 2,000 人レベルの鬼才ともなれば もはや勘だけで把握しているし、いわゆる自然言語だけで認識している人は もはや秀才だったとしても才能は皆無と言える
と言うのも、こういう奥歯に物が挟まったような言い方になるのは、優秀な敵が作戦の妨害を企画する場合、必ず作戦指揮官の認知能力の限界を狙ってくるからである
つまり問題、課題として認識する事が難しかったり、問題の言語化が難しければ敵のコミュニケーションを妨害でき、少なくとも協力を阻止できる
しかも場合によっては敵の努力を逆用できる
そうした事態を防ぐ、つまり妨害を妨害するためには理解の深度が言葉尻の齟齬で分からなくなる程度の浅さでは通用しないからである
敵が何らかの策、しかも全体像を目視確認してすら言葉で内容を伝えるのが困難な程の複雑な対抗策を打ってきた時に、もはや何となく概要を察知できるような能力、つまり鼻が利く事が求められるのである

*5 …よね ?
*6 ここがゲームのゴールになっているとすると、 ポケモンっつーか  別ゲーになっているかも知れない
*7 …よね ?
*8 …よね ?
*9 当然ながら、より予測精度を要する場合には より的確な分布モデルの採用が求められるし、複数の事項が絡み合う場合には合成関数や微積分等の導出が求められる