阪神8000系

Last-modified: 2024-03-10 (日) 10:10:30
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阪神電気鉄道の電車。

概要

阪神電気鉄道が、武庫川線の武庫川団地前駅への延伸に伴う輸送力増強と老朽化した初期高性能車置き換えのため、1984年~1995年にかけて6両編成×21本の126両が武庫川車両工業において製造された。その後、阪神・淡路大震災で被災廃車された補充分として3両が1996年に武庫川車両工業で追加新造。
阪神の新造車で初の界磁チョッパ制御を採用した急行用車両で、阪神初の6両固定編成となった。

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登場時は当時の急行系車両の標準であるクリームと朱色の「赤胴車」塗装が踏襲された。
2017年4月1日時点では6両編成19本114両が在籍しており、この両数は阪神の同一系列では最多となっている。
ちなみに、8000系のリニューアルの進捗により、8239Fが最後の「赤胴車」だったが、2015年に8239Fがリニューアルして出場したため消滅した。

形態

タイプI

武庫川線延伸に伴う本線運用車両の不足を補うため、1984年に6両編成1本が製造された。従来車と外観上の大きな変化はなく、側窓は銀色アルミサッシのユニット式二段窓が並び、先頭形状は丸みを帯びた3面折妻で前照灯が左右の窓上に配された。車内も従来車と同じく天井がアイボリー系、壁面の化粧板は薄緑の格子柄の配色である。

タイプII

1985年4月に竣工した第2編成は、初期高性能車の代替を目的に製造された。この編成より車体の大幅なモデルチェンジが行われた。
先頭部は窓周りが縁取られた「額縁」スタイルとなり、側窓は一段下降式となった。サッシ部分をユニット式として構体から独立させ、窓開口部からサッシ内に入り込んだ雨水を完全に排水できるようにするなど、雨水による車体腐食対策に留意した設計となった。
前面窓は上方に拡大され、窓の内側に列車種別、行先表示装置を左右に分割して設置された。貫通扉の幅は狭くなった。
尚、大幅なモデルチェンジのため、車両番号も番台区分が行われ11からの付番となった。*1

タイプIII

1986年から1990年にかけて登場したグループで、空調方式が変更された。
冷房装置は阪神初の集約分散式が採用され、CU-198を1両あたり4台搭載した。これによって天井の見付が変更され、冷風の吹き出し口が従来の天井から突出していたのとは異なり、室内灯脇に設けられた連続したものが取り付けられ、天井中央には補助送風機のラインデリアと整風金具が取り付けられた。これで冷房ダクトが変わったことから車体断面が変更され、車体高さが約5cm高くなった。

タイプIV

1991年に登場した8233Fでは再びモデルチェンジが行われた。*2
内装デザインの一新と側窓サイズの拡大をし、構体設計も見直された。先頭車の前にある貫通扉の窓にもワイパーが装着されたほか、塗色の塗り分け線が若干下げられている。側面の種別・行先表示幕や妻面窓のHゴムが廃止され、妻面窓が大型化されている。
また、このタイプの設計時には車体塗色の変更も検討され、8233に3種類の試験塗装が行われた。*3
車内では座席が阪神初のバケットシートに変更され、モケットの地色もピンク色に変更された。床材は中央部ベージュ、両座席側が茶色としてフットラインを表した。シートの袖仕切り形状変更、仕切りの取り付けを行い、スタンションポールが復活したが、従前のように天井まで達するものではない。
ドア上には阪神初のLED式車内案内表示装置が設置された。*4

編成ごとの変更点

8237Fでは、車内の化粧板がベージュ系ながらも従来のドット模様から砂目模様に変更された。
8241Fからは、車内車両番号プレートのエッチング化、禁煙表示のピクトグラム化が行われた。バリアフリー対応として中間車の元町方(西側)に車椅子スペースが設置され、その部分の側窓が固定式となった。
8249Fの大阪方ユニット3両(8249-8049-8149)が竣工した時点で阪神・淡路大震災が発生しており、神戸方ユニット3両(8150-8050-8250)は震災後の1995年3月に竣工している。

兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)での処遇

1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、8000系は当時の在籍車両数6両編成20本+3両の123両のうち半数以上にあたる11編成66両が被災した。8201・8213・8217・8221・8223・8235Fの6本から合計15両の廃車が発生した。
廃車となった車両の部品を最大限活用し、8523・8336・8536の3両が代替新造された。車両番号は「種車の車両番号+300」が付与されており、形態もそれに準じている。
8201Fは8201・8102・8002の3両が残ったが、大阪梅田方先頭車であった8201の神戸元町向きへの方向転換と8502への改番を行い、8102-8002-8502の3両ユニットで復旧した。8502は奇数車から偶数車となったため、床下機器を他の神戸方先頭車と同配置にする大掛かりな改造が行われている。

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この編成の梅田方先頭車8523は1986年に製造されているので、8523Fは梅田方の3両と元町方の3両で形態が大きく異なる結果となった最早迷列車レベル。
その他、6両全車が廃車となった編成はなかったが、編成によって残った車種がバラバラであったため、正常な編成とするためにこれらを組み合わせ、不足分は追加新造で賄われた。

リニューアル

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登場から20年近く経過した2002年からリニューアル工事を実施することになった。電子部品と客室内装の更新、バリアフリー設備の設置、中間車4両への転換式クロスシートの設置が行われ、車体は上部にオレンジ(プレストオレンジ)、下部に白(シルキーベージュ)を配した塗り分けとなった。

運用

  • 区間急行
  • 急行
  • 区間特急
  • 特急*5
  • 直通特急
    直通特急の停車駅について

    大阪梅田-尼崎-甲子園-西宮-芦屋-魚崎-御影-神戸三宮-元町-西元町-高速神戸-新開地-大開-高速長田-西代-板宿-月見山-山陽須磨-須磨浦公園駅-滝の茶屋-山陽垂水-舞子公園-山陽明石-東二見-高砂-荒井-大塩-白浜の宮-飾磨-山陽姫路

    但し、西元町駅、大開駅、西代駅には種別表示幕が黄色地の列車が停車。即ち種別表示幕が赤地の列車は停まらない。阪神電気鉄道と山陽電気鉄道の境界を通過するってどういう……
    また、甲子園駅では、2009年ダイヤ改正以降、朝ラッシュ時の上り7本を除いて終日停車。甲子園駅を通過する列車は、全て滝の茶屋に停車。白浜の宮・荒井は、早朝の5本が通過、朝ラッシュにさしかかる2本が停車。

    8523Fは、大阪側ユニットと神戸側ユニットで運転台の仕様が異なるためリニューアル後も8000系で唯一直通特急の運用には入らず、事故時や運用代走に入った際も車両交換で他編成に差し替えられていた。その後も東二見駅までの入線実績があったが、2018年4月9日に山陽姫路駅へ入線する試運転を実施。8523Fは大塩駅の信号機移設などにより、2020年2月1日より直通特急の運用に入っている。

ラッピング車両(運行開始順)

  • 8219F
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    2022年8月1日より「阪神甲子園球場100周年記念ラッピングトレイン」として運行されている。このラッピングは2024年12月ごろまで継続される予定。
  • 8211F
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    2023年11月6日~2024年1月31日まで阪神タイガースのSMBC日本シリーズ優勝に伴い「阪神タイガース日本一記念ラッピング車」として運行されていた。

カオスバトルでは

初出は不明。

作者の扱い
  • すぺらび
  • 東武快速
    カオスバトルNo.5で初参戦。天野エリカを警笛で倒し、その後も残留して優勝。尚、唯一、最初から最後まで残っていたバトラーでもある。カオスバトルAdvance -3-ではキボクラとともに倒したが、アリスのデスノートで撃破された。

  • 界磁チョッパ制御
  • 警笛

コメント

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*1 このグループ以降の本系列の編成は8201Fと区別する目的で新8000系や8011系、8011形と呼ばれることがある
*2 この変更に際して近畿車輛のスタッフも加わって検討が行われた
*3 このうちの一案が基本となって、のちに製造した5500系?の塗装として実現した
*4 1両あたり山側2か所、海側1か所に設置
*5 阪神特急は、大阪梅田~須磨浦公園 間