おにぎり理論

Last-modified: 2022-02-18 (金) 10:02:38

概要

おにぎり理論とは、日本料理の技法の一つである。握り飯を「米がぎっしりと詰まったもの」と定義した場合、その形は三角より四角のほうが適切であるという主張から命名された。なお、この説は昭和期に入ってから提唱されたもので、それ以前は三角形が主流であったとされている。

反論

握り飯は形が決まれば良いというものではなく、具や塩加減によって形を変えるべきものであると主張する者も多い。また、日本人の多くは昔から三角形のおにぎりを好んで食べているわけではないため、「日本人の主食は米で、おにぎりが最も適している」というのは単なるこじつけだという意見もある。

語源

この理論を提唱した人物は明らかになっていないが、一説には、明治時代に「西洋食普及会」を設立した森有礼という説がある。
しかし、この説に関しては異論もあり、森説を支持する者もいれば、否定する者もいる。
また、俵型を三角形にしたという説もあるが、これも定説とは言えない。

歴史

江戸時代までは、三角に握った飯を握った拳の中に入れ、それを手の中で転がして食べる握り方が一般的だった。これを「こぶし食い」と呼んでいた。
明治になると、握り飯を三角ではなく四角く作ることが流行する。これは、明治時代後期に東京銀座にあった「煉瓦亭」の創業者・石村善兵衛が考案したものであると言われている。
関東大震災後の帝都復興計画において、東京市民への炊き出しが行われた際、当時流行していた握り飯の形を模して作られたことから広まったとされる。その後、昭和初期には日本全国へ広まり、さらに戦後の高度経済成長時代を迎える頃には、全国どこでもこの形の握り飯を食べるようになった。
現在では、様々な具材を入れたり、海苔を巻きつけたりするなど、バリエーションも豊富になっている。

応用

派生として、ご飯の上におかかを敷き詰めて握り飯を作る「おかか握り」というものが存在する。
また、卵焼きなどの巻き寿司状にしたおにぎりも存在する。
その他、さまざまな形状の握り飯が存在し、中には「タコさんウィンナー」のように、切り込みを入れて中身が見えるようにしたものまである。

参考文献

「握り飯は三角か四角か?」著:吉田敏雄/角川選書(ISBN 978-4047366243)
「おにぎりは三角か四角か?―江戸料理考」(平凡社新書 514)
著:高橋信彦/中公新書
(ISBN 978-4121050445)
おにぎりの歴史―日本食文化史の謎を解く!
(NHKブックス 248)
著:堀雅博/NHK出版(Nhk Bunko)
(ISBN 978-4140036626)