オオヤマイヌモドキは、主に日本の四国、中国に生息していたイエイヌの亜種。
19世紀までは東北地方から九州まで広く分布していたが、明治以降に北海道への移入により本州と九州では絶滅し、四国と中国だけにわずかに生存しているに過ぎない。
この種は、かつて日本列島に存在したニホンオオカミやエゾオオカミと同じく、日本狼の末裔だという説もあるが、その説を肯定する証拠はない。
2003年に絶滅危惧種に指定されていて、現在は保護対象となっている。
特徴
脊椎動物亜門哺乳類綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ属に属する。体長
800m~862m、尾長50~60cm。毛衣は灰褐色で、腹面は淡灰色または黄金色である。耳介が大きく発達して前方に突き出る。四肢は長くて頑丈であり、指には水かきがある。鼻孔の前に房状に並ぶ臭腺があり、悪臭を放つ分泌液を出す。この臭いは非常に強く、人間でも不快を感じるほどである。このため嗅覚による追跡能力は優れており、獲物を探し出す能力に長けている。視力も良く、夜間であっても昼間と同じくらい見えるという。
人間との関係
日本列島では弥生時代以降、狩猟獣として飼われていたらしい。しかし明治時代以降は狩猟の対象とはならず、もっぱら愛玩用であったようだ。大正時代までは猟犬として用いられていたが、昭和初期になるとほとんど姿を消した。また、大正末期から昭和初期にかけては、猫の品種改良が盛んにおこなわれた時期でもある。
ちなみに、犬歯(牙)を抜くことは去勢を意味した。去勢された雄犬は性欲を失い、子孫を残す能力を失ったからである。
参考文献
上沼恵美子のおしゃべりクッキング 三びきの子ぶたとオオカミ少年