パルタミーノ

Last-modified: 2022-02-15 (火) 21:29:21

パルタミーノ(伊:Paltaminio)とは、蛇腹楽器の一種である。蛇腹楽器はアコーディオンなどが有名だが、このパルタミーノもアコーディオンと同じく蛇腹の仕組みを利用した弦楽器である。ただし、アコーディオンとは違い、鍵盤が無いため、メロディーを奏でるためには、指で弦を押さえて音を出す必要がある。

パルタミーノの歴史

パルタミーノの起源は定かではないが、15世紀前後にイタリアのシチリア島に伝わっていた、カスタネットの原型となった打楽器・パタールナバルや、シチリアで作られたギターの原型になったピチカートと呼ばれる弦楽器から発展したものだと言われている。これらが、蛇腹楽器であるアコーディオンやバンドネオンと合奏して演奏されるようになり、その形を変えていったのだと考えられる。17~18世紀には、イタリアだけでなく、フランスやスペインでも作られるようになった。

構造.

蛇腹式のアコーディオンと同じで胴体の中にたくさんの横板があり、そこに無数の細い糸を巻き付けてある。糸の長さは均一ではなく、長さの異なるものを何本か用意し、それを適当な間隔で結んでおくことで、1本の糸の長さを調整している。また、それぞれの横板には小さな穴が開けられており、そこから弦を通している。
また、胴体の中央付近には大きなハンドルのようなものが取り付けられており、それによって楽器全体を回すことができるようになっている。ハンドルによって楽器を回転させることで、弦の位置を調整するのだ。
こうして作られたパルタミーノは、本体の大きさにもよるが、大体30cm~50cmほどになる。これを片手で持ち、もう一方の手で弦を押さえるのだが、押さえ方は人それぞれであり、左手で弦を押さえたり、右手で弦を押さえたりする人もいる。また、指だけではなく、ピックを使って演奏する人もいる。

パルタミーノの演奏方法.

パルタミーノを演奏するためには、まずは手の大きさに合わせたサイズのパルタミーノを選ぶ必要がある。次に、親指以外の4本の指を使って、本体をしっかりと持つ。そして、左手の中指と薬指の間に弦を挟み込むようにして、弦を押さえる。このとき、右手の小指と人差し指は常に弦に触れている状態にしておかなければならない。この状態で、左手の親指で弦を押しながら、右手の指先で弦を引っ張るようにして、音を鳴らすわけである。
さらに、蛇腹部分を伸縮させたり回転させるときには、ハンドルを使う。パルタミーノには、ハンドル部分に取り付けられたハンドルと、その反対側に付いている小さなハンドルの両方が付いているが、どちらを使っても良い。ただし、小さなハンドルの場合は、ハンドルを回転させることによって、楽器全体を回転させることになるので、かなり力が必要になる。ビブラートのような細かい演奏をする場合には、小さめのハンドルを使った方が良いだろう。このように、パルタミーノは演奏する上でいくつかのテクニックが必要となるため、初めて演奏する人にとっては少し難しいかもしれない。しかし、慣れてくるにつれて、より複雑な奏法もできるようになる。

パルタミーノの種類.

パルタミーノにもいくつかの種類が存在する。大きく分けて3つあり、それぞれに特徴がある。

Castiglione Dell'Alba(アルボー).

アルボーとは、イタリア語で「赤いダイヤ」という意味。その名の通り、赤く染められた糸が使われているのが特徴だ。糸の色は赤だけに限らず、ピンクや黄色といったものもある。糸の色が違うだけで見た目も違ってくるので、同じ名前の楽器でも様々なバリエーションが生まれるのだ。音の特徴は、他のものよりも明るくて軽やかな感じ。特に女性向きな印象を受けるだろう。

Castiglioso Nervo(ネロッソ).

ネロッソというのは、直訳すると「黒い真珠」という意味である。これはそのままの意味で、糸に使われている素材が黒真珠のように光沢のある黒色をしているからだ。音は重く、力強い雰囲気を持っている。低音から高音の音域までカバーしており、男性向けの楽器と言えるかもしれない。

Croce Di Grande(グランデ).

グランデは、イタリア語で「大きな」という意味。その名前の通り、大きいサイズのパルタミーノである。普通のパルタミーノと比べて、一回りほど大きさが大きい。そのため、持ち運びには不便だが、その分、音量が大きく迫力がある。また、大きいサイズならではの響きもあり、音色が豊かになっている。

パルタミーノの製造元.

パルタミーノを製造しているメーカーとしては、以下の2社が有名である。
・Alan Paltaminio & Co., LLC
(アラン・パルタミニオ&カンパニー)
・Piano Guys, Inc.
(ピアニョズ)
なお、「Alan Paltaminio & Co., LLC」は、元々はイタリアのシチリア島にあった会社だったが、現在はアメリカのニューヨークに本社を移している。
また、パルタミーノを販売しているオンラインショップとして、以下を挙げることができる。
・Bagno Sacramenti
・Fabrica delle marchie d'arte di Venezia Cittadina

パルタミーノが登場する作品.

パルタミーノという楽器が登場したり、それを演奏する場面がある作品には以下のようなものが挙げられる。
・「銀河鉄道の夜」ではジョバンニがカンパネルラと共に乗っている汽車の中で、車掌が弾いている。
・「赤毛のアン」シリーズでは主人公のアンが、ギルバート先生にパルタミーノを弾いてもらっている。
・「不思議の国のアリス」では、アリスが白ウサギを追っていく中で、彼が演奏している。
・「宝島」では海賊たちが船の上で演奏している。
・「トム・ソーヤーの冒険」ではトミー少年が、スクルージと一緒に歩いているときに、彼の懐中時計から音が鳴った。そこで、スクルージが自分の時計を見てみると、パルタミーノの音だった。

パルタミーノの使われている曲.

パルタミーノはクラシックだけでなくジャズやロックなどのジャンルでも演奏されることがある。
・ルパン三世のテーマ(TV 第1シリーズ)
・ルパン三世 ルパンVS複製人間(映画)
・ロッキーのテーマ(映画)
・ターミネーターのテーマ(映画)
・スターウォーズのテーマ(映画)
・エイリアンvsプレデター(映画)