傷乃祇童子(きずのがみどうじ)は、日本の神格。
概要
神としては、「世界の裁定者」「真理の創造者」の役割を持つ。半人半妖であり、その外見は人間と変わらないが、頭には角があり、背中に翼がある。また、右手には天秤を持っている。
「この世にあるすべてのものは、傷乃祇童子が創りだした」と言われ、その力は絶大であるとされている。
外見上の性別は女とされているが、男である場合もある。その場合は、若い男性の姿になると言われている。
「童子」の名を冠しているが、神格として仏教的なつながりはなく、神仏習合の時代に、仏教の神や菩薩を元とした神が日本各地に存在したためそうなったとされており、本来の名前は『傷乃神』であると推測されている。
歴史
『傷神記』では、不知不能の神として描かれている。これは『できない(無知無能)』ではなく、『しない』、つまり超越者、傍観者としての存在を表しているとされる。
また、『日本百萬神柱録』では、天地開化の大神にして諸神の親たる存在として紹介されており、迫りくる世界の終焉を裁定者として防いだとされている。
その後、神としての力を殆ど失いながらも、なおも世界を見守り続けていると言われている。
善神と悪神の両面性を持っている(裁定者の面より)ため、創造と破壊を繰り返し、多くの神を生み出している。
逸話
・神でありながら、地上に降りて人間と共に暮らし、人として死に、神として甦った。
・傷乃祇童子を祀った神社があった場所には、今でも草木一本生えていない。
・人が飢え苦しんだとき、天から雨を降らせ、豊作をもたらした。
・人に害をなす妖怪に対して、天罰を下した。
・人間が悪事を行うと、その首を切り落として殺した。
関連項目
・日本の神格
・仏教における神々
・神道の神の一覧
・妖怪の一覧