聖ポリアンナ国立病院とは、アメリカ合衆国・マサチューセッツ州にある総合病院。世界最古の女子医学校であるセント・ジョーンズ・ワート学園が隣接する。
アメリカの医師で、世界で初めて人工呼吸法を開発したウィリアム・ハーヴィー博士の出身地としても有名。また、同病院では世界初の心臓移植手術が行われたことも有名であり、現在でも世界的に有名な医師や看護師が多数勤務している。
概要
19世紀初頭から中期にかけて、アメリカでも有数の名門女子校として名を馳せていたセント・ジョーンズ・ワート学園に併設された。20世紀前半までは世界恐慌による経営不振に陥っていたため学園とともに閉鎖されていた。しかし、その後の経営再建と医学の発展によって再び脚光を浴びるようになり、現在では世界有数の名門私立病院として知られている。
また、同病院には数多くの著名人も入院しており、その患者数は100人を超えるとも言われている。
歴史
1831年、ニューイングランド地方において設立された最初の女子修道院付属看護婦養成専門学校であったセント・ジョーンズ・ワート学園を母体とし、同校を卒業した女性達によって設立された。当初は、主に上流階級の女性を対象にして看護教育を行っていたものの、時代とともに一般の人々にも広く門戸が開かれるようになった。
そして、南北戦争後の1870年代には、現在の聖ポリアンナ医科大学の前身であるセント・ジョーンズ・ワート大学が設立された。この大学は、18世紀の初めに創設されたセント・ジョーンズ・ワート女子大学を元にして設立されており、セント・ジョーンズ・ワート学園の姉妹校という位置づけになっている。
ちなみに、セント・ジョーンズ・ワート学園の前身となったのは、17世紀に創立されたサンセット女学校である。当時、同校はニューイングランド地方の裕福な家庭の娘を対象とした私立学校だったが、後に男女共学となり、男子生徒を受け入れて医学部が設立された。さらに、戦後、聖トマス・アクィナス学院と合併し、聖トマス・アクィナス医科大学となった。そして、現在は聖ポリアンナ医科大学となっている。
2022年、コレー事件をきっかけに聖ポリアンナ病院は国有化された。
沿革
- 1831年:前身となるセント・ジョーンズ・ワート学園が聖ポリアンナ病院を設立。
- 1845年:聖トマス・アクィナス学院との合併により、聖トマス・アクィナス医科大学へ昇格。同年、聖トマス・アクィナス医科大学より分離され聖ポリアンナ大学医学部へ編入される。
- 1872年:セント・ジョーンズ・ワート大学(現聖ポリアンナ医科大学)の設立。
- 1881年:世界恐慌の影響により破産申請を行う
- 1908年:実業家のバーニー・ブルヘイム氏が設立した財団の援助を受ける形で、聖ポリアンナ病院は再建する。
- 1919年:セント・ジョーンズ・ワート大学が聖ポリアンナ医科大学に改名し、聖ポリアンナ病院は聖ポリーナ病院と改名。
- 1921年:世界初の人工呼吸器の開発に成功。
- 1923年:世界初の人工心肺装置を開発。
- 1925年:世界初の無痛分娩を開始。
- 1926年:世界初の帝王切開を実施。
- 1927年:世界で初めて体外受精による妊娠に成功した人物が誕生。
- 1928年:世界初の子宮頸癌ワクチンが開発。
- 1929年:世界初の卵子凍結保存術成功。
- 1930年頃:史上初の人工胎盤開発に成功する。
- 1943年頃:初の体細胞クローン技術の成功者誕生。しかし詳細は不明。
- 1945年:聖トマス・アクィナス学院と合併し聖ポリーナ病院から聖トマス・アクィナス医科大学に改名、同年末再び聖ポリアンナ病院に改名する。
- 1949年:世界初の遺伝子治療技術の理論構築を行う。
- 1955年:世界初の胎児間輸血療法に成功。
- 1956年:世界初の脳死判定法の確立に成功。
- 1957年:世界で初めて胎児への染色体操作に成功。
- 1958年:セレブリティや資産家のための要人専用病棟の建設に着工。同年6月の反対派の地域住民による襲撃(聖ポリアンナ病院第一病棟襲撃事件)により全米の注目を浴び各地で反対運動が起こるも、最終的に建設許可を得る。
- 1960年:聖ポリアンナ病院で医師による集団毒殺事件が発生。首謀者は院内政治に不満を持つ看護師達だったと言われているものの、未だに真相は不明のままである。なお、この事件では多くの重軽傷者が出たものの奇跡的に首謀者以外の死者は出なかった。
- 1980年:聖ポリアンナ病院において最初の自然出産で双子を出産。
- 1992年:聖ポリアンナ病院において最初の心臓移植手術で女児を蘇生させる。
- 2001年:後に院長となる医学博士・資産家のリチャード・H・ダフィットが聖ポリアンナ病院に在籍する。
- 2004年:リチャード・H・ダフィットが院長に就任する。
- 2006年:聖ポリアンナ病院において最初の不妊手術を行った患者夫妻の子孫に対して、多額の寄付金を贈呈したことを発表。
- 2007年:聖ポリアンナ病院において最初の人工中絶手術が行われたと発表。米国キリスト教会協議会と世界教会協議会が批難声明を発表。
- 2011年:人種比・男女比の偏りによる差別を解消する為、アジア系医師・従業員を例年の20倍以上新規に雇用することを発表。一方女性の雇用については「モデル採用」と揶揄されるなど批判の声が上がったものの、その後特に目立った問題もなく現在に至る。
- 2016年:聖ポリアンナ病院の従業員で初の同性婚パートナーが誕生する
- 2019年:コレー事件がきっかけで60年以上継続した不正行為が判明する。
- 2020年:アメリカ政府の調査委員会は、聖ポリアンナ病院が医療用大麻を違法処方していた事を認める。
- 2022年:聖ポリアンナ病院は、アメリカ連邦政府によって国有化される。
- 2025年:株式会社KADOKAWAとのコラボで第5回カクヨムWeb小説コンテストの作品テーマの一つに「聖ポリアンナ国立病院」が採用される。
不祥事
マリリン・モンロー人形入院事件
1955年、聖トマス・アクィナス医科大学の卒業生がイタズラでマリリン・モンローの精巧な人形を作成し「緊急搬送」させ即時入院させた。病名は“マリリン・モンロー”であり卒業生らは当時最先端のHAZスーツに着替えてマリリン・モンロー人形の看病を行っていた。
謎の音事件
聖ポリアンナ病院では1960年以降定期的に謎の音が地下から発生する現象が多発している。しかしその多くは医師ならびに患者が無許可で院内の拡張、改修工事を行っていた事に端することが判明している。以下に謎の音の発端となった工事の例を挙げる
・1960年から2年間、要人専門病棟に入院していた資本家、政治家などの複数人が病棟地下深くに秘密の大浴場を秘密裏に施工。その際、大浴槽を設置する為に大量の大理石が必要になったのだが、その搬入時に巨大な石を動かした際の音ではないかとされている。大浴場は完成し現存するが現在は利用できない。
・1970年代に旧棟、新棟それぞれの東トイレの天井裏に大きな空間を作る為、聖ポリアンナ病院の所有する敷地内の森から大木を切り倒して運ぼうとした所、切り倒された木が病室に落下。それが原因で病院内に地鳴りが発生したのではないかとされている。
・1982年に外科医のヤード・アレンにより食堂が改装された。ヤード氏が描いた壁画は現在も修繕されつつも現存している。
・1999年、当時の院長だったケン・メイクビョートンのジョークが発端となりトイレのみが設置された第8病棟が建設される。この際に発生した工事音によりいくつかの誤診が発生した可能性が指摘されている。
・2010年、病院全域で金属音が微かに聞こえるという報告が大量に届けられる。その後2019年に従業員用の住居棟の地下に不明な空間が有ることが判明した。
第4診療室異臭事件
2007年、第4診療室に勤務していた複数の従業者から室内から“肥料のような臭い”がするとの報告を受けた。窓を開け換気を行なったにもかかわらず臭気は消えず、要請を受けた清掃員の検査によりデスク裏に人糞が入ったバケツが隠されていた事が判明した。人糞の主は現在も不明である。
内科医長ダジャレ集流出事件
2014年、呼吸器内科医長のトム・ハーリー博士が勤務中に書いたメモ書き(通称:Dr.Harley's Quote)が院内関係者の手に渡りインターネット上に流出する。その内容の多くがダジャレやスプーナリズム等の言葉遊びでありネットミームと化した。現在でも“ILove You(愛しているよ)”等のフレーズはネットユーザーに親しまれている。
コレー事件
2019年8月22日午前1時、看護師だったコレー・アンガストンは院長室にいたリチャード・H・ダフィットを殺害した所を7人の他の看護師に発見される。その後、コレーは到着した警察官に自首をし逮捕された。当時コレーと複数の看護師はリチャードと共にゲームをしており犯行の理由だと思われるがコレーは現在も黙秘している。
その後、聖ポリアンナ病院の地下に広大な空間が存在する事が発覚する。地下空間は広大な住居区間となっているが各部屋が鉄格子で隔離されており、病院の全従業員の80倍(約25000人)の住民が暮らしておりその内9000人は以前の従業員または書類上死亡していた患者で、後の16000人は地下区間で生誕していた。地下空間は恐らく60年代から使用されており長年に渡り病院の利益のために利用が行われていた。また、病院の経営者であるリチャード・H・ダフィットは聖ポリアンナ病院を自分の私有財産として認識しており、病院を乗っ取る為の下準備を行なっていたとみられる。現代でも病院地下にはリチャード・H・ダフィットの隠し財産や軍事兵器が保管されてと言われているものの、未だ全容解明には至っていない。
この事件を重く見たアメリカ政府は緊急会見を行い、当時の大統領であったジョン・ケネディは聖ポリアンナ病院の閉鎖と、医師全員の国外追放を命じた。しかし、聖ポリアンナ病院の医療レベルの高さは世界の医療業界において有名であり、多くの国益、公益をもたらしていたため結局国有化されることで存続する事になった。地下区間はその特殊性から特区として自治権が与えられていたものの管理体制に不備があり、職員の汚職による腐敗も多発していたことから問題となっていた。現在はアメリカ連邦政府直轄機関として運営されている。
そして2022年10月23日、聖ポリアンナ病院の新たな院長としてヘンリー・アスターが就任することになった。
コレー事件後の影響
コレー事件により聖ポリアンナ病院が長年に渡り行っていた違法行為が明るみになったことで勤務していた従業員らが非難の対象となった。その結果多くの従業員が精神的負担から以下のような症状を患うようになった。
・夜景恐怖症
・極端にトイレの臭いを嫌悪する
・病院の廊下ですれ違う患者の視線が自分に向いているように感じる
・病院のエレベーターに乗る際に不安を感じる
・診療室に入ることへの恐怖
・院内のベッドの上にいると呼吸困難になる
・病院での記憶が徐々に薄れていく感覚
・病院での記憶が徐々に薄れていく感覚
・遠方からナース服を着たコレーが呆然と立っているような幻覚
・後ろからコレーが追いかけてくる妄想
・コレー、ミレー、バレー、カレー、チャタレー、ウォーレン、ウォーホル、オーウェン、オーウェル、オブライエン、ウォーロックという単語を見聞きすることへの恐怖感
・病院の廊下の曲がり角の先を見る事に対する怯え
・突然、誰かの声を聞いたり、天井裏に何かがいる気配を感じたりする、といった心霊現象
・他人がトイレに行くことに強烈な拒否反応を示す。特に女子トイレには近寄りたがらない