講堂の一番うしろの列

Last-modified: 2022-06-03 (金) 23:58:30

講堂の一番うしろの列(こうどうのいちばんうしろのれつ)とは、「ガギヤマ」と呼ばれる不明な人物が主宰している学生向けのレストラン風屋台フランチャイズである。

概要

学生らが学校構内に無断で開設する簡易な飲食店を指した名称である。その収益の多くは学生らとして還元され、ごく僅かなライセンス料と材料費のみを「カギヤマ」に払われるとされる。
この屋台の形式は2000年頃から始まり、当初は有志の学生が不定期に出店していたが、2010年頃に学生の貧困が表面化して以降急速に普及していった。

「講堂の一番うしろの列」という名称で分かる通り、講堂の後列でゲリラ的に出店することが有名であるが実際には講堂内で出店する頻度はそう高くなく、一般的には体育館や倉庫裏、多目的室や余裕教室などの比較的人の往来が少なく発見されづらい場所に設営することが多い。

歴史

「カギヤマ」の創設者とされるカギヤマ氏が2018年に応じたテレビ番組『いまドキッ!埼玉』のインタビューによると、講堂の一番うしろの列の発端になったのは、カギヤマ氏が講堂の一番後ろで講義を受けていた時、隣の席の人に「朝から何も食べてないからなんかくれ」と言われ手持ちのカロリーメイトを差し出したところ、お礼にジュースまで奢ってもらったことが始まりとされている。その後、カギヤマ氏は食堂に行く時間もお金もない時にその友人から貰った缶コーヒーをお返しに差し出し、以後そのように飲食物のやり取りを行うようになったという。カギヤマと友人の流れは他の学生にも伝播し、カギヤマは小型の冷蔵庫を持ち込まざる負えなくなり、その結果大学側から許可を貰い小型冷蔵庫を設置して以降は冷蔵された飲み物を売る形態となったとしている。また、カギヤマ氏の友人の中には他の大学の学生もいたとされ、2018年時点で既に数十人規模にまで膨れ上がっていたと自称している。しかし一般的に大学としてあるまじき姿であるためその大学が名乗りを上げる事はまず無く、真偽は不明である。

出店されうる主な場所

  • 講堂の後列
  • 授業中の部活動室、食堂
  • 倉庫裏
  • 利用頻度の低い多目的室
  • 余裕教室
  • 学園祭の屋台に擬態して出店
  • トイレ(2007年以降出店禁止地点に指定)

主なメニュー

全ての料理はペットボトル、レトルトまたは個別パックで提供されるためテイクアウトが可能であり、また常温で保存しても食中毒や腐敗の少ないメニューが多い

  • お茶150ml 10円
  • ボトル入り飲料水500ml 30円
  • スポーツドリンク250ml 40円
  • コーラ890ml 80円
  • スティック菓子 一本 10円
  • パン風ドーナツ 一個 25円
  • クッキー・ビスケット類 10円~100円程度
  • カロリーバー 60円
  • 乾燥チョコレートケーキ 200円
  • レトルトカレー 70円
  • ライス 55円
  • ハンバーグ 50円
  • ネギ・紅生姜の天かす 50円
  • 惣菜類 25円~190円程度
  • ナポリタン・ペペロンチーノ 125円
  • ツナマヨ丼 140円
  • 牛丼 100円
  • 焼きそば 85円
  • ピザ風パン 90円
  • ラーメン 720円
  • 家族用オードブル(一日分) 580円

評価

非常に安価で提供されており、それによって材料費も更に安い。カギヤマ氏の話によれば原価率は30%以下であるとされており、一般的な飲食店と比較しても格段に低く抑えられている。

レトルトやパックの状態で提供されるため調理器具や設備が殆ど必要とせず学生らのフランチャイズも容易く、非公式だが2018年までに621店舗設営されたという統計結果もある。ただし幾つかの例外を除き学生以外にライセンス契約は行っていない。

そのゲリラ的な展開方法から批判も多い。特に食品衛生の観点からは問題が多く、厚生労働省は学生レストランの展開に対して厳しい姿勢で臨んでいる。講堂の一番うしろの列はしばしば「学生の台所」と称され、「学校給食」のイメージを想起させる。しかし実際には、学生が自宅で作った食事を持ち込み、それを学生が販売するという形態をとっていることが多い。また、商品として「大学らしいもの」があまり提供されない傾向にあるため、学生以外の一般客からの評判はあまり良くない。

以下はエージェント・草間とエージェント・シュタイエルによる『講堂の一番うしろの列 ██大学旧体育館放送室店』の調査レポートである。

調査ログ 2018年/██月/██日

調査者: エージェント・草間、エージェント・シュタイエル
場所: 講堂の一番うしろの列 ██大学旧体育館放送室店
備考: エージェントらは██大学のOBとして偽の身分を使用し潜入した。██大学旧体育館放送室店は当時最も古い店舗であり、他店では珍しい完全予約制を採用していた。今回はできる限り多くの料理を調査するため「学生フルコース」を事前に予約注文していた。

記録開始
 
(調査対象の店舗は旧体育館の放送室内に設営されており、入り口にはボール紙の古びた看板がおかれていた。なお、この看板にはおそらく画像検索から選択されたと思われる高級レストランの写真が貼り付けられていた。)
 
エージェント・草間(以下、草間)「ここが講堂の一番うしろの列ね……」
 
エージェント・シュタイエル(以下、シュタイエル)「はい、こちらは無事に講堂の一番うしろの列の店前に付きました」
 
草間「Googleマップが無ければ私達は山奥で遭難していたでしょうよ。なんでこういう地方の大学は山奥にあるの!」 
 
シュタイエル「はしたない。調査のプロフェッショナルとして雑言を記録に残すのは良くありませんよ」
 
(両エージェントは放送室内に入店する。二人の男子学生がバニーガールのコスチュームで迎え入れる)
 
店員A「ご二人ともこんにちは、ご予約のお客様ですか?」
草間&シュタイエル(コクリ)…………
店員B&C(コクリ)
&D(コクリ)
&E(コクリ)
&F(コクリ)
&G(コクリ)
&H(コクリ)
&I(コクリ)*1
 
草間「はい、[偽名を提示する]です。この大学に来るのは久しぶりだけど最近は制服なんてできたのね」
 
店員B「(笑いながら)そうです、うちの大学はデザインがダサいので有名でして。お二人はどなたかの紹介でしょうか? それではこちらへどうぞ。お席まで案内します」
 
(両エージェントはクッションソファの上に座る。シュタイエル曰く、ベタつきもなく清掃されていて清潔であったと報告している。)
 
シュタイエル「それで、私はここが初めてです。あなたはどのぐらい来てたのですか?」
 
草間「私もここは初めてなの。だって私が卒業した時はまだ昭和だったんだから」
 
シュタイエル「(苦笑しながら)2001年は昭和じゃないわ」
 
(店員が「講堂の一番うしろの列」ロゴが付いた紙コップを運んでくる)
 
店員A「こちらがウェルカムドリンクとなります」
 
(ウェルカムドリンクを木製テーブルに置く。報告によるとテーブルは放送室に以前から存在する物らしく、多少ガタついていた)
 
(先にエージェント・草間がウェルカムドリンクを口にする。内容はフランチャイズで提供される通常のコーラであると報告された)
 
草間「んっ、これ……おいしいわ! 何だか懐かしい味がする」
 
シュタイエル「そういえば貴方は昔からコーラが好きでしたよね」
 
草間「そうなの、小さい頃は毎日のように飲んでたから好きになったのかしら。でも最近飲むと頭痛くならない?」
 
シュタイエル「それは炭酸飲料の飲みすぎです」
 
草間「うふふ」
 
(しばらくして、学生フルコースが運ばれてくる。メニューは以下の通り(一人前):・小型の菓子パン×3・サラダ・カルボナーラ・スープ・デザート(アイスクリーム)・コーヒーゼリー。エージェント・シュタイエルの報告によれば、これらは全て調理済みのレトルトパウチであり、木製の板で仕分けられた即席の厨房ではパックを破く音が聞こえた。品質管理のために冷蔵庫で保管されていることが確認されていない)
 
(シュタイエルは追加注文を行う。以下、記録に残る情報のみ記す。)
 
店員B「学生フルコースの追加オーダーですね。わかりました。すぐに用意いたします」
 
(店員Bがテーブルに大量の紙シートを並べる。店員Aは調理の準備のため厨房へと向かう。その間エージェント・草間は記録を続ける)
 
草間「フルコースと言ってもお菓子とレトルトばっかりね。カロリーが気になるけど、まあいいわ。いただきましょう」
 
シュタイエル「(微笑みながら)ええ、食べて調査を続けましょう」
 
(10分ほど電子レンジの作動音が厨房から聞こえてくる。)
 
草間「遅いわね。もう待ちきれないわ」
 
シュタイエル「(笑いながら)これはフルコースを頼んで正解かもしれませんね」
 
草間「いいや、私の見立てではフルコースは失敗よ。フルコースはもっと早く出てくるはずよ」
 
(エージェント・シュタイエルは前半の記録を本部に送信する。)
 
(店員AとBがステーキらしき料理を「講堂の一番うしろの列」のロゴが入った木製皿に乗せて運ぶ)
 
店員B 「こちらが“戦乙女の贅肉”のステーキになります」
 
(両エージェントは驚きの顔を浮かべる)
 
草間「ちょっと待って!神聖生物の提供には保健所の許可が必要なのよ!いくら黙認されてるからってやりすぎじゃないの?」
 
シュタイエル「落ち着きなさい。これは実際にアスガルドの神格から肉を使わせてもらってるのですか?」
 
店員B「その通りです。当店では最高の食材を使っています」
 
草間「最高って、こんなのどこにでもある市販の牛肉とかじゃないのよ!」
 
シュタイエル「(困惑しながら)興奮しすぎて言葉遣いがおかしくなってしまってます。本当にはしたない姿をお見せしてしまい申し訳ございません。でもこれは本部が提供しているとは思えませんがどうやって調達してるのですか?」
 
店員B「それは企業秘密でございます」
 
店員A「おいっ!企業じゃないって、バレちゃうだろ」
 
草間「これカギヤマが出荷してるのね!道理でここにしては値が張ると思ったわ」
 
シュタイエル「すみません。まさかこのような料理が出るとは思いもしませんでしたがとても美味しい料理と珍しい体験が出来て今回は本当にありがとうございました。お会計はどちらへ……」
 
(シュタイエルは席を離れようとする。)
 
店員A「(不満げな顔で)何で謝るんですか。私達は何も悪いことなんてしていませんよ。それにここの料理は完食してもらうのが当店のルールです。あくまで無断出店しておりますのでできる限り廃棄物は出したくないのです」
 
草間「でも私は初めてでそういうローカルルールは……」
 
店員B「そんなはずありません。貴方はカルボナーラを食べるときソースをパンで拭き取っていたでしょう?あれは常連の特徴ですよ。これからも来店されるのであれば気をつけてください調査員さん」
 
シュタイエル「ああ、バレていたのですね。今回はあくまで品質調査なのでこの調査ログが司法機関に届けられる事はありません。しかしこのようなサービスは決して許される事ではありません。次回からは正規メニューを注文させて頂くことにします」
 
(シュタイエルはその場を去ろうとする)
 
草間「ごめんね、私のせいで。でもここはやっぱり危険だわ。でもバニーボーイ、あなたも気を付けなさい。次は警察が隠れて来るかもしれないのよ」
 
店員A「待ちなさい。貴方はここで食事をする義務がある。貴方は我々の神に選ばれたのだから」
 
(学生達の目つきが変わる)
 
シュタイエル「貴方達は……一体何者なの?」
 
店員A「我々は秘密結社『神々の黄昏』。貴方は我々と共に戦うために呼ばれたのだ」
 
(シュタイエルとエージェント・草間はテーブルの下に潜り込む)
 
(エージェント・シュタイエルの報告によれば、この時シュタイエルはテーブルの下から机上の紙コップを蹴飛ばし、店内を混乱させたという。)
 
草間「シュタちゃん、どうしよう。あの人達、頭がおかしいみたい」
 
(エージェント・草間とシュタイエルはテーブルの下で息を潜める)
 
店員A「君たちはテーブルクロスに隠れているつもりだろうが無駄だよ。さっきからずっと見ているんだ。テーブルがガタついている事に気付いていないのか?」
 
(エージェント・草間とシュタイエルがテーブルを見る。エージェント・草間は驚いた表情を浮かべた。)
 
店員A「ふっ、気付いたようだね。そう、我々は見られているのだよ。そして我々が見ているのもまた、見られているということだ」
 
(その後店員らは異常な念動力で両エージェントをテーブルごと壁付けにする。壁付けの影響で全隠しカメラが塞がれ映像が映らなくなる。小型マイクが拾った音声から、店員によって“戦乙女の贅肉ステーキ”、“カカポポの皮膚油ゼリー”、“ハイヌウェレのチーズソースパスタ”、“キキーモラのフン”を強制的に給餌されたことを示唆している。両エージェントは当初は給餌に抵抗していたが次第にこれらの料理に魅了されるようになり咀嚼しながら「美味しい」「最高」「グレード」「最高」などの声を発し始める。)
 
店員B「お客様は大変素晴らしい能力の持ち主のようですね」
 
草間「シュタちゃん助けて!私達食べちゃう!」
 
シュタイエル「んんっ……旨っ♡」
 
記録終了

現在、エージェント・草間とエージェント・シュタイエルはMIA(任務中行方不明)となっている。


*1 以下、DからIまでの店員は存在せず、自動書き起こしBotの不具合だと思われる