レルムの有力組織/団体
様々な町や都市に加えてレルムには多くの有力集団があり、それらは皆自分たちの目的のために活動し、ときとして国境を無視することがある。これらは秘密結社やカルトや冒険者の集団であり、自分たちの目標を主張するところまで押し進めようとしている。
ハーパーズ (The Harpers)
ハーパーズはハートランドに拠点を置く準秘密結社である。ハーパーズは長い年月の間に様々な前身組織があり、政治的権力を増したときもあれば減らしたときもあった。彼らは多くの善の教会と同盟関係にあり、またドルイドのサークルを含む強力な中立の組織からも援助を受けている。彼らの目的は、ゴブリンの襲撃やドラゴンの飛襲、またゼントゥリム、レッドウィザード、カマー、カルト・オブ・ドラゴンといった狡猾な組織の影響から都市を瀬戸際で守り抜くことにある。
彼らは個々の人間の力、自然と都市のバランス、善の人間とそれに協力する知的生物を信じている。また、過去の出来事から未来のことを学ぶことができるように、昔の話を保存しておくことも信条にしている。ハーパーズには様々な人々が集まっているが、とくにエルフ、レンジャー、バードに人気がある。
ハーパーズは北方からハートランドまで広がっていて、活動は秘密裏に行われる。彼らは元々世話を焼きたがる性格で、しばしば単独や少人数で目的を達成している。長年の宿敵との戦いのとき以外では、彼らの名前が活動に関係ないことなど気に留めない(彼らの話や歌は別問題である)。ハーパーズはきちんと組織化されているわけではなく、活動拠点も存在しない。ハーパーズはレルムの善の勢力であり、善のキャラクターは自分の仕事がハーパーズの役にたっている場合は、見えないところから手助けを受けているのに気づくだろう。これらの協力者の正体を知る唯一のヒントは、竪琴と月のシンボルである。
アイアンスロウン (The Iron Throne)
独立している商人は一般には額面どおりの商売をし、(少なくとも世間では)正直ものである。また、ずるいことはあまりやりたがらない。人の集まるところや休憩場所を提供してくれる人や組織に対しておべっかを使うときは別であるが。商人は自分の幸運を信じているが、護衛のために傭兵を雇い、利益になるような品物を多く扱う。彼らが通る土地の支配権力は彼らの集団の引退した人などの仕事であり、商人たちは公平に取り扱われる。
これに明らかに反するのがアイアンスロウンで、ここ数十年活動を続けている神秘的な組織である。長い間活動している割には、組織の目的や黒幕についてはほとんど何も知られていない。アイアンスロウンはエージェントを通じて活動を行う。エージェントは身分の低いチンピラや盗賊ふぜいで、最近になって合法的に雇われて商人のリストに登録された者たちである。アイアンスロウンのエージェントは昔ながらの商法をするため非常に資金の回転率がよい。彼らはエージェントの起こした全ての犯罪への関与を否定しており、定期的に入れ替えを行っている。アイアンスロウンはどんなに薄っぺらでも世間体を保つことに気をかけている。
最近ではこの上辺だけの世間体も本当に薄くなってしまった。競争相手の暗殺、強盗、暴行、ヒューマノイドの部族への武器の販売、麻薬、毒、禁制品の密売などで告発されているからだ。アイアンスロウンのキャラバンとエージェントがゼントゥリムの者と争っていることがよく報告されている。アイアンスロウンは最近、コアミアでの活動が原因で1年間追放されているが、新しい地方へと手を伸ばしていると考えられている。
アイアンスロウンの首領は現在知られておらず、魔法的な手段で正体や意図を探られることに今日までずっと抵抗してきた。このことから彼らの一部はある程度魔法的に保護されていることと、噂は放っておかれていることがわかる。アイアンスロウンのメンバーはゼントゥリムかコアミアの秘密エージェントで、いままでのそれらの組織に対する活動は痕跡を隠すためだけに行われたと言う者もいる。また、シリックやもっと邪悪な神(考えられることではある)が関与しているとも言われる。さらには、アンデッドビホルダーや死んだ神、知性のあるトカゲや青白いシージャイアントがこの商人組織の真の首領で、その勢力の秘密であるという噂もある。真実は未だに見えてこない。
レッドウィザード (The Red Wizards)
レッドウィザードはサーイの統治者で、その地の強力なザルカーは彼らの中から選ばれる。レッドウィザードはレルム中にサーイのエージェントやスパイとして送られている。彼らの目的はおそらくは自国の政府のためと思われるが、レッドウィザードたちはめいめい自分の目標を抱えている。
彼らの言う目標とはサーイをレルム中で最も政治的にも魔法的にも優れた勢力にすることである。レルムで出会うレッドウィザードたちはこの目標のために働いていたり、自分の主張を押し進めていたり、他のレッドウィザードをも含む人々の信用を傷つけたりしている。レッドウィザードの考える陰謀は非常に複雑に入り組んでいるのでどこから始まり、どこで終わっているのか判別できない。レッドウィザードにはたくさんの要素があるが、彼らにないものの一つに繊細さが挙げられる。いばったり、熱心になったり、侮辱的であったり、危険に思われたりもするが、決して繊細ではない。レッドウィザードにとってはどんなに些細な謙遜をすることも、サーイの人々をばかにするようなほんの些細な言葉に我慢するのにも多大な労力を要する。これにも関わらず常に(明らかに)、冒険に挑む新入りのレッドウィザードが存在する。
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シャドウシーフ (The Shadow Thieves)
シャドウシーフは広範囲に広がるシーフとスパイと暗殺者のギルドである。彼らは主に危険が伴う邪悪で金になる仕事をこなしている。これらの活動はたいていのシーフギルドと違って、1つの都市に限られたものではない。彼らは「ソードコースト」のラスカンからカリムポートまで広がっている。ウォーターディープのロードやその協力者に直接敵対しているので、アムン(バルダーズ・ゲートの南)のアスカトラに拠点を置いている。そこには大規模なトレーニング施設や雇った暗殺者のテスト場がある。この集団はかつてはウォーターディープのシーフギルドだったが、ロードの手によって都市の外に追い出されてしまった。
シャドウシーフはアスカトラの暗殺者ギルドの支援者となり、ウォーターディープのロードたちの殺害を狙っている。しばらくすると、この秘密組織はアムンの商人のロードたちとある合意に達した。彼らは商売敵であるウォーターディープの騒ぎに乗じて利益を得ようとしたのだろう(そしておそらくは自分たちが暗殺の目標リストに載らないようにするためであろう)。この協約のため、商人のロードたちとシャドウシーフはお互いに手を出さないことになった。
シャドウシーフは「ソードコースト」中で活動している。彼らのトレードマークはスティレットに貫かれた黒いシルクのマスクである(スティレットは普段暗殺のときに使われるが、ギャロットや毒を使ったときにもこの短剣を現場に残していくこともある)。シャドウシーフの名前も記述も人数さえも知られていない。極めて経験豊富な者はごく少数なはずであるが。
ゼンタリム (The Zhentarim)
ゼンタリムのブラックネットワークはメイジやプリーストやウォーリアからなる集団で、秘密組織と言うほどでもない。彼らはハートランドを通して交易を支配し、そして権力を支配しようとしている。その目的のために彼らは、増え続ける敵たちを失脚させようと動いている。そこにはデイルランド、ハーパーズ、ムーンシーのライバルの都市、カルト・オブ・ドラゴン、コアミア、センビア、敵対するすべての人々が挙げられている。潜入したり、操ったりできない都市は従わないと破壊すると脅している。
ブラックネットワークはハートランドを通して活動しているが、現在は3つの主な拠点がある。ダークホールドはファーヒルズ(バルダーズ・ゲートから東に数週間行った所)に拠点として設立された。ここはレルムの北、南、東から来たキャラバンのハートランドでの西の終着駅である。レイブン砦はサーとの国境沿いにあり、軍事拠点とされている。3つめの拠点であり、この組織が誕生した場所でもあるゼンティル砦はシリアックの教会の新進により、年々勢力が衰えてきている。雇う者の中にはその教会の者も多いのだが、ベインの教会を支配していたのとは対照的に、新宗教をうまく支配できずにいる。結果的にブラックネットワークの悪事は他の2つの場所で起こる。このことは、地元の人間がいないということから邪魔をされたり、反乱を起こされたりする心配がないという利点をもたらしている。
交易はゼンタリムの主な収入源である。彼らは鉱石や完成品の輸送に限らず、毒や禁制品や武器、奴隷をも扱っている。征服もゼンタリムの目的の上位にあり、ゼンティル砦や、ブーンラー、ロークといった手先の都市の戦力を用いることもある。彼らはヒューマノイドの部族や傭兵をよく使い、普段は報酬として戦争の後での略奪を認めている。戦闘をする主な意図は敵を倒したり、ライバルの勢力を弱めたりすることであり、普段は自分の領土に取り込むことに失敗したときに実行される。
メイジ・オブ・ハルーア (The Mages of Halruaa)
フェイルーンで新進気鋭の者たちが南の、神秘に包まれた伝説に近い土地ハルーアからやって来る。この地は強力なメイジに支配されていると言われており、魔法が一般的に使用されるに至っている。そこでは城はそよ風の上に浮かび、水は坂の上へ向かって流れ、一番身分の低い皿洗いのメイドでさえ魔法を使って速やかに仕事を片付けている。ハルーアの性質は、その山地にある国境を越えた者の口から語られる。
フェイルーンのメイジたちは、揮発性のガスを詰めた大きな袋の下につるされている「空飛ぶ船」を使うことでよく知られている。これらの「空飛ぶ船」はハルーアのメイジの証明であり、レルムの港町の海岸に現れ、海のほうから他の船と同じように、しかし宙に浮いたまま港にやってくる。これらの船を扱う商人のメイジも宙に浮いているように思える。ほんの少しだけ取引したり、その所有者には何の価値もないような物に法外な値段を支払うからだ。ハルーアのメイジは強力な魔法の触媒を探していると言う者もいれば、船が港にいる間に行われる邪悪で不吉な犯罪の隠れ蓑であると言う者もいる。わかっているのは、その船の船員が全員魔法が使えるということだ。
メイジたちが、命令通りに内密に仕事を行う者たちを北方やハートランドの交易が盛んな都市に送り込んでいることが明らかになってきている。これらは店の経営者や商人や貿易商でハルーアの目や耳として働いており、新しい発明品、特に強力な魔法の品物を並べている。これらの品物はハルーアの人々によって定期的に発見されているものであるが、調査すべきなのか、壊すべきなのか、他人の手に渡らないように持っているだけなのかは分かっていない。強力なレリックが発掘されるとそれが出た都市は、ハルーアのメイジの大きな空飛ぶ船の訪問を受けるだろう
ヴォロが記しているよりも、はるかに強大な組織であるやもしれん。 -エルミンスター
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