アメリカズ・フロントライン・ドクターズ

Last-modified: 2022-11-04 (金) 23:45:00
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アメリカズ・フロントライン・ドクターズ(英:America's Frontline Doctors)とは、反ワクチン・反コロナ的主張を展開するアメリカ合衆国の右翼団体である。略称はAFLDS。
Emergency Physician(急診科医)であるシモン・ゴールドによって設立された。
日本語訳にして「アメリカ最前線の医者」を自称しているが、その主張の多くは政府批判に無理やり繋げられた悪質な誤情報ばかりであり、科学的根拠や事実に基づいた情報をまるで掲示していない。
目的としてはロックダウンやソーシャル・ディスタンス、自宅待機命令、ワクチン接種に対する反対などが原動力となっているようで、アメリカ国内からの評価としては専ら保守主義のデマ団体として扱われているようだ。

概要

2019年に創設されており、それまでは特に日の目を浴びることは無かったが、2020年頃にオルタナ右翼の間でコロナウイルスに関する陰謀論が燻っていた際、それに便乗するような形でワクチン系陰謀論を提唱し、続いて2021年頃から反ワクチン主張を行うようになった。
アメリカ国内で悪い意味で注目されるようになったのは2020年7月27日のリーダーであるゴールドのメディア出演であり、Whiskey PoliticsやThe Charlie Kirk Showといった番組で後述する白衣サミット(White Coat Summit)についての報道で彼女の様々な反ワクチン・ノーマスク主張が地上波に放映されることとなった。
このときの彼らによる反ワクチン主張及び活動はドナルド・トランプやその息子(ドナルド・トランプ・ジュニア)のお墨付きでもあり、特にトランプはこの団体について「何百人もの患者に対し莫大な功績を収めている」と信頼を置いている。
AFLDSは彼ら団体の特性と活動について「草の根運動の一環」としているが、オルタナ右翼の推進する陰謀論にことごとく傾倒しており、および保守系極右陰謀論者から絶大な支持を得ており、同じくアメリカの保守系団体である「国家政策委員会(Council for National Policy、略称CNP)」やティーパーティ運動(Tea Party Movement)の一つを自称する極右団体「ティーパーティ・パトリオッツ(Tea Party Patriots)」と一定の繋がりが存在する。

主張

AFLDSは現行のコロナワクチンは全て明確な治験が取れておらず、化学的根拠に欠けた危険物であると主張しており、コロナウイルスへの治療薬としては「ヒドロキシクロロキン」「アジスロマイシン」「亜鉛」混ぜたものが効果的であるとしており、かつての反ワクチン主張においては異星人のDNAを使用したワクチンが使用されており、DNAを改変させられるなどぶっ飛んだ発言も目立った。
彼らの主張する治療薬を否定する科学者に対しては「ナチスの大虐殺を許容するドイツ人である」と口汚い非難をしており、またコロナウイルスパンデミックによる行動制限を民主主義の危機であると唱えている。
ヒドロキシクロロキンは皮疹などに使用する医薬品であり、アジスロマイシンは抗菌作用を及ぼすものである。
亜鉛を含め、この三つは毒性や副作用が少ないものではあるが、コロナウイルスに対し有効打となるかと言われるともちろんそんなことはなく、この「医薬品」についても事実に基づく化学的根拠が示されていない。

事件・運動

  • White Coat Summit
    2020年7月27日、ワンシントンD.C.最高裁判所前で「白衣サミット」という記者会見がゴールドらを主催として開かれた。
    ゴールドはこの記者会見にて、前述した反ワクチン・ノーマスク的な主張を提言、このゴールドの記者会見は同日にまもなくアメリカの地上波で放映された。
    もちろんこの記者会見で語られた主張は専門家からの意見などはまるで通しておらず、アメリカ国内では物議を醸すこととなった。
    ゴールドの治療薬を否定する医者への非難もこの記者会見で発言されており、および現行のワクチン製造を支援する製薬会社などをコロナウイルスに効果がまるでない研究を支援する「エセ製薬会社」と非難した。
    極右界隈における反響として、極右ネットニュースのBreitbert Newsによって生中継が行われ、反ワクチン派や陰謀論者、Qアノン信者を中心に大きな話題となった。
    Facebook、Twitter、YouTube各位にそれぞれ拡散されたが、最終的にこれらの拡散投稿はほとんど全て削除され、ゴールドの主張を支持し拡散に協力したトランプ・ジュニアも半時間に渡るアカウント制限を受けた。
  • アメリカ議会襲撃事件?
    2021年1月6日にオルタナ右翼によって行われたアメリカ議会襲撃事件では、リーダーのゴールドが襲撃に参加。
    器物破損及び不法侵入、暴力、騒乱行為の疑いで逮捕、60日間の禁固刑を言い渡されることとなった。
    釈放された際、ゴールドは自身の団体の健康推進活動に支障が出ることを恐れ、記者団に対し自責の念を明かしたものの、事件当日の議会の様子については「平和的だった」と主張している。
  • 2つの訴訟
    • 5月27日
      2021年5月27日にAFLDSはアメリカ保険社会福祉省(Department of Health and Human Services、略称HHS)に対し、16歳未満の子供へのワクチン接種の危険性とこれまでの主張を理由に訴訟を提起。
      AFLDSはこの提訴について、「政府が10億ドルを投じてワクチンの効果を国内で大げさに宣伝しただけだった」としており、「複数メディアがこれに賛同し、ワクチンの批判を一切認めない圧力に参加した」と主張している。
      原告として当時ミネソタ州知事の共和党候補者であるスコット・ジェンセン氏が法廷に立った。
    • 9月1日
      AFLDSはニューヨーク市政府に対しワクチン接種の証明義務化廃止を目指して提訴。
      「ワクチン接種義務化は実質的にアフリカ系アメリカ人への差別に当たり、格差的な影響が発生しうる可能性があり人権法に違反する」と主張した。
  • ストーキング
    2021年12月8日、カリフォルニア州医師会(Medical Board of California)の会長がAFLDSのメンバーを名乗る謎の集団から尾行されたと発表した。
    ストーカー集団は自宅の外で会長とその子供の帰宅をカメラ及び録音機を持って待ち伏せていたらしく、まもなく警察に通報。
    警察との会話でそのグループは「会長との面談を求めている」と発言していたという。

SpeakWithAnMDとの提携

AFLDSは陰謀論者ジェローム・コルシによって運営されている遠隔医療サイト「SpeakWithAnMD」と提携しており、極右活動家によって推奨された医薬品の配布や有料の医療相談などを行っている。
医薬品の注文は満足に行われているとは言えないようで、複数人の顧客や寄付者が料金だけを請求しておいて、肝心の処方や相談は提供されなかったと批判されており、また2021年9月には匿名のハッカーから流出させられたデータから、2021年7月16日から9月12日の間に670万ドルを上る収益を得ていたことが発覚した。
Tag: インチキ 反ワクチン 市民団体 逮捕者が出た団体