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InfoWarsとは、アレックス・ジョーンズが運営するアメリカの極右ニュースサイトである。
1999年に設立され、現在はFree Speech Systems LLCの下で活動している。
概要
ピザゲートを始めとした様々な陰謀論を真実として報道するいわばフェイクニュースを流布するサイトで、反ワクチン・反コロナ系のニュースも多い。
ニュースサイトという体裁をとっているが、トークショーやニュース以外のコンテンツというのも制作しており、これらはテキサス州オースティン郊外で撮影されている。
2017年のInfoWarsの月間訪問者数は約1000万人ほどで、これは当時の「エコノミスト」や「ニューズウィーク」といったニュースサイトのそれを上回っているとされる。
発行人のアレックス・ジョーンズはInfoWarsの運営をきっかけに様々なプラットフォームから追放されており、また従業員への差別、セクハラ行為などを行い、それを告発されたこともある。
フェイクニュース
InfoWarsは人や団体に対する嫌がらせと取れるような悪質なフェイクニュースを投稿しており、「米国政府の偽旗作戦(9.11テロ、サンディフック銃乱射事件)」を中心に多くの陰謀論を提唱しており、それが原因で勃発した事件なども存在する。
騒動の中で最も有名なのは「ピザゲート事件」であり、これは最終的に銃による襲撃事件まで発生させたこと、そしてQアノンが発生したことにも繋がるため、今日までのアメリカ国内でもかなり悪名高い。
2017年から現在まで、InfoWarsの資金源はアレックス自身の販売する商品の売り上げであるとされており、アレックスの販売する商品の殆どが陰謀論や疑似科学を元とした栄養補助食品、防弾チョッキ、化粧品、歯磨き粉であり、陰謀論者の層を狙った商品を販売している。また「脳薬」と呼ばれるものも販売している。
その他の悪行
- エセ医薬品の販売
2020年3月12日にInfoWarsがコロイド銀の歯磨き粉や栄養補助食品などをコロナウイルスに効く医薬品として宣伝し、販売したことでニューヨーク州検事総長から停止命令を受け、また4月9日にはFDA (アメリカ食品医薬品局)から販売中止を要求する書状を送付され、「販売を続ければ商品の押収、あるいは罰金を課す」と警告された。 - 議会襲撃事件
議会襲撃事件に参加した多くの右翼団体の中で、特にアレックスはプラウド・ボーイズとオース・キーパーズの参加に影響を与えた可能性があるとFBIから疑われており、また議会襲撃事件についてアレックスは「多くのANTIFA構成員を見た」と証言していたが、特別ANTIFAのメンバーが存在していた証拠はなかった。 - 反ワクチン的主張
InfoWarsは2017年から現在まで、「ワクチン」という概念について否定的である。
新型コロナワクチンだけでなく、全ての政府主導のワクチン接種について政府の陰謀を疑っている。 - 被害者への嫌がらせを推進させた報道
- サンディフック小学校銃乱射事件・マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件
双方の銃乱射事件について「誰も死ななかった」「銃規制推進派による偽旗作戦だった」と主張し、高校の生存者であるデヴィッド・ホッグはクライシスアクター(事件の被害者を装うスタンドマン)であると主張した。
さらにサンディフック小学校で被害に遭った遺族や生存者についても同様の見解を拡散し、これによって生存者や遺族たちへの誹謗中傷や嫌がらせ、ストーカー行為、脅迫が相次いだ。
FBIはこれを受け、2018年3月にアレックスに対し名誉棄損訴訟を起こした。
これは11か月続き、最終的に2019年2月までに10家族が訴訟に加わったことで、被害者側は宣誓供述書の提出を命じる判決を勝ち取った。
更に、その他の名指しで批判した生存者や遺族からも訴訟を起こされ、結果的に合計12万6000ドルの罰金を課せられた。
- サンディフック小学校銃乱射事件・マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件
歴史
InfoWarsの設立は1999年にさかのぼる。
インターネットがまだ普及していなかったこの年に現在も発行人として活動するアレックス・ジョーンズによって創設。当初InfoWarsはパブリック・アクセス・テレビとして設立され、The Alex Jones Showという番組を放送していた。
しかし、特に表沙汰に出ることは無く、設立から17年経ったとき、(悪い意味で)日の目を浴びる事となった。
2016年の大統領選挙では、ロシア政府と関係するボットからInfoWarsのウェブサイトが宣伝されており、また極右思想を報道していたこともあって、トランプ支持者をはじめとする極右派はInfoWarsを強く信奉することになった。
2017年6月、ドナルド・トランプの元選挙顧問であったロジャー・ストーンがInfoWarsにて週5夜で自身の番組を放映するとし、限定の特別スタジオが増設された。
2017年7月6日、「最高のCNN*1ミームを作成するコンテスト」を主催。
これはCNNが親トランプ派のRedditユーザーの作成したCNNについての否定的なミームをCNN本局が取り上げ、報道したことがきっかけである。
コンテスト優勝者には賞金2万ドルが貰えるとし、Redditでは2万ドルを手に入れるべくCNNミームが殺到した。
インターネット上からの追放
2018年7月にYouTubeがヘイトスピーチに対する方針の違反としてInfoWarsの動画4本を削除、90日間の投稿停止を設けた。
同年月にFecebookもアレックスがコミュニティ違反をしているとしてアレックスのアカウントを停止。
最終的に2018年8月、YouTube、Apple、Facebookは嫌がらせ行為及びヘイトスピーチを理由にInfoWarsのコンテンツを完全削除した。
さらに2020年3月にGoogle Play Storeは、パンデミックに関して誤情報を広めたことを理由にInfoWarsの専用アプリを削除。
結果として、InfoWars関係のコンテンツは思いつく限りのプラットフォームからほとんど全て追放されることとなった。
事件
- ピザゲート事件
2016年に発生した事件であり、コメット・ピンポンというピザ店と民主党に関するデマを推進したのはこのInfoWarsである。
民主党派の店長が運営するコメット・ピンポンは度々民主党へピザを配っており、これについてヒラリー・クリントンはTwitterにてコメット・ピンポンについて呟いたことから始まる。
Wikileaksにて、コメット・ピンポンと民主党のやり取りが行われているアーカイブが開示され、これでふざけ倒そうという4chan民達によって、「ピザゲート」という陰謀論風のネタが発生。
ピザについてのやり取りは児童売買の隠語であるという設定がこれによって付けられるが、これをInfoWarsは「真実」として報道。
元々民主党派を嫌っていた人やオルタナ右翼、陰謀論者などによって複数のSNSで拡散。
コメット・ピンポン及びその周辺の店や民家に対し嫌がらせ行為が行われ、特にコメット・ピンポンは脅迫に遭ったり、業務妨害に遭ったり、しまいには店の裏側が放火されるという事態となった。
4chan民の中にも快楽目的でコメット・ピンポンを様子を見に来る人などが現れたが、12月4日、ノースカロライナ州ソールズベリー出身の20代後半の男性がライフル銃を持って押し入って、3発発砲する事態となった。
ライフルの男はピザゲートを本気で信じて犯行に及んだらしく、犯行の際は「助けに来たぞ!」と叫んだが、もちろんそんなものはないためお縄にかかることとなった。- その後のInfoWars
コメット・ピンポンの銃撃事件の後、アレックスはコメット・ピンポンの陰謀論を一転して否定したが謝罪はせず、その後12月4日にはYouTubeにて11月13日に死亡したあるセックスワーカー権利活動家の殺害にクリントン財団が関わっているという事実無根の陰謀論を投稿したが、最終的に12月14日までにそれらの陰謀論動画含めてピザゲートに関する動画の3分の2を削除。
2017年2月にアレックスはピザゲートについて完全に謝罪した。
- その後のInfoWars