地形
- 北海道の北に浮かぶ樺太(サハリン)の北緯50度以南及び周辺の島を領土とする。日本で唯一、陸上で国境を接する県である。面積は約36,000平方kmで、日本で二番目に大きい都道府県であるが、人口は約150万人であり人口密度は全都道府県の中で最低である。県土は東西最長160km・最短28kmに対し南北は約450kmに及び、南北に細長い。広大な面積を誇るが平野はそのうちの30%しかなく、ほかは山林である。平地は南部の鈴谷平野と北部の幌内平野、及び海沿いの一部に集中する。
- 南隣の北海道とは宗谷海峡を挟み40kmほどの距離である。かつては稚泊連絡船で結ばれていたが、1996年に宗谷海峡トンネルが開通した。
- 西部は間宮海峡を挟みロシアに面している。
南部
- 南西部・能登呂半島の南端には、県最南端の西能登呂岬が宗谷海峡に突き出ている。能登呂半島の亜庭湾を挟んだ反対側には中知床半島がある。
- 西能登呂岬の沖合には二丈岩という岩礁があり、正確には二丈岩が県最南端となる。ただし、一般人の上陸は困難であることから、西能登呂岬が最南端とされることが多い。
- 富内町・樺太長浜町などには恩洞湖・遠幌湖・能仁湖・頭場湖・地邊讃湖・和愛湖・遠淵湖などの海跡湖が点在し、県を代表する景勝地・観光地となっている。
- 県庁所在地・豊原市と富内町の間には標高1,045mの鈴谷岳がそびえており、アクセスの良さから登山愛好家に人気が高い。
- 内幌町の沖合には無人島の海馬島が存在する。かつては有人島であったが、現在は無人島となっている。
- 鈴谷岳の麓からは県南部最大の河川である鈴谷川が流れ出ており、豊原の街はその左岸に広がる。他の主要河川としては、留多加川や内淵川などがある。
- 鈴谷川下流部には豊原市・大泊市・留多加町にまたがって亜庭湿原が広がっている。貴重な動植物が生息しており、生物学的に重要な地となっている。
- 落合市・栄浜村の境には白鳥湖がある。
中部
- 帆寄村には突岨山、馬群潭桜山、泥火山といった樺太中部を代表する山々がそびえる。特に泥火山は山頂付近からメタンガスが噴出していることで知られる。
- 西海岸の間宮町(久春内)と東海岸の白縫村(真縫)の間の真縫地峡は、樺太の最狭部である。JR真久線や国道が通り、樺太の東西を結ぶ重要な場所となっている。
- 全体的に山がちで平地の少ない地形である。
北部
- 東海岸では幌内川が南流して多来加湾にそそいでおり、その流域には幌内平野が形成されている。幌内川は国内唯一の国際河川で、水源地はロシアにある。
- 幌内平野の大部分はツンドラと呼ばれる泥炭地であり、荒涼とした独特の景観が広がる。
- 幌内平野には日本で2番目に大きい湖である多来加湖があり、他にもいくつかの湖沼が点在する。
- 東海岸の敷香山(県内最高峰、1,375m)や幌登岳(1,259m)、西海岸の恵須取岳(1,135m)や釜伏山(1,087m)など、高山も多い。
- 幌登岳の属する樺太山脈の南端部はオホーツク海に突き出た北知床半島となっており、さらにその南の沖合には無人島の海豹島が存在する。
気候
- 気候は亜寒帯モンスーン気候に属する。また、ケッペンの気候区分では全域が亜寒帯湿潤気候となり、南部~中部がDfb、北部がDfc気候である。夏季は湿度が高く、霧が多く発生し、日照時間が少ない。冬はオホーツク海側で乾燥し、厳しい寒さとなり、海が氷結すると晴天が続く。日本海側(間宮海峡側)では雪が多くなるものの、海流の影響でオホーツク海側と比較して冷え込みは緩む。また、夏と冬の寒暖の差が大きい。南西部は対馬海流の影響を受け比較的温暖であり冬季も海は結氷しないが、北東に行くにしたがい東樺太海流の影響を受け気温が低く冬季は海が結氷する。
- 気温は年間を通して本土よりも低いが、降雪量は全域で北海道の数分の一である。
- 夏の降水量は北海道に近いが、冬に雪があまり降らないため年間降水量が少なく、ほぼ全域で1000mmを下回る。
- 1908年1月19日には現在の落合市で最低気温-45.6°Cを観測したことがあり、現在に至るまで日本最低気温の記録となっている。
(参照:各都市のWikipedia、樺太は対応する現在のロシアの都市のデータを使用)
都市名 最暖月平均気温(℃) 最寒月平均気温(℃) 年降水量(mm) 豊原 17.3 -11.5 882 大泊 17.1 -9.1 752 落合 15.7 -12.8 972 真岡 18.4 -7.5 764 恵須取 17.2 -11.6 680 敷香 15.8 -14.9 791 (参考)札幌 22.3 -3.2 1,146 (参考)旭川 21.2 -7.0 1,104 (参考)東京 26.9 5.4 1,598
日の出・日の入り
- 高緯度地域ということもあり、夏と冬の日照時間の差が激しい。夏至の頃は午後8時頃でも明るく午前3時には夜が明けるが、冬至の日には午後3時半頃には日が沈む。
日の出・日の入りの時間(2019年) | ||||
都市名 | 春分の日(3/21) | 夏至(6/22) | 秋分の日(9/23) | 冬至(12/22) |
豊原 | 5:30 / 17:41 | 3:34 / 19:27 | 5:16 / 17:26 | 7:11 / 15:42 |
真岡 | 5:31 / 17:45 | 3:36 / 19:30 | 5:19 / 17:29 | 7:14 / 15:45 |
恵須取 | 4:33 / 16:44 | 2:27 / 18:40 | 4:18 / 16:29 | 6:23 / 14:36 |
敷香 | 4:29 / 16:40 | 2:22 / 18:36 | 4:13 / 16:27 | 6:20 / 14:31 |
(参考)札幌 | 5:38 / 17:47 | 3:55 / 19:18 | 5:22 / 17:31 | 7:03 / 16:03 |
(参考)東京 | 5:44 / 17:53 | 4:26 / 19:00 | 5:29 / 17:38 | 6:47 / 16:32 |
(参照:札幌・東京は国立天文台のサイトから、樺太は対応する現在のロシアの都市のデータを使用し、日本標準時に変換)
その他
- 植物の分布境界線として北樺太西海岸のヅエと南樺太東岸の内路を結ぶシュミット線が通っている。日本固有種の分布はこの線より南側であり、線より北側は針葉樹林が植生の中心となり、シベリア系の様相となっている。また、動物の分布境界線としては八田線(宗谷線)があり、宗谷海峡を挟み樺太と北海道で両生類や爬虫類などの分布が異なっている。
- 天然ガスや石油などの地下資源に恵まれている。特に天然ガスは各地にプラントが建設されており、パイプラインで北海道に運ばれている。