デアラングとの違い

Last-modified: 2018-07-08 (日) 13:51:39

『ラングリッサーリインカーネーション』は、
シリーズの初期作品である『デアラングリッサー』(『ラング2』のリメイク作)
のシステム等を下地にしている。

『デア』関連作はいずれも1990年代の発売で、
今から軽く10年以上も昔の作品であるものの、ファンからの評価は当時から一定して高い。
それを下地にする以上、そうそうゲーム性は破綻しないはずなのだが、
独自のアレンジにより、『リインカーネーション』は色んな意味で別ゲーになっている。

このページでは、特に作中に与えた変化が大きいと思われるものを幾つか紹介。
(※主に、ゲーム未プレイの方向けの情報集となります)

同ターン中に敵味方が入り乱れて動く、変則的なターン制を採用

『デア』では、味方全軍を動かしたあとフェイズが切り替わり、次に敵全軍が動き、ターン終了。
上記の流れをステージクリアまで繰り返す。

リインカーネーションでは、敵味方で早い指揮官キャラ(と、その傭兵)から順番に動くという、
常に一部隊単位のみを運用する仕様に変更された。

一見すると『ラング5』の仕様によく似ているのだが、
キャラではなくクラスに早さが依存しており、ゲーム中に行動順リストはあるものの特にメーター等での表示や数値化はされていない。
同名のクラスであっても敵と味方では早さが異なったりもしており、少々不親切。

また、「一歩も動かない」、「何もスキルを使わない」といった状態からキャラを待機させようと、
以降のターンでも行動順が回ってくるタイミングは常に全く同じ。
早さの遅いクラスに就いているキャラは、必然的に出番が他キャラより少なくなる。
この点が『ラング5』とも決定的に異なる点である……というか、変則ターン性なのに上記のシステムを採用しているゲームってかなりレアではなかろうか。

これらにより、回復役の的確な運用が難しいのと、弱めの部隊だけが突出しないように気を配る必要がある。
解決策としては、ちまちま少しずつ全ユニットを前進させていくこと。

変則ターン性のSRPGでは、「特定の味方キャラだけを活躍させたい場合」に、
動かしたく無いキャラだろうと何かしらは行動をさせないと、何度もしつこく行動順が回って来てしまいキャンセルが面倒だったりするが、今作については1ターン中にはあくまで一回しか行動順は回ってこない。
全員を平均的に育成したい場合のストレスは少ないといえる。

初期位置で待機してばかりで、自分から攻めてくる敵兵が少ない

前項目とも非常に相性の悪い設計がこれ。
本来ならば、今作は敵味方が入り乱れて動けるシステムなのだが、
「プレイヤーが間近に寄るまで一切移動・攻撃をしない」という行動パターンに徹する敵が異様に多く配置されている。
全ステージを見回しても、実に7割強がこれに該当する。
そのため、プレイヤー側は攻める前に治療し放題であるし(※旧作同様、今作も「治療」についてはノーコストかつ無制限に可能)、
面倒でも常に自軍最強のユニットだけを動かしてぶつける手法をとることで難なく勝利できる。
ターンを経過させ過ぎるとクリア報酬が下がる……といった要素も無いのだ(もともと『デア』にも無いが)。

『ラング1』をプレイ済みの方に対しては、強いて雰囲気が近いものとして、
ワール川を越えるステージを挙げておきます。
奇しくも、移動を強いられる距離まで似ている。あそこまで歩きにくい場面ばかりではありませんけど。
『デア』で例えるなら、ダークロッドを取りに向かう聖地レイテルのステージとか。

もちろん敵全軍が攻めて来るステージや、勝利条件が特殊なステージも一部には有るのだが、
その大半が何故か帝国ルートに固まっている。
帝国ルートを高難易度ステージ群と位置付け、他での難易度を下げるための意図的な措置だろうか?

利点を見出すとすれば、この設計のため、二軍キャラを再育成するのは『デア』と比較して簡単。
終盤までは難易度もわりと一定で、プレイヤーに全キャラまんべんなく育てられることを前提にしたバランスなのかもしれない。

「支援効果」システムの追加

指揮官同士が指揮範囲内に居る状態で戦闘を行うと、能力値が補正されるというシステム。
詳しくはよくある質問を御参照下さい。

変則ターン制であるため、若干足並みを揃え辛いものの、うまく活用出来れば効果は大きい。
二軍落ちしているキャラを一軍キャラの手前にうまく置ければ、
敵とのステータス差を覆しつつ、二軍キャラで向かってくる敵を処理(と、育成が)できる。

今作の中でもプレイヤーごとの戦略を試すのに向いている、汎用的なシステム。
前項目同様、二軍以下のキャラにこそ利点が大きい。
何せ、本当に強くしきった一軍キャラならば、支援なんざ無くとも単騎で簡単に無双できる。

三すくみの影響が少なくなった

『デア』に比べると、歩兵・槍兵・騎兵の優劣関係が薄い。

ゲーム内に受ける各ダメージ量を参考にすると、

  • 傭兵が、 相性優位な状態で仕掛ける際には AT+3&DF+3
  • 指揮官が、相性優位な状態で仕掛ける際には AT+5&DF+5

あたりの数値に設定されていると思われる。
ランスやレオンの騎兵部隊に泣かされていた当時と比較しても、
少しレベルを上げ「支援効果」システムさえ利用すれば容易に優劣はひっくり返る。
条件も緩く、特に意識しなくても支援が発生しやすいのも一因。

支援効果は、最初こそAT+1&DF+1という微細なものだが、好感度上昇によって、
AT+2&DF+2 ~ AT+6&DF+6 と、どんどん効果が上がっていく。
そのため今作では、指揮官が相性悪い傭兵に挑もうが、支援効果が付けば帳消しにされ、
更に基礎ステータスでも勝っていれば【歩兵が騎兵に圧勝】とか、そんな光景が当たり前なのだ。

旧作では自軍のクラスを偏らせ過ぎるとステージによって攻略がきつかったものの、
今作の難易度バランスなら特に深く考えずにクラスチェンジを行っていける。もはや見た目で選んでも差し支えない。
相変わらず初期化用の「ルーンストーン」が激レア品なのでその点にだけは注意が必要。

『デア』でも終盤付近で十二分に育ったキャラについては、ほぼ三すくみの影響から外れる。
今作ではそれが早くなっただけとも言えるが、もともと『デア』で中核を占めていたシステムの一つだけに、影の薄さが気になるところ。

とはいえ、難易度EXTREMEでは敵指揮官にもAT+4&DF+4の「支援効果」が付くことがある。
攻守全くの同ステータス同士で戦っても、相性悪い相手に攻撃されてしまうと、「支援効果」(AT+4)+「三すくみ」(AT+5)で
しっかり9ダメージも貰ってしまったりする。さすがに油断し過ぎるのは禁物。

一度に雇える傭兵の人数が減少

『デア』では、指揮官1キャラにつき序盤から3~6人の傭兵を雇用できた。
しかし今作では、序盤から中盤は1~2人、終盤でようやく3~4人と、最大人数すら減っている。
一度に配置できる指揮官は8キャラと、そこは変わらないのだが、
最大で8キャラ×6傭兵で約50ユニットも配置できた『デア』と比べるとどうしても見劣りする。

おまけに前述の変則ターン制と相俟って、
ゲーム序盤は指揮官1キャラ&1傭兵の計2ユニットしかいない部隊をちょこちょこ動かしていくことになる。
数が少ないので一回の操作こそ楽になっているが、『デア』に遊び慣れたプレイヤーほど物足りないだろう。

なお、敵の数に関しては、中盤以降はそこまで『デア』と極端な差はない。
だからこそ味方側の減少が目につく。
難易度を低下させたかったのか上げたかったのか、いまいちよく分からない。

後述するように、あえて縛りプレイ等をして遊んでみると、
傭兵を旧作以上に上手く使いこなす必要性が出てくる。
これにより得られるのが自己満足だけ、というのが最も残念な点かもしれない。

魔法系スキルの射程と範囲の劣化&威力強化

『デア』と比較して、射程も範囲も大幅に短くなった。
キャラごとに射程と範囲が変わったりもしない。

その代わり、敵味方共に全体的に魔法防御力が低く(特に傭兵)、
レベルとクラスが威力、範囲、射程に関わらない。
『デア』ではエンジェルなどにはメテオが通らなかったが、
今作では一番魔法に強い傭兵クルセイダーでも無補正メテオで2入る。
しかもデアではダークロッドの威力+2が最大だったが、今作では+3まで店売り、非売品で+5まである。
そのためワンドを持つだけでも大抵の傭兵はファイヤーストームで7を切るため無力化、
低レベルでもエレメントワンド+ファイヤーストーム軍団で戦い、
残る魔法使いや僧侶はアタッカーでビンタすれば案外なんとかなったりする。

ダメージを受けていない状態でヒールしても経験値入手

『デア』と違い、ヒールなどの回復魔法を無傷のキャラに使おうと経験値が入ってくるようになり、回復系魔法はレベル矯正ツールのようになっている。
面セレクトの存在も確認されていない今作において、回復魔法使いだけはどんな局面からでも一軍に復帰できる。何だかズルい。

傭兵に命令出しができなくなった

『デア』からの純粋な劣化ポイント。
指揮官が持っていた指令コマンドが削除され、「戦闘」「突撃」「防御」「手動」が選べなくなった。
これらは、指揮官を行動終了にしたとき、傭兵がAIにより自動で動く際の行動パターンである。
今作でのAIは、上記でいうところの「防御」に固定されてしまっている。
そのため傭兵にその場から動かないで欲しいときでも、指揮官に寄ってきたりして迷惑になるケースも有り得る。
わざわざ手動で傭兵をその場で待機させなくてはいけない。

ちなみに開発段階のものでは、指令コマンドの名前だけはウインドウに映っていた。
製品版では結局削除されてしまったということになる。

3DS二画面の活用

今作最大の利点の一つか。
カーソルを合わせている敵味方のステータスが、下画面を丸々使って表示されるので、
『デア』よりも敵の確認が容易。
他、Xボタンのメニューから生存している敵味方全軍のリストも見ることができる。

攻撃実行前に有利不利が予測表示される

今作では攻撃を仕掛ける際、敵味方のステータスを基準に戦果の予測が表示される。
ステータスすら確認しなくてもいいので、攻撃を実行するのはかなり気楽になった。
予測を見てからキャンセルもできる。
相手に致死級のダメージを与えられる場合は「圧勝」と表示されるが、
反撃で味方の受けるダメージまで考慮にいれてくれないのが惜しい所。

攻撃力が高く防御力は低いというユニット同士で戦わせると、敵も味方も爆散することさえある。
こんな場合でも予測は「有利」ないしは「圧勝」。そうじゃないやん…体力が低い場合は要注意。
しかしバグなのか仕様なのか、同クラス同ステータスで戦い合った場合、先に攻撃を仕掛けた側だけが文字通り無傷で「圧勝」することもあり、いまいち勝因が分からないケースもある。防御+が無い地形上で戦った際に起きたこともあるので詳細不明。
ただ少なくとも、「不利」や「危険」と表示されている状況から圧勝できることはないようなので、低レベルのときは素直に表示に従ってキャンセルしよう。

ステージ開始前の編成画面で増えたもの、減ったもの

今作では編成画面から仲間と「会話」ができるようになり、本編での出番をこれで補えるようになった。
キャラクター目当ての購入層に対してはありがたいシステムである。

また、ショップとギルド(傭兵雇用)に店員がついたが、ショップの娘はともかくギルドのジャックという男について良い評価を目にしない…
本人はマスクをしていて言葉を発さず、ペットのハリネズミが代弁するものの妙に高慢。
発売後は更新が止まってしまったが、ツイッター担当者のキャラもジャックであり、一応公式の推しキャラではあったようだ。
ハリネズミが本体なんじゃねーのといったような話題で盛り上がって欲しかったのかな。
ツイッターでのコメントによると、台詞はすべてハリネズミ自身による発言とされている。そのコメント通り嫌味な知的ペットなのか、単にしらばっくれている腹話術師なのか……

『デア』はキャラ毎の装備変更の先にショップ(購入)があり使いにくさがあったものの、今作では『ラング5』以降のようにショップが項目として独立している。
この点は使い易くなった。買うまで能力値が分からなかったりと変な部分で劣化しているが…

また、編成画面で無くなってしまった要素として、指揮官配置の際に敵ステータスを見ることができなくなった。
自軍が二つに分けられるようなステージではっきりした情報が得られないのは辛い。
デアから中断セーブも戦闘中のロードもソフトリセットも無くなってしまった上にこれとあっては…

なお、キャラクターのステータスはギルドで確認できる。
自軍ステータス確認の為に傭兵ギルドへ足を運ばされるのは何か引っ掛かるが、この際、確認できるだけマシか。

敵のモブ指揮官や自軍指揮官の撤退(撃破)時に、何も喋らなくなった

『デア』および旧作ではステージごとに様々な撤退台詞が用意されていた。
モブの心情が伺え世界観を広げる台詞、断末魔としか思えない台詞、
やっつけ仕事のような台詞でプレイヤーの腹筋を壊しにきたりと色々あったのだが、
今作ではネームドの敵以外は倒した際に台詞が無くなってしまった。

自軍の指揮官がやられた場合も同様。マップ画面で爆発四散するのみ。
戦闘画面のほうにはボイスがあるものの、旧作に慣れきっていると淡白な印象。
戦闘前後のイベントも基本的に短い。

今作のテキスト関係は、前述した「会話」システムにほぼ全振りされているといっても過言ではない。
本編(戦闘)では端折られたような展開が多い中、会話では必ず選択肢が存在し、それぞれ全く異なるリアクションが用意されている。
面倒でも出撃前は会話しておくべき。今作のテキストの半分以上がここに集っているのだから。

自軍のレベルアップの頻度が多い

今作では、1ステージ中に複数回のレベルアップが当たり前。
『デア』もけっこうよくレベルの上がるゲームではありましたが、
今作は1レベルアップにつき、各ステータスの伸びがとにかく顕著。
最序盤はともかく、中盤以降は目に見えて強くなっていく。

そこであえて色んなキャラを育てるようにしていけば、用途に応じた多彩な一軍キャラを揃えることも可能。
バランス上、『デア』と比べてこういった遊び・やり込みプレイが容易になっている。
二軍どころか三軍相応のキャラを戦場に立たせ、
支援しまくることで同ステージ中に二軍以上の地位へ押し上げて行けるのは今作ならではの楽しみだ。
まあ一点集中の無双用のキャラを作るほうが遥かに楽だし、それで絶対に詰むことも無いのだが。

Ver1.1で戦闘中のテンポ周りが改善、加えて敵指揮官の無駄死にが解消されたといっても、単騎無双で容易にクリア出来る点は相変わらず。
旧作の難関ステージを突破してきた往年のファンには簡単過ぎると思われる。
今作のシステムを生かし、何かしらの工夫まで出来るならばまた違った一面が見えるかもしれない。

おまけコラム

難易度をEXTREMEにした上で、

  • 主人公アレスは初期装備ラングリッサーの代わりに、拾えるメサイヤンソードを装備
  • 他全員に何も装備させない。ショップは基本封印、どうしてものときの三軍キャラ救済用。
  • ヒール系魔法による無限稼ぎを禁止
  • 全指揮官でまんべんなく敵を倒し、自軍のレベルをなるべく平均的にする

ここまで縛ったところ、ようやく『デア』っぽい難易度になった。
自軍の傭兵にも出番があるし、敵の傭兵まで確殺していってようやく敵と対等になるほど。
終盤の物量戦では、相性に注意しつつ、自軍の戦いやすい地形にまで誘い込んでようやく勝てる。あらやだラングっぽい。

ショップや稼ぎを使わないという点からして、ある種プレイが速くなっている一面もある。
SRPG慣れしている上であえて今作をプレイするというなら、いきなりこれくらい試しても問題無いと思われます。

ひとまずショップを使わず、隠しアイテムだけで生計を立てるようにするだけでもかなり従来寄りの難易度にはなる。
レベル平均化の件についても、誰に行動順が回ってこようとなるべく敵の傭兵を倒すように心掛けるだけで自ずと平均化されていく。
などなど、一部でも工夫したり縛っていけば「ユニットの少ないラングリッサー」として遊ぶことは十分可能。
特に、更新データ適用後はこれらの縛りが効いてくる。
こういったプレイヤー側の頑張りが必要な時点でアレな気もするが、中盤以降敵が増えてくると攻防は実際に熱い。

機会あれば、旧作の縛りプレイもおすすめ!ラングファンの増加を切に願います。