目次
注意書き
このSSは私、ばんじろうがネちょ学での詳細を元に書いたSSです。ネちょ学について、ネちょ学の人々を先にご覧頂くとより一層理解度が高まります。そのイメージを頭の中でイメージを膨らませて書いたものなので、現実とかなり違う可能性があります。具体的には性転換させられている方も大勢出てくると思います。
予めご承知下さい。
また、基本的にストーリーは繋がっていませんが、舞台設定や登場人物については前の話を読んでいることを前提に話を進めています。この話を読む前に既に私が投稿したSSをお読みになることをお薦めします。
問題なし!と言う人は本編へお進み下さい
では本編どうぞ。
ひどい扱いを受けている人もいます。その方がドMであることを祈っています。
本編
【プロローグ】
私立ネちょネちょ学園。
・生徒総数不明
・敷地面積不明
・経営体制不明
という謎の教育機関であるが、それは確実にどこかに存在している。
今日もネちょい一日がこの世のどこかで繰り広げられているのだ。
【Ⅰ】
ワァアアアアアアアアアアアアアァ・・・・・
私立ネちょネちょ学園第二体育館、イベントホールとしても使われるこの施設は約二千人を収容できる学園の中でも最大規模の建物である。土曜日の午後、授業も終わり週末の休みへと突入したにもかかわらず、学園の施設であるこの第二体育館には生徒がごった返していた。
『さぁまもなく試合開始です!些細なことから始まったこの争い!しかしそれに命を掛ける無謀な若者が今リングに立ちます!』
『前回開かれたのが1年以上前ですからね・・・このイベント初体験の生徒も多いですから大変な盛り上がりですね。』
実況席に座るのは放送委員長の蘭花と、体育祭での解説が好評だった美しき熱情の衣である。
真ん中のリングを取り囲むように作られた観客席には、学年を問わずに大勢の生徒で埋め尽くされている。飲み物や軽食の売り子も歩いており、体育祭や文化祭などのイベントと同じくらいの盛り上がりを見せていた。
「おお、盛り上がってきたじゃないですか!(シャクッ)」
「こ、こんな盛り上がるイベントだったんですね・・・緊張します・・・」
「まさに俺のための舞台だな。血が滾るぜ!」
「こんなに注目されたら・・・!羞恥プレイみたいだ・・・!」
リングのそばに佇む制服の面々4人がそれぞれ違った反応を見せる。
しかし各自が予想していたものよりもずっと大きな規模のイベントになっていることだけは確かだった。
「怖気付いたのか?まだ始まってすらもいないんだぜ。」
4人が振り返ると、そこには今回の騒ぎの首謀者が堂々とした態度で仁王立ちしていた。
「これからだ・・・これからが革命だ。我々は即席のチームで目的も動機もてんでバラバラだ・・・だがしかし!」
そこで一旦言葉を切って一呼吸置き、言葉を紡ぐ。
「仲間だ。我々は勝つための仲間だ。」
4人がその言葉を聞いて静かに頷く。
彼らは、既に緊張どころか気負ってすらいなかった。彼らの目指すものはただ一つだけ。
「さぁ行こう!学園史に今日という日と我々の名前を栄光と共に刻み付けるんだ!」
『『『 おう! 』』』
学園の歴史に名を残す戦いが、今、始まる。
【Ⅱ】
私立ネちょネちょ学園には学生寮が存在する。男子棟と女子棟に分かれており、それぞれ50人ほどがそこで共同生活をしている。朝食の時間となり、寮生が一斉に校舎の食堂へと集合する。メニューは限られているが料理は昼と同じように注文して食べるようになっている。栄養が偏ってしまうのでサラダと味噌汁が必ずセットになっているが、それぞれが様々な品をトレイに載せて朝食を楽しんでいた。
「はよーっす。」
「おはようさばくん。・・・ってやっぱりカレーなんだね。」
いつも通りの挨拶を交わしたルームメイトのさばとぽきがいつものように席に着く。
ぽきは朝の食堂当番だったのでさばを起こしてから早めに食堂に来てテーブルを拭いたりしていたのでここで挨拶したと言うわけだ。
「朝のカレーは格別だぜ?お前もカレーにすればいいのに。」
「キミが部屋で試作するカレーの味見だけで十分だよ・・・。それに1限が体育だしあまり胃に食べ物を入れると辛いからね。」
「カレーは一晩経った方が遥かに美味いというのに・・・変わった奴だ。いっただっきまーす♪」
その言葉そっくりお返しするよ、とぽきが言おうとしたところでさばがバッといきなり立ち上がった。その目は驚愕に見開かれ、握ったスプーンに彼の震えが伝わっている。ぽきが驚きつつも何事かと尋ねようとした時、さばが怒気を抑えられない様子で厨房のおばちゃんのもとへと歩み寄った。
「お忙しいところ失礼。今日のカレーは一体どういうことですか?インスタントだとお見受けしますが。」
「あぁごめんねぇさばくん。昨日のカレーにカビ生えちゃってねぇ・・・。カレー粉も入ってこないから今日はそれで我慢して頂戴。」
「・・・・・わかりました。お忙しいところありがとうございました。」
さばが元の席に戻り、残ったカレーを黙々と食べ始める。その間一言も発しようとはせず、また、話しかけてはいけないような雰囲気を漂わせていた。ぽきは一部始終会話が聞こえていたためさばに話しかけることはなく、食べ終わってから部屋に戻りいつものように登校した。
教室に着いてからもさばは自分の席でも一言も発さずにノートと向かい合っていたのだった。
午前の授業が終了し、昼休みになった。ぽきは学食組なので早く教室を出なければ人気のメニューがなくなってしまう。いつも一緒に昼を食べているさばの姿を探したが、教室をぐるっと見渡してもその姿がどこにも見えなかった。先に行ったのかな、と思い教室を出て学食へ向かおうとした瞬間、首の後ろがしっとをつかまれた。振り向くとそこに居たのは探していたさばの姿があった。
「さ、さばくん!? 学食に行かないの!?」
「ちょっと付き合ってくれ。弁当もある。」
さばの手には二つのタッパーがあった。半透明なそれは白いものと黄色いもの間違いなくカレー弁当である。さばはたまにこうしてカレー弁当を作ってきては食べることがあるが、今日はあまり時間に余裕がなかったはずだが無理して作ったのだろうか。
ぽきは戸惑いながらもさばにそのまま連れて行かれたのだった。
そしてたどり着いた先は屋上。そこには良く知った面々が集められていた。
全員が2年⑨組の生徒である。
「何かイベントの話って聞きましたが・・・放送委員としては興味アリアリです!(シャクッ)」
「俺の力を借りたいということだったが・・・。フッ、なかなかいい判断だ。俺に任せておけ!」
「いてて・・・来る途中で泥酔先生にタックル喰らっちまったぜ。でも、いいぜ・・・」
順番に放送委員の梨、自信たっぷりの和也、ちょっと顔が赤い酒飲みスーさん。この三人を見てさばがうん、と一つ頷いた。そしてパンパン、と手を叩き、注目を促してから口を開く。
「諸君!集まってもらったのは他でもない。キミ達に力を貸してもらいたいのだ。」
「まぁそれは聞いたけど具体的には?何をするつもりなのさ?」
酒飲みスーさんの言葉に梨と和也も頷く。どうやらこの三人も詳細は聞かされていないらしい。全く用件を聞かされていなかったぽきだったが他の三人は力を貸して欲しいと頼まれて集まったようだったので、戸惑いながらもまずは用件を聞くことに集中することに決めた。
「我々の目的は一つ。『学食革命』を決行することだ。」
その言葉が出た瞬間、話を聞いていた梨、和也、酒飲みスーさんの顔から余裕が消えた。初めて聞く単語だったため、ぽきにはさっぱり意味が分からない。
さばがぽきの様子に気づいたのか詳しい説明を始める。
「知っての通り我が学園の学食は種類も豊富で、たくさんの生徒に愛されている。しかし利用する人間が多ければ要望も増え、それら一つ一つに対応してはいられなくなるわけだ。そうなると意見を選抜する必要が出てくる。しかし不公平があってはならないので生み出されたのがこのシステム『学食革命』というわけだ。」
さらにさばの話は続く。学食革命は5人の申請者が学食の代表5人と何らかの方法で争い、3勝以上することが出来たら要望が叶えられるというシステムだ。
昔は種類もそう多くなくインスタントが多い学食であったが、このシステムを導入後は調理場の人数も場所も増え、安くて美味い学食へと生まれ変わったのである。今では文句を言う生徒も少なく、ここ1年以上開催されてはいない。
それ故に、1年の途中から転校してきたぽきはこれを知らなかったのである。
「それを我々で決行する。さて、肝心の要望だが・・・」
学食革命が開催されづらくなった要因はもう一つある。他のおばちゃんとは一線を画す実力を持った5人が新たに学食で働き始めたのである。パートのおばちゃんたちの腕力もさることながら、正式採用として職に就いたその5人は昼時の混雑によるパニックを一人で制圧できるほどの実力の者たちなのだ。それ故に学食革命時にはその実力を遺憾なく発揮し、生徒達からも恐れられている。それ故に『~だったらいいな。』くらいの要望で学食革命を決起する学生はいなくなったのである。
その5人の勝負に出る順番は決まっており、最後の一人は他の4人からも恐れられている。そのため他の4人を『学食四天王』、最後の一人は『食帝』と呼ばれ、恐れられているのだ。そして、食帝は常に仮面と兜、マント、エプロンなどを着用しているので食帝の正体は闇に包まれており、食帝に順が回ってくるまでに決着が着くのでその顔を見たものすらいないのである。
「学食のカレーは美味いが量を作らないので品切れになることがある。それをなくし自由にトッピングを追加できるようにすること。それとシーフードカレーの追加だ。」
「ちょっと待ってくれ。」
和也がさばの言葉を遮る。
「学食革命の恐ろしさは知っているだろう?俺もカレーは好きだがそのリスクを冒すほどの価値がある行為なのか?」
「そうだ、後で俺が作った学食に求めるレベルのカレーを食べてもらうつもりだが・・・怖気付いたのなら抜けても構わない。」
「フッ・・・面白い。狂気の沙汰ほど面白い・・・!乗ってやろう、その勝負。どうせなら他のカレー料理も追加しよう。倍プッシュだ・・・!」
これで和也の参加が確定した。ぽきには和也のアゴと鼻がとがっているように見えたが、きっと気のせいだろう。ここで梨も口を開く。
「参加することは構いませんが・・・放送委員に開催権限を全面的に委ねて頂きます。よろしいですか?」
「もちろんだ、大いに盛り上げてくれ。」
「分かりました。最高の舞台をセッティングしてみせましょう!」
こうして梨も確定。
さばの視線が酒飲みスーさんへと向かう。
「スーさんは・・・・・・出るんだね。」
「ハァハァ・・・」
酒飲みスーさんは学食の彼女達にいたぶられることを考えてどうやらスイッチが入ってしまったらしい。色々と想像して悶えてしまっているようだ。
あとはぽきの意思だけである。
「ぽき、無理に誘うつもりはないが・・・・・・参加してくれないか?」
「うーん・・・自信はないけど、いいよ。僕も君の作るカレーのファンであることは事実だしね♪」
「・・・恩に着る。」
こうして学食革命開催が決まり、5人はさばのカレーを食べながら最終的な要望書を作っていった。
この要望書が通れば専門店にも負けないようなカレーのメニューが出来上がることであろう。
要望書と学食革命の開催申請を提出してから二日後、学園中に学食革命開催に関するビラが撒かれていた。
『1年ぶりに学食革命が開催決定!今回の要望は学園でも有名なカレー好きの2年⑨組のさば氏による大幅なカレー強化の要望です!提出された要望としては以下の通りです。
・売り切れも多いカレーがなくならないように専用の鍋と相応の量を作ること ・シーフードカレーの追加 ・トッピングの種類の大幅追加 ・ライスとルーの黄金比の絶対保持
の4点となります。学食四天王及び食帝はこの挑戦を快諾。セッティング出来次第開催されます!また、公式食券トトカルチョの受付は放送委員が行っています。申し込み用紙に必要事項と予想を記入して各自のクラスの放送委員に賭ける分の食券とともに提出してください。』
学食革命は生徒達の間でも人気のイベントとなる。その理由としては学食四天王の勇姿を見れること、学食のメニューが増えることなど様々な要因があるが、この公式食券トトカルチョが最も大きい要因となっている。どちらが勝つか、という単純なトトカルチョや一攫千金を狙える勝敗を詳細に予想するものまで種類も豊富なのだ。
食券を獲得できれば日々の食事にもう一品が可能になるのでほとんどの生徒が参加する大規模なトトカルチョになる。こうしてさば、ぽき、和也、梨、酒飲みスーさんの5人はその勝利にかけた生徒達の期待を一心に受け、学食革命へと望むこととなったのだった。
【Ⅲ】
『さぁーやってまいりました学・食・革・命の久々の開催です!会場はものすごい熱気に包まれております!実況は放送委員長の蘭花が務めさせていただきます!解説は体育祭での解説が好評だった熱情先生に引き続きお願いしました!熱情先生、今日もよろしくお願いします!』
『はい、よろしくお願いします。1年ぶりの開催ですからねー、皆さん熱の入れようが違いますね。』
『そうですね、わが放送委員会からも参加しているので皆さんご声援をお願いいたします!』
第二体育館の盛り上がりは最高潮に達していた。生徒だけでなく、近隣の住民も観戦に訪れるほどの大盛況ぶりだ。開催時間になったところで両チームのメンバー紹介及び対戦プログラムが発表される。
『さぁ時間になりました!まずは生徒側のチームのご紹介からさせていただきます!まずはさばチーム先鋒は2年⑨組所属、用務員の刹那さんが率いるS(スキマ)団筆頭!パーフェクトになりきれなかった黒執事こと和也さんです!』
「大事な緒戦に望むに当たって一言お願いします!」
大会実行委員の活動の一環としてリングのそばで待機していた半霊前が和也にマイクを向ける。
「負けることは考えていません。お嬢様には『勝て』とだけ命令を頂きました。それを遂行させて頂くのみです。」
「なるほど!(スキマ)S団筆頭の実力を十分に発揮していただきましょう!」
『さぁ続きましてさばチーム次鋒は2年⑨組のムードメーカー、ぽきさんです!』
ぽきは少し恥ずかしそうにはにかんだ笑顔を見せる。
半霊前がぽきにマイクを向ける。
「この食堂革命の立案者であるさば氏にお誘いを受けたとのことですが意気込みのほどはいかがですか?」
「しょ、正直緊張しています。ですが友達のためですから精一杯頑張りたいと思います!」
「美しい友情ですね!会場の皆様にも好印象でしょう!!」
きゃああああああ!とぽきに黄色い声援が向けられる。ぽきはその誠実さとルックス、さりげない優しさや気配りなどで学園でも女子に人気のある生徒なのだ。男子からはパルスィされているが、本人がいい人なので嫌われるということは無い。
『次にご紹介するのはさばチーム中堅、我らが放送委員所属の梨です!食券賭けたんだからなー!負けるなよー!』
「委員長はああおっしゃってますが自信の程はいかがでしょう?」
「(シャクッ)・・・負けてやろうと一瞬思ってしまいました。というより賭けの胴元が賭けに参加するのはご法度じゃ無いんですかね・・・?」
会場が放送席のほうを見ると、放送委員のトトカルチョ担当による委員長からの賭けの食券の強制回収が行われていた。
『っちょ!今月分の食券ほとんど賭けたんだぞ!イヤー!もってかないでー!』
「・・・・・・な、梨さん!頑張ってください!」
「ありがとうございます・・・」
食券を持っていかれて、今月の残った2週間を昼は白米のみで過ごさなくてはならなくなった蘭花が涙目になりながらも実況に戻る。
『はい・・・えー、では副将・・・あー、だるい・・・』
『全く・・・蘭花君!キミには熱情が足りない!頑張れそこだできるできるいけるいけるもっと(以下略)』
以下五分程熱情注入中・・・
『・・・さぁ皆様申し訳ありません!大変お待たせいたしました副将のご紹介に移らせていただきます!』
『そうだいいぞもっとアツくなれよ!!!!』
『さばチーム副将は酒飲みスーさん!学園の至るところで巨大化した彼を見たことのある方も多いのではないでしょうか!名前を叫びながらタックルされるという一風変わったスキンシップをすることでも有名な方であります!』
会場中から「スーさああああぁぁん!」という声援が飛ぶ。
その声援に応えて会場中に手を振るスーさんへと半霊前がマイクを向ける。
「こういった大会に出場されるに当たってどのようなお気持ちで望んでいらっしゃいますか?」
「興奮しますね!衆人環視のなか色々とやるわけですからこれで興奮しないドMはいないでしょう!」
「・・・・・・なるほど分かりました。それでは今後もお楽しみください。」
「ええ!このレベルの視線はなかなか味わえるものじゃありませんから!」
ここまで4人の紹介が終了し、会場はさらに盛り上がりを見せていた。
『さばチーム最後の選手は立案者でもあるさばさんです!彼のカレーにかける情熱は生半可なものではありません!彼がキャンプで振舞ったカレーの美味しさを覚えている人は多いはず!でもカレー弁当を教室で広げるのだけは勘弁してほしい!』
「今回の学食革命の発案者と言うことですがここまで大きなイベントになると予想していらっしゃいましたか?」
「いえ、ここまでとは予想していませんでした。ですがカレーのために精神を集中させていますので緊張などはありません。」
「なるほど!以上リングサイドからのインタビューでした!」
『半霊前さんありがとう御座います!では続いて学食チームの入場です!』
そう蘭花が宣言すると、ふっと照明が消え、体育館の中が真っ暗になる。そしてスポットライトがさば達がいる方とは逆のリングサイドを照らし出す。そこにはいつの間にか学食四天王が食帝を挟むように佇んでいた。粋な演出に体育館が歓声に震える。
『ここで学食四天王と食帝の入場だー!!風・林・火・山の四人と食帝が威風堂々と佇んでいる!果たして今回は食帝の正体は明かされるのだろうかー!!? ではまず五人のご紹介をさせていただきます!』
紹介をする順番に学食四天王へとスポットライトが当てられていく。
『まずは先鋒風のハナ(24)!その包丁捌きと注文の処理、後片付けのスピーディさは学食一です!』
「久しぶりの挑戦者ですね!調子はいかがでしょうか?」
「問題ないわね。じっくり楽しみたい所だけど・・・私はせっかちだからすぐ終わってしまうかしらね。」
「調子は万全ということですね!ありがとう御座います!」
ハナが和也へと目を向ける。和也は挑戦的な表情でハナをじっと見つめている。
そしてお互いが同時に視線を外した。
『続きまして次鋒、林のリン(22)!盛り付け、片付け、配膳などなんでもこなすオールラウンダー!黙々とクールに作業をこなす様は隠れファンも多いのです!』
「ファンも多いとのことですがその方達に向けて何か一言お願いします!」
「・・・・・・・がんばる。」
リンは、それだけをボソッと言うと、観客席に向けてピースサインを向けた。一部の男子生徒から「うおおおおぉおお!」という声が上がる。
これでまたさらにファンが増えたのだろう。
『続きまして中堅、火のカンナ(23)!苛烈な攻めとそのアツい心は姉御肌として親しまれております!鉄鍋を豪快に振るその姿は男から見てもカッコイイ!用務員の刹那さんと飲み比べをして引き分けたという伝説を築いた彼女をご存知の方は多いでしょう!』
「久しぶりの挑戦者はどうでしょう?情熱だけは負けないと豪語していますが?」
「はっは!いいいじゃないか!アツい男は嫌いじゃないよ!」
「ありがとうございます、では熱いファイトを期待しております!」
カンナは刹那と飲み比べをしてから仲良くなったらしく、応援席では刹那が「負けるんじゃないぞー!食券かかってるんだからなー!」と大声で声援を送っている。隣には月が苦い顔をして座っていた。彼女も刹那と同じ時にカンナと仲良くなったので応援に来たのだろう。
『さぁ副将、山のフジコ(25)!いつも列の整理や鍋の運搬などの力仕事を一手に引き受ける彼女ですが、4人の仲では一番小柄な体格をしていらっしゃいます。身長の倍もの大きさのマグロも軽々と運ぶ彼女の力はここでも遺憾なく発揮されるのでしょうか!? 』
「フジコさん、調子はいかがでしょうか?」
「うーん久しぶりすぎて手加減できないかも?ズベン先生いるし大丈夫だよね?」
「多分大丈夫でしょう。相手はスーさんですから。」
リングの反対側の酒飲みスーさんも相手に不足なしといった表情である。むしろ期待に満ちていると言ったほうがいいのかもしれない。
『そして最後に正体から何から全て謎に包まれた食帝の登場です!今回こそはリングに上がることとなるのでしょうか!?』
「食帝さん!よろしければ一言お願いできますでしょうか?」
「・・・・・・」
「・・・は、はい!失礼いたしました。これにて選手試合前インタビューを終了させていただきます!」
半霊前が一つ会釈をしてリングサイドの関係者席へと戻る。
『半霊前さんありがとうございました。さぁこれで全ての選手紹介が終了いたしました!熱情先生、いかがですか今回の学食革命は?』
『大変盛り上がってますし学生諸君には頑張っていただきたいですね。5人目までたどり着くだけでも歴史に名を残すことになりますから今日が記念日となることを祈っています。』
『はい、今日が歴史に名を残す試合の実況をしてみたいものです!それではあと10分でトトカルチョの受付を締め切ります!追加で参加される方、まだお買いになってない方は受付でお申し込みください!』
【Ⅳ】
選手紹介が終わり、リング上にセッティングがなされていく。
さばチームの5人は準備運動をしたり、応援席の友達と話したりとリラックスできているようであった。
そんな中、ぽきがさばに話しかける。
「ねぇ・・・大丈夫なのかな?勝負の内容とか全くわからないんだけど・・・」
「・・・正直なところ、分からん。勝負の内容はくじで決まるからな、運次第となることもあるだろう。だが向こうの基本スペックがかなり高いからな・・・全く予想できない。」
「それでも、後戻りは出来ないしね。やれるだけやるしかない、か。」
「フッ、分かってるじゃないか。」
さばとぽきが拳をゴツッとあわせる。戦いに赴くものとして、友を得ることは何よりも代えがたい喜びとなり、力となる。同室で過ごしてきた絆を持つこの二人のならば、食帝の正体が暴かれるかもしれない。そう思わせるには十分であった。
それがスクリーンで映されていたのだが、すぐに賭けの倍率が変動し始めていた。学食チームの絶対有利と思われていたのが、この二人を見て『もしかしたら』という気持ちを観衆に抱かせたのである。
『おおっとこれは!? さばチームに賭ける人が急激に増えていますね?』
『あの二人の友情が期待を抱かせたんでしょう。嵐の予感がしますね!』
そこで賭けの受付終了のブザーが響く。
『さぁーここで時間いっぱい!ただ今から学食革命の開始を宣言いたします!』
戦いの火蓋が、今、切って落とされる。
あとがき
初めての前後編に分けたSSでございます。ばんじろうです。
十話が一話完結で長くなってしまったため、前後編に挑戦してみました。
俺達の戦いはこれからだ的な終わりにはなりませんのでご安心下さいw
さばさんがカレーカレー言ってたのでこんなSSを書いてみました。
今回は華がありません。だからこそバトルとギャグに力を注いでいます。
まだバトルもギャグもあんまりないけどね・・・
ぽきさんがメインの一角としての登場です。イケメンです。
他にチームメイトとして和也さん、梨さん、酒飲みスーさんにご登場いただきました。
後編でどのような活躍を見せるかお楽しみに!
あんまり叩かれるとへこみますが、感想などあれば頂けると嬉しいです。
俺のキャラでも一つ話を作ってくれよ!という方もお待ちしています。
作る順番は先着順とはいかないですがそれでよければ頑張りますので~
では続いて『私立ネちょネちょ学園記 第十一話 後編』をお楽しみください。
コメント欄
- うおおおおおおおおw 俺が出てるーーーーwありがとうございますーーーー -- 和也? 2008-11-04 (火) 06:54:36
- 続きが気になるわ…それにしてもさばさんのカレーへの情熱が凄いわねww衣さんの松岡には笑っちゃったわww -- ルアン? 2008-11-04 (火) 06:54:50
- 擬音に噴かざる得ないwww相変わらずの秀逸さだwww -- 洩矢諏訪子の夫? 2008-11-04 (火) 06:59:23
- こ、これは熱い! wktkが止まらない!w そして食帝だれなんだ!? 次回「それぞれの正義」 少年の想いは届くのか、貫け!サバさん!! -- パエリヤ? 2008-11-04 (火) 07:00:44
- さばさん……カレー好き過ぎる……。梨さんは常時、梨を食べているのか……。シャクシャク言い過ぎw ぽきさんは良い人だなぁ。酒飲みスーさんさんは……まぁ、うん、予想してた。正直、日頃の発言が悪いと思う。にしても、続きが気になりすぎる……。 -- ドックンドール? 2008-11-04 (火) 14:31:47
- カレーさいこぉおおおおおお!!続きが気になって仕方ないですwそしてスーさんは相変わらず過ぎるw -- さば? 2008-11-04 (火) 19:53:20
- 俺が出たーーーやったーーありがとうございます。次回が楽しみです -- 梨? 2008-11-04 (火) 20:12:02
- ちょwww私wwwうぇえええwww うん・・・ドックンさんのコメントを見て少し反省することにした・・・w -- 酒飲みスーさん? 2008-11-04 (火) 20:35:46
- うおー俺がチョイ役じゃなく普通に出演してる!ありがとうございますー!なんか物凄く良い人にされてて気恥しいですね(ノ∀`;) -- ぽき? 2008-11-06 (木) 07:37:25
- ばんじろう先生のいるスレの方見てきましたー。別に謝らなくてもいいですよーw むしろ、なにしてもいいですw ・・・ド、ドMってわけじゃないんだからねッ!(そして反省していない) -- 酒飲みスーさん? 2008-11-07 (金) 17:12:07
- 皆キャラが濃すぎるんだがww いや~面白かったですよ。 さばさんはもう病的な領域に‥w 期待しつつ後編にいくとしよう。 -- オワタ☆残骸? 2008-11-10 (月) 20:37:30
- 私がいる!これは学園記を1から読まなくては!なっしーシャクシャク系の果物を食べすぎだ! 熱情さんからはSNFを死ぬほどやらされました。 -- 蘭花。 2008-11-10 (月) 21:21:11