目次
注意書き
当SSはアリス・マーガトロイド、フランドール・スカーレットのカップリング的SSです。
そういうのが嫌いな方は本編を読まれる前に回避した方がいいと思われます。
後、カップリングSSなのにあんまり、イチャイチャしていません。
イチャイチャなんて書けない作者ですので悪しからず。
また、この作品はしとしとの後日談となっております。
関係がとても深いので先にそちらをお読みください。
以上の点を踏まえてお読みください。
フランドール・スカーレット
まだパチュリーのこと好きなの。
またあなたにそう訊いたの。だって気付いちゃったから。同じ気持ちだからって手を取りあった私たちが一緒にいるには、やっぱり同じ気持ちを抱き続けていなきゃいけないんだって。だからね、いつだってあなたの気持ちを気にしてるし、まだパチュリーのこと好きなのって訊いて、その度にあなたの泣きそうな笑顔を見て安心するの。まだ一緒なんだって。まだ一緒にいてもいいんだって。
でも、でもね、もう一つ気付いちゃったんだ。私はあなたの一番にはなれないって。初めからわかっていたのに、それがとても辛いことなんだって気付いちゃったの。あなたがいないなんて、手を繋いでいられないなんて、一緒にいられないなんて考えられないくらいになっていたから、そんな人の一番になれないのがこんなにも苦しいことなんだっていまさらわかっちゃったの。それはね、きっと、ううん、きっとじゃなく、あなたが私の一番に追い付いて、追い抜いていたの。あなたが一番になっていたの。
そう、同じ気持ちでいなきゃいけないのに、私の一番はあなたになってたの。それはきっと、あなたへの酷い裏切りで、本当は別れなきゃいけないんだけど、傷つけてまで確認して、まだ手を握っていられるんだって、あなたと一緒にいていいんだって、安心する毎日から離れられないの。あなたがいないなんてもう私には耐えられないから。
だから、だからね、いつまでもあなたの一番がパチュリーであってほしいし、私のことはずっと二番に想っていて欲しいし、でもやっぱり私を一番に想って欲しいし、愛だけじゃなく好きって気持ちも独り占めしたいし、あなたを一番に想っていたいの。普通の恋人みたいな気持ちで、あなたと一緒にいたいの。この気持ちを吐き出して、受け入れてもらって、手を繋いでいたいの。でもこの気持ちはあなたへの裏切りだから、告白してしまったらもう一緒にはいられなくなっちゃうから言えなくて、だからまた同じことを訊いてしまうの。こんなことをしていても、誰も幸せになれないってわかっているのに。
本当は、本当はね、魔理沙とパチュリーみたいに、あなたが好きって、あなたが一番って、言わなきゃいけないってわかってるの。駄目かもって怖がっていても、怖がっているだけじゃまた大事にしたいものがなくなるだけだってわかってるの。でもだからってどっちでもなくなっちゃうんだったらって自棄になって告白しても、それは私の気持ちをぶつけただけで、あなたを愛したいと思ってる一番伝えたい私を伝えられない気がして、それは駄目なんだって思うの。どうすれば私の気持ちが一番伝えられるのかわからないの。ううん、本当はわかってる。あなたと二人でいる時間なら、いつだって伝えていいんだって。わかってるの。わからなくしているのは、まだ逃げたいって思ってる自分なんだって。一番に壊さなきゃいけないのは、そんな自分なんだって。
だから、だからね。
アリス・マーガトロイド
まだパチュリーのこと好きなの。
またそう訊かれたわ。怯えたような顔をしたあなたに。恋人なのに私はそうよとしか答えられなくて。本当は恋人ならこう答えるべきだって、あなたが一番よ、って言うべきだってわかってるの。でも、それは私の一番がパチュリーだって確認するあなたへの裏切りでしかないから、言ってしまえばきっと私たちの関係は終わってしまう。それが一番怖いから、私はそうよとしか答えられないのよ。
いつだって愛さえあれば、どんなに傷ついても大丈夫なんだって、支え合って癒し合って、手を繋いでいられるって思っていたのに。私たちを繋いだ理由が、愛情が、こんなにも自分たちを傷つけるなんて、傷つけあうようにしかならないなんて思わなかったのよ。いいえ、こんなものを愛情だなんて言うべきじゃないわ。ただの傷の舐め合いの延長で、歪んでお互いに依存してしまっただけなのよ。だから、私たちは今すぐにでも別れて、傷つけあうだけの恐怖から逃げるべきなのよ。
でも、でもね、やっぱり逃げられない、逃げたくないの。あなただって、何度もそうして私が変わっていないか訊いてくるのはそうなんでしょう。私と同じなんでしょう。わかるわ。だって、私たちは同じだもの。一度の失恋で、どうしようもなく傷ついた者同士だもの。どうしたって失うことへの恐れが先立ってしまうわ。だから、あなたが一番に追い付いていても、追い抜いていても、あなたが一番よなんて言うことも、表すこともできないの。
そう、私の一番はあなた。手を取りあって、愛し合っている相手を好きにならない理由なんてないのよ。そうじゃなかったら、きっとあなたに愛情を感じることなんてなかったはずだもの。いいえ、愛せそうなんて馬鹿なことを思うこともなかったわ。だからね、本当はあなたが一番だって答えたいの。でもあなたがいないなんてもう考えられないから、同じ気持ちでいるのをわかっていても、万が一なんて考えが頭をよぎって、本当のことを言えないの。だって、私たちなら、二人でいられるなら、どんなことも平気だって思っていたんだもの、一人になってしまえば、また以前に、いいえ、もっと酷いものになってしまうもの。万が一を恐れないわけがないのよ。
でも、わかってるの。このままでもやっぱり私たちは駄目になってしまうんだって。お互いの心の傷の血の海で溺れてしまうんだって。お互いが重りになって沈んでいくしかないの。恐れているだけじゃ、どうにもならないんだってわかっているの。だって、私たちのそばに、本当に愛し合っている二人がいるんだもの。パチュリーも魔理沙も、きっとこんな恐れを愛したいっていう心で乗り越えてるんだから。本当に愛し合いたいって思うなら、もう逃げてはいられないのよ。
だから、だからね。
フランドール・スカーレットとアリス・マーガトロイド
まだパチュリーのこと好きなの。
私たちが一緒にいる為の合言葉だったわ。
結局、私たちはどこまでも同じでしかなかったの。あなたが一番になってしまったの、二人して神妙な顔をしてお互いに見合って、言うタイミングも全部同じで、本当に笑っちゃったわ。気持ちも、一番に想う相手も変わったのに、私たちは同じなんだって。それがわかったら、安心して二人で抱き合って泣いて、謝り続けてたわ。傷つけてごめんなさいって。
本当に、本当に馬鹿だったなって思うわ。思い切ってみれば、こんなにも簡単なことだったんだもの。でも、それだけ私たちはお互いを必要としていて、だから踏み出せなかったの。あなたとずっと一緒にいたいなんて、相手のことを考えない独りよがりの恐れを抱いて。
こうしてお互いが一番になってから、愛し合うってことがわかったわ。そして、私たちがどれだけお互いの愛情を裏切っていたのかも。愛情で傷つけあっていたなんて、そんなのは嘘で、愛し合っているのにお互いに二番でいなきゃなんて思っていた、そんな無理がたたっていただけなのよ。私たちがただただ馬鹿だっただけなのよ。
だから、だからね、お互いの愛情を大事にしようって、愛情に従おうって、そう誓ったの。だって、もう苦しいのは嫌だもの。どんなに辛くても、苦しくても、平気なんだって思っていたけど、愛情を裏切るのだけはどうしても駄目だったんだもの。二度とこんな思いをしないように、愛情だけは裏切らないってそう二人で決めたの。
愛し合っている、今の私たちにはそれだけが大切なことなのよ。
後書き
来年こそは書かない、そしてネタもない(挨拶)
なんだろう、毎度言っている気がする。
というわけで、いつものです。今年もです。何でやってるんですかね自分orz
……気付く人いるのかな。
例年通り、バレンタイン関係なくなってますがまぁ、うん、まぁ。
さらに「しとしと」の後日談で構成もまんまぱくってくるという手抜きっぷりorz
なんというか、こう、ね。うん、深刻にネタがないorz
うん、うん、来年こそは書かない。二度でも三度でも何度でも言おう。
来年こそは書かない。
それでは最後に、東方シリーズ原作者であるZUN氏に多大な感謝を!
読んでくれた読者様にありがとうを送ります。
以上。
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