概要
このページでは、譜面だけでなく、音楽まで自分で作りたいという人のために、音楽理論の基礎知識を提供する。
あくまでも、ざっくりした解説のため、本気で学びたい人は東京藝術大学の教科書(『新しい和声──理論と聴感覚の統合』)などを購入してほしい。
記号と音の対応
英語名 | 日本語名 | イタリア語名 |
---|---|---|
C | ハ | ド |
D | ニ | レ |
E | ホ | ミ |
F | ヘ | ファ |
G | ト | ソ |
A | イ | ラ |
B | ロ | シ |
用語
- 半音
鍵盤1個分の差のこと。 - 全音
半音2個分の差のこと。 - フラット♭
半音下げること。 - シャープ#
半音上げること。
スケールとは?
スケールとは適当に言うと音列である。ドから始め、白鍵だけ弾いていくとCメジャースケールになる。
ラから始めた場合は、Aマイナースケールになる。
それぞれのスケールを聞いて、何を感じるかは自由だが、大体の人はメジャースケールは明るく、マイナースケールは暗いという感想を持つ。
マイナースケールの7番目の音を半音上げると、ハーモニックマイナースケールになる。
さらに、ハーモニックマイナースケールの6番目の音を半音上げると、メロディックマイナースケールになる。
メジャースケールから、ファの音を抜くと、四抜き音階になる。四抜き音階は東方Projectの楽曲に多用されている。
さらに、四抜き音階から、シの音を抜くと、おなじみのヨナ抜き音階になる。和風な感じがするスケールであり、多くのJ-POPに使われている。
一方、四抜き音階から、ラの音を抜くと、四六抜き音階になる。四六抜き音階の使用例は少ないが、最近のヒット曲では見られるようになっているらしい(詳しくは、SoundQuestというサイトを見てほしい。使用例は、カンザキイオリの『命に嫌われている。』(まふまふが紅白で歌った曲)。)
メジャースケールから、レの音とラの音を抜くと、ニ六抜き(琉球)音階になる。沖縄っぽい雰囲気がする。BEGINの楽曲などに多く使用例が見られる。
コードとは?
三和音編
コードは音を同時に鳴らしたものである。例えば、ドミソを同時に鳴らせば、Cメジャーコードになる。
また、ドソだけを鳴らせば、パワーコードとなり、ロックっぽくなる。
メジャーコードの真ん中の音を半音下げると、暗い印象になる。これをマイナーコードといい、例えばCマイナーコードは、ド ミ♭ ソである。
メジャーコードの真ん中の音を逆に半音上げると、サスフォー(sus4)コードになる。例えば、Csus4は、ドファソである。なんとなく神秘的な感じになる。
マイナーコードの真ん中の音を半音下げると、サスツー(sus2)コードになる。例えば、Csus2は、ドレソである。sus4になんとなく雰囲気が似ている。
メジャーコードの一番上の音を半音上げると、オーギュメントコード(aug)になる。例えば、Caugは、ド ミ ソ#である。なんとなく気持ち悪さがある。
マイナーコードの一番上の音を半音下げると、ディミニッシュコード(dim)になる。例えば、Cdimは、ド ミ♭ソ♭である。もっと気持ち悪い感じがする。
メジャーコードと比較してまとめてみる。
なお、数字の単位は半音分である。
コード | 真ん中の音 | 一番上の音 |
---|---|---|
M | 0 | 0 |
m | -1 | 0 |
Power | なし | 0 |
sus4 | +1 | 0 |
sus2 | -2 | 0 |
aug | 0 | +1 |
dim | -1 | -1 |
四和音編
ドミソシと鳴らすと、メジャーセブンス(maj7)となる。なんかおしゃれな感じがする。
メジャーセブンスのシの音を半音下げると、セブンス(7)になる。ちょっと緊張感があるが、おしゃれ。
セブンスのミの音を半音下げると、マイナーセブンス(m7)になる。暗めでおしゃれ。セブンス系の中では一番使いやすい(個人の感想)。
メジャーセブンスのミの音を半音下げると、豆セブンス(mM7)になる。(正式名称もちゃんとあるが、紛らわしいので、ここでは豆セブンスにさせてもらう。)サウンドとしては、なんか複雑な感じがする。
メジャーセブンスのミの音を半音上げると、メジャーセブンスサスフォー(M7sus4)、セブンスのミの音を半音上げると、セブンスサスフォー(7sus4)になる。弾いてみるとわかるが、セブンスサスフォーは東方の「いつもの」フレーズに用いられている。
マイナーセブンスの、ソの音を半音下げると、ハーフディミニッシュ(∅)となる。これも色々紛らわしい名称があるが、ここではハーフディミニッシュで統一する。
ハーフディミニッシュのシ♭を半音下げるとディミニッシュセブンス(dim7)になる。気持ち悪い。
セブンスコードのソの音を半音上げると、オーギュメント・セブンス(aug7)になる。
また、メジャーセブンスのソの音を半音上げるとオーギュメント・メジャーセブンス(augM7)になる。
メジャーセブンスを基準にしてまとめてみる。
コード | ミの音 | ソの音 | シの音 |
---|---|---|---|
maj7 | 0 | 0 | 0 |
7 | 0 | 0 | -1 |
m7 | -1 | 0 | -1 |
mM7 | -1 | 0 | 0 |
M7sus4 | +1 | 0 | 0 |
7sus4 | +1 | 0 | -1 |
∅ | -1 | -1 | -1 |
dim7 | -1 | -1 | -2 |
aug7 | 0 | +1 | -1 |
augM7 | 0 | +1 | 0 |
メジャースケール上のコード
Cメジャースケール上で3和音のコードを作る。
面倒なのでここでの解説は、全てCメジャーで行うが、調を変えても全部適用できる。
コード名 | 構成音 | ディグリー表示 |
---|---|---|
C | ド ミ ソ | Ⅰ |
Dm | レ ファ ラ | Ⅱm |
Em | ミ ソ シ | Ⅲm |
F | ファ ラ ド | Ⅳ |
G | ソ シ レ | Ⅴ |
Am | ラ ド ミ | Ⅵm |
Bdim | シ レ ファ | Ⅶdim |
Ⅶdimは使いにくいので、基本的に無視する。
機能論
機能名 | メンバー | 特徴 |
---|---|---|
トニック(T) | Ⅰ、Ⅵm | 中心感、ここに来ると戻ってきた感がある。Iは明るめでⅥは暗め。 |
ドミナント(D) | Ⅲm、Ⅴ | 緊張感がある。Tに戻りたがる。 (Ⅲmは、場合によってはトニックにもなりうる。 (直後のコードがトニックでない場合など)) |
サブドミナント(S) | Ⅱm、Ⅳ | ふわふわしてる。TとDの仲介役って感じ? |
ちなみに拡張するとこうなる。
拡張したコードを使いすぎると、スケール感がブレるので、注意は必要。
コード進行の作り方
基本的には、T→S→D→Tというサイクルで作る。ただし、最近の楽曲はS始まりのほうが多い。
とはいえ、上記のサイクルが必須というきまりはなく、TとDだけでコード進行を作ったり、TとSだけでコード進行を作ったりする場合もあるし、時にはT→D→S(→T)などというサイクルで作る場合もある。
特にT→D→Sは作曲初心者向けではないかもしれないが、これらのコード進行の使い方が特有の響きを生み出したりする場合もある。
音楽理論的な内容からは離れてしまうかもしれないが、コード進行を一から作ることが難しいと感じたりする場合は、既存のコード進行を引用するのも大いにありである。
(コード進行単独では基本著作権は発生しない)
ポップスで高頻度で使われている有名なコード進行も多数存在するため、それらを調べて自身の曲に使ってみるのも良いかもしれない。
アボイドノート
話を完結にするために、Cメジャースケールで統一する。他のスケールにしたい場合は、移調すれば良い。
アボイドノートは避けるべきという訳では無いが、少なくともアボイドノートを伸ばすと結構気になるので、早めにアボイドノートではない安定した音に帰着させるのが望ましいと思われる。
逆に、アボイドノートを乱用して敢えて不快な曲を作ることも可能である。
Cコード
アボイドノードはF(ファ)である。
理由は、Cコードの構成音であるミと半音差になり、音が濁るためである。