平易版ウォンダ記概要

Last-modified: 2022-05-08 (日) 20:13:35

あらすじ

ドネルツン史記(ウォンダ編)
先の王朝であるアシュグ朝の跡継ぎ争いに端を発した大戦乱は豊かな作物と鉱物資源によって、少しずつ、然し確実に豊かになっていた「アーガム・ヤアン」(黄金葺きの屋根を意味する)を灰塵へと変えた。
その150年もの戦乱を終わらせた男《成り上がり者》フィンデン・ティゴは元来《光焔の》ウォンダ配下の傭兵隊長であった。
ウォパルに位置するウォンダ領はアシュグ朝の都と辺境のちょうど中間点に位置する重要拠点であり、戦乱の世においても人の流入は多かった。
その関所から得られる通行税によって安定した収入を確保していた中小領主である。

当時のアーガム・ヤアンにおいて銃とは行商人からぼったくり価格で購入するほかなかった。
ウォンダは自領で豊富に産出される硫黄、硝石、森林資源と少量ながら安定して調達可能だった《熱気》《光明》の魔石を利用して、国産の銃を完成させたのである。
練度の高い騎士であっても耕民の砲火に倒れる事は長い戦乱によって既に明かされていた事であった。
ウォンダ領の銃は従来流通していたマッチロック銃、後に流通するフリントロック銃とは異なり、何らカラクリを要さず、銃身の底に熱気と光明の魔石の粉末が鉄に練りこまれている。引き金を引くことで二種類の魔石が作用し火種の術が発動。轟く銃声と共に兵は倒れる。
なおカラクリを要さないにもかかわらず引き金を用いる理由は銃身の底に刻まれた術式回路へ火種を起こす「意志」を指揮のタイミングに合わせて伝導させるためのツールとして有用であったからだ。。
ウォンダは大量生産された銃とマニュアル化された練兵(この点においてもウォンダは秀でていた)によって耕民を大量に銃兵として動員する事に成功しこの物量を以てアーガム・ヤアンを席巻し、遂には都周辺の小領主にまで落ちぶれていたとはいえ聖職者ともつながりが深く、各戦乱領主に対する権威もあったアシュグ朝をも滅ぼすに至るのである。
この銃はカラクリを要さないので生産が容易。火種となる火花を散らすだけなので術式が単純かつ魔石もカケラ程度の使用で済む点。火種が露出しないので雨天でも使用可能。といった利点が多く、また単純ではあるが思いもよらない仕組みであったのでで戦乱後期になるまでこの新式銃はウォンダ勢においてのみが使用していた。

ウォンダはアシュグ朝を滅ぼしたことによって《転覆者》、彼が大量に作った銃から放たれる幾多もの砲火から《光焔公》などと呼ばれ各戦乱領主に畏怖されるまでに至った。
各地の領主がウォンダに降伏。抵抗を続ける大勢力は僅かに3つ。この時すでに戦乱から150年。
戦乱勃発からさかのぼる事120年前にアシュグ朝初代国王の《仁将王》タージ・アシュグがアーガム・ヤアンにもたらした平穏なる、万民が忘れて久しい物をを今度はウォンダが取り戻す、すぐそこまで来ていた。
然し、現在のドネルツン王国はフィンデン・ティゴの養子にしてウォンダの同盟者イャシュム・ティゴ・マツィディラがその祖である。
ウォンダは遂に惣無事を成し遂げることなく、ウォンダの宿将《忘恩》クィリン・ムツィイダがウォンダを暗殺したのである。
そのあとは《忘恩》クィリン・ムツィイダを《成り上がり者》フィンデン・ティゴと《神君》イャシュム・ティゴ・ドネルツンの2人で倒した……というお話になっておりまして、フィンデンが天下を治める事になりました。
その後、フィンデンには世継ぎが居なかったのでイャシュムが養子となり、マツィディラ朝ドネルツン王国初代国王となったのでした。めでたしめでたし

魔人ウォンダ

ウォンダの解説をしよう。
ウォンダは1030年頃から文献に記述がみられる死を超克した魔人とも呼ぶべき存在である。
どのようにして死を超克したのかは様々な説が挙げられているが、クィリン・ムツィイダによって殺されていることから不死の存在ではなかった事だけは明らかだ。
さて、ウォンダはウォパル=ジューカ=ダ(ウォパル域における守護者を代行する者)の称号を与えられる。
アシュグ朝の重臣であるヌヴァ家に仕え、宮廷の政争に明け暮れたかと思えばウォパルに戻ってはヴニン戦役を乗り切り、ヌヴァ家の失脚を機にウォパルの一領主として振舞った。
地盤を固め、ウォパルを統一したウォンダは遂に大領主ファイマー=グァ家当主ヤシュマー・ファイマー=グァとの戦に臨む。
緒戦、いくつもの城を落とされ形勢は不利であった。
それでもウォンダは動かない。それどころか酒を飲み、舞い、歌を吟ずる有様。
ともすると眼を見開き「出陣である」と一言。
ヤシュマ-の本陣があったヴァーガ・フムヌへ奇襲をかけ見事に討ち取った。
勢いを得たウォンダはその後も領地を拡大。
ファイマー=グァ家に服属させられていたマツィディラ家と同盟を結び後ろを固めると、その後死ぬまで法王からの王冠を授かるべくカイウタへ向かう「ズリャーグ」の為に戦う事ととなる。

ウォンダは死して間もない人から熱気ベースの魔力を吸い取って不老に充てていた外法の使い手である。
後にファンエー山の神殿を焼き払ったのも早期終結の他大量の生命力を吸い取るためだったのだ。
年を経るごとに必要とされる魔力が増える上、戦乱も終結に向かっていたので十分な魔力を得る事が出来ず、そこをクィリン・ムツィイダに狙われて死んだ。
銃の量産に力を入れていた理由も殺戮によって大量の魔力を確保する所にあると思われる。